G01 訪問看護師のための難病医療費助成の知識

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自立支援医療/小児慢性特定疾病/公費の併用

訪問看護師のための難病医療費助成の知識、最終回は、難病(54)以外で難病患者が利用することがある助成制度として、自立支援医療と小児慢性特定疾病について解説します。 加えて、訪問看護師からの質問が多い、公費の併用がある場合についても解説します。 自立支援医療(15更生医療、16育成医療) 障害者総合支援法(旧 障害者自立支援法)による医療費助成の制度です。 対象 15更生医療は18歳以上、16育成医療は18歳未満で、身体障害者手帳を持つ人のうち、福祉事務所の認定を受けた患者が助成対象です。身体障害者手帳を持っている人が公費の対象とは限りませんので、注意してください。 指定医療機関 54難病と同様に、15・16も「指定自立支援医療機関」で受けた医療のみが助成対象です。54は自治体の管轄内の指定医療機関であれば特定医療を提供できることが多いですが、15・16は医療受給者証の「指定医療機関名」欄に記載された事業所でなければ、基本的には公費を使えません。 しかし、2020(令和2)年3月以降当面の間は、新型コロナウイルス感染症をめぐる情勢から、記載の医療機関でなくとも適用できる時限的措置が施行されています。 自己負担 患者自己負担が原則1割になります。さらに、月の自己負担累積額が、設定された自己負担上限額をこえると、全額公費負担になります。 訪問看護提供時に確認すること 被保険者証類に加え、医療受給者証と自己負担上限額管理票を確認します。 なお15・16では、自治体によっては、月の自己負担上限額が「0円」の場合などに自己負担上限額管理票が発行されないケースもあります。 小児慢性特定疾病医療(52) 対象 対象疾患は、国が指定した16疾患群762疾病(2021年6月現在)です。(※1) これらの慢性疾病で18歳未満の患者のうち、都道府県の認定を受けた患者が助成対象です。18歳になる前から認定を受けていて、引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳に到達するまで対象とされます。 指定医療機関 公費52も、都道府県の指定を受けた医療機関(訪問看護ステーション、保険薬局も含む医療機関であれば)で提供された医療だけが助成対象です。 こちらも現在、時限的措置として、医療受給者証に記載の指定医療機関以外でも指定医療機関であれば医療を提供し、公費として請求することが臨時的に認められています。 自己負担 患者自己負担額が2割に軽減されます。さらに、定められた自己負担上限額を超えると、その月の自己負担はなくなり、全額公費負担になります。 公費の併用 公費にはさまざまな種類がありますが、主保険(国保や社保、後期高齢者医療、介護保険など)との優先順位が、公費によって異なります。これまでの記事でもいくつか登場してきましたが、もう一度おさらいしてみましょう。 公費のパターン ①全額公費 主保険よりも公費が優先されるものです。レセプトは公費単独になります。このタイプは、原爆被爆者の認定疾病(18)など、一部のみです。 ②主保険優先の公費 まず主保険に、7~9割を請求します。そして自己負担分のうち、その公費で定められた額を公費に請求します。レセプトは主保険と公費の併用になります。 ③主保険がない 生活保護(12)の場合は、主保険がないことが多く、①と同様に単独レセプトになります。 ただし、生活保護(12)が優先されて単独レセプトになるわけではないことを知っておいてください。生活保護の方でも、主保険がある場合は、主保険が優先です。 難病(54)や自立支援(15)(16)、小児慢性特定疾患(52)は、②のタイプで、主保険に7〜9割請求した後の部分への適用になります。自治体の公費も②のタイプです。 優先順位 自治体の公費はすべて②、国の公費も多くは②のタイプです。ただし、②のタイプどうしでも優先順位が決まっています。 ②のタイプでは必ず、主保険→保険優先の公費→自治体の公費の順になります。 レセプトでは、「公費負担者番号」「受給者番号」の欄を、優先順に記載することに注意してください(優先されるものを上に記載)。 国の公費どうしの場合は、優先順位は下の表のとおりです。 ** 監修:あおぞら診療所院長 川越正平【略歴】 東京医科歯科大学医学部卒業。虎の門病院内科レジデント前期・後期研修終了後、同院血液科医院。1999年、医師3名によるグループ診療の形態で、千葉県松戸市にあおぞら診療所を開設。現在、あおぞら診療所院長/日本在宅医療連合学会副代表理事。 記事編集:株式会社メディカ出版  【参考】 ※1 小児慢性特定疾病情報センター 「疾患群別一覧」 https://www.shouman.jp/disease/search/group/

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自己負担上限額管理票

今回は、自己負担上限額管理票について取り上げます。前回2回にわたり紹介した難病(54)・更生医療(15)・育成医療(16)・小児慢性特定疾病(52)は、いずれも自己負担上限額管理票の記載が必要です。記載方法自体はそれほど難しくありませんが、在宅医療では扱いが複雑になりやすいため、複数機関での事前の取り決めがキモになります。 自己負担上限額管理票とは 自己負担上限額管理票とは、月初からの患者自己負担がいくらに達したかを管理するものです。患者が複数の医療機関(訪問看護ステーション、保険薬局も含む)で医療やサービスを受ける場合、医療費は各々の医療機関で発生するので、それぞれの医療費と自己負担額が記載されることになります。 在宅患者の場合、主治医と訪問看護、保険薬局と、一人の患者に複数の医療機関がかかわるケースが多いです。今月の医療費がまだ限度額に達していないか(=今回かかった費用は 公費請求するのか、患者から徴収していいのか)は、自分の事業所が持っている情報だけではわかりません。そのうえ、自己負担上限額は、公費対象の患者であっても全員同じわけではなく、患者の収入や治療状況に応じて、患者ごとに設定されます。設定された自己負担上限額と、管理票への記載を見て、患者へ請求するのか、公費へ請求するのかを判断できるわけです。 自己負担上限額管理票は公費対象の方全員に発行されているわけではなく、自己負担上限額設定がある患者だけが対象です。前述の54・15・16・52のほかには、特定疾患(51)・精神通院(21)・療養介護医療(24)なども自己負担上限額管理票が発行されます。 様式例 (細部は自治体ごとに異なります) (1)自己負担を徴収した際に、①日付、②指定医医療機関名、③特定医療(※1)の医療費総額(10割分)(※2)、④特定医療の自己負担額(※3)、⑤自己負担の累積(月額)(※4)を記載し、⑥押印します。 ※1 認定された難病に起因する傷病に対する医療。認定難病に関連しない傷病への医療費は③には含めず記載します。 ※2 ③「医療費総額(10割分)」は、点数ではなく、額(円)で記載します。 ※3 介護保険では1円単位での請求がありますが、④には10円単位で記載します。10円未満は四捨五入します。 (2)自己負担上限額に達したら(※4)、⑦所定欄に日付と指定医療機関名を記入し、押印します。 ※4 限度額に達した日の自己負担額は、自己負担割合(例の場合は3,000円)ではなく、実際に患者から徴収した額(月額自己負担上限額との差額)を記載することになります。 (3)自己負担上限額に達した後は、自己負担額・累積額・徴収印の欄は斜線を記入します。「医療費総額(10割分)」の欄には、総額が5万円に達するまで、引き続き記載します(医療費総額が、次回の自己負担上限額の設定に影響するため)。 よくある質問 訪問したら、そのたびに記載が必要? また、訪問時に請求額を確定しないといけないのでしょうか。 原則は受診日・訪問日に記載ですが、たとえば月の最終日にひと月分を記載するなど、まとめて記載することも認められています。 また、訪問看護事業所、病院や診療所、薬局と、複数の医療機関で医療費は発生します。必ずしも日付順に記載する必要はなく、前後しても問題ありません。最終的に「その月の患者自己負担が限度額までであり、限度額を超えた分は公費へ請求」の辻褄が合えば、記載の順番は気にしなくて構いません。 自治体の公費適用があり患者自己負担が発生しない場合、自己負担額はどのように記載するのですか。 自治体の公費や生活保護(12)の併用がある場合は、それらがない場合に本来患者が自己負担することになる額を、自己負担額として記載します。 たとえば、限度額が1万円の場合、1万円までは公費12へ請求し、それ以降は54に請求となります。もし公費12を適用した後の自己負担額を記載すると、いつまでも公費12へ1~2割を請求することになってしまいます。 上記で紹介した様式例は公費54の場合で、公費52も同様の様式です。 一方、下は自立支援の様式例です。 自立支援では、「医療費総額(10割)」の欄がないところが異なります。 ** 監修:あおぞら診療所院長 川越正平 【略歴】 東京医科歯科大学医学部卒業。虎の門病院内科レジデント前期・後期研修終了後、同院血液科医院。1999年、医師3名によるグループ診療の形態で、千葉県松戸市にあおぞら診療所を開設。現在、あおぞら診療所院長/日本在宅医療連合学会副代表理事。 記事編集:株式会社メディカ出版  【参考】 ・厚生労働省 保医発0327第1号 令和2年3月27日「「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について」 ・厚生労働省健康局難病対策課 令和元年6月「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について(指定医療機関用)」 当記事に掲載している自己負担上限額管理票の記載例は【ツール】に掲載しておりますのでご参照ください。

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公費54の請求方法

前回、難病患者が利用できるいくつかの制度について、概要をご紹介しました。今回は、そのうち難病法に基づく助成制度(公費54)での注意点や請求上のポイントをお伝えします。 概要 「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)にもとづく、医療費負担軽減の制度です。法別番号から、「公費54(ご・よん)」と呼ばれます。 助成内容 認定を受けた指定難病に対する医療費(訪問看護費、薬剤費を含む)が対象です。月の自己負担が一定額を超えると、その月の月末まで、自己負担分は公費で支払われます。 対象 指定難病のある患者が公費54を利用するには、 ①難病指定医による指定難病の診断を受ける ②診断書と必要書類を都道府県に提出し、申請する ③都道府県による審査が行われ、認定がおりると医療受給者証が発行される といった流れの手続きが必要です。 指定医療機関で特定医療(認定を受けた指定難病に起因する傷病への医療)を提供された際に、医療受給者証を提示し、医療費助成を受けることができます。 受給者証の確認 医療受給者証はこのようなものです。 ※実際の様式は自治体により異なります 通常のレセプトと同様、公費への請求も、正しい医療受給者証情報でなければ、実施したケアの医療費が支払われないことになります。被保険者証類とあわせて、確認のタイミングと確認方法を事業所で統一し、確認漏れがないようにしましょう。 (1) 有効期間 医療受給者証の有効期間外に提供した医療は、公費の対象とはなりません。 期限は1年で、更新するには新たに診断書作成が必要なので、難病指定医または協力難病指定医(更新の診断書のみ作成可能)の診断を受け、更新の申請をする必要があります。 なお現在は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対応として、有効期限延長の特別措置がとられています。有効期間終了が令和2年3月1日~令和3年2月28日と記載の医療受給者証は、原則1年間有効期限を延長して取り扱うことができます。(※1) (2)自己負担上限額 自己負担上限額に達するまでは、自己負担分(主保険の負担割合に応じて1割または2割)を患者に請求します。 (3)指定難病名 指定難病の病名を確認します。公費への請求時に、提供したケアが起因する傷病に対するものであることを確認します。 (4)指定医療機関名 自治体によっては、特定医療を提供するには、この欄に医療機関名の記載が必要な場合があります。 (5)適用区分、公費負担者番号、受給者番号、氏名、住所 被保険者証と同様に、レセプト記載と合致していなければ、医療費の支払いが保留されレセプトが返ってきます。カルテなどと一致しているかを1字ずつ突き合わせて確認します。 ・文字の突き合わせのコツ すでにカルテなどに入力されている文字情報があると、人の目ではどうしても思い込みがあり、相違を見過ごしてしまう可能性があります。意味を読むことをせず、記号だと思って1字ずつ見ていくことで、見落としリスクが低くなります。 文字の並びを逆から見て確認する方法もあります。たとえば「1234567」なら、後ろから1字ずつ、1文字目の「7」と「7」は合っているか、「6」と「6」は合っているか、……と確認します。 2人以上で確認できる場合は、1人目は頭から「1234567」、2人目は後ろから「7654321」と確認します。このように、見る人を2人にするだけではなく、チェック方式を変えて2回チェックすることが、本来のダブルチェックです。 請求 医療保険の場合を例に説明します。公費54は介護保険での訪問看護も対象であり、介護レセプトでも考えかたは同様です。 ● 主保険が国保・後期高齢者医療なら国保連合へ、社保なら支払基金へ請求します。レセプトは公費併用レセプトになります。 ● 公費負担者番号・受給者番号の欄に、医療受給者証に記載の番号が記載されていることを確認します。 ● 主保険と54の併用の場合、「2併」を選択します。他にも公費がある場合は「3併」になります。 ● 特記事項欄に、適用区分を記載します。 ● 主保険へ請求する分は通常と同様に記載し、公費へ請求分を、右列の「公費分金額」へ記載します。 ● 特定医療※とそれ以外の医療が1枚のレセプトで混在するなど、公費適用有無の区別が必要な場合は、公費適用の項目に下線を引きます(レセプト記載内容から公費適用有無が明らかなら省略しても構いません)。 ※特定医療(認定された指定難病に対して、指定医療機関が提供する医療)以外にかかった医療費は、助成の対象となりません 。通常と同様に、負担割合に応じた自己負担と、主保険への請求になります。 市町村の助成との併用 難病を対象にした自治体独自の助成も数多くあり、次のようなタイプに分けられます。 (1)対象拡大 【例】国の指定難病以外に、自治体が独自に定めた疾病に対し、自治体による助成が行われる (2)助成額の拡大 【例】国の制度により発生する自己負担分を、一部自治体が補助し、患者自己負担をさらに軽減する 自治体独自の助成が利用できる場合は、対象や助成範囲を理解しておきましょう。 請求の際に重要なことは、国の公費が利用できる場合は、自治体の公費は国公費の後に使うことです。 たとえば、公費54と自治体の公費を併用する場合は、 主保険→公費54→自治体の公費の順で請求します。 例 ①    主保険…1割負担 ②    公費54…自己負担額1万円 ③    自治体の公費…1回の自己負担額上限が500円 の3つを併用する場合を考えてみましょう。  4月1日に訪問し、かかった費用が7000円だったとします。4月1日分の請求は、 (1)主保険への請求 この患者は1割負担なので、9割の6300円を主保険に請求します。 (2)公費54への請求 公費54の対象になるのは主保険負担分を差し引いた700円ですが、今月はまだ患者自己負担額が上限1万円に達していません。ですから、公費54への請求はありません。 (3)自治体公費への請求 自治体公費には、1回の自己負担500円を超えた額を請求します。 4月1日分は、500円との差額200円を自治体公費に請求し、患者には500円支払ってもらいます。 上記は1回の支払いの場合の考えかたですが、実際は、訪問看護では月まとめ請求が多いと思います。 月まとめ請求での考えかたについては、次回の記事でお伝えします。 ** 監修:あおぞら診療所院長 川越正平 【略歴】 東京医科歯科大学医学部卒業。虎の門病院内科レジデント前期・後期研修終了後、同院血液科医院。1999年、医師3名によるグループ診療の形態で、千葉県松戸市にあおぞら診療所を開設。現在、あおぞら診療所院長/日本在宅医療連合学会副代表理事。 記事編集:株式会社メディカ出版  【参考】 ※1 厚生労働省 令和2年4月30日事務連絡「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた公費負担医療等の取扱いについて」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000626936.pdf ・難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号) ・厚生労働省 保医発0327第1号 令和2年3月27日「「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について」 ・厚生労働省健康局難病対策課 令和元年6月「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について(指定医療機関用)」

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難病患者が利用できる制度

医療費助成(公費)制度がかかわる場合の報酬請求は、訪問看護師からよく質問が寄せられるテーマでもあります。今回から4回にわたり、難病患者への訪問看護提供にあたって請求上も重要な、公費について解説します。 第1回目は、難病患者が利用できる制度の概要を解説します。 医療費負担軽減の制度 介護保険ではなく医療保険による訪問看護が可能な疾病があることは、訪問看護師の皆さんならよくご存知のはず(別表7 厚生労働大臣が定める疾病等)。これらの多くは指定難病でもあり、かかる医療費は公費として国から助成されます。 別表7 厚生労働大臣が定める疾病等 ・多発性硬化症(難) ・重症筋無力症(難) ・筋萎縮性側索硬化症(難) ・脊髄小脳変性症(難) ・ハンチントン病(難) ・進行性筋ジストロフィー症(難) ・パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))(難) ・多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)(難) ・亜急性硬化性全脳炎(難) ・ライソゾーム病(難) ・副腎白質ジストロフィー(難) ・脊髄性筋萎縮症(難) ・球脊髄性筋萎縮症(難) ・慢性炎症性脱髄性多発神経炎(難) ・スモン ・プリオン病 ・後天性免疫不全症候群 ・頸髄損傷 ・人工呼吸器を装着している状態 ・末期の悪性腫瘍 ※(難)マークが難病指定されている疾患 これら難病の認定を受けた患者は、訪問看護費の請求も通常とは異なります。 公費54(難病) 「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)で、医療費負担軽減の制度が定められており、患者の自己負担が毎月一定額で済みます。法別番号が54のため、「54(ご・よん)」と呼ばれます。 助成対象 指定難病の病名があり、医療受給者証をお持ちの方が助成対象です。指定難病は2021年6月時点で333疾患ありますが(※1)、病名があるだけでは助成対象ではありません。 助成内容 ・特定医療 認定された指定難病に対する医療を特定医療といいます。助成は特定医療のみが対象です。医療受給者証をお持ちの方でも、認定された難病に起因しない傷病に対する医療費等は、助成対象にはなりません。 ・指定医療機関 特定医療を提供するには、都道府県知事の指定を受けた医療機関・保険薬局・訪問看護事業所でなければなりません。 仮に、指定がないままで訪問看護を受けると、医療受給者証をお持ちの患者でも、医療費助成は使えません。 認定がない事業所で新たに公費54を扱えるようにするには、都道府県に指定医療機関申請を行い、認定を得る手順を踏むことが必要です。 ・自己負担 患者の収入などによって、自己負担上限額が決まります。その上限額を超えると、それ以降月末までの自己負担分は、すべて公費から支払われます。また、主保険の負担割合が3割の人は、自己負担上限額までの自己負担が2割に変わります(1割負担の人は1割のまま)。 その他 難病(54)のほかにも、難病の患者が利用することがある助成制度をおさらいします。 更生医療(15)と育成医療(16)(自立支援医療) 更生医療(15)と育成医療(16)は、障害者総合支援法(旧・障害者自立支援法)による医療費助成の制度です。法別番号から、それぞれ「15(いち・ご)」「16(いち・ろく)」と呼ばれます。 更生医療は18歳以上、育成医療は18歳未満で、身体障害者手帳を持つ人のうち、福祉事務所の認定を受けた患者が対象です。 自立支援医療も、都道府県知事の指定を受けた医療機関でなければ、公費負担を適用することはできません。 ・自己負担 自己負担のしくみは54と似ています。15・16とも、自己負担が原則1割になり、かつ、月の自己負担が上限額を超えると、それ以降月末までの自己負担分は、公費から支払われます。 小児慢性特定疾病(52) 小児慢性特定疾病に関する医療費助成(公費52。「52(ご・に)」と呼ばれます)は、18歳未満(引き続き治療が必要であると認められる場合は、20歳未満)で、定められた慢性疾患があり認定を受けた患者が対象です。 この52も自己負担が2割になり、月の上限額を超えると自己負担がなくなります。 生活保護の医療扶助(12) 生活保護受給中の申請が認められると、医療費の自己負担分は全額公費で支払われます。生活保護は法別番号12なので「12(いち・に)」と呼ばれます。 生活保護受給中は、ほとんどの患者は主保険がない状態です(生活保護世帯は国保の被保険者資格を返却する)。優先順位第一の主保険がないため、生活保護以外の公費がない場合は、公費12に100%請求します(公費単独レセプトを作成)。 公費12のほかにも使える公費がある場合は、他の公費が優先され、生活保護(12)は最後になります。 市町村独自の助成 上にあげた公費はすべて、国の公費です。 このほか都道府県や市区町村で、自治体独自の医療費助成制度を定めているところもあります(〇〇市こども医療制度、〇〇市障がい者医療費助成制度、〇〇市難病助成制度、など)。 受給者証を複数お持ちの方へ訪問看護を提供する際は、公費適用の優先順位をしっかりと把握することが重要です。 優先は、主保険→国の公費→地方自治体の公費→生活保護、の順番です。 上に紹介した公費であれば、まず主保険が優先、次に国の公費です(3割負担の人なら7割を国保などに請求)。国の公費適用後に生じる自己負担(たとえば上限額までの自己負担)は、地方自治体の公費の適用となります。生活保護は国の公費ですが、例外的に、優先順位は最後です。 別表7と指定難病 別表7に該当する疾病をもつ患者には、医療保険による訪問看護、週4日以上の訪問看護、指示があれば複数の訪問看護ステーションからの訪問看護や、1日に複数回の訪問も可能になります。 注意が必要なのは、指定難病でも別表7にない病名も多いことです。難病は、2021年6月時点で333疾患あります。 難病の医療者証をお持ちであっても、医療保険の訪問看護ができるとは限りません。 逆に、別表7の患者で、医療保険で訪問看護可能な方でも、医療費助成はない例は多いです。 ** 監修:あおぞら診療所院長 川越正平 【略歴】 東京医科歯科大学医学部卒業。虎の門病院内科レジデント前期・後期研修終了後、同院血液科医院。1999年、医師3名によるグループ診療の形態で、千葉県松戸市にあおぞら診療所を開設。現在、あおぞら診療所院長/日本在宅医療連合学会副代表理事。 記事編集:株式会社メディカ出版 【参考】 ※1 厚生労働省 指定難病病名一覧表[Excel形式:26.4KB] https://www.mhlw.go.jp/content/000522616.xlsx (2021年6月30日)

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