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自己負担上限額管理票

今回は、自己負担上限額管理票について取り上げます。前回2回にわたり紹介した難病(54)・更生医療(15)・育成医療(16)・小児慢性特定疾病(52)は、いずれも自己負担上限額管理票の記載が必要です。記載方法自体はそれほど難しくありませんが、在宅医療では扱いが複雑になりやすいため、複数機関での事前の取り決めがキモになります。

自己負担上限額管理票とは

自己負担上限額管理票とは、月初からの患者自己負担がいくらに達したかを管理するものです。患者が複数の医療機関(訪問看護ステーション、保険薬局も含む)で医療やサービスを受ける場合、医療費は各々の医療機関で発生するので、それぞれの医療費と自己負担額が記載されることになります。
在宅患者の場合、主治医と訪問看護、保険薬局と、一人の患者に複数の医療機関がかかわるケースが多いです。今月の医療費がまだ限度額に達していないか(=今回かかった費用は 公費請求するのか、患者から徴収していいのか)は、自分の事業所が持っている情報だけではわかりません。そのうえ、自己負担上限額は、公費対象の患者であっても全員同じわけではなく、患者の収入や治療状況に応じて、患者ごとに設定されます。設定された自己負担上限額と、管理票への記載を見て、患者へ請求するのか、公費へ請求するのかを判断できるわけです。
自己負担上限額管理票は公費対象の方全員に発行されているわけではなく、自己負担上限額設定がある患者だけが対象です。前述の54・15・16・52のほかには、特定疾患(51)・精神通院(21)・療養介護医療(24)なども自己負担上限額管理票が発行されます。

様式例

(細部は自治体ごとに異なります)
(1)自己負担を徴収した際に、①日付、②指定医医療機関名、③特定医療(※1)の医療費総額(10割分)(※2)、④特定医療の自己負担額(※3)、⑤自己負担の累積(月額)(※4)を記載し、⑥押印します。
※1 認定された難病に起因する傷病に対する医療。認定難病に関連しない傷病への医療費は③には含めず記載します。
※2 ③「医療費総額(10割分)」は、点数ではなく、額(円)で記載します。
※3 介護保険では1円単位での請求がありますが、④には10円単位で記載します。10円未満は四捨五入します。
(2)自己負担上限額に達したら(※4)、⑦所定欄に日付と指定医療機関名を記入し、押印します。
※4 限度額に達した日の自己負担額は、自己負担割合(例の場合は3,000円)ではなく、実際に患者から徴収した額(月額自己負担上限額との差額)を記載することになります。
(3)自己負担上限額に達した後は、自己負担額・累積額・徴収印の欄は斜線を記入します。「医療費総額(10割分)」の欄には、総額が5万円に達するまで、引き続き記載します(医療費総額が、次回の自己負担上限額の設定に影響するため)。

よくある質問

訪問したら、そのたびに記載が必要? また、訪問時に請求額を確定しないといけないのでしょうか。
原則は受診日・訪問日に記載ですが、たとえば月の最終日にひと月分を記載するなど、まとめて記載することも認められています。
また、訪問看護事業所、病院や診療所、薬局と、複数の医療機関で医療費は発生します。必ずしも日付順に記載する必要はなく、前後しても問題ありません。最終的に「その月の患者自己負担が限度額までであり、限度額を超えた分は公費へ請求」の辻褄が合えば、記載の順番は気にしなくて構いません。
自治体の公費適用があり患者自己負担が発生しない場合、自己負担額はどのように記載するのですか。
自治体の公費や生活保護(12)の併用がある場合は、それらがない場合に本来患者が自己負担することになる額を、自己負担額として記載します。
たとえば、限度額が1万円の場合、1万円までは公費12へ請求し、それ以降は54に請求となります。もし公費12を適用した後の自己負担額を記載すると、いつまでも公費12へ1~2割を請求することになってしまいます。
上記で紹介した様式例は公費54の場合で、公費52も同様の様式です。
一方、下は自立支援の様式例です。
自立支援では、「医療費総額(10割)」の欄がないところが異なります。
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監修:あおぞら診療所院長 川越正平
【略歴】
東京医科歯科大学医学部卒業。虎の門病院内科レジデント前期・後期研修終了後、同院血液科医院。1999年、医師3名によるグループ診療の形態で、千葉県松戸市にあおぞら診療所を開設。現在、あおぞら診療所院長/日本在宅医療連合学会副代表理事。
記事編集:株式会社メディカ出版
 【参考】
・厚生労働省 保医発0327第1号 令和2年3月27日「「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について」
・厚生労働省健康局難病対策課 令和元年6月「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について(指定医療機関用)」
当記事に掲載している自己負担上限額管理票の記載例は【ツール】に掲載しておりますのでご参照ください。

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