コラム

人工呼吸器を使用する利用者受け入れ時、3つのポイント

現在、病院から在宅に帰ってくる利用者の重症度は上がっており、今後も医療依存度の高い方を受け持つケースも増えていくと思われます。
その中でも侵襲的人工呼吸器を装着しているケースは看護師にとっても心理的負担が大きく、抵抗感もあるのではないでしょうか?また、家族も退院するにあたって不安が大きい場合が多いです。
今回は少しでも不安なく介入できるように3つのポイントをお伝えしたいと思います。
 

①どんな設定になっているのかを理解し、機械操作にも慣れる

侵襲的人工呼吸器といってもモードによって設定項目、観察項目が違います。入院等で設定変更された場合や初回介入時には、まずどんな設定になっているのかを把握しましょう。
ただ、機械自体を触ることにも抵抗感がある場合もあると思うので介入前にレンタル会社に勉強会の依頼をして、事業所スタッフみんなで事前に機械に触れてみること、観察ポイントに関してレクチャーを受けておくと心理的負担は軽減できるかと思います。

 

②経過を追えるようにチェックシートを作る

観察項目(換気量、吸気圧、気道内圧、呼吸回数、SpO2など)を記録に残せるようにチェックシートを作成すると日々の訪問の経時記録として残せます。
通常時の記録を取っておくことで異常に気づきやすく、早期の対処につながります。また、回路交換や主電源の確認など定期的に確認が必要な項目もシート内に入れておくと漏れなく観察できるかと思います。

 

③緊急時対応に関して事前に家族に指導する

カニューレの事故抜去や停電などは看護師不在のときに起こりうるリスクがあります。
その際に医師や看護師が自宅に到着するまでには時間がかかるため、カニューレ再挿入の手技、バックアップ電源へのつなぎ変え、蘇生バックの使用などは事前に家族に指導することやシミュレーションを実施すると良いでしょう。病院で指導を受けていても自宅環境で再度実施することが大切です。
また、シミュレーションを実施することで看護師自身も訪問時にトラブルが起きたときに焦らず対応ができると思います。

 

さいごに

人工呼吸器もさまざまな機種や機能があって複雑化しています。しかし、基本的な知識と異常時の対応は共通しています。私自身もはじめは人工呼吸器に心理的抵抗感がありましたが、今では呼吸アセスメントする上での味方だと思っています。
まずは触れてみること、数値からアセスメントしてみることから少しずつ慣れていってもらえればと思います。最後に私自身が人工呼吸器に関して参考にしている本を1冊紹介します。
人工呼吸に活かす! 呼吸生理がわかる、好きになる~臨床現場でのモヤモヤも解決!(著:田中竜馬)
呼吸のメカニズムから人工呼吸器の基本的な知識まで網羅しながら分かりやすく解説が載っているので、基礎的な知識を身に付けるにはオススメです。
 
藤井 達也
地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。

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