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【訪問看護ステーション】重度者対応は拡充、前途多難なリハビリ型

4月からの介護報酬が改定。その中から、訪問看護ステーションに関連の深い項目を紹介します。ステーションからの訪問のうち、「看護」は拡充ですが、理学療法士などリハビリ専門職の派遣を中心に行なっている事業所には厳しい改定内容となりました。

リハビリ職の訪問、要支援者1日3回の報酬は5割減

令和3年度の介護報酬改定は、0.7%のプラス改定でした。コロナ禍での対応として半年間基本報酬の引き上げが行われ、全体が上げの基調の中にあって、マイナスが際立ったのが重点化対象とされた訪問看護ステーションのリハビリ専門職の訪問に対する報酬です、
介護給付(訪看Ⅰ5)では297単位が293単位、予防給付(予訪看Ⅰ5)の287単位が283単位でともにマイナス4単位。1日2回を超える(3回以上)の訪問の場合は1割減ですが、予防給付では、5割減と大幅減額。計算すると、20分2,830円、40分5,660円、60分になると4,250円になります。
「ちょっと触って、たくさん回れば儲かる。そんなビジネスモデルを吹聴する儲け主義の経営者がいたのも事実。ただ、真面目にやっているところも一律にカットされるのは残念」リハビリ職でもある介護経営者は話していた。リハビリ中心の事業所では軽度者の割合も多く、経営に与える影響は大きいと考えられます。

消えた「看護職が6割以上」、看護強化体制加算の要件で復活

訪問看護ステーションからのリハビリ職派遣は、2012年度に20分単位のリハビリ体系に改訂されるまでは報酬も訪問看護と同じでした。もともとは「おまけ」の位置付けで、今のように数が増えることは想定していなかったと言えます。無視できないほどの量になり、地域包括ケアシステムの構築が目指される中で、訪問看護ステーションの役割や、訪問リハビリとの関係は本来どうあるべきかという議論になっていきました。
2018年度の介護報酬改定では、訪問看護ステーションは看護が中心であることを明確にする見直しが行われました。看護師が定期的に評価を行い訪問看護計画書や訪問看護報告書を理学療法士等と連携し作成することや、リハビリ職が中心でも看護師の代わりの訪問であることを利用者に説明して同意を得ることが算定要件となるとともに、予防の報酬の引き下げが行われ差がつけられました。
そして迎えた今回の改定は前回改定の方向性をより強化する内容です。厚労省は、昨年、11月、ステーションの設置要件を「看護職の割合を6割以上」とし、リハビリ型を事実上排除することを提案しました。これに対し、日本理学療法士協会など職能3団体は猛反対。「規制強化により、8万人が介護サービスを利用できなくなり、5千人のリハ職が失職する」と訴えて署名活動を展開し、政治に働きかけて規制案を撤回させた経緯があります。
しかし、「看護職が6割以上」の要件は、看護体制強化加算の要件として取り入れられました。報酬額は看護体制強化加算(Ⅰ)が月600単位から550単位に、看護体制強化加算(Ⅱ)が月300単位から200単位に下がったものの、クリアするのが厳しい特別管理加算を算定している利用者の割合が「30%」から「20%」に引き下げられたことで算定しやすくなりました。また、退院当日に訪問ができる対象者も拡大され、医師が必要と認めれば訪問できるようになり、中重度者の在宅療養を支える訪問看護の役割は強化されました。「看護職が6割以上」は医療保険の機能強化型の算定要件にすでに導入されており、いわば厚労省の推奨事業モデルです。

中重度者対応の強化が経営面でも重要に

「需要があるからといって漫然とリハビリ職を増やしていたところもやっていけなくなるでしょう。経営的にも看取りや医療ニーズの高い中重度者の対応を増やしていく必要がある」と別の経営者はこの先を予測しています。看護職割合での参入規制は、今回は撤回されましたが、先送りになっただけというのが関係者の共通の見方となっています。
医療機関や老人保険施設での訪問リハビリの報酬は、要支援者・要介護者ともに307単位に引き上げとなり、訪問看護からの訪問と報酬上の評価は初めて逆転しました。訪問看護からのリハビリ職の訪問について、「通所リハビリだけでは屋内のADLが自立できない場合」限定という規定が追加され、運用上の扱いは訪問リハビリと同じになりました。介護予防・重度化防止に力を入れる厚労省は、近年、介護保険の中でのリハビリ職の役割を強化してきていますが、医療機関での通所リハビリテーションや、訪問リハビリを伸ばしていく考えです。

リハビリステーションの必要性指摘する意見も

医療機関での訪問リハビリは、原則事業所の医師の診察を受けることが必要で、事業所数そのものが少ない中で、利用しづらいという問題があります。かかりつけ医師の指示書一枚で済む訪問看護ステーションのほうが、利用者にとって利便性は高く、需要を増やしたと考えられます。職能団体はリハビリ専門のステーションの設置を可能とすることを求めて活動を続けており、介護報酬を議論する介護給付費分科会では、自治体代表の委員から強く支持する意見もありました。職域や専門性からのあるべき論だけでなく、利用者の目線からも検証していいってほしい問題と思われます。
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介護・福祉ジャーナリスト
川名佐貴子
介護保険の専門新聞、ケアマネ向け月刊紙の編集長を長年務めた。現在、フリーで活動中。介護保険制度の創設前から、介護福祉分野の幅広く取材してきた。
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