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訪問看護の社長業~創業経営者 水谷氏から学んだこと 営業編②~

更新日:2021年4月20日
第6弾は前回に引き続き、営業に関する方針を列記します。「営業」という言葉やその活動に違和感を訴える医療職が多いのは事実ですが、「営業」をしなければ健全で永続的な経営が成立しないのもまた事実です。経営者・幹部の皆さんは建前ではなく、真に地域や社員に利益を還元する為にも、是非「営業」を実践してください。

営業方針

①お客様・ご紹介先への訪問によって、お客様や市場の要求の本質、変化を知ることができます。さらに、ライバル(競合事業所)の動向も具体的に情報が入ります。相手の手の内が解れば、打つ手は無限です。ただし地域には不正・不当を行う競合事業所が存在し、(医療介護業界においても一般社会と同様です) 他社の模倣ばかりを行なったり、横取りも平気で行います。これらとは毅然と対峙し、営業力・経営力で凌駕(りょうが)(=上回ること)します。
②安定とは現在のお客様をよく守ること、成長とは新しいお客様が追加されることです。どんな事業でも売上増の原則は、単価×数量です。訪問看護の制度上、単価は一緒なので、数量を獲得する為の追及が重要です。その為の営業方針であり、営業戦略・戦術なわけですが、ソフィアメディ(株)創業経営者の水谷氏は「1年前と同じお客様数しかいない経営者に敬意を持ちません。成長が止まっており不遇を味わうのは社員だ。」と経営幹部に指導していました。  
③決めたエリアの市場占有率(シェア)が大きいか?小さいか?が優良・限界企業の定義です。一定地域内で市場占有率がどの位置にあるかということに、常に留意しなければなりません。
そして質の高い経営とは、全て単位あたりの数値(※1)で他社と比較して有利を得ていることです。  
※1:事業所あたりの売上・利益、1人あたりの労働生産性、社員の給与、社内教育の投資額、お客様や社員の満足度等々、全てにおいて1番を目指すことが質の高い経営だと、水谷氏は説きます。その大前提が地域内でシェアが1番大きいことなのです。
④営業戦術を実施する際、例えば営業のツール1つを作成して地域へ案内するだけでも、シリーズ化、ストーリー型、派生型等があり、唐突な内容ではなく脈略のある手の打ち方、機微を読むセンスが肝心です。とくに「感動を与える」と、その内容を人に喋りたくなり、口コミでお客様が増えていきます。感動する「コト」を実践し続ける企画力が、営業コミュニケーションの一つのコツです。
⑤定期訪問営業の信頼性の上に立った提案、企画はよく通ります。不定期で洗練されていない、欲しいときだけの自分都合の営業は、不快感を与えます。ご都合主義の営業にならないよう計画を立て、実践してください。また、年数回でかまいませんが、社長・幹部・管理者・専門職の同行営業も実施すると営業効果は抜群に上がります。節目節目で時間を作って、こちらも計画的に実践することが大切です。
一方、地域の競合事業所において、非医療職の総合職が定期訪問をしている場合は要注意です!彼らは、医療介護業界の慣例・常識にとらわれず、成果を上げる為の知恵を駆使してきます。裏に参謀・軍師の存在がありますので、戦略・戦術のレベルを上げる必要があります。戦略・戦術のレベルを上げるのは一朝一夕では成せませんが、まずはそういった競合他社がいないかアンテナを張る、その上で前述のとおり相手の手の内を研究し、一つ一つ課題をクリアしていってください。
ちなみに、専門職がたまに営業をしている組織は放置しても問題ありません。仲良くしてください。  
⑥紹介成果は、訪問回数の二乗に比例します。これはランチェスター戦略の基本ですが、期待以上の効果を発揮します。
営業訪問した際、ご不在時でも必ず置き名刺にコメントを書いてください。また、名刺を工夫する、時流/自社ニュースを提供する、時節の挨拶関連、はがきのお礼は必須です。すべて接触頻度を上げる為の知恵ですが、ただ実践すれば良いということではなく、感性(センス・先読み)と人間性(気が利く、誠実)が最高の差別化になります。  
⑦メーリングリストやライングループ、クラウドのプラットフォーム等は、毎日の共通認識手段です。競合情報・必要な指示・評価・労いは、遠慮なく書込むこと。社長は営業現場を大事に考え、毎日確認するのが必須です。
⑧基本である訪問営業と併せて、SNS・ICTの駆使、メディアの活用、双方向性のある媒体営業の活用が医療介護業界の課題です。これを制する事業者が次世代の医療介護業界を牽引していくものと見ています。
⑨営業がわからない・嫌い、売り方が下手な者は、経営幹部として通用しません。
大きな会社になると分業化が加速しますが、商売の基本は、まず営業です。利益・成果は外部・お客様からのみ得られます。この原理原則がわからず、社内仕事や仕組み作り、コストカットにばかり没頭する幹部は良くない、というのが水谷氏のもっぱらの口癖でした。  
いかがでしたでしょうか。ソフィアメディ(株)創業経営者の水谷氏は、創業から一貫して営業現場に拘り続け、社長を退くまで第一線で指示をし続けて参りました。定期的に営業マンと泥臭く同行営業、月2回の営業会議には全て参加、どんなに多忙でも営業報告には全て目を通して細かく指導する。おそらく最も身近で見続けてきた私からしても、その営業姿勢はまさに「営業の鬼」でした。(水谷氏本人も、よくそう申しておりました。)
従業員やお客様が少なかろうが多かろうが、営業現場を知らずに健全経営ができるわけがない、という経験に基づいた思想ですが、それが業界オピニオンリーダーたる所以であります。
「着眼大局着手小局」。よく水谷氏より指導された言葉ですが、経営と営業活動の関係性に当てはめるとたいへんわかりやすく、具体的に行動しやすいかと思います。是非貴社事業所でも実践してみてください。
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一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー理事長  上原良夫
【 略歴 】
2012年 ソフィアメディ(株)入社。訪問看護事業の営業開発課長・教育研修事業部長・介護事業統括部長・医療連携推進室長を経て、(株)CUCの支援医療法人の訪問診療事務長、在宅事業企画担当。
2020年7月より一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー理事長に就任。訪問看護事業の教育研修企画・ 各種 コンサルティング、業務委託においてアームエイブル(株)ゼネラルマネージャー兼務         

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