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医療・健康・介護のニュース・解説

老老介護6割超 認知症の95歳母を世話する70歳女性「曜日の感覚すらなくなる」…介護者の支援いかに?

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過去最高6割超 ケア充実不可欠

 介護を受ける側も、する側も65歳以上という「老老介護」の割合が昨年、初めて6割を超えた。「一緒に暮らし続けたい」「施設への入所は経済的に厳しい」――。理由は様々だが、長期に及べば共倒れのリスクも高まる。介護者の心身のケアなど、支援の充実が求められている。(板垣茂良)

金銭面での不安も

介護する側も高齢者…老老介護 共倒れリスク

 「ここは誰の家なんだ?」「あなたが買った家ですよ」

 千葉県船橋市のマンションで暮らす女性(84)は、就寝前の夫(88)が毎晩繰り返す問いかけに、同じように答えている。夫がアルツハイマー型認知症の診断を受けたのは7年前。状態は緩やかに進行している。

 就寝後の夫は朝までに3回ほどトイレに起きる。転倒などの恐れもあり、そのたびに付き添う。きちょうめんな性格も影響し、女性は慢性的に寝不足だ。介護殺人のニュースを見ると、「絶対にだめだけれど、気持ちがまったくわからないとは言えない」という。

 「私が元気な間は、夫を家でみたい」。女性の介護疲れを心配して、施設への入所も検討するよう勧める息子と娘には、そう返している。60年以上連れ添ってきた夫の「家はやっぱり居心地がいい」という気持ちを尊重したいからだ。

 金銭面での不安もある。介護の必要な状態を7段階で示す要介護度で、夫は真ん中の「要介護2」。基本的に「要介護3」以上が対象となる特別養護老人ホームには入所できず、有料老人ホームが候補になる。ただ、調べてみると、都内でそうした施設の費用は月20万円ほどになると知った。

 夫婦の年金は合わせて月約25万円で、「自宅で一緒に暮らしていくには問題ないが、別々に暮らすには足りない」。かといって、子どもたちに経済的な援助を求めるのもためらわれる。「学費など子育てにまだまだお金がかかる時期だから、迷惑をかけたくない」

 今年8月、夫がデイサービスで過ごす時間を週に半日ほど増やしてもらった。夫のケアプラン作りを担当する「介護屋みらい」のケアマネジャー平沢雅世さん(52)が、女性の体調を心配して提案した。女性も、7段階で最も軽いものの「要支援1」。介護予防などのサービスを利用する側だ。平沢さんは「夫の介護を担う女性が疲れをため込みすぎないように、注意しながら支援を続けたい」と話す。

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