5類移行、医療体制や患者負担は…「ウィズコロナ」実現に課題

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

新型コロナウイルス「オミクロン株」(国立感染症研究所提供)
新型コロナウイルス「オミクロン株」(国立感染症研究所提供)

 新型コロナウイルスの位置づけを「5類」に移行することで、都道府県知事が持つ権限は縮小されるが、高齢者らが適切な治療を受けられる医療提供体制を確保しておくことが欠かせない。医療費の公費負担なども含め、「ウィズコロナ」の実現に向けた課題は多い。

コロナワクチン廃棄額6653億円…厚労省「必要な量購入した」「無駄とは考えていない」

 都道府県知事は現在、感染症法に基づき、患者に入院勧告や指示ができる。医療機関にはコロナ病床の確保を要請してきた。全国の確保病床は現時点で約4万9000床に上る。

 だが、移行後はベッドが他の病気の患者で埋まり、コロナ患者が入院できなくなる事態が想定される。

 国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「どの病院がコロナ重症者と他の病気の患者をそれぞれ受け入れるのか役割分担を明確化した方がいい」と指摘する。

 感染拡大で病床が 逼迫ひっぱく すれば、入院調整が困難になる恐れもある。国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「高齢者や妊婦、子どもを守るため、円滑に入院できるよう都道府県が入院先を調整する現在の仕組みは残すべきだ」と語る。

 一方、発熱外来などが担ってきた外来診療はどうなるか。幅広い医療機関で対応が可能になるが、実際に拡大するかは不透明だ。東京都内のビルに入居する診療所の院長は「一般患者と動線を分けられない。今の感染力の高さでは、コロナ疑いの患者を診療するのは難しい」と打ち明ける。

 医療費は5類になれば通常、自己負担が生じる。コロナ治療薬には高額なものもあり、経済的な理由で受診を控える人が出る恐れもある。

 日本医師会の 釜萢かまやち 敏常任理事は「公費助成を減らす場合でも段階的な対応が望ましい」と訴える。

 全額公費で実施されているワクチン接種の扱いも焦点だ。オミクロン株対応ワクチンの接種率は全人口の約40%(19日時点)と伸び悩むが、自己負担が生じれば、さらなる低迷が懸念される。

専門家「新たな変異株に警戒を」

 新型コロナの感染症法上の分類を、季節性インフルエンザ並みに変えたとしても、専門家は「新たな変異株への警戒は必要だ」と訴えている。

 ウイルスは、感染して増殖する際、遺伝子の一部で「コピーミス」が起きて変異する。感染者が増えると変異の速度が上がり、現在主流のオミクロン株より、重症化しやすい変異株が出現するリスクが高まる。

 米国では現在、感染力の強いオミクロン株の新系統「XBB・1・5」が急拡大し、日本でも確認され始めている。水谷哲也・東京農工大教授(ウイルス学)は「次の流行に備え、ウイルスの監視態勢は維持しておくことが重要だ」と話す。

新型コロナ・都道府県別感染者数や最新ニュース
【連載】コロナの先へ 危機の教訓
スクラップは会員限定です

使い方
「医療・健康」の最新記事一覧
記事に関する報告
3734271 0 医療・健康 2023/01/20 22:07:00 2023/01/20 22:16:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/01/20230120-OYT1I50146-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

セレクション

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)