A15調剤薬局の生き残り戦略~訪問型ワンストップサービス

インタビュー

地域住民の健康生活を支える場として

 「せわのわ」の名前は「世話の輪」から付けられました。その名のとおり、地域で住み続けるためのキーステーションとして健康支援ネットワークの役割も担っています。 最終回は、地域住民との「世話の輪」のコミュニティづくりを進める取り組みについて、せわのわ事業支援部長の半田さん、せわのわ事業本部長の目井さんにお話を伺いました。 地域に開かれたレストラン「健康食堂」 半田: 地域住民の方に普段使いをしてもらえるような、楽しく食事ができる場所を目指しています。車いすやベビーカーでもそのまま入れる、お一人さまもお母さん方や子ども、ご高齢の方も気軽に入ってこられるようなフリーアクセスな場所にしたい、というのが狙いとしてあります。 当初はもっと健康志向が強く、健康に寄与できる、役立つような場所として考えていました。最初は管理栄養士だけで、栄養素を重視した食事を提供したのですが、食事そのものを楽しみに来てもらえるような感じにはならず、リピーターもつきませんでした。 そこで、コロナ禍の影響もあり、営業自粛となった段階で食の部分は大きく考え直し、調理師を迎えてメニューを全部見直しました。基本はやっぱり食べておいしいもの、もう一度行きたいねとなるような食事。健康の捉え方にはさまざまあるでしょうが、身体も心も健康になるという観点でいえば、適度なカロリーやアルコールなどもあっていいだろうと考えています。 目井: ご高齢の方でもお肉が好きな方が多く、実は今一番の人気メニューはから揚げなんです(笑)。 ご高齢の方で毎日のように来られる方もいますし、お母さん方も多いです。意外にもお一人で食べに来られる女性・男性も多くて、一人でもふらっと入れるような雰囲気があるようですね。 ―地域の見守りネットワークみま~も(※1)のまちづくりにも参加されているそうですね。 半田: 窓口は私がやっています。 当初、健康食堂のコミュニティサロンを活用して、さまざまなコミュニティを引き込みたいと考えていたのですが、独自のアプローチだけでは難しかったのです。その後いろいろ探していたら、ちょうど大田区で地域のネットワークを作る活動をしている団体があるということで、入れていただきました。 目井: 今はコミュニティサロンの提供がメインになります。コロナ禍で今まで使っていたところが使えなくなったとかそういう話もありまして、無償で貸しています。高齢者の方々が簡単な運動をしたり、引きこもりの家族会、生活保護世帯の子どもの学習支援など、社会福祉協議会や地域包括センターなどとも連携し、いろいろやっています。 最初の3カ月くらいはどこの誰だと怪しまれましたが、段々と既存の町づくりをやっている団体ともつながりができてきたところです。 地域の拠り所、在宅のなんでも屋 ―せわのわさんは今、地域にとってどんな場所なのでしょうか。 目井: 大田区高齢福祉課から大田区高齢者見守り推進事業者に登録してもらっていて、地域の困ったときの拠り所として活動しています。 半田: せわのわとしても、「もやっと相談」という窓口を設けて対応しています。なんとなく「専門家がいるので相談できるかな」と、ふらっと来られる方もいます。 みなさん、お話がしたいんですね。そんな場所はほかにはなかなかないので。 目井: ここは、住民の方々との距離がすごく近いと思います。近所のおばあちゃんが毎日顔を出してくれたり、おすそ分けしてくれたり…。 その方々も今は元気ですが、今後、訪問看護などが必要となったときに、せわのわがいいと言ってもらえたら…と、そうしたことも考えながらやっています。着地点はそこですね。先の長い話ですが、ご高齢の方、地域のコミュニティをうちに呼び込むことが最終的な目的です。 住民の方々や利用してくださる方々から、「とにかく困ったときは『せわのわ』に…」と言われることがありますが、そうした声に応えられるようにしていきたいですね。 半田: あとは、今後の展開としてはデリバリーサービスですね。 階段があるのがしんどくてという相談があったりしたので、試験的に始めました。データを集めるために今は無料でやっていますが(2020年12月取材時点)、ある程度スキームが固まれば、2021年から有料化も考えていかなければとは思っています。 目井: 現場の声を集めるために始めましたが、まだ依頼はそれほど多くはないですね。現状ここに来るお客様は歩ける方が多いので、そもそも用がない人が多いのです。民生委員経由で独居の高齢者などにアプローチする方法もありますが、いきなりだと怪しまれることもあるので、社会福祉協議会や地域包括支援センターなどとも連携して、地道に足元から固めている段階です。 半田: 最終的には広域デリバリーの中に調剤薬局の薬を届けることも入れ込んで、ネットワークを作っていきたいと思っています。 ** 株式会社キュアステーション24 せわのわ事業支援部 部長 半田 真澄 30年以上臨床検査領域で働いた後、2013年にTRホールディングスグループに入社。代表取締役の田中氏とは社会人1年目が同期という縁。せわのわでは主に業務全般のサポートを行っている。 株式会社キュアステーション24 取締役/せわのわ事業本部 本部長 目井 俊也 ゼネコンや外資系保険会社などを経て、まったく畑違いの介護業界に。訪問介護ステーションやデイサービス、サービス付き高齢者向け住宅などの開業・運営経験がある。 【参考】 ※1 みま~も(おおた高齢者見守りネットワーク) 高齢者が安心して暮らせる街づくりのために、地域の医療・福祉・介護の専門職が活動する大田区の地域ネットワーク 関連記事:全国に拡大中!地域を支える『みま~も』とは?(牧田総合病院 地域ささえあいセンター センター長 澤登久雄)

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訪問看護ステーションの働き方改革

せわのわ訪問看護ステーションは、運営面でも先進的な取り組みを行っています。第3回は、週休3日制を取り入れた働き方改革などについて、引き続き、訪問看護管理者の竹之内さん、事業支援部長の半田さん、せわのわ事業本部長の目井さんに伺いました。 ワークライフバランスを考えた勤務体制 竹之内: 今のところ、常勤看護師2人、フルタイムのパート1人、非常勤の理学療法士(PT)2人、常勤の言語聴覚士(ST)1人が勤務しています。 せわのわ訪問看護ステーションの大きな特徴といえば、STがいることと、常勤で週休3日と2日と選べる体制になっていることだと思います。 一日の勤務時間が11時間拘束・10時間労働と長くはなりますが、その代わり残業時間がほぼありません。最後の訪問が17時30分か18時ぐらいに終わるので、戻ってからも1時間ぐらいは余裕があり、そこで記録をつけたりもできますので。 それと、僕自身が一時期人材紹介会社に勤めていたときの認識として、在宅で働きたいと思う人はワークライフバランスを重視している人や夜勤をやりたくない、子どもがいるので17時半には帰りたい、などという方も多い印象でした。先々を見据えると、お母さん世代が入ってくれるとコミュニティとも連携しやすくなるので、その世代が入ってきたいと思うような職場にしたいと思っています。 そのため、一番多くなりそうな10~15時、週3~4日のパート枠の方が増えたときにも、ある程度対応できるような下地を作っている所です。 半田: 長時間働く分、たくさん休みましょうという働き方改革の一環ですよね。週休3日を選択している人は副業をしている人も多いようです。 目井: 法律上は週40時間以下の変形労働時間制なんですが、経営側としても割増の残業代を払うことがなくなるのでメリットは大きいですね。 また求人を出す際にも、週休3日だと目につくのかもしれません。会社のLP(ランディングページ)、InstagramやFacebookなどでも紹介しているのですが、最近は問い合わせも増えてきていますね。 ―何かコミュニケーションを円滑にするために活用しているツールはありますか。 竹之内: 電子カルテを活用しているのはもちろん、コミュニティツールとしてTalknoteを使っています。LINEだと、後から入ってきた人が過去の情報をさかのぼることができないので。Talknoteはグループもいろいろ分けられて、そこに入れる人も調整できるので便利です。 できる限り記録と併用して、業務負担にならないように必要最小限の情報をのせるようにしています。 目井: Talknoteは、訪問看護ステーションだけではなく、全社、調剤薬局や経営者も入っています。 週休3日制だと管理者とも週1回しか会えない状況なので、全社的に情報はTalknoteで共有するようにしています。 他職種連携がもたらすメリット 竹之内: 一番のメリットは楽しいことですね。訪問看護ステーションの事務所だけだと、スタッフが顔を合わせる機会も少ないですから。ここでは薬剤師や管理栄養士などと、顔を合わせて気軽に話ができますし、お昼もせっかくだから戻って食堂で食べようかとか(笑)。 もちろん、いろいろな知識も得られます。利用者さんのために必要なことが、迷ったらすぐに相談できる環境にあります。看護師だけだと同じ視点でしか見られないようなことも、調理師のような医療に関わっていない人も含めて色々なアイデアが出てきて、新しい発見をすることもしばしばです。 目井: 多職種が一緒にいることによって、利用者さんに対していろいろな形でのアプローチが見つかる。そうした日々の発見が、結果的には利用者さんのメリットにもなっていると思います。 ―とはいえ、職種が違うといろいろと意見のぶつかり合いなどもあるかと思うのですが…。 目井: 訪問看護ステーションでいえば、看護師が管理者なので、PTやSTからは相談しにくいこともあるという話はたまにありますね。常勤のSTについては、メンター的な役割ができるSTを外部から週に一回呼んでフォローして、フィードバックをもらっています。 竹之内: どうしても自分の職種のことで熱くなってしまい、マウントの取り合いみたいになることはありますよね。特にカンファレンスだと看護師が主体になりやすいので、きちんと他職種にも話を聞いて、意見を言いやすい場にするようには心がけています。 お互いの意見をぶつけ合うだけでは平行線のままですから、主導権を渡すではないですけれど、ここは任せるので、ここはこちらに任せてほしいと分担をしたりして、お互いに落としどころを探しながら話し合いをしています。 目井: 職種が違うし、育ってきた環境が違えば考え方も違うので、最初のうちはやっぱり揉めますね。 でも一度地ならしが終わればルールができるので、次に人が入るときにはスムーズに進むと思います。 ―訪問看護ステーションの管理者として意識されていることは? 竹之内: 何よりもスタッフを大事にしたいと思っています。 看護師が忙しいと声をかけづらい状況ができてしまう、雰囲気が悪くなってしまうということが病院ではよくありました。スタッフが楽しく、幸せに仕事していれば、それは利用者さんにも伝わると思うので、いろいろな方が働きやすく、働き方も融通が利くようにしていきたいです。 事業所の規模も今の人数の倍くらいにして、次の事業につなげていきたいですね。 ** 株式会社キュアステーション24 せわのわ事業支援部 部長 半田 真澄 30年以上臨床検査領域で働いた後、2013年にTRホールディングスグループに入社。代表取締役の田中氏とは社会人1年目が同期という縁。せわのわでは主に業務全般のサポートを行っている。 株式会社キュアステーション24 取締役/せわのわ事業本部 本部長 目井 俊也 ゼネコンや外資系保険会社などを経て、まったく畑違いの介護業界に。訪問介護ステーションやデイサービス、サービス付き高齢者向け住宅などの開業・運営経験がある。 株式会社キュアステーション24 訪問看護事業責任者/管理者 竹之内 航輝 総合病院の脳外科や透析外来に勤務後、訪問看護ステーションの管理者になるための経験として看護師の人材紹介会社で働いた経験を持つ。代表の地域貢献に関するビジョンや、スタッフに対する思いなどに共感し、せわのわ訪問看護ステーションに入職。

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多職種スタッフ連携による訪問看護サービス

せわのわでは、調剤薬局が在宅医療の支援に力をいれていることが一つの特徴になっています。第2回は、訪問看護ステーションと調剤薬局、栄養ケア・ステーションとの連携について、引き続き、事業支援部長の半田さん、せわのわ事業本部長の目井さん、そして訪問看護管理者の竹之内さんに伺います。 在宅支援に力を入れる調剤薬局 半田: うちの調剤薬局は、「せわのわ在宅支援&健康薬局」というように在宅という名前を入れているのが象徴的で、とにかく地域の在宅医療に深くコミットするというのが一番の理念です。 もちろん処方箋の対応など一般的な機能は持っていますが、処方箋を多くさばくということより、地域の医療に必要とされるタイミングで必要とされることをやるというのが大きな目標です。そのため、薬剤師二人で毎日のように訪問もしているので、在宅はちょっと…という方は採用できないですね。 目井: 薬剤師がもっと在宅にも出ていくべきで、意識改革が必要という話は、昔から代表取締役の田中ともしていました。今後のことを考えると、薬局も店舗閉鎖していくところは増えるでしょうし、薬剤師も余る時代が来るはずですから。 ただ、現実には在宅をやりたいという薬剤師はまだ少ないですね。薬剤師は病院や薬局で白衣を着て、カウンターで受付をする仕事というイメージがあると思うので。 半田: 今は薬学部で在宅医療についてもカリキュラム化しているので、若い世代は比較的在宅のイメージを持っている人もいるようですが、これまでの環境でやってきた人には訪問で個人宅にあがりこむ…となると、ギャップが大きいでしょうね。 竹之内: 今、うちにいる薬剤師は、在宅がやりたくて来てくれた人です。あれこれと意見を言い合えますし、お互いに連携、協力できる環境にあると思います。 例えば、利用者さんが「やっぱり薬は自分で入れないと…」と焦るような気持ちがあったり、薬の残数が合わなくなってしまったりすることがありますが、うちでは処方箋を一枚持ってきてもらえれば薬剤師にカレンダーセットしてもらえて手間がなくなるよと言えますし、僕らもその分、他のケアにまわせます。それをきっかけに次から頼んでくれる方もいますね。 そのほかにも訪問看護先で、利用者さんの薬のフォローをしてもらう場面が多いです。今出されている処方と前の病院で出されていた処方が混在していると、どれをどのようにしたらいいのか迷いますが、そこに薬剤師が入ってくれることでスムーズに確認ができます。また、在宅では麻薬の管理も難しいところがありますが、ICTを活用してオンタイムでアドバイスをもらえたりすることが、安心材料にもつながっています。 病院にいる感覚と近く、お互いに情報共有することで利用者さんにとってもプラスになるし、協力関係がいい形で結果につながっていると思います。 ―認知症で薬の管理が難しい方とかの依頼は? 竹之内: 調剤薬局と一緒に訪問に入ってほしいと言われるのは、認知症やターミナルの方が多いです。一度訪問すると、リピーターになっていただける確率が高いですね。 こうした在宅の取り組みが増えれば、これまでの調剤薬局とは全く違う形になると思います。 栄養ケア・ステーションの位置づけ 目井: 認定栄養ケア・ステーションは、地域の方々の栄養ケアの支援・指導をする拠点として日本栄養士会から認定されている施設です。管理栄養士が常駐して、栄養の相談を受けています。 また、食堂では調理師がメインで働いていますが、メニューの一部アドバイスなどもやってくれています。毎日栄養相談がある訳ではないので、ここでは事務スタッフ兼管理栄養士として働いていてくれていて、通常は訪問看護や薬局の事務をやりつつ、必要が生じたときに管理栄養士として動いてもらう形です。 ―褥瘡の方や低栄養の方の食事管理やアドバイスなどは? 目井: 元々は、摂食や嚥下障害の方の栄養指導などで、言語聴覚士(ST)と栄養ケア・ステーションが密接なつながりをもって展開していきたいと思っていました。2020年の4月から栄養ケア・ステーションにも保険点数がつくようになったのですが、まだ件数も少ないのでこれからですね。栄養ケアというニーズが世の中にあまり出てきていないので、しっかり稼働している栄養ケア・ステーションは多くはないかもしれません。 専任スタッフをどのように配置するか、事業制度としてどうするのかなど課題は多いですけれど、東京栄養士会がイメージしているのは、せわのわのようなモデルだと言って期待してくださっているので、調剤薬局、訪問看護ステーション、食堂、栄養ケア・ステーションの4部門で、このまま頑張っていきたいです。 ** 株式会社キュアステーション24 せわのわ事業支援部 部長 半田 真澄 30年以上臨床検査領域で働いた後、2013年にTRホールディングスグループに入社。代表取締役の田中氏とは社会人1年目が同期という縁。せわのわでは主に業務全般のサポートを行っている。 株式会社キュアステーション24 取締役/せわのわ事業本部 本部長 目井 俊也 ゼネコンや外資系保険会社などを経て、まったく畑違いの介護業界に。訪問介護ステーションやデイサービス、サービス付き高齢者向け住宅などの開業・運営経験がある。 株式会社キュアステーション24 訪問看護事業責任者/管理者 竹之内 航輝 総合病院の脳外科や透析外来に勤務後、訪問看護ステーションの管理者になるための経験として看護師の人材紹介会社で働いた経験を持つ。代表の地域貢献に関するビジョンや、スタッフに対する思いなどに共感し、せわのわ訪問看護ステーションに入職。

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多機能複合型店舗「せわのわ」モデルとは?

株式会社キュアステーション24が運営するせわのわ訪問看護ステーションは、地域に開かれた医療と介護サービスを提供する「せわのわ」のサービスの一つです。第1回は多機能複合型店舗「せわのわ」について、事業支援部長の半田さん、せわのわ事業本部長の目井さんにお話を伺いました。 「せわのわ」モデル第1号店として ―せわのわのような多機能展開しているところは珍しいと思いますが、実際にはどのような事業を行っているのでしょうか。 半田: 「せわのわ」は株式会社キュアステーション24が運営していて、TRホールディングスグループの傘下にあります。株式会社TRホールディングスは、医薬品・化粧品・医療機器等の販売や調剤薬局の運営、精密機器開発製造やシステム開発販売など、幅広く事業を行っていますが、基本理念は人々の健康な生活と笑顔にどれだけ医療面から貢献できるかで、医療を通して住民の方々に貢献するというのが一番のベースですね。 キュアステーション24は、調剤薬局・訪問看護・栄養ケアステーションの3業態の複合事業を新たに展開するために2019年4月に設立した法人です。 ここは、実験店でもあり基幹店でもあります。いわば我々が考えているせわのわの機能のフルバージョンで、飲食部門をつけたことが特に新たなチャレンジでもあります。 目井: この構想自体は2014年頃から出ていて、代表取締役である田中といろいろ話をしていました。元々調剤薬局を抱えていたので、薬局が今後も生き残りをかけていくには、地域や在宅の分野もしっかりやらないといけないと…。調剤薬局と訪問看護としたのは、経営サイドからすると、収益性の面が一番大きいですね。 半田: ただ、外来中心になっているような薬局だと、急に在宅に行けと言われてもなかなか動きづらい。でもこの先絶対、在宅をやっていかないと調剤薬局はもたない、下手をすると淘汰されてしまうと思っていたので、訪問看護とのペアリングを考えました。 目井: そうした話を重ねるうち、2018年頃には地域に貢献するのであれば、カフェや薬膳料理などもどうか、という案があがりました。薬局と訪問看護だけではなく、飲食と栄養面からも地域支援ができないかというのが最初のアイデアで、要介護の人よりもフレイルの人をターゲットに考えていましたね。 実際には、調剤薬局と訪問看護ステーション、コミュニティサロンも兼ねた健康食堂、栄養ケア・ステーションを運営しています。 組織内でのミニ包括ケアチームを目指して 半田: 地域包括ケアシステム、チーム医療とはよく言われていますけれど、本当に多職種連携が機能しているのかというと、実際は難しいところもありますよね。所属している組織も職種も違う中では、サービス担当者会議などの集まりでも、お互いに遠慮して言いたいことが言えないことも多いです。 それだったら、我々の組織でミニ包括ケアチームを作ってしまえばいいのではないかと。それが多職種業態にしようと思ったねらいです。 うちでは主に薬剤師、看護師、管理栄養士、理学療法士、言語聴覚技師、調理師などがいます。一つの組織の中でケアにあたる専門職をチーム化すれば、他の機能していないところより機能的に動けると思いました。まだ道半ばではありますけどね。 目井: 看護師と薬剤師が働くことのメリットがどのようなところにあるのかは、仮説のもとでやりはじめましたが、実際、お互いに相談しやすい環境であり、親和性は高いということはわかりました。 ―事業性としてはいかがですか。 目井: うちの特徴としては、住宅地のど真ん中にあります。ビジネスとして考えれば、調剤薬局はクリニックの横やショッピングモールなどに出店した方が集客もできてベストかもしれません。けれど、このモデルとしては地域に貢献するということを第一に考えていたので、その選択肢は外しました。この地域の半径500mをすべてカバーしようという考えではじめましたから…。 苦労も相当多いですが、「今のせわのわのモデルいいね」と言われることも多い。まだこうしたモデルは日本ではないと思うので、今は1号店として知見をためているところです。 半田: 調剤薬局にも訪問看護にも医療の専門家がいて、何かあれば相談できる。しかもみなさんが利用できるレストランもあって普段使いができるわけで、機能性の面だけでいえば便利に決まっています。 ただ、事業性をどう確保するかが最大の課題ですよね。ボランティアでやるわけにはいきませんし…。 このモデルの良さに加えて、きちんと事業性を証明していくことが、この先展開していく上での大きなキーになると思います。 目井: いずれは横展開をしていくことも考えていますが、展開自体は、私どもが独自に出すことは考えていなくて、FCやボランタリーでなどいろいろな方法があると思います。このモデル自体、誰がやったら相性がいいのか、クリニックかもしれない、調剤薬局かもしれない。そうしたことも含めて可能性を探っていて、どこからでもせわのわモデルに入っていけるような仕組みにしていきたいと思っています。 まだ実験段階ではありますが、ある程度の方向性は見えてきていますね。 半田: 今は広大な実験場にいるという感じですね。いずれビジネスモデルが固まってきたら、社会に貢献できる形で広げて行きたいと思っています。 ** 株式会社キュアステーション24 せわのわ事業支援部 部長 半田 真澄 30年以上臨床検査領域で働いた後、2013年にTRホールディングスグループに入社。代表取締役の田中氏とは社会人1年目が同期という縁。せわのわでは主に業務全般のサポートを行っている。 株式会社キュアステーション24 取締役/せわのわ事業本部 本部長 目井 俊也 ゼネコンや外資系保険会社などを経て、まったく畑違いの介護業界に。訪問介護ステーションやデイサービス、サービス付き高齢者向け住宅などの開業・運営経験がある。 株式会社キュアステーション24 訪問看護事業責任者/管理者 竹之内 航輝 総合病院の脳外科や透析外来に勤務後、訪問看護ステーションの管理者になるための経験として看護師の人材紹介会社で働いた経験を持つ。代表の地域貢献に関するビジョンや、スタッフに対する思いなどに共感し、せわのわ訪問看護ステーションに入職。

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