インタビュー

低い離職率を実現する採用戦略と教育システム

人材不足が大きな問題となっている訪問看護業界。株式会社ツクイは訪問看護事業を拡大しつつも、低い離職率を実現しています。
今回は、事業企画推進部部長の竹澤仁美さんに、離職率低下につながる採用戦略や教育システムについて詳しくお話を伺いました。

採用プロセスの工夫

―看護師の採用において何か工夫されていることは?
竹澤:
特別なことはしていないですが、採用説明会は時間とお金をかけて必ず3日間ほど開催し、私も必ず行くようにしています。その後体験会も実施しています。説明会の参加者は多いときで1日10~20人ほどで3回に分けて行うこともあります。
応募は、ハローワーク経由でも十分にありますし、友達の紹介や、社内の紹介制度で社内移動してくる人もいます。また、各地域に配属されている、リクルーターという採用担当者から、各地域の状況や分析した情報をもらっています。
―説明会の後はどのような採用プロセスなのでしょうか。
竹澤:
そのあとは一次面接が管理者、二次面接は私かエリア長が行います。管理者面接の場合は、私が一次面接から行きます。採用面接は大事にしていて、会社の概要から訪問看護の説明も含め一時間くらい話し、そこから面接に入ります。
その後着任するまでは、リクルーターから状況確認や必要資料の手配など、しっかりフォローをするようにしています。
―応募される人は、病院に勤めている人が多いですか?皆さん、どのような理由でツクイを選ばれるのでしょうか。
竹澤:
休職中の方もいますし、病院勤務の方もいます。会社が大きいということと、会社としての教育体制が整っているという部分をご評価いただいているようです。
給与体系が東京を標準として全国で概ね一緒であることや、管理者にも残業代が出るという部分も理由かもしれません。

採用時大切にしているポイント

―採用する側として、こういう人を採用しているとかはありますか。
竹澤:
採用基準は設けていませんが、「つくいびと」という社内の指針に合っているかを面接で見ます。人間性が一番のポイントですね。看護経験はあとから積算できますし、看護技術や知識はこちらで教育することができるので。
最近、経験年数は少ない若い看護師が入りましたが、病院の経験に根付いているベテランよりも、若い子の方がスッと入り込める部分もあり、お客様からのクレームもすごく少なかったりします。そのとき最善の判断や、対応ができるようになるには時間がかかるかもしれませんが、新人の看護師でも採用して育てられる土壌にしていくのが目標です。
―管理者はどのように探し、アサインされるのでしょうか?
竹澤:
知人の紹介などもありますが、他社と同様に人材紹介会社やハローワーク経由での募集もします。ツクイブランドの力もあってか、応募は結構あります。皆さん一般職で応募されてきますが、その中から「この人なら管理者に向いているな」と思った方をアサインします。
管理者になる人は、管理者経験や病院などで主任や副師長などをやっていた人が多いのは事実ですが、ツクイの管理者業務は明確に文章化されていて、わからない事を聞ける体制もしっかりしているので、引き受けてくれる方が多いです。
―離職率はどのくらいですか。低い離職率を実現するためには何が必要でしょうか。
竹澤:
一年間で辞めた人は、10%ほどです。ミスマッチがないよう、採用面接のときにツクイの将来性も含めて、働くイメージをわかりやすく伝えるようにしています。
訪問看護だけでずっと働いて、疲れ果てて辞めてしまうということにならないよう、社内で異動ができたり、次のステージを用意したりして、夢を持って仕事をしてほしいという話もします。ご縁があってツクイで働いてくれている看護師には、「ツクイで働いてよかった」と思ってもらいたいです。
管理者には「10褒めて、1指導する」ということを伝えています。この仕事はストレスも多いので、スタッフに感謝を伝えることを大切にしています。

教育システムを効率化する

―教育についてはどのようなシステムになっているのでしょうか。
竹澤:
最初に、「ツクイの基本」を身に着けてもらいます。e-ラーニングを使って、制度の事や記録、ハラスメント、ダイバーシティ、コンプライアンス、ツクイの考える育成、衛生管理などさまざまな内容を3日間で受講します。
その後、管理者や所長によって看護のオリエンテーションを行い、現場でのOJTとなります。現場が忙しい事業所だとOJTに入りながらオリエンテーションを行うところもありますが、2021年度からは管理者に負担をかけないよう、WEBでも教育サポートができる体制を整えていく予定です。
―OJTの後はどのようなフォローを?教育パスはあるのですか。
竹澤:
看護ではおおまかな教育パスのようなものがあります。一人ひとり経験値が異なるので、目標設定は管理者がそれぞれに応じて行い、フォローしていきます。
管理者教育に関しては、定期的なe-ラーニング研修を年に2回行い、数字の見方、営業戦略、医療的な内容などを学びます。新しく入った人が管理者になる場合は、導入研修のあとに試験があり、それに受からないと管理者にはなれません。
また、ツクイではキャリアパス制度を設けていて、スペシャリストコースとマネジメントコースに分かれています。eラーニングの中にも、それぞれのコースに沿った内容があり、一人ひとり、特性に合ったコースを選択できます。
管理者にはなりたくないと思っていても、スペシャリストとしてキャリアアップすれば給料もあがりますし、専門性も高めることができます。
―それらの教育システムは誰が作っているのですか?
竹澤:
人事です。項目は100から200ほどありますが、今後は訪問看護ならではの項目も入れたいと考えています。日本訪問看護財団が出しているeラーニング(※1)も受講してもらっています。
教育システムはすべてマニュアル化され、eラーニングの見方から、いつ管理者になっても困らないようなシステムを整えています。
また、サービス管理部では、事故起こしたときの対応から書類の書き方まで、管理者がそれを見れば対応できるようなシステムを作っています。まだ足りていない部分もありますが、介護事業でツクイが培ってきた経験が、教育システム作りに活かされていると思います。
―今後、教育に関して取り組んでいきたいことはありますか?
竹澤:
ラダーにそった教育を可視化できるようにしたいです。導入研修や管理者研修など、管理者向けの部分が多いので、スタッフもスキルアップできる制度を作りたいと思っています。
他社のような研修室をつくるのもいいなと思います。オンラインもいいですが、対面でできる研修も大事にしたいです。
  【参考】
※1 公益財団法人 日本訪問看護財団 eラーニング https://www.jvnf.or.jp/e-learning/
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株式会社ツクイ 事業企画推進部 医療系事業プロジェクト
部長 竹澤仁美
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