
先行公開!訪問看護師に知ってほしい脳卒中再発予防策 セミナーQ&A
2023年1月19日(木)、NsPace(ナースペース)主催のオンラインセミナー 「訪問看護師に知ってほしい脳卒中再発予防策」を開催いたしました。座長に近畿大学医学部の内山 卓也氏、講師に近畿大学病院看護部の林 真由美氏を迎え、脳卒中について解説いただきました。 本記事では、セミナー時に受講者の皆さまからいただいたご質問への回答を、セミナーレポートに先んじて公開いたします。当日、時間の都合により回答し切れなかった質問にも回答いただきました。セミナーにご参加いただいた方も参加できなかった方も、ぜひご覧ください。 【座長】内山 卓也 氏近畿大学医学部 脳神経外科 講師 【講師】林 真由美氏近畿大学病院 看護部 SCU主任脳卒中リハビリテーション看護認定看護師脳卒中療養相談士 脳卒中予防の知識編 <Q1> 抗血小板薬と抗凝固薬は何が違うのでしょうか? 違いは以下のとおりです。 抗血小板剤:血小板の凝集を防ぐことにより、血栓形成を抑制。主にアテローム性脳梗塞やラクナ梗塞の予防に使用。 抗凝固薬:赤血球の凝集を防ぐことにより、血栓形成を抑制。主に心房細動による血栓を防ぎ、心原性脳梗塞の予防に使用。 <Q2> 脳梗塞・脳出血において、家族性の遺伝因子はどのくらいの割合でしょうか? 家族性遺伝因子よりも、後天的な生活や環境の因子が強いものでしょうか? 家族性の遺伝因子はほとんどありません。生活習慣をはじめとした後天性の因子のほうが圧倒的に多いです。 <Q3> 減塩に役立つチェックシートがあるとのことでしたが、実際にどんなものなのか見せていただきたいです。在宅で利用できれば、利用者さんが自己管理しやすいと思いました。 「塩分チェックシート」というものがあります。インターネットで検索してみてください。 参考:社会医療法人 製鉄記念八幡病院「塩分チェックシートのご紹介」 https://www.ns.yawata-mhp.or.jp/salt_check/ 2023/3/8閲覧 <Q4> ボツリヌス療法の治療料金の目安を教えてください。 ボツリヌス療法に要する費用は、使用薬剤の種類・使用量によって異なります。身体障害者手帳をお持ちであれば、自治体により医療費の補助が得られる場合があります。身体障害者手帳をお持ちでなくても、高額療養費制度が適用になる場合もあります。そのため、自己負担額は数千円〜数万円になるケースが多いと思いますが、詳細は医療機関にお問い合わせください。 <Q5> 脳卒中相談窓口は、「一次脳卒中センターコア施設」に設置されているとのことですが、どこにありますか? 訪問看護でも、可能なら活用したいです。 日本脳卒中学会のHPに一次脳卒中センター(PSC)コア一覧が載っています。2023年度からは、もう少し施設数が拡大する予定です。 参考: 日本脳卒中学会 「一次脳卒中センター(PSC)コア認定について」https://www.jsts.gr.jp/facility/psccore/index.html2023/3/8閲覧 利用者さんとの関わり編 <Q6> 高次脳機能障害を抱えている利用者さんに対して、小学生のドリルを提案することは適切なのでしょうか。かえって精神的にダメージを与えているのではないか、と思うことがあります。高次脳機能障害を抱える患者さんとの関わりについて、工夫していることがあれば教えてください。 高次脳機能障害は「注意障害」「記憶障害」「計算ができない」「道具の認識ができない」「多重作業の遂行が困難」などなど、人により症状が異なります。日常生活内でどのようなことに困っているのかによって、ひとつずつ対応していくのがよいでしょう。 <Q7> 内服薬を破棄してしまう患者さんがいます。外来と連携して主治医確認のもとで経過を見ていますが、上司は本人の選択であればしかたない、とのこと。内服についてよいアプローチ方法があれば教えてください。 ・内服薬をできるだけ減らす・形状(大きさ、粉)・味などによる飲みにくさを解消するなど、患者さんが内服薬を破棄する理由・価値観に応じた対応が必要だと思います。 <Q8> 1日のなかでも朝、昼、夕で血圧値の差が激しい利用者さんに対して、訪問看護師から何かアドバイス、声かけができることはあるでしょうか。 日常生活内では排便時の努責、寒暖差、一気に力を加えるような運動、ストレスなどによって血圧が変動しやすくなるので注意が必要です。変動の幅にもよりますが、内服の量・用法などを変更する手もありますので、降圧薬について医師に相談するのもよいかもしれません。 <Q9> 脳出血で入院していた利用者さんに、血圧測定値を血圧手帳に記載してもらっています。起床時の血圧が収縮期血圧150~160mmhg(日中は130~140mmhgのことが多い)と高く、医師に相談していますが、内服の調整はなされず経過観察。利用者さん自身も心配しており、内服の調整が必要ではないかと考えます。医師に意見を言いづらく、どのように伝えたらよいか悩んでいます。 医師に相談する際、血圧値について「どれくらいを目標としたらよいのか」「どれくらいまでなら許容範囲内なのか」を確認すると、利用者さんの不安が軽減すると思います。また、血圧が高いときに頭痛をはじめとした自覚症状があるのであれば、そちらも伝えるとよいでしょう。内服調整の目安になります。 ** 明日からの訪問看護に生かせるヒントは見つかったでしょうか。後日、オンラインセミナー 「訪問看護師に知ってほしい脳卒中再発予防策」の講義内容をダイジェストにしたレポート記事も公開いたします。ぜひそちらもご覧ください。 >>脳卒中再発予防策セミナーレポートのシリーズ一覧はこちら 編集:NsPace編集部