記事一覧

学校だけがゴールではない─不登校支援と訪問看護師のケアマネジメント
学校だけがゴールではない─不登校支援と訪問看護師のケアマネジメント
コラム
2026年8月4日
2026年8月4日

学校だけがゴールではない─不登校支援と訪問看護師のケアマネジメント

不登校支援において、訪問看護師はどのような役割を担えるのでしょうか。家庭と学校・福祉をつなぐ多機関連携の実践と、訪問看護師が果たすケアマネジメント機能についてお伝えします。 不登校支援における訪問看護師の立場 ショートケーキ訪問看護ステーションは、東京都豊島区、板橋区、北区を中心に、発達障害や不登校など、生きづらさを抱える子どもと家族を対象とした児童精神科訪問看護を提供しています。 私たちは家庭という生活の場で子どもや家族と関わりながら、医療だけでなく教育や福祉とも積極的に連携し、その子らしく成長できる環境づくりを支援しています。学校訪問や支援者会議への参加、関係機関との情報共有も日常的な実践の1つです。 近年、不登校児童生徒数は増加し続けています。その背景には発達障害や精神的な不調、家庭環境の課題、友人関係の悩みなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。そのため、不登校支援は学校だけで完結するものではなく、家庭、医療、福祉、地域資源など、多くの関係者が連携しながら支援を行うことが求められています。 児童精神科領域の訪問看護に携わる中で、私は「子どもを支援する」というよりも、「子どもを取り巻く環境全体を支援する」という感覚を持つことが少なくありません。特に不登校支援においては、多機関連携をどのように進めるかが支援の質を大きく左右すると感じています。 今回は、ショートケーキ訪問看護ステーションでの実践を通して感じている多機関連携と訪問看護師のケアマネジメントについてお伝えしたいと思います。 学校と家庭をつなぐ情報共有 当ステーションでは、保護者の同意を得たうえで学校へ情報提供書を送付しています。担任やスクールソーシャルワーカー、特別支援教育コーディネーターなどと、定期的な情報共有やカンファレンスも行っています。 訪問看護師は家庭という生活の場に入るため、子どもや保護者から日常の様子を直接聞くことができます。 例えば、 「昨夜、両親とのトラブルがあり気持ちが不安定になっている」「友達とけんかをしたが仲直りはできた。しかし本人はまだ不安を抱えている」「睡眠が乱れており朝から活動することが難しい」 といった情報は、家庭で関わる訪問看護師だからこそ把握できる内容です。 一方で学校には、 「今日は朝から表情が硬かった」「授業中に集中が続かなかった」「休み時間は一人で過ごしていた」 など、家庭では見えない子どもの姿があります。 どちらも子どもの状態を理解するために重要な情報ですが、それぞれが独立して存在しているだけでは十分な支援にはつながりません。訪問看護師が学校と家庭の間に入り、双方の情報を整理しながら共有することで、支援者全体の目線を合わせることができます。 実際に行った支援者会議では、担任の先生から次のような言葉がありました。 「学校は楽しいところだよって本人に知ってもらいたいんです。来てくれたらたくさん楽しませたいと思っています。でも、そのための手立てが分からなかったんです」 家庭では本人の不安や悩みを聞くことができても、その情報が学校へ十分に伝わっていないことがあります。一方で学校側も、子どもを支えたいという思いを持ちながら、どのように関わればよいか悩んでいることがあります。 家庭での様子や本人の思いを共有したことで、学校側からは「子どもへのアプローチの選択肢が増えたことが嬉しい」という声が聞かれました。 この経験を通して、多機関連携の目的は支援者を増やすことではなく、子どもを理解する視点を増やすことなのだと改めて感じました。 子どもの居場所を増やすという視点 不登校支援では、「学校へ行けるようになること」が目標として語られることがあります。しかし、私たちが目指しているのは単純な登校ではありません。大切なのは、子どもが安心して過ごせる場所を増やしていくことです。 自宅だけでなく、 学校 保健室 別室登校 教育支援センター 放課後等デイサービス フリースクール 習い事や地域活動 など、本人が安心して過ごせる居場所を確保しながら、その子のペースに合わせた学習や社会参加の機会を整えていくことが重要です。 実際に、学校への登校は難しくても、放課後等デイサービスへ通うことが外出のきっかけになる子どもがいます。また、フリースクールが新たな学びの場となり、自信を取り戻していく子どももいます。 私たちは「学校へ戻すこと」をゴールにするのではなく、その子が安心して過ごせる場所を1つでも増やし、その子らしい社会とのつながり方を一緒に探していくことを大切にしています。 訪問看護師が担うケアマネジメント 成人領域では、介護支援専門員が支援全体を調整する役割を担っています。 一方、児童領域では事情が異なります。 障害福祉サービスを利用している場合には、計画相談支援事業所の相談支援専門員がケアマネジメントを担います。しかし、不登校の子どもの中には放課後等デイサービスや移動支援などの障害福祉サービスを利用しておらず、相談支援専門員が関与していないケースも少なくありません。 その場合、学校との調整、医療との連携、福祉サービスの導入検討、地域資源とのつながりづくりなど、多くの役割を保護者が担うことになります。 しかし、不登校が長期化すると、保護者自身も疲弊し、十分に調整役を担うことが難しくなることがあります。 そのような場面で訪問看護師は、子どもや保護者の思いを整理し、学校や医療機関、児童相談所、福祉機関へつなぎ、必要に応じて支援者会議を開催します。 また、放課後等デイサービスやフリースクール、教育支援センターなどの地域資源を紹介し、子どもや家族と一緒に新たな選択肢を検討することもあります。 制度上、訪問看護師はケアマネジャーではありません。しかし実践の中では、以下のコーディネーターとしての役割を担っています。 支援者同士をつなぐ 情報を整理する 支援の方向性をそろえる 私は、このケアマネジメント機能こそが、児童精神科領域における訪問看護師の大きな特徴の1つであると感じています。 訪問看護師が担う橋渡しの可能性 不登校支援は、1つの機関だけで完結するものではありません。 家庭、学校、医療、福祉、そして地域の多様な居場所がつながることで、初めて継続的で安定した支援が実現します。 訪問看護師は家庭に最も近い専門職の一人として、子どもと家族の思いを受け止めながら、多機関をつなぐ橋渡し役を担うことができます。 学校に行けることだけがゴールではありません。 子どもが安心して過ごせる場所を1つでも増やし、その子らしいペースで成長していける環境を整えること。そのために今後も、多機関連携とケアマネジメントを大切にした実践を続けていきたいと思います。 執筆:齋藤 透ケアプロ株式会社ショートケーキ訪問看護ステーション リーダー日本赤十字看護大学大学院 地域看護学領域 専門看護師コース修了 児童精神・発達支援・不登校支援を中心に活動。「学校に行かせること」だけをゴールにせず、家庭という生活の場から、親子関係や安心感、人とのつながりを支えることを大切にしている。ゲームや好きな話題を通した関係形成、親子間の感情整理、学校連携などを得意としている。 編集:NsPace 編集部 【参考】〇文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf2026/6/25閲覧

血管内脱水とは?在宅での観察ポイント
血管内脱水とは?在宅での観察ポイント
コラム
2026年8月4日
2026年8月4日

血管内脱水とは?在宅での観察ポイント

血管内脱水とは、血管の中を流れる水分が不足し、循環血液量が低下している状態を指します。一般的な「脱水」は体全体の水分不足として捉えられますが、血管内脱水では、血管内の水分が少なくなることで、血圧低下や頻脈、尿量減少、意識状態の変化などがみられることがあります。訪問看護や在宅ケアの現場では、利用者さんの口渇や皮膚の乾燥だけでなく、血圧、脈拍、尿量、むくみ、意識状態などをあわせて観察することが大切です。この記事では、血管内脱水の基本的な考え方、起こりやすい原因、在宅で確認したいポイントを解説します。 血管内脱水とは 血管内脱水とは、血管内の水分が不足している状態です。体内の水分は、主に細胞内、細胞と細胞の間にある間質、血管内に分かれて存在しています。血管内の水分が不足すると、全身に血液を十分に送ることが難しくなります。その結果、血圧が下がる、脈が速くなる、尿量が減る、手足が冷たくなるなどの変化が起こることがあります。MSDマニュアルでは、体液量減少が中等度になると起立時の頻脈や低血圧がみられることがあり、重度では頻呼吸、頻脈、低血圧、混乱、毛細血管再充満時間の延長などのショック徴候が起こりうるとされています。ただし、血管内脱水は見た目だけでは判断しにくいことがあります。たとえば、体にむくみがあっても、血管内の水分が不足している場合があります。そのため、「むくんでいるから脱水ではない」と決めつけず、全身状態を総合的に確認することが大切です。 一般的な脱水との違い 一般的に脱水というと、水分摂取不足、発汗、下痢、嘔吐などによって、体内の水分が不足している状態を指します。一方で、血管内脱水は、特に血管内を流れる水分量の不足に注目した考え方です。在宅ケアでは、専門的な分類を厳密に判断するよりも、循環が保たれているかを観察することが重要です。血圧低下、頻脈、尿量減少、立ちくらみ、意識のぼんやり感などがある場合は、血管内の水分不足が関係している可能性があります。 血管内脱水が起こる原因 血管内脱水は、水分や電解質の喪失、血管内から間質への水分移動、出血などによって起こることがあります。代表的な原因には、以下があります。 下痢 嘔吐 発熱や発汗 水分摂取量の低下 利尿薬の使用 出血 感染症 炎症による血管透過性の亢進 低栄養や低アルブミン血症 熱傷 心不全や腎機能低下などの基礎疾患 感染症やDICなどで血管内皮が障害されると、血管内の水分が間質に流出し、体は浮腫状態でも血管内は脱水になることがあります。 細胞外液を補う目的で、等張電解質輸液が血管内や組織間に水分・電解質を補給する輸液として使われることがあります。大塚製薬工場の解説では、等張電解質輸液は細胞外に分布して細胞外液量を増やすため、細胞外液補充液とも呼ばれるとされています。 細胞外液補充液等に反応しない患者、低アルブミン血症があるなど特定の状況下では、アルブミン製剤が使用される可能性もあります。 在宅でみられやすいサイン 血管内脱水では、循環血液量が不足することで、さまざまなサインが現れます。訪問看護や介護の現場では、以下のような変化に注意します。 立ち上がったときにふらつく 血圧がいつもより低い 脈が速い 尿量が少ない 尿の色が濃い 口の中が乾いている 皮膚や舌が乾燥している 手足が冷たい 倦怠感が強い ぼんやりしている 反応が鈍い 食事や水分がとれていない 特に、呼吸困難や呼吸促迫、過度の発汗、意識レベルの低下、低血圧、体温の低下、チアノーゼがみられる場合は、ショック状態を示す重篤な症状の可能性があるため、早急に医師へ報告する必要があります。 ただし、高齢者では症状がはっきり出にくいことがあります。普段より元気がない、食事量が落ちている、反応が遅い、尿量が少ないなど、小さな変化を見逃さないことが大切です。 むくみがあっても注意が必要 血管内脱水で特に注意したいのは、むくみがある場合です。一般的には、むくみがあると「水分が多い状態」と考えがちです。しかし、間質に水分がたまっていても、血管内の水分が不足している場合があります。 たとえば、低栄養や低アルブミン血症、炎症、感染症などでは、血管内に水分を保ちにくくなり、間質に水分が移動しやすくなります。その結果、足や手はむくんでいるのに、血管内の水分は不足していることがあります。 日本腎臓学会誌の解説でも、浮腫は間質に水分が貯留して腫れている状態であり、必ずしも体全体の水分量増加と同じではないと説明されています。 在宅では、むくみの有無だけで判断せず、血圧、脈拍、尿量、体重変化、呼吸状態、食事・水分摂取量などをあわせて観察します。 観察するときのポイント 血管内脱水が疑われる場合は、以下の項目を確認します。 バイタルサイン 血圧、脈拍、体温、呼吸数、SpO2を確認します。特に、普段より血圧が低い、脈が速い、呼吸が速い、発熱がある場合は注意が必要です。頻脈は低容量状態で循環を保つための代償反応としてみられることがあります。 尿量と尿の色 尿量が減っている、尿の色が濃い、排尿回数が少ない場合は、体内の水分不足を示すサインのひとつです。特に、普段と比べて明らかに尿量が少ない場合は、早めに医師や看護師へ報告します。 皮膚・口腔内の状態 口唇や舌の乾燥、皮膚の乾燥、皮膚の張りの低下などを確認します。ただし、高齢者では皮膚の張りがもともと低下していることもあるため、これだけで判断しないようにします。 意識状態 ぼんやりしている、会話がかみ合わない、呼びかけへの反応が鈍いなどの変化がないか確認します。体液量の減少が重くなると混乱などがみられる場合があります。 食事・水分摂取量 食事量や水分摂取量が減っていないかを確認します。暑い日、発熱時、下痢や嘔吐があるときは、普段と同じ量の水分でも不足することがあります。 医師へ報告するときの内容 血管内脱水が疑われる場合は、観察した内容を整理して報告します。一時点の情報だけで伝えるのではなく、経過と普段との差をあわせて伝えると、状態が共有しやすくなります。 報告時には、以下の内容をまとめます。 いつから変化があるか 食事量、水分摂取量 尿量、尿の色、排尿回数 血圧、脈拍、体温、呼吸数、SpO2 立ちくらみやふらつきの有無 下痢、嘔吐、発熱、発汗の有無 むくみの有無 体重の変化 意識状態の変化 服薬状況 利尿薬の使用有無 基礎疾患 普段の状態との違い たとえば、以下のように記録します。 「昨日から食事量が半分程度。水分摂取は約500mL。尿量少なく、尿色濃い。訪問時、血圧92/58mmHg、脈拍104回/分。立ち上がり時にふらつきあり。発熱なし。普段より反応がやや遅い。」 このように書くと、血管内脱水が疑われる状況を具体的に伝えやすくなります。 早めの相談が必要な状態 以下のような場合は、早めに医師や救急へ相談します。 意識がぼんやりしている 呼びかけへの反応が悪い 血圧が大きく低下している 脈が速く、状態が改善しない 尿がほとんど出ていない 強いふらつきがある 発熱、下痢、嘔吐が続いている 手足が冷たく、顔色が悪い 息苦しさがある 出血が疑われる むくみが強いのに尿量が少ない 重度の体液量減少では、頻呼吸、頻脈、低血圧、混乱、毛細血管再充満時間の延長などのショック徴候が現れ、ショックにつながる可能性があります。 在宅では、状態の変化を見つけた時点で早めに相談することが、重症化を防ぐために重要です。 まとめ 血管内脱水とは、血管内の水分が不足し、循環血液量が低下している状態です。水分不足だけでなく、感染症、炎症、出血、利尿薬の使用、低栄養、むくみを伴う病態などでも起こることがあります。 訪問看護や在宅ケアでは、口渇や皮膚の乾燥だけでなく、血圧、脈拍、尿量、意識状態、むくみ、食事・水分摂取量をあわせて観察することが大切です。特に、むくみがある場合でも血管内脱水が隠れていることがあるため、見た目だけで判断しないようにしましょう。 利用者さんの普段の状態を知り、小さな変化を具体的に記録することが、早期発見と適切な対応につながります。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】●NsPace:「血管内脱水」https://www.ns-pace.com/glossary/volume-depletion/,2026/7/30閲覧●MSDマニュアル プロフェッショナル版:「体液量減少」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/10-内分泌疾患と代謝性疾患/水代謝/体液量減少,2026/7/30閲覧●Cleveland Clinic:「Hypovolemia」.https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22963-hypovolemia,2026/7/30閲覧●日本輸血・細胞治療学会:「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン(改訂第3版)」https://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/070030406.pdf,2026/7/30閲覧●StatPearls:「Fluid Management」.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK532305/,2026/7/30閲覧●日本腎臓学会:「浮腫と脱水,濃縮と希釈の考え方」(佐々木成,日腎会誌 2008;50(2):97-99).https://jsn.or.jp/journal/document/50_2/097-099.pdf,2026/7/30閲覧●大塚製薬工場:「水・電解質輸液」.https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/electrolytes/,2026/7/30閲覧

訪問看護ステーションの立ち上げで失敗しやすいポイントと対策
訪問看護ステーションの立ち上げで失敗しやすいポイントと対策
コラム
2026年7月28日
2026年7月28日

訪問看護ステーションの立ち上げで失敗しやすいポイントと対策

訪問看護ステーションの立ち上げに向け、入念に準備をしていても、開業後に思わぬ壁にぶつかることがあります。たとえば、利用者が集まらない・資金が底をつく・スタッフが離職するといった状況は、よく見られるケースです。こうした状況を事前に知っておくと、先まわりして対策を立てやすくなるでしょう。 そこで今回は、営業・収益管理・組織運営の3つの観点から、立ち上げで失敗しやすいポイントと対策を詳しく解説します。 営業・集客で陥りやすい落とし穴 訪問看護の営業は、一般的な営業活動とは少し異なります。良いケアだけで利用者が増えるわけではなく、紹介もととの関係づくりや効率的な動き方が欠かせません。この違いを理解した上で、開業時の営業・集客のポイントを抑えましょう。 開業してもすぐには依頼が来るわけではない 訪問看護ステーションを開業後、依頼が来るまでには時間がかかります。訪問看護の場合、利用者が自分で探して申し込むケースは少ないです。ケアマネジャーや病院から紹介を受けて利用が始まることがほとんどです。そのため、紹介もととの関係づくりが重要になります。 対策として、開業前からケアマネジャーや病院への挨拶まわりをすると、早期の利用者獲得につながります。 エリアを広げすぎて訪問効率がさがる 依頼を断りたくないあまりエリアを広げすぎると、移動時間が増え、1日に訪問できる件数が減ります。訪問件数が減れば売上も伸びず、看護師の負担だけが増える状況にもなりかねません。 こうしたリスクを避けるためには、エリアを絞っておくのが大切です。目安として、事業所から車で片道30分以内に訪問できる範囲を意識しましょう。 なお、中山間地域や過疎地域など、地理的な事情でやむを得ず移動距離が伸びてしまうエリアもあります。その場合は、収支計画書に無理がないかをしっかり確認しましょう。 営業活動がおろそかになる 現場が忙しくなると、営業は後回しになりやすいです。気づけば、最後にケアマネジャーに挨拶したのがいつか分からなくなってしまう場合もあります。 これを防ぐには、営業を個人任せにせず、組織全体としてのしくみづくりが大切です。たとえば、ケアマネジャーへの挨拶まわりやチラシの送付などを、誰がいつ担当するか月間スケジュールとして決めておきましょう。 管理者だけが営業を担うのではなく、メンバーも一緒に動く体制づくりが、利用者の安定した獲得につながります。 収益管理で陥りやすい落とし穴 訪問看護の経営では、収益を取りこぼしたり、気づかない間にコストが膨らんでいたりするケースもあります。ここでは、加算の見逃しや人件費負担など、注意すべき点をみていきましょう。 加算の算定漏れ 加算の算定漏れは、大きな機会損失につながります。緊急時訪問看護加算や特別管理加算など、算定要件を満たしているにも拘わらず、説明・同意の不足やレセプトのチェック漏れによって算定していないケースは少なくありません。 この対策として、定期的に加算対象者のリストを確認し、算定漏れを防ぐしくみをつくりましょう。 人件費率の高止まり 訪問看護は人件費の割合が大きく、売上が少しさがるだけで一気に経営が苦しくなりやすい事業です。スタッフごとの訪問件数(稼働率)を定期的に把握し、人件費率を意識した経営管理を行いましょう。 特に、2〜3か月先の稼働率を予測しながら管理していくと、急な資金繰り悪化を防ぎやすくなります。 人材紹介会社への過度な依存 人材紹介会社への過度な依存は、利益を圧迫する要因のひとつです。一般的に、紹介手数料は年収の20〜35%程度かかるため、採用コストが膨らみ、人件費率をさらに押し上げてしまいます。 採用を行う際は、自社サイトやSNS、スタッフからの紹介(リファラル採用)を活用して、コストを抑える工夫が必要です。 報酬改定による収支変化の見込み不足 診療報酬・介護報酬は、2〜3年ごとに改定されます。そのたびに収益構造が変わるため、改定の影響を考えていないと、想定していた売上や人員計画が崩れてしまう場合もあります。 とはいえ、改定内容を事前に把握することはできません。そのため、報酬がさがった場合や現状維持の場合など、複数のシナリオを想定しておくとよいでしょう。 組織運営で陥りやすい落とし穴 立ち上げ期はスタッフの人数が少ないため、組織運営について深く考える機会は少ないかもしれません。しかし、スタッフが増えるにつれて、コミュニケーションが複雑になりやすいです。 情報共有が行き届かなくなったり、メンバー間で価値観のズレが生じやすくなったりして、チームの一体感が損なわれるリスクがあります。 経験則として、5〜8名につき1名程度のリーダー候補を早期から育成・配置し、管理者とスタッフの間をつなぐ役割を担わせると、組織が大きくなっても一体感を保ちやすくなります。育成は「いつかやる」では遅く、立ち上げ期から意識的に動くようにしましょう。 まとめ:失敗しやすいポイントを知り、長く続く経営を目指そう 立ち上げの失敗は、準備不足よりも知識不足から来ることが多いです。営業・収益・組織ーーそれぞれの落とし穴を事前に知り、対策を考えておけると、トラブルを未然に防ぎやすくなります。 事業計画はケアプランのように、状況の変化に合わせて更新していくことが大切です。管理者だけでなく組織全体で、気づいたときに修正できるしくみづくりが、長く続く経営の基盤となるでしょう。 監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。そのほか、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

「新幹線で転院したい」と言われたら? 新幹線搬送は「乗るまでの準備」が9割
「新幹線で転院したい」と言われたら? 新幹線搬送は「乗るまでの準備」が9割
コラム
2026年7月21日
2026年7月21日

「新幹線で転院したい」と言われたら? 新幹線搬送は「乗るまでの準備」が9割

もし受け持ち患者様から「新幹線で遠方の病院へ転院したい」と相談されたら、あなたはすぐに具体的なイメージが湧きますか? 車両での長時間移動に比べ、患者様の身体的負担を抑えられる新幹線ですが、その裏には一般の乗車とは全く異なる緻密な事前調整が存在します。今回は、新幹線搬送のリアルな実務と、安全な移動を支える民間救急の役割を解説します。 執筆:藤 健二郎(とう けんじろう)社会人経験を経て看護師となり、済生会福岡総合病院の救命救急センターで勤務。重症患者の看護に従事した後、大学院で看護師のストレスに関する研究を行い、急性・重症患者看護専門看護師を取得。現在は東京女子医科大学病院CCUでの臨床と並行し、ケアプロ株式会社 交通医療事業部長として、重症患者搬送や外出支援など「医療×移動」の分野で事業を展開している。■ケアプロ株式会社「ドコケア」:https://dococare.com/transport民間救急とは?緊急性の低い患者の搬送を行う民間サービスのこと。多くは、消防庁の認可を受けて「患者等搬送事業(一般乗用旅客自動車運送業)」を行っている。 長距離搬送では、新幹線という選択肢がある 前回までは、民間救急の役割や、重症患者様の搬送事例について紹介してきました。今回は、長距離搬送の中でも、”新幹線”を利用した搬送についてお伝えします。 遠方の病院や施設へ移動する場合、車両だけで長時間移動する方法もありますが、患者様の状態によっては、新幹線を利用した方が身体への負担を抑えられることがあります。 一方で、新幹線搬送は、通常の乗車とは大きく異なります。寝たきりの患者様や、人工呼吸器、吸引器、酸素などの医療機器を使用している患者様の場合、ただ切符を取ればよいわけではありません。 多目的室の確保、車椅子スペースの予約、車椅子やストレッチャーのサイズ確認、駅構内の動線確認など、事前に確認すべきことが数多くあります。 また、新幹線チケットは電話だけで完結しづらく、乗降場所の管轄駅との調整も必要であり、実務上は直接駅へ行く方が早いケースが多いです。 新幹線搬送は、チケット手配から動線確認まで調整が続く 新幹線搬送でまず重要になるのが、座席やスペースの確保です。車椅子の方であれば車椅子スペース、横になった状態での移動が必要な方であれば多目的室の利用を検討します。ただし、多目的室は誰でも自由に使える場所ではなく、利用には事前の相談や調整が必要です。 また、車椅子で乗車する場合も、車椅子の幅や奥行き、リクライニングの有無によって、乗車可能かどうかや必要なスペースが変わります。そのため、患者様の状態だけでなく、使用する車椅子やストレッチャー、医療機器のサイズまで確認しておく必要があります。 さらに、乗車駅と降車駅の選定も重要です。新幹線の停車時間は限られています。特に寝たきりの方や人工呼吸器を使用している方では、途中駅から乗車したり、途中駅で降車したりすることが難しい場合があります。 東京駅などの始発駅から乗車し、目的地側でもできるだけ終点や主要駅を選ぶことで、乗降に必要な時間を確保しやすくなります。 「移動できる状態」をつくることが、民間救急の役割 新幹線搬送では、病院から駅まで、駅構内、新幹線車内、到着駅から搬送先まで、いくつもの場面をつなぐ必要があります。 出発病院での準備、駅までの介護タクシー、駅構内の移動、新幹線への乗車、車内での観察、到着後の介護タクシー、受け入れ先への引き継ぎ。そのどこか一つでも調整が不十分だと、安全な搬送は成立しません。 また、長距離移動では、患者様の状態変化にも備える必要があります。基礎疾患、ADL、嚥下、排泄、認知機能、夜間の状態、せん妄歴などを事前に把握し、緊急時の連絡先や受診先、診療情報提供書の準備を確認することが重要です。 新幹線搬送は、単に新幹線に乗る搬送ではありません。 患者様の状態、医療機器、駅の構造、車両設備、乗降時間、到着後の移動手段までを一つひとつ確認し、「安全に移動できる状態」をつくる仕事です。 私たちはこれからも、患者様とご家族の希望を大切にしながら、医療と移動をつなぐ長距離搬送を丁寧に支えていきます。

血尿スケールとは?尿色観察の基本
血尿スケールとは?尿色観察の基本
コラム
2026年7月21日
2026年7月21日

血尿スケールとは?尿色観察の基本

血尿スケールとは、肉眼で確認できる血尿の程度を、尿の色で段階的に評価するための目安です。訪問看護や介護の現場では、利用者さんの尿の色が「いつもより赤い」「茶色っぽい」といった変化に気づくことがあります。 血尿は一時的な体調変化でみられることもありますが、尿路感染症、尿路結石、腎臓や膀胱の病気などが関係している場合もあります。そのため、色の変化だけで判断せず、痛みや発熱、排尿状態などもあわせて観察することが大切です。この記事では、血尿スケールの見方や観察ポイント、医師へ報告する際の注意点を解説します。 血尿スケールとは 血尿スケールとは、尿に血液が混じっている可能性があるときに、尿の色を段階的に確認するための視覚的な目安です。一般的には、肉眼で確認できる血尿を、淡いピンク色から濃い赤色、茶褐色に近い色まで、5〜6段階で評価します。NsPaceの用語集でも、血尿スケールは肉眼的血尿の程度を色によって分類する視覚的基準として説明されています。 血尿には、大きく分けて「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」があります。肉眼的血尿は、尿の色の変化として目で確認できる血尿です。一方、顕微鏡的血尿は見た目では分からず、尿検査で確認される血尿です。訪問看護や介護の現場で気づきやすいのは、尿の色が赤い、ピンク色、茶色っぽいなどの肉眼的な変化です。 血尿スケールの見方 血尿スケールは、施設や資料によって段階の分け方が異なる場合があります。ここでは、在宅ケアの現場で観察しやすいように、6段階の目安として整理します。 段階尿の色の目安観察のポイント1段階淡いピンク色少量の血液混入が疑われる2段階やや濃い赤色血尿がはっきり分かる3段階明るい赤色早めの報告を検討する4段階濃い赤色・暗赤緊急性が高い可能性がある5段階鮮血に近い赤色出血量が多い可能性がある6段階茶褐色・黒っぽい色古い血液や別の異常も考える 血尿スケールは、尿の色を客観的に伝えるための補助的な指標です。色が濃いほど注意が必要ですが、色だけで重症度を決めることはできません。血尿が少量でも、初めてみられた場合や症状を伴う場合は、医療職へ相談することが望ましいとされています。 血尿で確認したい症状 血尿を見つけたときは、尿の色だけでなく、ほかの症状もあわせて確認します。特に、以下のような症状がある場合は注意が必要です。 排尿時の痛み 頻尿 残尿感 発熱 腰や背中の痛み 下腹部痛 尿量の減少 血の塊が混じる 尿が出にくい 転倒や打撲後の血尿 血尿の原因には、尿路感染症、尿路結石、腎臓の病気、膀胱の病気、外傷、激しい運動などさまざまなものがあります。血尿は軽視せず、原因の確認につなげることが大切です。 また、赤っぽい尿が必ずしも血尿とは限りません。薬剤やビーツ、ルバーブなどの食品によって尿が赤く見えることもあり、血液による色の変化か判断しにくい場合があるため、確認を受けることが大切です。 在宅での観察ポイント 訪問看護や介護の現場では、利用者さんの普段の尿の色や排尿パターンを知っておくことが大切です。急な変化があった場合は、血尿スケールの段階だけでなく、「いつから」「どのくらい」「どのような症状を伴うか」を確認します。 たとえば、以下のように観察します。 「本日朝から尿が淡いピンク色。排尿時痛なし。発熱なし。尿量は普段と同程度。血尿スケール1段階程度。」 「訪問時、尿が暗赤色。血の塊あり。下腹部痛を訴える。尿が出にくい様子あり。血尿スケール4段階程度。」 このように記録すると、医師や看護師に状況を共有しやすくなります。特に、尿の色が急に濃くなった場合、血の塊がある場合、痛みや発熱を伴う場合、尿が出にくい場合は、早めに医師へ報告することが望ましいです。 医師へ報告するときの内容 血尿がみられたときは、以下の内容を整理して報告すると、状態が伝わりやすくなります。 血尿に気づいた日時 尿の色と血尿スケールの目安 血の塊の有無 排尿時痛や頻尿の有無 発熱の有無 腰背部痛や腹痛、叩打痛の有無 血圧・脈拍・SpO2 尿量の変化 転倒や打撲の有無 服薬状況 既往歴 水分摂取量 普段の尿色との違い 血尿は、症状が軽く見えても原因の確認が必要な場合があります。尿がピンク、赤、茶色に変化した場合は、医師に相談した方がよいです。 血尿スケールを使うときの注意点 血尿スケールは便利な目安ですが、診断を行うためのものではありません。尿の色は、採尿容器の色、照明、水分摂取量、薬剤、食品などの影響を受けることがあります。また、茶色っぽい尿は血尿以外に、ミオグロビン尿やビリルビン尿などが関係する場合もあります。尿色の異常には複数の原因があるため、尿検査などで確認することが重要です。 在宅では、無理に原因を判断するのではなく、利用者さんの状態を具体的に観察し、必要に応じて医師や看護師につなぐことが大切です。 まとめ 血尿スケールは、尿に血液が混じっている可能性があるときに、尿の色を段階的に把握するための目安です。訪問看護や介護の現場では、尿の色の変化を早く見つけ、普段との違いを具体的に記録することが重要です。 ただし、血尿スケールだけで重症度や原因を判断することはできません。排尿時の痛み、発熱、腰痛、血の塊、尿が出にくいなどの症状がある場合は、早めに医師へ報告しましょう。血尿の観察では、「色」「量」「症状」「経過」をセットで確認することが、利用者さんの安全を守るために役立ちます。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】 NsPace:「血尿スケール」.https://www.ns-pace.com/glossary/hematuria-scale/2026/7/17閲覧 NHS:「Blood in urine」.https://www.nhs.uk/symptoms/blood-in-urine/2026/7/17閲覧 Mayo Clinic:「Blood in urine(hematuria)」.https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/blood-in-urine/symptoms-causes/syc-203534322026/7/17閲覧 Cleveland Clinic:「Hematuria」.https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/15234-hematuria2026/7/17閲覧 PMC:「Diagnostic Approach to Abnormal Urine Colors」.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC12066962/2026/7/17閲覧 日本感染症学会:「腎盂腎炎(Pyelonephritis)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応」.https://www.kansensho.or.jp/ref/d32.html2026/7/17閲覧

訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント
訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント
コラム
2026年7月7日
2026年7月7日

訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント

訪問看護ステーションの開業を目指すとき、事業計画や人員体制と並んで避けて通れないのが「資金の準備」です。 開業には、初期費用と運転資金を合わせて、1,200〜1,500万円程度が必要な目安とされています。自己資金で足りない分は融資で補うことになるものの、看護師にとって融資は馴染みの薄い世界。「どこに相談すればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか? このコラムでは、融資先の選び方・よくある失敗・動き始めるタイミングについてわかりやすく解説します。 開業時の資金繰りは情報収集が重要 知識がないまま開業準備を進めてしまうと、審査に通らなかったり、開業後に運転資金が底をついたりするケースが起こりえます。融資は「申し込めば通る」ものではなく、事業計画の妥当性や自己資金の割合、申請するタイミングなど、複数の要素が審査に影響します。 「とりあえず動き始めてから考えよう」では、気づいたときには選択肢が狭まっていた——ということにもなりかねません。まずは、融資先の種類や特徴について詳しくみていきましょう。 融資先の特徴と選び方 ひとくちに融資といっても、相談先によって金利や審査のハードルが異なります。 主な融資先とその特徴を比較してみましょう。 主な融資先の比較 融資先金利審査のハードル特徴日本政策金融公庫2~3%台低め・創業実績なしでも可・開業時の第一候補信用金庫・地方銀行2~4%台中程度・地元に根ざした金融機関メガバンク低め高い・創業時は3~5年以上の実績が必要 ※上記に記載した融資の金利はあくまで目安であり、将来的に変更される可能性があります。実際に融資を検討する際は、必ず最新の条件を各金融機関へご確認ください。 開業時の融資は、日本政策金融公庫を第一候補に、信用金庫・地方銀行を併用するのが現実的です。メガバンクは、開業後に実績を積み、大口の資金需要が発生した際に検討する選択肢と考えておきましょう。 また、融資以外の手段として、クラウドファンディングという選択肢もあります。クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。資金調達と認知度向上を同時に狙える方法でもあり、訪問看護ステーションの開業で活用した事例もあります。 資金調達でよくある失敗 資金調達を進めるうえで、開業を考えている看護師が陥りやすい失敗があります。 よくある3つの失敗のパターンをあらかじめ知っておくと、同じ失敗は防ぎやすくなります。 失敗1.自己資金不足のまま融資申請してしまう 自己資金が少ないと、「事業への本気度が低い」と判断されやすく、審査で不利になります。「まず融資を受けてから自己資金を足せばいい」と考える方もいますが、自己資金なしでは融資を受けること自体が難しいのが現実です。開業を意識し始めたタイミングから、計画的に貯め始めておくことが大切です。 失敗2.見積もりの甘さから融資審査が通らない 訪問看護の報酬には、約2ヶ月間の入金タイムラグがあります。4月に提供したサービスの報酬が入金されるのは6月末です。このしくみを資金計画に織り込めていないと、「資金繰りの見通しが甘い」と判断され、融資審査が通らないケースがあります。また見積もりが甘いと、審査を通過できたとしても、開業後に運転資金が底をつくリスクも生じます。収益が安定するまでの6ヶ月分(金額にすると600〜1,000万円程度)の確保が必要です。このように、入金タイムラグを前提とした資金計画を立てておきましょう。 失敗3.助成金・補助金を当てにしてしまう もう一つ注意しておきたいのが、助成金・補助金の扱いです。助成金・補助金は後払いが基本のため、開業直後の資金繰りには使えません。助成金を当てにして資金計画を立ててしまうと、思わぬ資金不足につながる恐れもあります。あくまで「プラスアルファ」として考えておきましょう。 資金調達を始めるタイミング 資金調達は、思い立ったときに始めるのでは遅い場合があります。開業の時期から逆算して、計画的に動き始めましょう。目安となるスケジュールは以下のとおりです。 開業を意識し始めたらすぐ:自己資金を準備する 融資審査では、300〜500万円程度の自己資金があると有利になります。ただし、融資だけでは資金が足りなくなるケースもあるため、できれば1,000万円程度を目標に準備しておくと安心です。開業を意識し始めたら、まず貯蓄から始めましょう。 開業6ヶ月前:日本政策金融公庫に相談する 自己資金の目途が立ってきたら、日本政策金融公庫の窓口に相談しましょう。窓口への相談は無料で、「いくら借りられるか」「どんな書類が必要か」といった基本的な疑問から相談できます。事業計画書のたたき台・資金計画・開業時期の見通しを持参すると、話がスムーズに進みやすくなるでしょう。「まだ準備中だから」とためらわず、早めに足を運んでみてください。 開業3ヶ月前:融資申請・審査 相談の内容が固まってきたら、いよいよ融資申請のステップです。申請から実行までは、1〜2ヶ月かかります。「開業直前に申請すればいい」と後回しにしてしまうと、資金が間に合わなくなるリスクがあります。 このタイミングで動き出せるよう、逆算して準備を進めておきましょう。 また、日本政策金融公庫の融資だけでは必要な資金額に達しない場合もありますので、地方銀行や信用金庫への相談も同時並行で進めましょう。 まとめ:資金調達は、融資先を知って早めに動き始めよう! 金調達は、知識と準備が整っているほど、スムーズに進められます。融資先の特徴を理解し、開業の時期から逆算して動き始めると、資金面での不安を減らせます。 融資先の窓口相談は無料のところも多く、開業実績がなくても丁寧に対応してもらえます。「融資なんて自分にできるのかな」とためらわず、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。 まずは情報収集から始め、自己資金を貯え、融資相談・申請をする——このステップで、開業準備を整えていきましょう。 監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。そのほか、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

民間救急 搬送事例~超高流量の酸素投与をしながら自宅へ~
民間救急 搬送事例~超高流量の酸素投与をしながら自宅へ~
コラム
2026年6月23日
2026年6月23日

民間救急 搬送事例~超高流量の酸素投与をしながら自宅へ~

「最期は自宅で過ごしたい」ーー。そう希望しても、医療的ケアが必要な患者さんが自宅へ戻ることは簡単ではありません。特に、高度な酸素管理が必要な状態では、移動中の安全確保だけでなく、退院後の医療体制まで見据えた準備が求められます。今回は、ネーザルハイフローを使用しながら自宅退院を希望された患者様の搬送事例をご紹介します。病院、訪問診療、訪問看護、ケアマネジャー、そして民間救急がどのように連携し、「自宅で過ごしたい」という願いを支えたのか。その実際をお伝えします。 執筆:藤 健二郎(とう けんじろう)社会人経験を経て看護師となり、済生会福岡総合病院の救命救急センターで勤務。重症患者の看護に従事した後、大学院で看護師のストレスに関する研究を行い、急性・重症患者看護専門看護師を取得。現在は東京女子医科大学病院CCUでの臨床と並行し、ケアプロ株式会社 交通医療事業部長として、重症患者搬送や外出支援など「医療×移動」の分野で事業を展開している。■ケアプロ株式会社「ドコケア」:https://dococare.com/transport民間救急とは?緊急性の低い患者の搬送を行う民間サービスのこと。多くは、消防庁の認可を受けて「患者等搬送事業(一般乗用旅客自動車運送業)」を行っている。 「自宅に帰りたい」という願いを支える搬送 前回の記事では、民間救急が「ただ移動を支援するサービス」ではなく、医療・生活・移動をつなぐ役割を担っていることをお伝えしました。今回は、その具体例として、実際に私たちが対応した搬送事例をご紹介します。 患者様は、高流量鼻カニュラ酸素療法(High flow nasal cannula oxygen therapy:HFNC)の装置(以下「HFNC装置」)を使用して、超高流量の酸素投与をしながら、ご自宅への退院を希望されていました。 病院からご自宅までは車で約10分。一見すると短距離の搬送ですが、超高流量の酸素を必要とする状態であり、搬送前の準備や関係職種との連携、車内での観察と対応が重要となるケースでした。 事前準備と車内での医療的対応 搬送前には、退院前カンファレンスに参加し、病院スタッフ、訪問診療、訪問看護、ケアマネジャーと情報を共有しました。 ご自宅に戻った後も医療が途切れないよう、在宅チームとの連携を確認し、当日の流れを整えました。また、搬送中は弊社所有のHFNC装置を使用するため、酸素ボンベの残量確認や高流量に対応した流量計の準備も行いました。 FiO₂95%、50Lという設定では酸素消費量が非常に多くなるため、短距離であっても酸素不足が起きないよう準備する必要があります。 搬送当日は、車内でもバイタルサインを観察し、呼吸状態に合わせて酸素を調整しました。また、呼吸が少しでも楽になるよう、呼吸法について声かけを行いながら、ご自宅まで慎重にお送りしました。 「自宅で過ごしたい」を支える搬送 ご自宅到着後は、待機していた訪問診療、訪問看護、ケアマネジャー、ご家族へ状態を引き継ぎました。 搬送中は弊社のHFNC装置と酸素ボンベを使用していましたが、ご自宅では同じ酸素量を継続することはできません。そのため、到着後は事前に相談していた方針に沿って、弊社の機器を切り離し、ご自宅で対応可能な最大量の酸素投与へ切り替えました。 そのうえで、訪問診療チームにより苦痛をできる限り和らげるための薬剤調整が行われ、ご家族に見守られながら、ご本人は静かに息を引き取られました。この流れは、搬送後に突然決まったものではありません。 退院前カンファレンスの時点で、病院、訪問診療、訪問看護、ケアマネジャー、搬送チームが集まり、ご本人の状態やご家族の希望、自宅で可能な医療体制を確認したうえで共有していた方針でした。 「最期は自宅で過ごしたい」 その願いを叶えるためには、病院から自宅へ運ぶだけではなく、自宅に着いた後の医療やケアまで見据えた連携が欠かせません。 民間救急は、ただ患者様を移動させる仕事ではありません。医療的な安全を守りながら、その人が望む場所へ移動することを支え、病院から在宅へ医療をつなぐ役割を担っています。 私たちはこれからも、患者様とご家族の想いに寄り添いながら、医療と移動をつなぐ搬送を一つひとつ丁寧に行っていきます。

事業計画の立て方
事業計画の立て方
コラム
2026年6月16日
2026年6月16日

訪問看護ステーションを開業するには?具体的な事業計画の立て方

事業計画が必要なのはわかっていても、具体的な準備となると、なかなか手が動かないものです。前編「訪問看護ステーションの開設に必要な事業計画とは?」では、事業計画の意義や、選ばれる事業所づくりの考え方をお伝えしました。今回は、人員体制の考え方から収支計画の立て方まで、事業計画を実際に立てる具体的なステップを解説していきます。 開業に必要な人員体制を考える 「どんな利用者を支えたいか」「どのエリアで活動するか」が見えてきたら、次に考えるのが人員体制です。 訪問看護ステーションを開業するには、法令で定められた人員基準を満たす必要があり、常勤換算で看護職員2.5名以上の配置が必要です。 ただし、看護職員2.5名体制は開業の最低基準です。1人が退職や休職になると、人員基準を割り込むリスクがあります。安定した運営を続けるためには、まず3〜5名体制を目指すとよいでしょう。 開業時の人員構成を考える際は、次の3つを整理しておきましょう。 常勤・非常勤の人数: 常勤採用だけでなく、非常勤採用も合わせて必要数を考えましょう。 オンコールの体制:24時間365日の緊急対応の有無と、緊急対応をする場合はオンコールをどのように分担するかを考えましょう。 リハビリ職(PT・OT・ST)の採用: 多様なニーズに応えていくために、いつごろからリハビリ職を採用するかを検討しましょう。 人員構成は収支にも直結します。どのタイミングでどのような人を採用するかまで含めて設計することが重要です。また、「どんな利用者を支えたいか」「どんな地域に貢献したいか」などビジョンが明確であるほど、必要な人員構成も見えてきます。 持続可能な収支計画を立てる 人員体制が決まったら、次に取り組むべきは収支計画——いわゆる「お金の計画」です。「数字は苦手」という方も多いかもしれませんが、ここを後回しにしたまま開業すると、理念はあっても事業が続かない状況になりかねません。 収支計画を立てる際は、 収益モデルに合わせたKPI管理を行う 固定費を上げすぎない 資金繰りを考えた計画を立てる の3つのポイントを押さえておきましょう。 収益モデルに合わせたKPI管理を行う 訪問看護の収益は、主に介護保険・医療保険からの報酬で成り立っています。たとえば、訪問看護(1時間程度)は、1回あたり約8,000〜10,000円前後です。適応となる保険や利用者の状態、事業所の体制によって単価が変動します。仮に利用者20名に月8回(週2回x4週)訪問すると、月の売上はおよそ128〜160万円規模になります。 訪問看護では、訪問を行うプロセスが報酬で評価されるため、看護師を配置するだけでは売上にならず、訪問件数の管理が重要となります。企業や地域による差もありますが、給与や法定福利、社用車、携帯電話やタブレット端末、その他スタッフ雇用に必要な毎月の経費を考えると、1名あたり月に50万円程度かかります。 しっかりと、各スタッフが自らに抱える経費以上の売上を上げないと、事業所全体として赤字が続き存続できなくなってしまいます。スタッフごとの訪問稼働率を重要指標として管理することが重要です。 固定費を上げすぎない 訪問看護の支出は、人件費やスタッフ雇用にかかる経費、賃料など、そのほとんどが毎月固定でかかる経費です。これらの経費は、売上が予想通りに伸びないことや、一時的に下がることがあっても、下げることができないという特徴があります。 「スタッフを多く採用したい」「人材が集まらないから」と地域の相場以上に給与を高くしたり、事務所にお金をかけたりすると、開業時から固定費が高くなってしまいます。そうすると、赤字の金額と期間が増加し、資金不足に陥る可能性があるため注意が必要です。 資金繰りを考えた計画を立てる 開業後、利用者への訪問を行うと売上があがりますが、その売上はサービス提供後すぐに入金されるわけではありません。月末に実績を締めレセプト提出後、支払い基金から入金されるまで約2ヶ月のタイムラグがあります。また、特に開業初期のうちはレセプトの間違いなどにより返戻が生じることもあります。予定より入金が遅れる可能性も視野に入れておきましょう。 さらに、訪問看護事業所の立ち上げが増えている昨今は、開業初月は利用者の依頼がない(売上0円)というケースも少なくありません。そのため、利用者数の増加も厳しめに見積もり、緩徐に伸びていく計画を立てておくことが重要です。 開業に必要な資金を準備する 収支計画が見えてきたら、次は「開業までにいくら必要か」を整理しましょう。開業時には、次のような費用がかかります。 採用費 人件費 事務所の敷金・礼金 内装・備品 医療機器 訪問看護システム(電子カルテ) 車両費 合計の目安は500万円前後とされています。(※開業規模や地域によって異なります)ただし、開業時の費用だけでなく、開業後しばらくの資金も準備しておく必要があります。 先述したように、訪問看護の報酬は実際に入金されるまで2ヶ月ほどかかるしくみです。開業直後は売上がゼロの状態ですが、人件費・家賃・光熱費などの固定費は毎月発生します。 運転資金として6ヶ月分の固定費を手元に確保しておくのが安心で、金額にすると600〜1,000万円程度になります。初期費用と運転資金を合わせると、1,200〜1,500万円程度が現実的なラインです。 大きな金額に見えますが、自己資金だけで全額用意する必要はありません。資金の調達方法には、主に次の3つがあります。 ▼主な資金の調達方法 調達方法特徴ポイント自己資金返済不要で自由に使える手元資金事業の安定性・信用力のベースになる総資金の2〜3割が目安多いほど融資審査で有利日本政策金融公庫の創業融資開業実績がなくても申し込みやすい金利も比較的低い事業計画書の内容が審査の核助成金・補助金自治体によっては開業支援の補助あり条件・申請期限あり、早めのリサーチが必要あくまで、補助的な位置付け 融資を受ける場合は、毎月の返済額を収支計画に組み込んでおく必要があります。借りられたからOKではなく、「返しながら事業を続けられるか」を必ず確認しておきましょう。 まとめ:事業計画は「作って終わり」ではない 事業計画は、開業のために一度だけ作るものではありません。事業を動かし続けるためのベースになります。 看護の現場に置き換えると、ケアプランに近いイメージです。利用者の状態変化に合わせてケアプランを見直すように、事業計画も現実に合わせて更新していくものと考えておきましょう。現場が忙しくなると、計画を見返す機会が減りがちです。月1回の収支確認、半年に1回の計画見直しを習慣にすると、問題の早期発見につながります。 最初から完璧な事業計画である必要はありません。「何人のスタッフが必要か」「収支はどうなるか」「資金はどう調達するか」——まずはこの3つを書き出すことから始めてみてください。その積み重ねが、開業への道筋をつくっていくでしょう。 執筆:広瀬 よしの(看護師ライター)編集者:米沢 まさこ(看護師ライター) 監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。その他、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

人工呼吸器装着後の安楽な姿勢とベッド周りの環境整備:当事者の知恵と工夫
人工呼吸器装着後の安楽な姿勢とベッド周りの環境整備:当事者の知恵と工夫
コラム
2026年6月9日
2026年6月9日

人工呼吸器装着後の安楽な姿勢とベッド周りの環境整備:当事者の知恵と工夫

ALSを発症して10年、現役医師・梶浦先生によるコラム連載、第2弾。最終回となる今回は、梶浦先生が受けてこられた質問の中で最も多かった人工呼吸器装着後の安楽な姿勢を保つ方法と、ベッド周りの環境整備のコツについてたっぷりご紹介いただきます。 本記事は、医療従事者の指導・管理のもとで行われている在宅医療の一例を紹介するものです。掲載されている医療機器の配置や使用方法を、一般の方が医療者の指示なく参考・模倣することは安全上のリスクがあります。在宅での医療機器管理については、必ず主治医や訪問看護師等の医療従事者にご相談ください。 はじめに ALS当事者や関係者の⽅々から最も多く寄せられた質問が、今回のタイトルです。 気管切開して⼈⼯呼吸器を付ける前のALS当事者にとって、装着後の⽣活がどのように変わるのかを想像することは難しいものです。人工呼吸器をつけても安楽に過ごせるのか。どのような環境整備が必要なのか。こうした情報は、人工呼吸器をつけて生きていくか否かの決断に大きく関わるにもかかわらず、調べてもなかなか出てきません。 私自身、これから⾃分がどうなっていくのかよく分からないながらも、死にたくない⼀⼼で、気管切開と人工呼吸器装着を決断しました。だからこそ、その後の生活で一番考えながら、改良を重ねてきたのもこのテーマだったのです。 ALSという病気は、症状も進行スピードも人によって違います。また、在宅療養環境(⽀援体制や⾃宅のスペースなど)もそれぞれの家庭で大きく異なります。⼀概に「こうしたほうがよい」とは⾔えず、教科書的に一括りにして扱うことが難しいのが実情です。 それゆえに、ALS当事者や関係者たちが、在宅での療養生活で実際に取り入れている知恵や工夫を持ち寄り、それを発信し、「いいな」と思った部分を⾃分の⽣活の中に取り⼊れていくしかないのだと思います。 そこで今回は、私が考えて、実践している⼯夫を紹介していきたいと思います。それぞれの状況に応じて参考にしていただければ幸いです。 安楽な姿勢の基本原則:接触面積を広くとる ⼈⼯呼吸器をつける前のALS患者を含む、重度の四肢体幹障害者に共通して重要なのは、 体と、⾞椅⼦・ベッドとの接触面積を広くとり、浮いている部分をできるだけなくす ということに尽きます。 これにより体圧が1ヵ所にかかり過ぎるのを防ぎ、分散することができ、身体への負担を最⼩限に抑えることができます。 座位での姿勢の工夫(図1) ⾞椅⼦に座るときやベッドの背もたれを起こしたときには、以下を意識します。 腰の部分が浮かないように、できるだけ深く座る 枕と⾸の間に隙間ができないよう、タオルや薄いクッションを丸めて入れる 図1 ベッド上での座位姿勢の工夫 側臥位での姿勢の工夫 クッションを活用し接触面積を広くとりつつ、足の骨同士が重ならないように気をつけています(図2)。 図2 側臥位での姿勢の工夫 ちなみに、私は毎晩、側臥位で寝ています。その際、空圧センサーにつま先を接地しておくようにし、ほんのわずかな⼒でもセンサーを押して、人を呼べるようにしています。センサーを押したら「反対側の側臥位へ体位変換してほしい」という合図です。 人工呼吸器をつけることで大きく変わること 人工呼吸器をつけると、気管孔と⼈⼯呼吸器が回路(ホース)で常につながるようになります。このホースが動いてしまうと、それが刺激になり、むせてしまったり、気管孔周囲に⾁芽組織*を形成する原因になったりします。そのため、ホースはできるだけ動かないように固定しておく必要があります。私がおすすめする固定⽅法は、胸元とベッドの2点で固定することです(図3)。 *肉芽組織:傷の治癒過程や慢性炎症の際に形成される、新しい結合組織と⽑細⾎管のこと。出血を伴うこともある。 図3 ホースの固定方法 ホースを胸元とベッドの2点で固定し、ホースができるだけ動かないように工夫している ホースの動きにさえ注意していれば、⼈⼯呼吸器をつける前と安楽な姿勢はあまり変わりません。私は人工呼吸器を装着したことで、呼吸苦から解放され、大きな安堵を感じました。 ベッド周りの環境整備と物品管理の工夫 ベッド周囲の環境は、部屋の広さやレイアウトによって変わる部分が⼤きいのですが、ここでは私が試⾏錯誤の末にたどり着いた「理想的な形」を書いていこうと思います。参考にしてみてください。 ベッド周りには⼈が⼊れるスペースを確保する 部屋を広く使うためにベッドを壁につけている⽅も少なからずいらっしゃいます。しかし、これは介助者にとっては、とてもやりにくい配置になります。 例えば、先述した側臥位の体位変換を左右均等に行うには、介助者がベッドの左右から行う必要があります。可能であれば、人が1人⼊れるくらいのスペースをどちらにも確保しておくことをおすすめします。 ■介護用電動ベッドとモーター数ちなみに、介護⽤電動ベッドはモーター数によって性能が変わります(表1)。モーター数が多いほど性能がよく、ALS患者のように介護度が高い場合、3モーター以上のモデルが推奨されます。 なお、要介護度によりますが、介護⽤電動ベッドは介護保険を利用してレンタルができます。 表1 電動ベッドのモーター数と機能 モーター数     機能           1モーター   背上げ(または脚上げとの連動)基本的な動作2モーター背上げ+脚上げ標準的な介護に対応3モーター背上げ+脚上げ+高さ高度な介護に対応。ベッドの高さが変えられるため、介護者の負担が軽減される4モーター以上背上げ+脚上げ+高さ+αベッド自体の傾斜が変更できる機能、立ち上がりサポート機能、体位変換機能など、さまざまな機能があり、より個々の細かいニーズに対応。 ベッド周りの物品は「厳選」し「コンパクトに配置」する ⼈⼯呼吸器を使用すると、人工呼吸器はもちろん、吸引器や排痰補助装置など、ベッドの周りに置いておく機器が増えます。限られたスペースの中で効率的に動けるよう、動線を考えてコンパクトにまとめることが大切です。 ■私の機器配置の工夫ここでは私が実際に配置している機器の配置⽅法をご紹介します(図4)。私は必要なものをできるだけコンパクトに置きたいため、1つのワゴンに人工呼吸器、吸引器、排痰補助装置、持続吸引器を載せています。⼈⼯呼吸器の加湿器もワゴンの⽀柱に固定してます。 図4 私の機器配置の工夫(一例として) ■カテーテルの保管方法⼝腔内と⿐腔内の吸引に必要なカテーテルは、洗濯バサミの⽳に通し、ワゴンの取⼿に固定して吊り下げています。気管カニューレ内を吸引するカテーテルは、特に清潔な状態を保つ必要があるため、壁から吊るして、⼈の⼿や身体などが触れない場所に保管しています。 在宅療養環境での一般的なカテーテルの保管⽅法としては、以下の2つが⽤いられることが多いです。私の場合、「(2)乾燥させて保管する方法」を採⽤しています。 (1)清潔な容器で保管する方法清潔な蓋つきの保存容器、または未開封の専⽤パック・滅菌袋に入れて保管する⽅法です。容器を再利用する場合は、十分に洗浄・乾燥させてから使用します。(2)乾燥させて保管する方法(私が採用している方法)風通しのよい場所で自然乾燥させて保管する方法です。カテーテルは水分が残ると細菌が繁殖しやすいため、しっかり乾燥させます。 病院では、基本的に吸引カテーテルを1回使⽤したら捨てるのが原則かと思いますが、在宅医療の現場では、使用できる吸引カテーテルの数が限られています。数日使用してから交換するケースが⼀般的なため、私はこのような方法で管理しています。 ■吸引カテーテルの色分け吸引カテーテルは太さによってコネクターの⾊が違います。私は、緑色の14Frを口腔内用、白色の12Frを気管カニューレ内用、黒色の10Frを鼻腔内用として使用しています。原則「鼻用は黒」など、吸引する部位ごとに色を分けておくと、家族が使うときにも間違えなくてよいかと思います。 ■通水ボトルの管理方法カテーテルを使⽤した後は、カテーテルの内腔に水道水を通して洗浄する必要があります。この時に使う水も、私はペットボトルに入れて、フックを取り付け、ワゴンに吊り下げています。気管吸引用カテーテルを通水する水は清潔な状態を維持しないといけないため、常にペットボトルの蓋を締め、⼝腔用・⿐腔⽤のペットボトルと間違えないようにしています。また、ペットボトルの⽔が半分以下になったら中⾝を破棄し、新しい⽔に交換します。ペットボトル自体は、週1回、新しいものに交換しています。 カテーテルや通⽔ボトルの管理⽅法は、家庭ごとに異なります。ここで紹介した方法は、1つの例として参考にしてください。 「enjoy!ALS 2」最終回の最後に― ALSと診断された⼈は、必ず⼀度は「死」を意識するでしょう。これまでずっと、⽣きることに前向きな情報だけを発信してきた私もそうでした。⼈は死を⾝近に感じたときに、改めて⾃分の⼈⽣について振り返るものです。 それが⼀瞬の出来事であれば「⾛⾺灯」と呼ばれるものなのかもしれません。⾃分の⼈⽣について振り返ったときに、⾃分は⼗分⽣きたのか? ⾃分の⼈⽣は満⾜なものだったのか? という問いについて考えさせられることになります。 当時35歳の私は、医師としてのキャリアも順調で、愛する家族もでき、⼈⽣には「希望」しかありませんでした。それが突然、⾃分はALSという病気であり、あと数年で死ぬかもしれないという予測不能な無慈悲な現実に直⾯しました。そのとき、⾃分の希望に満ちた未来は「絶望」という⾔葉に置き換わりました。絶望の中から⼀筋の希望を探し出し、前向きに⽣きていくことは、⾔葉ではとうてい表現できないほど、とてもつらく⼤変なことでした……。 私は「⼈の役に⽴ちたい」という強い思いから医師になり、医師の仕事が⾃分の⽣きがいでした。私の中の⼀筋の希望は「死ぬまで医師として、誰かの役に⽴てるように⽣き続けていこう」という決意でした。そんな⾃分の希望を守っていくために、さまざまな⼯夫を凝らしながら、もがき続けました。対⾯診療ができなくなったら遠隔診療に切り替え、⼿でカルテが書けなくなったら、⻭でカルテを書いてきたのです。 これからもさまざまな困難に直⾯すると思いますが、そのつど⼯夫を凝らしながら、もがき続けていきたいと思っています。そして、精⼀杯⽣きて、⼈⽣の最後にただ愛する妻と息⼦に「パパがんばってたね! かっこよかったね!」と⾔ってもらえたら、きっと⾃分の⼈⽣はとても有意義で素晴らしいものだったと思えることでしょう。そんな⽣き⽅をしたいものです。 コラム執筆者:医師 梶浦 智嗣「さくらクリニック」皮膚科医。「Dermado(デルマド)」(マルホ株式会社)にて「ALSを発症した皮膚科医師の、患者さんの診かた」を連載。また、「ヒポクラ」にて全科横断コンサルトドクターとしても活躍。編集:株式会社照林社

PENUT記事
PENUT記事
コラム
2026年6月2日
2026年6月2日

訪問看護師向け在宅看取り指導者養成プログラム「PENUT-T」特徴&指導者の声/日本訪問看護財団

在宅での看取りを支える訪問看護師の育成には、実践力だけでなく「人を育てる力」が求められています。PENUT連載最終回となる本記事のテーマは、在宅看取りを地域に広げ、次世代を育てる指導者を育成するための実践的プログラム「PENUT-T(ピーナット・ティー)」です。プログラムの特徴や指導者のリアルな声を通して、その魅力と可能性をご紹介します。 訪問看護師向け在宅看取り指導者養成プログラム(PENUT-T)とは PENUTの連載第3弾では、訪問看護師向け在宅看取り指導者養成プログラム(PENUT-T: Program of End-of-life care for home visiting Nurses Training-Trainer)をご紹介します。 PENUT-Tは、在宅看取りを推進するという使命感をもち、所属施設や地域において在宅看取りを実践できる訪問看護師を意欲的に養成できる「指導者」の育成を目的としたプログラムです。2024年度より年1回開催しており、現在は全国で126名の指導者が活動しています(2026年度末時点)。 プログラムは講義と演習で構成され、1日間の集合研修として実施されます(表1)。 PENUT-Tの4つの特徴 1.教育学の専門家による講義 講義「グループワーク研修の実施・評価とファシリテーターの役割・コツ」は、教育学の専門家が担当します。講義では、実践者を対象とした研修で押さえておくべき理論やポイント、ファシリテーターの役割と実践のコツについて学習します。 2.PENUTスーパーバイザーによるファシリテータートレーニング 演習はグループワーク形式で実施され、各グループにはスーパーバイザーが配置されます。スーパーバイザーは、在宅看取りを指導的立場で実践し、社会活動を通じてPENUTの質向上と普及に貢献してきた訪問看護師の方々です。 前列左から:大橋 奈美氏、柴田 三奈子氏、中島 朋子氏、平原 優美、富岡 里江氏、藤田 愛氏後列左から:岩本 大希氏、福田 裕子氏、清野 美砂氏、島田 珠美氏、黒澤 薫子氏、豊田 好美氏 3.修了後は「指導者」としてPENUT演習の開催が可能に PENUT-Tの修了者は、指導者としてPENUTの演習を開催できるようになります。指導者は、開催日時、開催形式(集合/オンライン)、受講料などを自ら設定し、地域や所属施設の在宅看取り実践力向上を目的に研修を企画・実施しています。 4.エビデンスに基づくプログラム PENUT-TはPENUTと同様に、アンケート調査、インタビュー調査、専門家のレビュー、モデル事業を経て開発された、エビデンスに基づく系統的なプログラムです。PENUT-Tの有効性を検証した研究成果は、日本看護科学学会の学術集会1)および学会誌2)にて公表しています。 1)濱谷 雅子, 平原 優美, 小沼 絵理, 沼田 華子, 野口 麻衣子, 菱田 一恵, 岡本 有子, 竹森 志穂, 新幡智子, 山田 享介, 栗田 佳代子, 山本 則子. 訪問看護師向け在宅看取り教育プログラム(指導者)(PENUT-T)の有効性の検討. 第44回日本看護科学学会学術集会(2024年12月)2)濱谷 雅子, 平原 優美, 小沼 絵理, 新幡 智子, 沼田 華子, 野口 麻衣子, 菱田 一恵, 山田 享介, 岡本有子, 竹森 志穂, 栗田 佳代子, 山本 則子. 訪問看護師向け在宅看取り指導者養成プログラム(PENUT-T)の有効性の検討. 日本看護科学会誌. in press. 指導者の声 地域で活躍する指導者の声を紹介します。 小川 綾乃さん(ソフィアメディ訪問看護ステーション成城 管理者、訪問看護認定看護師/2025年度PENUT-T修了)―PENUT-Tを受講し、指導者を取得した理由を教えてください。これまでもELNEC-J(End-of-Life Nursing Education Consortium-Japan)コアカリキュラム指導者として、講義を行ってきましたが、より在宅の場にフィットした内容で学びを届けたいという思いがありました。また、自ステーションが本年度から東京都の教育ステーションに認定されたこともPENUT-T受講のきっかけとなりました。お看取りの経験が少ない地域のステーションに対してPENUTを実施することで、地域全体の在宅看取りケアの底上げに貢献できるのではないかと考え、受講を決めました。―PENUT-Tを実際に受講してみていかがでしたか。鍋田先生の「グループワーク研修の実施・評価とファシリテーターの役割・コツ」は、本当に素晴らしく、思わず引き込まれる講義でした。私はこれまで、研修では本題を話すことが最も重要だと考えており、研修の目標はついさらっと流してしまいがちでした。しかし、まずは目標をしっかり共有することが、受講者の学びを大きく左右するのだと気づかされました。さらに、「受講者としっかり目線を合わせる」など、講義を進めるうえでの受講者との接し方や心構えも学ぶことができました。受講後すぐに講師を務める機会があったのですが、学んだことを早速実践しています。―グループワーク(演習)はいかがでしたか。グループメンバーは初対面の方ばかりだったので、最初はお互いをきちんと評価し合うことが難しく、「コミュニケーションが上手ですね」「笑顔が素敵ですね」といった、当たり障りのないフィードバックに終始していました。そんなとき、スーパーバイザーから「そういうのはいらない。大事なことはきちんと伝えなければ駄目だ」とズバッと指摘していただき、受講者の学びのために指導者としてどうあるべきか、その心構えを教えていただきました。また、スーパーバイザーは、常に広い視野で状況を捉えていて、いただくアドバイスはどれも有意義でした。大人数の前で手を挙げて質問するのは躊躇してしまう場面もありますが、各グループにスーパーバイザーがついてくださったことで、気軽に質問や相談ができ、理解が深まり、腑に落ちる学びが得られました。ここで身につけたファシリテーションスキルは、面談などさまざまな場面で生きています。―PENUTの開催についてはどのようにお考えですか。自社では、新卒や卒後3年以内の若いスタッフが増えています。お看取りの経験がなく、終末期の身体の変化を知らないスタッフも少なくありません。そのようなスタッフには、PENUTで知識を身につけてもらうことで、利用者や家族に安心していただけるサポートにつながると考えています。まずは自社スタッフを対象にPENUTを実施し、その後は地域でもぜひ開催してみたいです。一方で、演習開催の前に、講義受講料が必要となる点が1つのネックだと考えています。例えば、会社全体から受講希望者を募り、受講料を会社負担で実施できないかなど、いくつかの方法を検討してはいるのですが、まだ実施には至っていないのが現状です。―PENUT-Tの受講を検討している方へメッセージをお願いします。コミュニケーションの取り方やファシリテーションの方法など、自分自身の学びにつながり、実践でいかせる内容が多くあります。受講に迷っている方は、ぜひ受講していただけたらと思います。また、一緒に学んだ仲間との横のつながりができるのもPENUT-Tの魅力です。地域でPENUTを開催する際にも、一人で抱え込まず、仲間と協力しながら取り組むことができます。仲間づくりという点でも、とてもおすすめの研修です。 土屋 清美さん(つむぐ訪問看護ステーション 管理者、訪問看護認定看護師/2023年度 PENUT-T修了)―PENUT-Tを受講し、指導者を取得した理由を教えてください。これまでELNEC-Jコアカリキュラム指導者として地域で活動してきました。ELNEC-Jは病院向けの内容も多いのですが、在宅看取りに特化したプログラムが新たにできたと聞き、自分自身の知識を深めたいと思ったことが受講理由のひとつです。自ステーションのケアの質をより高めたいという思いもありました。さらに、訪問看護認定看護師として「地域に向けて何かできることはないか」と考えていたこともあり、指導者の取得を決めました。―自ステーションのケアの質の向上という点で、PENUTをどのようにいかされていますか。PENUTでは、訪問看護計画の立案とコミュニケーションの演習を行います。経験の浅い訪問看護師が作成する訪問看護計画書は、どうしても看護師側の視点に寄ってしまう傾向があります。そのため、「利用者の目線に立つとどのような計画になるだろうか」と一緒に考える時間を大切にしています。また、利用者や家族への声掛けに躊躇してしまうスタッフもいるため、実際の場面を振り返りながら、コミュニケーションの取り方について一緒に考える機会をつくっています。スタッフにはPENUTの受講を積極的に勧めています。私もスタッフも、PENUTの教材をボロボロになるまで読み込み、日々の実践にいかしています。―地域に向けてはいかがでしょうか。自ステーションが所属する練馬区訪問看護ステーション連絡会の石神井ブロックには、研修会チームがあり、不定期で勉強会を行っています。まずは自ステーションのケアの質を高めていくことを大切にしながら、いずれはPENUT開催の企画を提案できたらと考えています。一方で、開催に至るまでのハードルの高さや日々の忙しさなどには課題も感じています。先日、あすか山訪問看護ステーションがPENUTを開催されたと伺いました。そのような事例も参考にしながら、地域での学びの場づくりにつなげていきたいと思っています。―PENUTやPENUT-Tの受講を検討している方へメッセージをお願いします。PENUTは、在宅という実践の場をしっかりと見据えてつくられたプログラムなので、困ったときに該当ページを開くと、何かしらのヒントが得られると思います。演習では、訪問看護計画書の作成方法やコミュニケーションについてグループで話し合うことで、自分の傾向に気づき、多くの学びを得られる点も魅力です。さらにPENUT-Tを受講して、学んだ知識をスタッフ教育にいかせるようになったと実感しています。 連載のおわりに ここまで3回にわたり、PENUTについてご紹介してきました。開発に携わった多くの訪問看護師、講師、研究者の思いが形となり、PENUTを受講してくださった訪問看護師の皆さんが、今日も全国で素晴らしいケアを実践されていることは、私たちにとって何にも代えがたい喜びです。 一方で、PENUTをより多くの地域や多様な現場へ届けていくためには、例えば、指導者による演習開催の推進、受講者のフォローアップ体制の強化など、まだまだ取り組むべき課題が残されています。さらに、プログラムを時代の変化や現場のニーズに合わせてブラッシュアップし続けていくことも必要です。 これからも、現場の皆さんとともに歩みながら、より実践に根ざした学びの場を育てていきたいと考えています。 PENUT受講案内1. 講義お申込受付中受講形式:オンデマンド配信受講時間:約11時間(テスト含む)受講可能期間:60日間(この間は繰り返し受講可能)プログラム・対象等詳細: https://www.jvnf.or.jp/penutkensyu/2. 演習【日本訪問看護財団主催】(1)会場開催開催日時:2026年11月14日(土)9:30~16:05申込期間:2026年8月1日(土)~10月28日(水)プログラム・対象等詳細:https://jvnf.manaable.com/login/cd87bf81-a546-4684-be21-d46b52f07f9f/detail(2)Web開催開催日時:2027年1月30日(土)9:20~16:05申込期間:2026年10月1日(木)~2027年1月13日(水)プログラム・対象等詳細:https://jvnf.manaable.com/login/230e3b63-f73b-4f42-9799-e2e9e012e5fa/detail【他団体(PENUT-T修了者)主催】他団体主催の演習は、トップページのお知らせに掲載しておりますhttps://www.jvnf.or.jp/penut/PENUT-T受講案内受講形式:集合研修(東京会場)開催日時:2027年2月20日(土)申込期間:2026年11月1日(日)~2027年2月3日(水)プログラム・対象等詳細は、日本訪問看護財団公式ホームページにて後日公表いたします 研修情報・詳細はこちらさらに詳しい情報や研修開催情報については、PENUT専用ウェブサイトをご覧ください。https://www.jvnf.or.jp/penut/ 執筆:濱谷 雅子(はまたに まさこ)/公益財団法人 日本訪問看護財団 事業部博士(看護学)。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、修士課程から看護学の道へ。2020年度より現職。日本訪問看護財団が5年間にわたり実施した「訪問看護師向け在宅看取り教育プログラムの開発」事業では、主研究者として開発に携わる。訪問看護師の優れた実践をインタビュー調査などを通じて理論化し、その成果を広く社会へ発信する研究活動を行っている。

× 会員登録する(無料) ログインはこちら