あんしんゼミ
医療・健康・介護のコラム
11月30日は「人生会議の日」 どんなことを話し合う場なの?…「エンディングノート」との違いは
ゼミ生 「人生会議」が推奨されていると聞きました。どんな会議ですか。
教授 人生の最終段階で、どんな医療やケアを受けたいか、どう過ごしたいかを考え、家族など身近な人や医療関係者、介護サービスのスタッフらと話し合う会議です。気持ちを事前に確認しておけば、本人が望む形で人生を全うできるように周囲の人もサポートできます。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼ばれる、こうした取り組みを広げようと、厚生労働省が2018年に公募で決めた愛称が「人生会議」です。
家族の心理的負担減に
ゼミ生 先のことは分からないので、いざという時に話し合えばよいのでは?
教授 突然の事故や病気、認知症などで意思疎通が難しくなった場合を想像してみてください。終末期には、7割の人が自分の意思を伝えられなくなると言われています。人工呼吸器や点滴などによる延命治療や、心臓マッサージなどの心肺蘇生を望むのか、本人の気持ちが分からないと、周囲の人が困ってしまいます。話し合いを通して自分の気持ちを整理し、信頼できる人に託すことは、決断を迫られる家族らの心理的な負担軽減になります。
繰り返すことが大事
ゼミ生 祖父母が書いている「エンディングノート」とは違うのですか。
教授 人生会議で最も重要なのは、話し合いを重ねるプロセスです。ノートにまとめるのは有意義ですが、一人で考えて書いただけでは、周囲の人はノートがあることを知らないかもしれません。時間の経過や病状の変化とともに、気持ちが変わることもあります。一度話し合って終わりではなく、対話を繰り返し、自分の希望を周囲の人と共有することが大切です。
ゼミ生 何から始めればいいですか。
教授 治療方針を決めることだけが人生会議の目的ではありません。納得のいく最期を迎えるため、自分がどう生きていきたいのかを考える機会です。自分が大切にしたいことや、してほしくないことを言葉にし、信頼できる人に話してみることです。国は「いい 看取 り」の語呂合わせで11月30日を「人生会議の日」と定めています。進め方を解説したウェブサイトや動画も公開されているので参考にしてください。
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