来年度の診療報酬改定 年内決定に向け 議論活発化へ

来年度の診療報酬改定をめぐり、日本医師会などは賃上げが必要だとして、人件費などに充てられる「本体」部分の引き上げを求めている一方、財務省は現役世代の保険料負担を軽減するため、逆に引き下げを主張していて、年内の決定に向けて議論が活発になる見通しです。

医療機関に支払われる診療報酬は、医療従事者の人件費などに充てられる「本体」部分と、薬の価格などにあたる「薬価」部分で構成されていて、2年に1度、改定されています。

来年度の改定を前に厚生労働省が行った医療機関の昨年度の経営状況の調査では、病床が20床以上の「一般病院」は、物価高騰の影響で新型コロナ関連の国の補助金をのぞくと赤字となった一方、「診療所」では補助金をのぞいても黒字となりました。

日本医師会などは、補助金はすでに縮小されていて、物価高騰やほかの産業に匹敵する賃上げに対応するには「本体」部分の引き上げが必要だとしています。

また、与党などからは看護補助者らの賃金はすべての産業の平均を下回っているとして、賃上げを特に求める声があがっています。

一方、財務省は、「診療所」は経営状況が良好で、賃上げの原資は確保できているとしていて、報酬単価を下げて「本体」部分の引き下げを図り、現役世代の保険料負担を軽減すべきだと主張しています。

診療報酬の改定率は年内に決定されることになっていて、議論が活発になる見通しです。