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GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)とは?意識レベル評価の基本
GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)とは?意識レベル評価の基本
特集
2026年7月14日
2026年7月14日

GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)とは?意識レベル評価の基本

訪問看護の現場において、利用者さんの意識レベルに変化があったとき、そのことを客観的に評価することは重要です。この記事では、GCSの基本的な考え方や評価項目、JCSとの違い、訪問看護師が意識状態を観察するときのポイントを解説します。 GCSとは GCSとは、Glasgow Coma Scale(グラスゴー・コーマ・スケール)の略称です。意識レベルを評価するためのスケールで、主に頭部外傷や脳血管障害など、意識状態の変化が重要になる場面で用いられます。 GCSでは、以下の3つの反応を確認します。 E:Eye opening/開眼反応 V:Verbal response/言語反応 M:Motor response/運動反応 それぞれの項目に点数をつけ、合計点で意識レベルを評価します。合計点は3〜15点で、点数が高いほど意識状態が良好で、点数が低いほど意識障害が強いと判断されます。 GCSの評価項目 GCSは、単に「起きているか」「眠っているか」だけを見るものではありません。開眼反応、会話の成立、指示への反応などを分けて確認することで、意識状態をより具体的に把握します。 E:開眼反応 開眼反応では、利用者さんがどのような刺激で目を開けるかを確認します。 点数状態4点自発的に開眼する3点呼びかけで開眼する2点痛み刺激で開眼する1点開眼しない 普段から目を開けて会話できる方が、呼びかけても目を開けにくい場合は、意識レベルの低下が疑われます。ただし、眠気、薬剤の影響、疲労、視覚障害などが関係することもあるため、普段の状態との違いを確認することが大切です。 V:言語反応 言語反応では、会話の内容や受け答えの適切さを確認します。 点数状態5点見当識がある4点混乱した会話がある3点不適切な発語がある2点意味のない発声がある1点発語がない 「今日は何月何日か」「ここはどこか」「名前を言えるか」などを確認し、受け答えが状況に合っているかを見ます。会話ができていても、話の内容がかみ合わない、急に混乱が強くなった、言葉が出にくいなどの変化がある場合は注意が必要です。 M:運動反応 運動反応では、指示に対して体を動かせるか、刺激に対してどのような反応があるかを確認します。 点数状態6点指示に従って動く5点痛み刺激の部位に手を持っていく4点痛み刺激から逃げるように動く3点異常な屈曲反応がある2点異常な伸展反応がある1点反応がない 運動反応は、GCSの中でも重症度の判断に関わる重要な項目です。たとえば「右手を握ってください」「足を動かしてください」といった簡単な指示に反応できるかを確認します。痛み刺激を用いる評価は、医療職が状態や安全性を確認したうえで行う必要があります。 GCSの点数の見方 GCSは、E・V・Mの点数を合計して評価します。たとえば、開眼反応が4点、言語反応が5点、運動反応が6点であれば、合計は15点です。記録するときは、合計点だけでなく、各項目の内訳も書くことが大切です。例:GCS 15点(E4V5M6)例:GCS 10点(E3V3M4)合計点だけでは、どの反応が低下しているのか分かりにくい場合があります。同じ10点でも、言語反応が低いのか、運動反応が低いのかによって、状態の捉え方が変わります。そのため、GCSは合計点とあわせて、E・V・Mの内訳を伝えることが重要です。GCSの公式資料でも、合計点だけでなく開眼・言語・運動の3要素をそれぞれ報告することの重要性が示されています。 GCSとJCSの違い 日本の医療現場では、GCSとあわせてJCS(Japan Coma Scale)が使われることもあります。JCSは、日本で広く用いられている意識レベルの評価法で、刺激に対する覚醒の程度を数字で表します。一方、GCSは開眼、言語、運動の3つの反応をそれぞれ点数化します。そのため、JCSよりも評価項目が細かく、意識状態の変化を具体的に共有しやすいという特徴があります。ただし、GCSは評価に慣れが必要です。とくに訪問看護の現場では、利用者さんのもともとの認知機能、発語の状態、麻痺の有無、難聴、失語、気管切開の有無などによって、正確に評価しにくいことがあります。その場合は、無理に点数化するのではなく、「普段と比べてどう違うか」を具体的に記録することが大切です。 訪問看護の現場で観察したいポイント 訪問看護の現場では、GCSの点数をつけること自体が目的ではありません。大切なのは、利用者さんの普段の状態を知ったうえで、変化に早く気づくことです。 たとえば、以下のような変化がある場合は注意が必要です。 呼びかけへの反応が鈍い 目を開けにくい 会話がかみ合わない 急にぼんやりしている 手足の動きに左右差がある いつもできる指示に従えない 強い頭痛、嘔吐、けいれんを伴う 転倒後に意識がはっきりしない これらの変化がある場合は、バイタルサイン、転倒や頭部打撲の有無、服薬状況、発熱、脱水、血糖異常の可能性などもあわせて確認します。特に、急な意識レベルの低下や麻痺、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、速やかに医師や救急へ相談する必要があります。 GCSを記録するときの注意点 GCSを記録するときは、点数だけでなく、観察した状況も残しておくと情報共有がしやすくなります。たとえば、以下のように記録します。「訪問時、呼びかけで開眼。名前は言えるが、場所の理解があいまい。右手を握る指示には応じる。GCS 13点(E3V4M6)。普段は会話明瞭で見当識あり。」このように書くと、点数だけでなく、普段との違いも伝わります。医師や救急隊へ連絡する際にも、状態の変化を具体的に説明しやすくなります。また、気管切開や挿管などで発語が難しい場合は、言語反応を「発語なし」として1点にするのではなく、評価不能(NT)として扱い、その理由を記録します。あわせて、頷き、首振り、ジェスチャー、筆談などで意思疎通ができるか、指示に応じられるかといった観察内容も残します。たとえば「気管切開中のためVは評価不能(V-NT)。呼びかけで開眼し、頷きで意思表示あり。右手を握る指示に応じる」のように記録すると、点数だけでは伝わりにくい実際の反応を共有しやすくなります。GCSでは、点数そのものだけでなく、評価できなかった理由と、実際に観察できた反応を明確に記録することが重要です。 まとめ GCSは、意識レベルを開眼、言語反応、運動反応の3つに分けて評価する指標です。合計点は3〜15点で、点数が低いほど意識障害が強いと考えられます。訪問看護の現場では、GCSの点数を正確につけることだけでなく、利用者さんの普段の様子との違いを把握することが大切です。呼びかけへの反応、会話の内容、指示への反応などを観察し、急な変化がある場合は早めに医師や救急へ相談しましょう。GCSを理解しておくことで、意識状態の変化をより客観的に伝えやすくなります。訪問看護や介護の現場でも、利用者さんの安全を守るための観察ポイントとして役立つ指標です。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】 ● StatPearls:「Glasgow Coma Scale」.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK513298/,2026/5/25閲覧● Glasgow Coma Scale Official Site:「Assessment of Glasgow Coma Scale」.https://www.glasgowcomascale.org/,2026/5/25閲覧● BrainLine:「What Is the Glasgow Coma Scale?」.https://www.brainline.org/article/what-glasgow-coma-scale,2026/5/25閲覧● 日本集中治療医学会J-PADガイドライン作成委員会†「日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン」:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/21/5/21_539/_pdf/-char/ja, 2026/07/06閲覧

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血尿スケールとは?尿色観察の基本
血尿スケールとは?尿色観察の基本
コラム
2026年7月21日
2026年7月21日

血尿スケールとは?尿色観察の基本

血尿スケールとは、肉眼で確認できる血尿の程度を、尿の色で段階的に評価するための目安です。訪問看護や介護の現場では、利用者さんの尿の色が「いつもより赤い」「茶色っぽい」といった変化に気づくことがあります。 血尿は一時的な体調変化でみられることもありますが、尿路感染症、尿路結石、腎臓や膀胱の病気などが関係している場合もあります。そのため、色の変化だけで判断せず、痛みや発熱、排尿状態などもあわせて観察することが大切です。この記事では、血尿スケールの見方や観察ポイント、医師へ報告する際の注意点を解説します。 血尿スケールとは 血尿スケールとは、尿に血液が混じっている可能性があるときに、尿の色を段階的に確認するための視覚的な目安です。一般的には、肉眼で確認できる血尿を、淡いピンク色から濃い赤色、茶褐色に近い色まで、5〜6段階で評価します。NsPaceの用語集でも、血尿スケールは肉眼的血尿の程度を色によって分類する視覚的基準として説明されています。 血尿には、大きく分けて「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」があります。肉眼的血尿は、尿の色の変化として目で確認できる血尿です。一方、顕微鏡的血尿は見た目では分からず、尿検査で確認される血尿です。訪問看護や介護の現場で気づきやすいのは、尿の色が赤い、ピンク色、茶色っぽいなどの肉眼的な変化です。 血尿スケールの見方 血尿スケールは、施設や資料によって段階の分け方が異なる場合があります。ここでは、在宅ケアの現場で観察しやすいように、6段階の目安として整理します。 段階尿の色の目安観察のポイント1段階淡いピンク色少量の血液混入が疑われる2段階やや濃い赤色血尿がはっきり分かる3段階明るい赤色早めの報告を検討する4段階濃い赤色・暗赤緊急性が高い可能性がある5段階鮮血に近い赤色出血量が多い可能性がある6段階茶褐色・黒っぽい色古い血液や別の異常も考える 血尿スケールは、尿の色を客観的に伝えるための補助的な指標です。色が濃いほど注意が必要ですが、色だけで重症度を決めることはできません。血尿が少量でも、初めてみられた場合や症状を伴う場合は、医療職へ相談することが望ましいとされています。 血尿で確認したい症状 血尿を見つけたときは、尿の色だけでなく、ほかの症状もあわせて確認します。特に、以下のような症状がある場合は注意が必要です。 排尿時の痛み 頻尿 残尿感 発熱 腰や背中の痛み 下腹部痛 尿量の減少 血の塊が混じる 尿が出にくい 転倒や打撲後の血尿 血尿の原因には、尿路感染症、尿路結石、腎臓の病気、膀胱の病気、外傷、激しい運動などさまざまなものがあります。血尿は軽視せず、原因の確認につなげることが大切です。 また、赤っぽい尿が必ずしも血尿とは限りません。薬剤やビーツ、ルバーブなどの食品によって尿が赤く見えることもあり、血液による色の変化か判断しにくい場合があるため、確認を受けることが大切です。 在宅での観察ポイント 訪問看護や介護の現場では、利用者さんの普段の尿の色や排尿パターンを知っておくことが大切です。急な変化があった場合は、血尿スケールの段階だけでなく、「いつから」「どのくらい」「どのような症状を伴うか」を確認します。 たとえば、以下のように観察します。 「本日朝から尿が淡いピンク色。排尿時痛なし。発熱なし。尿量は普段と同程度。血尿スケール1段階程度。」 「訪問時、尿が暗赤色。血の塊あり。下腹部痛を訴える。尿が出にくい様子あり。血尿スケール4段階程度。」 このように記録すると、医師や看護師に状況を共有しやすくなります。特に、尿の色が急に濃くなった場合、血の塊がある場合、痛みや発熱を伴う場合、尿が出にくい場合は、早めに医師へ報告することが望ましいです。 関連記事 https://www.ns-pace.com/article/category/feature/a8341/ 医師へ報告するときの内容 血尿がみられたときは、以下の内容を整理して報告すると、状態が伝わりやすくなります。 血尿に気づいた日時 尿の色と血尿スケールの目安 血の塊の有無 排尿時痛や頻尿の有無 発熱の有無 腰背部痛や腹痛、叩打痛の有無 血圧・脈拍・SpO2 尿量の変化 転倒や打撲の有無 服薬状況 既往歴 水分摂取量 普段の尿色との違い 血尿は、症状が軽く見えても原因の確認が必要な場合があります。尿がピンク、赤、茶色に変化した場合は、医師に相談した方がよいです。 血尿スケールを使うときの注意点 血尿スケールは便利な目安ですが、診断を行うためのものではありません。尿の色は、採尿容器の色、照明、水分摂取量、薬剤、食品などの影響を受けることがあります。また、茶色っぽい尿は血尿以外に、ミオグロビン尿やビリルビン尿などが関係する場合もあります。尿色の異常には複数の原因があるため、尿検査などで確認することが重要です。 在宅では、無理に原因を判断するのではなく、利用者さんの状態を具体的に観察し、必要に応じて医師や看護師につなぐことが大切です。 まとめ 血尿スケールは、尿に血液が混じっている可能性があるときに、尿の色を段階的に把握するための目安です。訪問看護や介護の現場では、尿の色の変化を早く見つけ、普段との違いを具体的に記録することが重要です。 ただし、血尿スケールだけで重症度や原因を判断することはできません。排尿時の痛み、発熱、腰痛、血の塊、尿が出にくいなどの症状がある場合は、早めに医師へ報告しましょう。血尿の観察では、「色」「量」「症状」「経過」をセットで確認することが、利用者さんの安全を守るために役立ちます。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】 NsPace:「血尿スケール」.https://www.ns-pace.com/glossary/hematuria-scale/2026/7/17閲覧 NHS:「Blood in urine」.https://www.nhs.uk/symptoms/blood-in-urine/2026/7/17閲覧 Mayo Clinic:「Blood in urine(hematuria)」.https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/blood-in-urine/symptoms-causes/syc-203534322026/7/17閲覧 Cleveland Clinic:「Hematuria」.https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/15234-hematuria2026/7/17閲覧 PMC:「Diagnostic Approach to Abnormal Urine Colors」.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC12066962/2026/7/17閲覧 日本感染症学会:「腎盂腎炎(Pyelonephritis)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応」.https://www.kansensho.or.jp/ref/d32.html2026/7/17閲覧

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特集
2022年3月1日
2022年3月1日

Spo2(サチュレーション)が低いが「苦しくない」と答える患者への確認ポイント5つ

高齢患者さんの症状や訴えから異常を見逃さないために必要な、フィジカルアセスメントの視点をお伝えする連載です。第5回は、SpO2が平常時は95%あるのに、90%になっている患者さん。呼吸困難感を尋ねると本人は「苦しくない」……。さて訪問看護師はどのようなアセスメントをしますか? 事例 ベッド上で全介助の82歳男性。バイタルサイン測定時にSpO2が90%でした。ふだんは95%ぐらいあり、呼吸困難感について尋ねたのですが、「苦しくない」と言っています。あなたはどう考えますか? アセスメントの方向性 SpO2が90%であり、低酸素状態が疑われます。高齢者では呼吸困難の自覚が乏しいことがあるので、客観的データを十分に収集する必要があります。低酸素状態は、▷肺や呼吸の問題 ▷循環の問題 ── が考えられます。 一方、全身的な低酸素状態ではないのに、測定部位の循環障害でSpO2値が低く出る場合があるので、まずは正しく測定できているかの確認から始めましょう。 ここに注目! ●SpO2値でみると、低酸素状態であり、呼吸障害や全身の循環不全が考えられるのでは?●症状がほとんどないことから、末梢のみの循環障害か? 主観的情報の収集(本人・家族に確認すべきこと) ・低酸素に伴う症状(呼吸困難、胸が苦しい感じ、頭痛、頭が重い感じ、ぼーっとする感じ、目の見えにくさ、声の出にくさ、言葉の出ない感じ、不安感、焦燥感、傾眠傾向、など)・肺の感染徴候の確認(のどの痛み、咳、痰、喘鳴、など)・生活への影響(食欲・食事摂取量の低下、活動量・活気の減少) 客観的情報の収集 SpO2測定部位の末梢循環 SpO2が低く出たときの測定部位の指先について、冷感、皮膚の色、圧迫されていないかを確認します。 SpO2を簡便に測定することができるパルスオキシメーターのしくみは、手または足の指にプローブを装着することで、血液の色を検知し、酸素と結びついたヘモグロビンがどの程度存在するかを計算します。循環障害のない(皮膚色の変化のない)指で測定しなければ、正しい値が出ないことがあります。 SpO2が低く出た測定部位が一時的な循環不全だった可能性があれば、加温やマッサージ後に、もう一度測定します。また、ほかの手指、足指で測定してみて値が回復するようなら、全身的な低酸素状態ではないと確認できます。 チアノーゼと冷汗 全身性のチアノーゼ、じっとりとした冷たい汗をかいている場合は、全身の循環障害(ショック状態)が強く疑われます。速やかな対応が必要です。 呼吸数・胸郭拡張の確認 もし低酸素状態であれば、頻呼吸となり、浅速呼吸や努力呼吸になっていることがあります。 平均的な呼吸数は12~20回/分です。必ず呼吸数を確認し、報告しましょう。 胸郭の視診・触診で、呼吸運動が十分に行われているかを確認します。ただし、COPDなど閉塞性の肺疾患のある人は、もともと胸郭が動きにくいので、胸鎖乳突筋や腹筋などの呼吸補助筋の緊張が高まっていないかをチェックすることが役立ちます。 関連記事 https://www.ns-pace.com/article/category/feature/disease-relearning-3/ 肺音の聴取 努力呼吸のときには呼吸音は増大します。大きく聞こえているからといって、酸素を十分に取り込めているわけではないので注意してください。呼吸音の消失や減弱、代償性の増強、肺胞音が聞かれるべき部位で気管支呼吸音のような強い音が聞かれる気管支呼吸音化をチェックします。 副雑音は正常では聞かれない音です。副雑音があるようなら、肺胞や気管支に何らかの異常があると判断できます。 脈拍・血圧測定 呼吸機能が原因の低酸素の場合、末梢へ酸素供給を行うために脈拍が速くなり、血圧は高くなります。低酸素状態が悪化すると血圧は低下します。 報告のポイント ・正しく測定したSpO2の値とその経過・バイタルサイン・呼吸形態や肺音聴取の結果から、呼吸器障害の推測・全身の循環障害の徴候 関連記事 https://www.ns-pace.com/article/category/feature/hot-hmv-1/ 執筆 角濱春美(かどはま・はるみ) 青森県立保健大学健康科学部看護学科健康科学研究科対人ケアマネジメント領域教授 記事編集:株式会社メディカ出版

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血行障害 対策&予防
血行障害 対策&予防
特集
2023年10月17日
2023年10月17日

血行障害とは?血行不良や血流障害との違いから症状・原因・対処法まで解説

身体の冷えや不規則な生活などによって血液が流れにくくなります。その結果、肩こりや関節痛、冷え、むくみなどの不調が起こるほか、心筋梗塞や脳梗塞といった生命に関わる病気のリスクが高まります。 本記事では、血行障害がどのような状態を指すのかを解説するとともに、血行不良や血流障害との違い、症状、原因、対処法などについて詳しくご紹介します。 訪問看護における利用者さんのアセスメントはもちろん、ご自身の体調管理にもお役立てください。 血行障害・血行不良・血流障害の違い 血行障害と血行不良、血流障害は、しばしば同じ状態を指す言葉として扱われています。 血行と血流の定義は以下のとおりです。 血行……身体に血が巡ること血流……血液が血管を流れること つまり、血行障害と血行不良は、身体に血液が正常に巡ることができなくなっている状態です。血流障害は、血管内に血液がうまく流れない状態を指します。 血流障害が起きている状態では身体に血液がうまく巡らなくなるため、血行障害・血行不良・血流障害はほぼ同じ意味といえるでしょう。 本記事では、血行障害と血行不良、血流障害は同じものとして扱い、症状や起こりえる病気、対処法などについて解説します。 血行障害の症状 血行障害が起きると身体にさまざまな不調が現れます。 肩こり・関節痛 血行障害が起きている状態では、筋肉が負荷を受けたときに発生する疲労物質が特定の部位に溜まり、炎症や筋肉の緊張を引き起こします。その結果、重い頭を支える首や肩、身体の軸となる腰などを中心に、全身に痛みやこりなどが現れます。 冷え 血液は、体温調節に関与しています。血行障害があると、心臓から遠く離れた手足に血液が十分に届かなくなり、冷えが起こります。手足のような末梢部は血管が細いため、ただでさえ血流が滞りやすい部位です。また、全身が冷えると頭痛やめまい、下腹部の痛みなどが現れるほか、感染症にかかりやすくなります。 むくみ 血行障害によって下半身の血液の流れが滞ると、血液中の水分が血管の外ににじみ出ることでむくみが生じます。足が大きくむくむことで靴のサイズが合わなくなったり、靴ずれが起きたりします。 血行障害の原因 血行障害は複数の要因が重なって生じます。それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。 運動不足 軽いむくみや少し冷える程度の症状は、運動不足の方によく見られます。運動不足の方は筋肉量が少ないため、筋肉が収縮するときに血液を押し上げる「筋ポンプ作用」が弱くなります。その結果、全身への血流が不足して、むくみや冷えなどの症状が現れます。 不規則な食生活 食事の回数が少なく、1回でカロリーを過剰に摂取する食生活は肥満につながります。肥満になると、血行が悪くなる糖尿病や脂質異常症、高血圧症などのリスクが高まります。また、これらの病気は動脈硬化を促すため、不規則な食生活は血行障害の要因といえるでしょう。 身体の冷え 身体が冷えると末梢部まで血液が届きにくくなります。その結果、冷えやむくみといった血行障害による症状が現れます。 動脈硬化 動脈硬化とは、動脈の血管の弾力性が失われて硬くなることです。動脈硬化にはいくつかの種類がありますが、一般的に動脈硬化といえば、血管壁にお粥のような粥腫(アテローム)が作られる「粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)」を指します。粥状動脈硬化が起きると、血管の内腔が狭くなることで血行障害が生じます。 血行障害によって起こりえる病気 血行障害が起きると、次のような病気・症状が生じるリスクが高まります。 閉塞性動脈硬化症 閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって血管の内腔が狭くなったり詰まったりすることで血行障害が起きる疾患です。手足の冷えやしびれなどが現れ、進行すると筋肉に痛みが生じます。血行障害がさらに進行すると歩行中に足が痛くなり、歩けなくなることもあります。 狭心症 心臓への血行が悪くなると、心臓に酸素や栄養が十分に供給されなくなります。こうして起きる疾患を虚血性心疾患といい、狭心症や心筋梗塞などが挙げられます。 狭心症は、動脈硬化や血栓などによって心臓の血管が細くなり、血行障害が生じることで心臓への血流が不足した状態です。胸の痛みに加え、左腕、左肩、顎などの圧迫感が生じます。 心筋梗塞 心筋梗塞は、冠動脈が詰まることで心臓への血液の流入が極端に少なくなるか、まったくなくなってしまい、心臓の筋肉が壊死する疾患です。胸の痛みや冷や汗、吐き気、嘔吐、呼吸困難などが生じます。 脳梗塞 脳梗塞は、内頚動脈や椎骨動脈などの血管が詰まったり狭くなったりして、脳に十分な血液が供給されなくなる疾患です。身体の片側の麻痺や失語、意識障害などが現れます。 潰瘍・壊死 血行障害によって、酸素や栄養が細胞に供給されなくなると、その部分に潰瘍や壊死が生じる恐れがあります。例えば、糖尿病患者が血糖コントロールが不良な場合、下肢への血行障害が生じて潰瘍や壊死が起こります。 血行障害の対処法 単なる運動不足や身体を冷やすことで起きている血行障害であれば、生活習慣の改善や身体を冷やさないことで対処できるかもしれません。しかし、動脈硬化による血行障害が生じている場合は医療機関で治療が必要です。血行障害の症状が現れている場合は、まずは医療機関を受診しましょう。 血行障害の対処法は原因や状況で大きく異なります。医療機関での治療法と日常における対応方法についてご紹介します。 薬物療法 動脈硬化が起きている場合は、血管拡張薬や抗凝固、抗血小板薬などを使用することがあります。使用する薬は、患者の状態や動脈硬化の程度などで異なります。 生活習慣の改善 肩こりや冷え、むくみなどが起きている場合は、規則正しい睡眠習慣や食生活、適度な運動、ストレスケアなどから始めましょう。動脈硬化が起きている場合も、生活習慣の改善を医師に指導されます。 身体を冷やさない 身体が冷えると血流が滞りやすくなるため、エアコンや衣類などで適温を保つようにしましょう。ただし、エアコンの過剰な使用は自律神経のバランスが崩れることで疲労や肩こり、むくみなどを悪化させる恐れがあります。 * * * 血行障害は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった生命に関わる病気のリスクが高まるため、少しでも気になったら医師に相談しましょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:久手堅 司せたがや内科・神経内科クリニック院長 医学博士。「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「寒暖差疲労外来」等の特殊外来を行っている。これらの特殊外来は、メディアから注目されている。著書に「気象病ハンドブック」誠文堂新光社。監修本に「毎日がラクになる!自律神経が整う本」宝島社等がある。 【参考】〇厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07384.html2023/7/17閲覧〇一般社団法人日本ペインクリニック学会「血行障害性疼痛」https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_kekkou.html2023/7/17閲覧

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【11月4日up】 訪問看護のオンコールとは?対応の流れと判断のポイント
【11月4日up】 訪問看護のオンコールとは?対応の流れと判断のポイント
コラム
2026年11月4日
2026年11月4日

訪問看護のオンコールとは?対応の流れと判断のポイント

訪問看護のオンコールとは、営業時間外や夜間・休日に、利用者さんや家族からの連絡を受け、電話で状態を確認して対応を判断する体制です。急な発熱や呼吸苦、医療機器のトラブル、看取り期の不安など、在宅療養中の予定外の相談が対象になります。 オンコールを担当する看護師は、限られた情報から緊急性を見極め、助言にとどめるか、緊急訪問や救急要請につなげるかを判断します。夜間に一人で対応する場面も多く、判断の重さが負担になりやすい業務です。この記事では、オンコールの仕組みと加算の考え方、電話で確認する項目、訪問や救急要請の判断、記録、負担軽減の工夫を、訪問看護師の視点で解説します。 訪問看護のオンコール体制とは 在宅療養では、日中の定期訪問だけでは対応しきれない変化が起こります。夜間に呼吸状態が悪化する、カテーテルや点滴にトラブルが起きる、看取り期に家族が不安を強める、といった場面です。営業時間外でも、こうした相談を利用者さんと家族が最初に持ち込める窓口として、ステーションが整えているのがオンコールです。 ただし、オンコールは「連絡があれば必ず訪問する」ものではありません。看護師が電話で状況を聞き取り、緊急性を判断するとともに、利用者さん本人や家族の意向も確認したうえで、電話での助言、主治医への連絡、緊急訪問、救急要請など、状況に応じた対応につなげます。対応にあたっては、主治医の指示や事前に共有された療養方針も踏まえることが重要です。こうした状況判断と関係者との連携が、オンコール担当の中心的な役割です。 24時間対応体制加算の算定要件 訪問看護には、24時間の連絡・対応体制に関する加算があります。医療保険では24時間対応体制加算、介護保険では緊急時訪問看護加算が関わります。算定には、一定の基準を満たしたうえで、利用者さんまたは家族の同意を得ることが前提になります。 体制として押さえておきたい点は、以下のとおりです。 緊急時の体制に関する加算について必要な届出を行っていること 営業時間外でも、利用者さんや家族などからの電話などに常時直接対応できる連絡体制があること 必要に応じて、計画外の緊急訪問を行える体制があること 訪問看護ステーションの所在地、電話番号、直接連絡のとれる連絡先などを、利用者さんや家族などに文書で説明し、同意を得ていること 医療保険の24時間対応体制加算や介護保険の緊急時訪問看護加算Ⅰでは、看護業務の負担軽減に資する取組を行っているかどうかも評価に関わります。加算の区分や要件、届出の取扱いは改定で変わるため、算定の際は最新の厚生労働省の通知で確認してください。 24時間の対応を希望する方には、オンコールの対象時間帯、連絡先、費用の扱いを利用者さんと家族に説明し、同意を文書で残します。 オンコールで受ける相談の種類 オンコールで受ける相談は、利用者さんの病状や療養環境によって異なります。在宅療養中の急な体調変化と、医療処置・医療機器に関する相談が中心です。 相談の例には、以下があります。 急な発熱 呼吸苦、SpO₂の低下 強い痛み 意識状態の変化 転倒や外傷 嘔吐、下痢、尿が出ない カテーテルの抜去や閉塞 点滴やポンプのトラブル 褥瘡や出血の悪化 酸素機器の異常 看取り期の状態変化 家族が対応に迷う症状 緊急性が低い相談や、定期訪問で確認できる内容は、翌営業日の対応にすることもあります。ただし、その判断は電話で聞き取った情報にもとづくため、翌日に回す場合も、再度連絡してほしい状態の目安を必ず伝えておきます。対応に迷うときは、サブのオンコール担当者や管理者に、事業所で定めた連絡手段で相談します。 電話トリアージで確認する項目 オンコールの電話では、対面と違って表情や皮膚の色を直接見られません。限られた情報から緊急性を判断するため、聞き取る項目をあらかじめ決めておくと、抜けや迷いを減らせます。 電話で確認したい項目は、以下のとおりです。 いつから、どのような症状があるか 体温、血圧、脈拍、SpO₂などのバイタルサイン 意識状態、呼びかけへの反応 呼吸状態(呼吸の速さ、努力呼吸、会話ができるか) 痛みの部位と程度 食事・水分摂取量、尿量 服薬状況、頓用薬の使用の有無 医療機器やチューブの状態 普段の状態との違い 主治医からの事前指示の有無 今、一番困っていること 家族は慌てていることが多く、「熱があります」のように、情報が大まかにしか伝わらないことがあります。数値や状態を具体的に聞き返すと、判断の精度が上がります。たとえば「何時ごろから熱が出ましたか」「SpO₂はいくつですか。普段はどのくらいですか」と順に確認します。 また、普段のSpO₂や体温などを、訪問時に把握して記録しておくことで、オンコール時に利用者さんの状態変化を評価しやすくなります。 ただし、電話では利用者さんの状態を直接観察できず、十分な情報が得られない場合もあります。聞き取りだけでは緊急性を判断できない場合は、電話での対応にこだわらず、主治医への相談や緊急訪問、受診・救急要請など、状況に応じた対応を検討します。 緊急訪問・救急要請の判断基準 電話で聞き取った内容から、対応を大きく3つに分けて考えます。電話での助言で経過をみる、緊急訪問に向かう、救急要請をすすめる、の3つです。 一律の数値基準があるわけではなく、利用者さんの病状、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の方針、主治医の指示によって判断は変わります。そのうえで、次のように整理しておくと迷いにくくなります。 電話での助言にとどめる:症状が軽く、バイタルサインが安定していて、普段の状態から大きく外れていない場合 緊急訪問を検討する:呼吸状態の悪化、意識の変化、医療機器のトラブル、看取り期の急な変化など、電話では評価や処置が完結しない場合 救急要請をすすめる:呼吸停止、強い意識障害、大量出血など、生命に関わる状態が疑われる場合 救急要請の判断は、ACPや看取りの方針と切り離せません。自宅での看取りを希望している利用者さんでも、すべての状況で救急搬送を行わないとは限りません。急変時に迷わないよう、救急要請を行う状態と行わない状態を、利用者さん・家族・主治医・事業所の間で事前に確認しておきます。 判断に迷うときは、一人で抱え込まず、管理者や主治医に相談します。迷った時点で相談できる体制をつくっておくことが、判断の質と安全の両方を守ります。 オンコール対応の流れと連携先 一般的な流れを図にまとめると、以下のとおりです。 連携先は、主治医、管理者、同じ事業所のスタッフ、ケアマネジャー、救急隊などです。主治医には、状態、実施した対応、指示がほしい内容を簡潔に伝えます。電話での報告は、状況(S)、背景(B)、評価(A)、提案(R)の順に伝えるSBARの枠組みを使うと、整理しやすくなります。これに、報告者と対象者を明示する(I)、口頭指示を復唱して確認する(C)を加えた「I-SBARC」という形もあります。 緊急訪問に向かう場面では、一人での対応が難しいこともあります。事業所の方針に沿って、管理者への連絡や、複数名での訪問を検討します。 オンコール対応の記録の書き方 オンコール対応後は、内容を記録してチームで共有します。電話だけで終わった場合も、翌日の訪問や主治医への報告に関わるためです。記録には、判断の根拠が分かるように残すことが重要です。 記録する内容には、以下があります。 連絡日時 連絡者 相談内容 利用者さんの状態とバイタルサイン 基礎疾患や治療状況、急変につながるリスク 看護師のアセスメントとその根拠 電話で伝えた対応 主治医への連絡の有無と指示内容 緊急訪問の有無 救急要請や受診の有無 翌日以降に確認する内容 記録例は、以下のとおりです。 「22時10分、家族より発熱について連絡あり。体温38.3℃、SpO₂ 95%、呼吸苦なし。水分摂取は可能。悪寒・戦慄や全身状態、療養環境を確認し、状態に応じた環境調整と再検温を案内。医師の事前指示に基づき、解熱薬の使用方法を家族と確認。体温の推移や状態悪化時には再連絡するよう説明し、翌日訪問時に状態確認予定。」 「1時30分、呼吸苦の訴えで連絡あり。SpO₂ 88%(普段は94%前後)、体温36.5℃。会話困難あり。意識は清明。在宅酸素療法の使用なし。主治医へ連絡し、救急要請を家族へ説明。搬送後、管理者へ報告。」 このように、状況、判断、対応、今後の確認事項を残すと、翌日の担当者が経過を把握しやすくなります。 訪問看護師のオンコール負担と軽減策 オンコールは利用者さんと家族の安心を支える一方、看護師には大きな負担がかかります。夜間や休日の電話対応、緊急訪問、判断の責任、睡眠不足、翌日の勤務への影響などです。負担が続くと、離職や体制の維持困難につながるおそれがあります。 負担を軽くするために、事業所では以下のような工夫が考えられます。 当番を特定の看護師に偏らせず、交代制にする 夜間対応のあとは、翌日の勤務を調整する 判断に迷ったときに相談できる管理者や先輩の連絡先を決めておく 電話で確認する項目や対応基準を標準化する 夜間対応の件数や時間帯の傾向を踏まえて、勤務体制を工夫する 記録の様式を統一し、ICTで利用者さんの情報をすぐ確認できるようにする ICTを使うと、外出先や自宅からでも、利用者さんの病状、直近の訪問記録、主治医の指示を確認できます。確認にかかる時間が短くなり、判断の根拠も得やすくなります。 オンコールを続けられる体制には、利用者さんの安心だけでなく、看護師が無理なく働ける仕組みも欠かせません。対応基準を明確にし、チームで判断を支えることが、質の高い在宅療養支援につながります。 利用者・家族への事前説明のポイント オンコールを適切に使ってもらうには、平常時の説明が重要です。緊急時は家族も落ち着いて判断しにくいため、連絡先や対応方針を分かりやすい場所にまとめて渡しておくと役立ちます。 利用開始時や状態が変わったときに、以下を説明します。 オンコールの連絡先と対応時間 連絡してほしい症状の目安 連絡するときに伝えてほしい内容(名前、いつから、症状、バイタルサイン) 救急要請が必要な状態 医師から指示されている頓用薬などの使用方法や、使用時の注意点 医療機器トラブル時の対応 費用や加算の扱い 看取り期は、呼吸の変化、反応の低下、手足の冷たさ、食事や水分量の低下など、家族が不安を感じやすい変化が続きます。起こりうる変化と、どのタイミングで連絡してほしいかを前もって共有しておくと、夜間の不安や判断の遅れを減らせます。 まとめ 訪問看護のオンコールとは、営業時間外や夜間・休日に、利用者さんや家族からの連絡を受け、電話で状態を確認して対応を判断する体制です。担当する看護師は、利用者さんの状態や緊急性をアセスメントし、本人・家族の意向や主治医の指示、事前に共有された療養方針などを踏まえながら、電話での助言、主治医への連絡、緊急訪問、救急要請など、必要な対応につなげる役割を担います。 判断の質を保つには、電話で確認する項目を決めておくこと、主治医やACPの方針を事前に把握しておくこと、迷ったときに相談できる体制をつくることが欠かせません。対応後は、判断の根拠を含めて記録し、チームで共有します。 オンコールは、看護師個人の負担が大きくなりやすい業務です。当番の分散、夜間対応後の勤務調整、ICTの活用などで、無理なく続けられる体制を整えることが、利用者さんにとっても看護師にとっても安心できる在宅療養につながります。 【参考文献】 厚生労働省:「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4897&dataType=1&pageNo=1,2026/10/23閲覧 厚生労働省:「令和6年度診療報酬改定の概要 在宅」.https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001226864.pdf,2026/10/23閲覧 厚生労働省:「個別改定項目について」.https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001220531.pdf,2026/10/23閲覧 厚生労働省:「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4891&dataType=1&pageNo=1,2026/10/23閲覧 厚生労働省:「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0253&dataType=0&pageNo=1,2026/10/23閲覧 東京都:「令和7年度 集団指導資料 介護保険法の訪問看護(第2部 算定編)」.https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/r7houmonkango-dai2busanteihen-pdf,2026/10/23閲覧 全国在宅医療マネジメント協会:「オンコール対応とは?準備から対応まで徹底解説!」.https://www.jhma.or.jp/news/news_home_nurse/oncall_beginner/,2026/10/23閲覧 厚生労働省:「看取りを念頭に置いた在宅医療の実際」.https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/001237296.pdf,2026/10/23閲覧 全国在宅医療マネジメント協会:「急変時の報告は「I-SBARC」でスムーズに!」.https://www.jhma.or.jp/news/news_home_nurse/i-sbarc/,2026/10/23閲覧

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脱水症は何日で治る?症状や対処法から熱中症との違いまで解説
脱水症は何日で治る?症状や対処法から熱中症との違いまで解説
特集
2025年7月15日
2025年7月15日

脱水症は何日で治る?症状や対処法から熱中症との違いまで解説

脱水症は、体内の水分と電解質が不足することで引き起こされる症状です。本記事では、脱水症の症状や原因、熱中症との違い、適切な対処法について解説します。脱水症について正しく理解し、早期発見・予防の意識を高め、自信を持ってアセスメントおよび対処ができるようになりましょう。 脱水症とは 脱水症とは、体内の水分とナトリウム(Na)やカリウム(K)などの電解質のバランスが崩れ、必要な体液が不足した状態を指します。私たちは日常的に汗や尿、呼吸を通じて水分を失っていますが、水分補給が十分でなかったり、発熱や下痢などで急激に体内の水分が失われたりすると脱水が進行します。 脱水症の症状 脱水症になると、血液の循環が滞り、血圧が低下します。また、全身への栄養供給が十分に行われず、老廃物の排出機能も低下してしまいます。主な症状は、口の渇きや倦怠感、食欲減退などです。また、筋肉や骨に必要な電解質が不足すると、足がつったり、しびれを感じたりすることもあります。 また、脱水症の症状の重さは、体内の水分がどの程度失われたかによって異なります。 軽度(体重減少率1~2%)の脱水:喉の渇きを強く感じるようになり、尿の回数や量が減少します。また、発熱や軽い下痢、嘔吐など、消化器官や全身に症状が現れる場合もあります。 中等度(体重減少率3~9%)の脱水:倦怠感が強まり、めまいや頭痛が現れます。血圧や臓器の血流が低下するなど、全身に影響が生じます。 重度(体重減少率10%以上)の脱水:生命に関わる危険な状態です。心臓や腎臓の機能が低下し、血流が著しく減少することでショック状態に陥る可能性があります。意識がもうろうとしたり、極端な低血圧により臓器不全を引き起こしたりすることもあり、迅速な対応が必要です。最悪の場合、死に至ることもあるため、重度の脱水に至る前に対処しましょう。 脱水症の原因 身体から水分が失われる主な要因は以下のとおりです。 原因説明朝食を抜く睡眠中に呼気や発汗で水分が失われているため、朝食を抜くと補水の機会を逃し、脱水のリスクが高まる寝すぎ長時間にわたって水分補給をしない状態が続くことで、体内の水分が不足し、脱水を招く可能性がある。就寝中も汗をかいているため、睡眠時間が長くなるほど脱水傾向が強まる点にも注意が必要ストレス緊張が続くと交感神経が活発になり、心拍数や体温が上昇することで水分消費が増え、脱水状態になりやすい高温の室内環境風通しが悪く、エアコンを使わない室内では発汗が促され、水分不足になりやすい二日酔いアルコールの利尿作用により体液が過剰に排出されるため、翌朝に脱水症状を引き起こしやすい発熱体温上昇により発汗が増え、水分が失われることで脱水のリスクが高まる下痢や嘔吐感染症や食あたり、体調不良などによる下痢や嘔吐で、体内の水分や電解質が急速に失われる食べ過ぎ消化のために胃腸へ血液が集中することで全身の血流が低下し、体温調整が乱れ、脱水を引き起こすことがある 脱水症と熱中症の違い 脱水症が進行すると、体温調節が難しくなり、熱中症に移行するリスクが高まります。脱水症と熱中症は混同されやすいですが、熱中症は、高温環境の中で体温調節機能が適切に働かなくなることで発生する症状の総称です。体内の水分・電解質のバランスが崩れ、体温が異常に上昇することで、めまいや吐き気、強い倦怠感が生じることがあります。重症例では、けいれんや意識障害を伴い、適切な処置が行われなければ生命に危険を及ぼす可能性があります。そのため、早期発見と迅速な対応が不可欠です。 脱水の種類 脱水は、原因や体液の失われ方によって「高張性脱水」「等張性脱水」「低張性脱水」の3つのタイプに分けられます。それぞれの特徴と主な原因は次のとおりです。 高張性脱水 高張性脱水は、血液中のナトリウム濃度が高くなり、細胞内から細胞外へ水分が移動し、細胞内液が減少した状態のことをいいます。大量に汗をかいたにもかかわらず十分な水分補給ができていない場合に発生しやすく、循環血液量は保たれますが、強い喉の渇きを感じるのが特徴です。 また、脳血管障害や脳腫瘍、頭部外傷などによって口渇中枢の機能障害がある場合、自覚しないまま脱水が進行することがあるため、特に注意が必要です。 等張性脱水 等張性脱水は、水分と電解質がほぼ同じ割合で失われる血漿浸透圧の変化を伴わない脱水で、下痢や嘔吐、出血、重度の熱傷などによって急激に体液が減少する際に起こります。 血圧低下やショック状態に陥る危険があり、適切な補水と電解質の補充が必要です。特に、大量の下痢や出血が続く場合には、医療機関での早急な対応が求められます。 低張性脱水 低張性脱水は、水分・ナトリウムをはじめとした電解質が減少したにもかかわらず、水分のみが補給され、血液中のナトリウム濃度が低下することで生じます。浸透圧によって、細胞外液から細胞内へ水分が移動し、血液を含む細胞外液量の減少を伴うことが特徴です。その結果、循環血液量の減少や循環不全を起こしやすく、特に血圧低下や意識障害を伴う場合には迅速な対応が求められます。 大量に汗をかいた際に、水分補給を水やお茶だけで行い、塩分を適切に補充しないと、この脱水が引き起こされます。また、頻回の嘔吐や下痢、副腎機能の低下、不適切な輸液管理なども誘因となるため、病態に応じた適切な補液が必要です。 脱水症は何日で治る? 脱水症状が改善するまでの期間は、その程度や原因によって異なります。一般的に、軽度の脱水であれば、水分を適切に補給し、安静にすることで数時間から1日程度で回復するといわれています。 しかし、強い倦怠感や頭痛、めまいを伴う場合は、回復により長い時間が必要でしょう。また、重度の脱水症になると体液バランスが大きく崩れており、医療機関での点滴治療が必要で、回復までに数日かかることもあります。 脱水の検査 脱水の診断は、問診や身体診察で得た情報をもとに行います。皮膚の乾燥や口の渇き、血圧の低下、脈拍の増加などの症状が見られる場合、脱水の可能性が高いと判断されます。また、既往歴や服用している薬の種類も、判断材料の1つです。 脱水の程度を詳しく調べるために、血液検査を行うこともあります。血液中のナトリウムやカリウムなどの電解質の濃度を測定することで、どのタイプの脱水が進行しているのかを確認できます。 脱水の対処法 脱水の症状が見られた場合、まずは適切な水分補給を行うことが重要です。水だけではなく、電解質を含む飲み物を摂取することで、体内の水分バランスを素早く整えることができます。 脱水によってめまいやふらつきが生じた場合は、すぐに安静にし、無理に動かないようにしましょう。症状が軽ければ、休息を取りながらゆっくりと水分補給を行うことで改善されます。しかし、症状が長引いたり、意識がもうろうとしたりする場合は、すぐに医療機関へ連絡し、適切な治療を受ける必要があります。 脱水のフィジカルアセスメント 脱水のフィジカルアセスメントでは、体重減少率や皮膚の冷感、口腔粘膜の乾燥度、呼吸や脈拍の変化などを指標として、脱水の重症度を評価します。 上述したように健康時からの体重減少率が3%未満であれば軽度、3~9%であれば中等度、10%以上になると重度です。 皮膚の冷感や毛細血管再充満時間の遅延は、中等度以上の脱水では四肢が冷たく感じられることが多いでしょう。重度では「かなり冷たい」と表現されるほど血流が低下し、末梢の血液供給が著しく減少していることがわかります。 呼吸や脈拍の変化も脱水の進行に伴い明確に現れます。軽度ではほぼ正常ですが、中等度になると呼吸がやや速くなり、脈拍も増加します。重度の脱水では呼吸が荒くなり、深く速い呼吸になることが多く、脈も速くなり触れにくくなるため、ショック状態へ進行する危険があります。 さらに、意識レベルの変化も見逃せないポイントです。軽度では「いつもと違う」と感じる程度の変化ですが、中等度では意識が混乱し、もうろうとすることがあります。重度になるとぐったりして反応が鈍くなり、昏睡状態に陥ることもあるため、直ちに医療機関での対応が必要です。 * * * 軽度の脱水であれば自宅での対策が可能ですが、倦怠感や意識の混濁などの重い症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。本記事で解説した内容を利用者さんとそのご家族のアセスメントに役立ててください。 編集・執筆:加藤 良大監修:久手堅 司せたがや内科・神経内科クリニック院長 医学博士。「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「寒暖差疲労外来」等の特殊外来を行っている。これらの特殊外来は、メディアから注目されている。著書に「気象病ハンドブック」誠文堂新光社。監修本に「毎日がラクになる!自律神経が整う本」宝島社等がある。

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コラム
2021年11月30日
2021年11月30日

ALSの平均寿命が2〜5年なんて嘘だ!

ALSを発症して6年、40歳の現役医師である梶浦さんによるコラム連載です。ALSについてインターネット上の情報が示すのは絶望的な情報。でも、アップデートされた正しい情報が示すのは、「ALSはともに生きていく病気だ!」 検索上位は絶望を誘う情報ばかり ALSと診断された患者や家族は、診断を受けたら、インターネットを使ってALSのことを調べるでしょう。 「ALS」と入力したら、検索の上位に出てくるのは「症状」や「寿命」などのワード。 ALSとはどんな病気か、まだほとんど知らない状態で入ってくるのが、平均寿命が2年〜5年という衝撃的な情報です。多くの人が、そこで、「自分はあと数年しか生きられないのか」と理解し、絶望するのです。 恥ずかしながら、医師である私も、そう理解しました。 発症当時34歳だった私は何の持病もなく、健康そのものでした。それなのに、40歳まで生きられないのか……。そう思い、愕然としました。愕然としすぎて、どこか他人事のようで現実感がなかったくらいですが、ただ漠然とした恐怖と不安に押しつぶされていました。 多くのALS患者さんも、同じような感情を抱くのだと思います。 『呼吸筋麻痺は終末期』は本当か インターネット上の多くの情報は、呼吸筋麻痺を「ALSの終末期」ととらえています。 確かに、ALS患者さんの多くは、気管切開による侵襲的人工呼吸療法(TPPV)をして生きていく道を選びません。実際、TPPVの導入割合は、日本で約 20〜30%と推計されています。 (余談ですが、欧米では数%から10%強そこそこなので、これでも日本は世界からみたら飛びぬけて TPPV が多い国ととらえられています。1)) なぜこんなにも、TPPVで生きていく人が少ないのでしょうか? それは多くの人が、ほとんど体が動かせず、治療法もないこの病気に希望が見いだせないからでしょう。 在宅環境のめまぐるしい進歩を味方に 確かに治療法はまだありません。しかしTPPVで在宅療養していく生活環境は、目まぐるしく進歩しています。特にtechnologyの進歩はすごい! 医学の進歩をはるかに凌駕しています。 ここ数年で、体の一部分が動かせさえすれば、iPhoneやiPadを操作できるようになりました。私も、最初のころは手の指で、手が難しくなってきて次は足の指で、その次は歯で、操作しています。私は今でも、これで、医師として仕事もするし、メールやLINEもするし、さまざまな動画コンテンツだって見ることができるし、本や漫画も読めるし、ゲームだってできる。ちなみに私はドラクエをしています(笑)。 たぶんこれからも、technologyはどんどん進歩していくし、それに伴ってALSの在宅療養環境もどんどん改善していくでしょう。 これだけでも、大きな希望です! 『呼吸筋麻痺は維持期』という考えかた だから私は、「呼吸筋麻痺はALSの終末期」ではなく、「呼吸筋麻痺はALSの維持期」と考えます! 実際、「胃瘻造設をして栄養管理を行いながらTPPVをしているALS患者の生存期間中央値は20年」というデータも都立神経病院から出ています2)。ALSの好発年齢が50〜70歳であることを考えると、十分に天寿も全うできる数字です。 これからは「ALSは死ぬ病気ではなく、ともに生きていく病気」になっていくでしょう。 ALSは20年だって生きられる病気だ 私もALS患者です、「ともに生きていく」ことが大変なのはよくわかります。私の考えを押しつけるつもりもまったくありません。TPPVを選ばないことも、立派な選択肢の一つだと思います。 ただ同じALS患者として、医師として、ALS患者さんには、正しい、アップデートされた情報をもって、TPPVをするかTPPVをしないかを選択してほしいと切に思います。私の記事がその一端を担えれば幸いです。 もう一度言います。 「ALSの平均寿命が2〜5年なんて嘘だ!」 「気管切開して、TPPVをした場合、ALSは20年だって生きられる可能性のある病気だ!」 ** コラム執筆者:医師 梶浦智嗣 記事編集:株式会社メディカ出版 【参考】1)荻野美恵子.『日本におけるALS終末期』臨床神経.48,2008,973-5.2)木村英紀.『長期TPPV下における問題点とその対策について』難病と在宅ケア.27(2),2021,60-3.

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チアノーゼとは?観察のポイントと緊急性の判断
チアノーゼとは?観察のポイントと緊急性の判断
コラム
2026年10月13日
2026年10月13日

チアノーゼとは?観察のポイントと緊急性の判断

チアノーゼとは、皮膚や口唇、爪床などが青紫色に見える状態です。血液の酸素化が低下している場合や、末梢の血流が悪くなっている場合にみられることがあります。 訪問時に利用者さんの口唇や手指が「いつもより青い」と感じた場合は、チアノーゼがみられる部位に加えて、呼吸状態、SpO₂、脈拍、血圧、意識状態、普段との違いなどを総合的に確認することが重要です。 この記事では、チアノーゼの原因や中心性・末梢性の違いを整理したうえで、訪問時の観察ポイント、緊急性を判断する際の考え方、主治医へ報告する内容について解説します。 チアノーゼとは チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青色から青紫色、灰色がかった色に見える状態です。日本小児循環器学会雑誌の総説「チアノーゼについて」では、毛細血管内血液の還元ヘモグロビン濃度が5g/dL以上になると出現するとされています。血液の酸素化が低下している場合などにみられ、口唇、舌、爪床、手足などで気づかれます。まれに、メトヘモグロビン血症などの異常ヘモグロビン血症が原因となることもあります。 血液は、酸素を多く含んでいると鮮やかな赤色に近く見えます。一方、酸素が少なくなると暗い赤色に近くなり、皮膚や粘膜を通して青紫色に見えることがあります。 ただし、皮膚の色だけで酸素状態を正確に判断することはできません。一酸化炭素中毒や高度の貧血では、低酸素血症があってもチアノーゼがみられないことがあります。照明、皮膚の色、体温、末梢の血流、貧血の有無などによって見え方が変わるため、呼吸状態や意識状態、SpO₂などもあわせて確認することが大切です。 チアノーゼの主な所見とあわせてみられる症状 チアノーゼでは、皮膚や粘膜が青色から青紫色に見えます。特に、口唇、口腔粘膜、指先、爪床などは色調の変化に気づきやすい部位です。 訪問時には、次のような色調変化がないか確認します。 口唇が青紫色に見える 舌や口腔粘膜が青紫色に見える 指先や爪床が青紫色に見える 手足の末端が青白い、または青紫色に見える 呼吸器や循環器の状態が悪化している場合には、チアノーゼとともに呼吸困難や頻呼吸、頻脈、意識状態の変化などがみられることがあります。 そのため、訪問時にチアノーゼを認めた場合は、次のような変化もあわせて確認します。 息苦しさがある 呼吸が速い、または普段と呼吸のしかたが異なる 会話時に息切れがある 脈拍が普段より速い SpO₂が普段より低下している 意識レベルが低下している 胸痛などの症状を伴っている 特に、口唇や舌、口腔粘膜に急な色調変化がみられ、強い呼吸困難や意識状態の変化などを伴う場合は、緊急性が高い可能性があります。チアノーゼの有無だけで判断せず、SpO₂、呼吸数、脈拍、血圧、意識状態、普段との違いなどを総合的に確認し、利用者さんの状態に応じて主治医への連絡や救急要請を検討します。 中心性チアノーゼと末梢性チアノーゼ チアノーゼは、大きく「中心性チアノーゼ」と「末梢性チアノーゼ」に分けて考えることがあります。 中心性チアノーゼ 中心性チアノーゼは、動脈血の酸素化が低下することで生じ、口唇や舌、口腔粘膜などに青紫色の変化がみられます。 呼吸機能の低下や右左シャントを伴う心疾患などが原因となることがあり、肺炎、喘息発作、慢性閉塞性肺疾患の増悪、先天性心疾患などでみられる場合があります。 末梢性チアノーゼ 末梢性チアノーゼは、手足の先や爪床など、体の末端が青紫色に見える状態です。典型的な末梢性チアノーゼでは、動脈血酸素飽和度の低下を伴わず、寒さや末梢血管の収縮、心拍出量の低下による末梢循環血流量の減少、血液粘稠度(ねんちゅうど)の上昇などで、末梢の血流が滞ることによって起こります。 寒さが影響している場合は、温めることで改善することがあります。ただし、心不全やショックなど全身の循環が低下している場合にも末梢性チアノーゼはみられます。息苦しさが強い、意識状態が悪い、急に口唇や舌が青紫色になった場合などは、救急要請を含めて速やかな対応を検討します。 チアノーゼの原因 チアノーゼの原因は、肺で酸素を取り込む力の低下、心臓が血液を全身へ送る力の低下、末梢の血流低下など、さまざまです。 主な原因には、以下のようなものがあります。 呼吸器に関連するもの:重症肺炎、重症喘息、気道異物など 心・循環に関連するもの:心不全、右左シャントを伴う心疾患、ショックなど 末梢循環に関連するもの:寒冷曝露、レイノー現象、動脈閉塞など 血液に関連するもの:メトヘモグロビン血症など 在宅療養中の利用者さんでは、呼吸器疾患や心疾患などが背景にある場合があります。チアノーゼが急に出現した場合は、背景疾患の推測だけにとらわれず、気道・呼吸・循環に急変がないかを優先して確認します。 乳幼児や高齢者の注意点 乳幼児では、寒冷によって手足の末端が一時的に青紫色に見えることがあります。一方、口唇や舌、体幹まで青紫色に見える場合は中心性チアノーゼの可能性があるため、呼吸状態やSpO₂、全身状態を確認し、速やかに医師へ相談します。 高齢者では、基礎疾患や認知機能の影響などにより、呼吸困難などの典型的な症状が目立たないことがあります。特に肺炎などの感染症では、食欲低下や活動性の低下、意識・反応の変化など、非特異的な症状がみられることがあります。 訪問看護では、「いつもの色と違う」「いつもより呼吸が浅い」「会話中に息切れする」など、普段との違いを見逃さないことが大切です。 訪問看護での観察ポイント 訪問時にチアノーゼを疑う色調変化を認めた場合は、チアノーゼの有無だけでなく、全身状態をあわせて観察します。 ① 色調と出現部位 口唇・舌・口腔粘膜 手指・足趾・爪床 色調変化が始まった時期 普段との違い 持続しているか、変化しているか ② 呼吸 呼吸数 呼吸の深さ・パターン 息苦しさ 会話時の息切れ 咳・痰 SpO₂ ③ 循環 脈拍 血圧 手足の冷感 胸痛・動悸など 浮腫など ④ 全身状態 意識状態 体温 食事・水分摂取量 ADLや普段との違い ⑤ 治療状況 酸素療法の有無 酸素機器・チューブの状態 医師からの指示内容 SpO₂を測る場合は、手指の冷え、マニキュア、体動、末梢循環の低下などで正確に測れないことがあります。値だけで判断せず、呼吸状態や顔色、意識状態もあわせて確認しましょう。 記録する場合は、以下のように具体的に書くと共有しやすくなります。 「訪問時、口唇に軽度の青紫色あり。SpO₂ 90〜92%で推移。呼吸数24回/分。会話時に息切れあり。発熱なし。普段はSpO₂ 95%前後。」 「両手指にチアノーゼ様の色調あり。手指冷感あり。口唇色は普段と大きな変化なし。温罨法後、手指色は改善傾向。SpO₂ 96%。」 このように、色の変化とその部位、呼吸状態、SpO₂、普段との差をセットで記録することが大切です。 緊急性のアセスメントと対応 チアノーゼを認めたときは、色調だけではなく、気道・呼吸・循環・意識状態を確認し、緊急性をアセスメントします。 特に注意したいのは、次のような状態です。 急に口唇や舌が青紫色になった 息苦しさがある 呼吸が速い、または浅い 発熱がある SpO₂が普段より低い 意識状態が変化している 呼びかけへの反応が弱い 胸痛を伴っている 強い動悸がある 顔色が悪い 乳幼児で哺乳が悪い 酸素投与中でも状態が改善しない これらの所見がある場合は、利用者さんの状態に応じて主治医への連絡や救急要請など、速やかな対応を検討します。 一方、寒さで手足の先だけが青紫色になり、温めると改善する場合もあります。ただし、繰り返す場合や、痛み、しびれ、皮膚の変色が続く場合は、血流の問題が隠れていることもあるため、医師へ相談しましょう。 医師へ報告するときの内容 チアノーゼがある場合は、色の変化だけでなく、呼吸や循環の状態を整理して報告します。 報告時には、以下の内容をまとめます。 いつからチアノーゼがあるか どの部位が青紫色に見えるか 口唇や舌の色の変化 SpO₂の値と普段の値 呼吸数 脈拍 血圧 体温 意識状態 息苦しさの有無 胸痛の有無 咳や痰の状態 酸素療法の有無 体位変換や安静による改善の有無 既往歴 服薬状況 報告例としては、以下のように整理できます。 「本日10時ごろから口唇にチアノーゼを認めています。SpO₂は90〜92%で、普段は96〜98%です。呼吸数28回/分、脈拍110回/分、会話時の息切れと痰の増加があります。体温37.8℃です。現在安静を保ち観察しています。受診・酸素投与などについて指示をお願いします。」 このように、普段の値との差、呼吸状態、全身状態を具体的に伝えることで、医師が緊急性を判断しやすくなります。 日常管理で確認しておきたいこと チアノーゼは病名ではなく、呼吸・循環などの状態変化に伴ってみられる徴候です。 日常ケアでは、以下を確認しておきます。 普段のSpO₂ 普段の呼吸数 在宅酸素療法(HOT)の設定・医師の指示 急変時の連絡先 どの状態で主治医へ連絡するか どの状態で救急要請するか 呼吸器疾患や心疾患がある利用者さんでは、SpO₂だけでなく、呼吸状態、浮腫、体重変化、痰の量、発熱、活動性などの変化も継続して確認します。 「普段の状態」を把握しておくことで、訪問時の小さな変化にも気づきやすくなります。 まとめ 皮膚や口唇、爪床が青紫色に見えるときは、血液の酸素化低下や末梢の血流低下などが背景にあることがあります。 手足の先だけが青紫色で、温めると改善する場合もありますが、口唇や舌が青紫色になる、息苦しさがある、SpO₂が低い、意識がぼんやりしている場合は注意が必要です。 訪問看護では、チアノーゼの有無だけでなく、呼吸数、SpO₂、脈拍、血圧、意識状態、普段との差をあわせて観察します。利用者さんの状態に応じて、主治医への連絡や救急要請を含めた速やかな対応を検討しましょう。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】 MSDマニュアル家庭版:「チアノーゼ」.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/07-%E8%82%BA%E3%81%A8%E6%B0%97%E9%81%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%82%BA%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6/%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%BC,2026/10/5閲覧 MedlinePlus:「Blue discoloration of the skin」.https://medlineplus.gov/ency/article/003215.htm,2026/10/5閲覧 MedlinePlus:「Recognizing medical emergencies」.https://medlineplus.gov/ency/article/001927.htm,2026/10/5閲覧 MSDマニュアル家庭版:「肢端チアノーゼ」.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/06-%E5%BF%83%E8%87%93%E3%81%A8%E8%A1%80%E7%AE%A1%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E5%8B%95%E8%84%88%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%82%A2%E7%AB%AF%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%BC,2026/10/5閲覧 日本小児循環器学会:「チアノーゼについて」(立野滋,日小循誌 2015;31(3):95-101).https://jpccs.jp/10.9794/jspccs.31.95/data/index.html2026/10/5閲覧 Pahal P, Goyal A:「Cyanosis」.StatPearls.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK559167/2026/10/5閲覧 MSDマニュアル プロフェッショナル版:「肺症状を有する患者の評価」.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/pulmonary-disorders/approach-to-the-pulmonary-patient/evaluation-of-the-patient-with-pulmonary-issues2026/10/5閲覧 U.S. Food and Drug Administration:「Pulse Oximeters」.https://www.fda.gov/medical-devices/products-and-medical-procedures/pulse-oximeters2026/10/5閲覧 Resuscitation Council UK:「The ABCDE Approach」.https://www.resus.org.uk/library/abcde-approach2026/10/5閲覧 MedlinePlus:「Hypoplastic left heart 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寒冷蕁麻疹(寒暖差アレルギー)とは?症状・原因・治療法・予防法を解説
寒冷蕁麻疹(寒暖差アレルギー)とは?症状・原因・治療法・予防法を解説
特集
2024年12月17日
2024年12月17日

寒冷蕁麻疹(寒暖差アレルギー)とは?症状・原因・治療法・予防法を解説

寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)は、冷たい風や空気、冷水などの寒冷刺激によって皮膚に発赤やかゆみを伴う膨疹(ぼうしん)が生じる症状です。「寒暖差アレルギー」とも呼ばれ、冬場に多いイメージがありますが、季節を問わず冷えによって発症することがあります。 本記事では、寒冷蕁麻疹の症状や原因、治療法、日常生活でできる予防法について解説します。寒冷蕁麻疹を発見した際のアセスメントにお役立てください。 寒冷蕁麻疹とは 寒冷蕁麻疹は、皮膚に冷たい刺激が加わることで発症するアレルギー反応の一種です。通常の蕁麻疹と同様に、皮膚内の肥満細胞からヒスタミンが放出されることで、かゆみや炎症、膨疹が引き起こされます。膨疹とは一過性の真皮の浮腫で、皮膚の一部が突然、境界明瞭に赤く盛り上がった状態を指します。子どもから高齢者まで年齢を問わずに発症し、好発年齢はありません。 寒冷蕁麻疹の症状 寒冷蕁麻疹の主な症状は、冷たい刺激が加わった直後から数十分以内に皮膚に現れるかゆみや発赤です。数時間で自然に軽減することが多いものの、症状の現れるタイミングや強さには個人差があります。 寒冷蕁麻疹は、次の2つに分類されます。 局所性寒冷蕁麻疹 局所性寒冷蕁麻疹は、冷たいものが触れたところに円形や地図状の膨疹が現れ、通常はかゆみと発赤を伴います。ただし、かゆみがなく発赤が目立つものや、反対に発赤がなくかゆみだけが生じるもの、痛みを伴うものもあります。 全身性寒冷蕁麻疹 全身性寒冷蕁麻疹は、全身が冷えることで小豆大ほどの発赤とかゆみを伴う膨疹が腕や脚、背中、腹部、首まわりなどを中心に全身に現れます。 膨疹の外見は、運動や入浴後に発症するコリン性蕁麻疹と似ているため、見分けがつきにくい場合もあります。 寒冷蕁麻疹の原因 局所性寒冷蕁麻疹は、冷水や冷風などが触れた部位にのみ現れます。一方、全身性寒冷蕁麻疹は、エアコンの効いた部屋に入る、冷たい外気に触れる、運動後や入浴後に体が冷えるなど、全身の急激な冷えがきっかけで発症します。暖かい場所から寒い場所へ移動するような急な温度変化によって症状が現れることがよくあります。 どちらのタイプも、寒冷刺激を受けると皮膚の肥満細胞からヒスタミンが大量に放出され、それがかゆみや膨疹を引き起こす点に違いはありません。ヒスタミンの分泌メカニズムについては未だ解明されていませんが、アレルギー反応や免疫系の異常が関与していると考えられています。なお、全身性寒冷蕁麻疹の中には、遺伝的な要因によるものも報告されています。 寒冷蕁麻疹の予防策 寒冷蕁麻疹は、次のように予防しましょう。 温める 寒冷蕁麻疹は、温めることで症状が緩和される場合が多いため、冷やさない工夫が重要です。症状が出やすい部分は重ね着をして、暖かい部屋で全身を温めましょう。冷たい空気や風に長時間さらされないよう、外出時も防寒対策を徹底することが大切です。 掻きむしりによる悪化を防ぐ 強いかゆみを感じると掻きむしってしまいがちですが、それによって症状が広がったり、蕁麻疹が悪化したりするため注意が必要です。抗ヒスタミン作用のある市販の塗り薬や内服薬を利用することで症状が和らぐことがあります。また、潤いを保つために保湿剤を使用することで肌のバリア機能が高まり、蕁麻疹が出にくくなります。そのため、皮膚を日常的にケアすることも大切です。 ただし、かゆみが強く再発を繰り返す、症状がなかなか治まらない場合は、自己判断せず早めに皮膚科を受診しましょう。 冷えを避けるための日常の工夫 寒冷蕁麻疹を予防するためには、日常生活での冷え対策が重要です。寒暖差が原因となるため、気温の低い場所に行く際はしっかりと防寒対策を行いましょう。冬場だけでなく夏場も注意が必要です。たとえば、プールや入浴のあとにエアコンが効いた部屋に行くと、体が急激に冷えて寒冷蕁麻疹の原因となることがあります。 また、冷たい飲み物や食べ物は体を冷やすため、少量ずつ摂取し、体が冷えすぎないようにしましょう。足もとの冷えも寒冷蕁麻疹を悪化させる要因です。足もとが冷えやすい方は、厚手の靴下やスリッパなどを履きましょう。 寒冷蕁麻疹の治療法 寒冷蕁麻疹の治療では、原因となる寒冷刺激を避けることが基本です。症状が軽い場合でも、再発を防ぐために冷えを避けた生活を心がけることが重要です。症状が出た場合には、抗ヒスタミン薬を内服することで、かゆみや発赤を緩和できます。 皮膚科では、発症時の状況を詳しく問診し、必要に応じて寒冷負荷試験や血液検査を行い、寒冷蕁麻疹かどうかを診断します。また、息苦しさやむくみといった重篤な症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。 抗ヒスタミン薬を継続的に内服し、症状をコントロールする場合もあります。寒冷蕁麻疹は内科的な病気が関与していることもあるため、長期化する場合や改善が見られない場合には医師に相談し、適切な診断・治療を受けることが大切です。 * * * 寒冷蕁麻疹は、訪問看護の現場でも利用者さんが症状を訴えることがあるかもしれません。家庭環境や症状が現れたタイミングなどを聞き取りして、適切な対策方法を伝えましょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:吉岡 容子医療法人容紘会 高梨医院 院長東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。

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幸せホルモンを増やす方法 セロトニン・オキシトシン・ドーパミン
幸せホルモンを増やす方法 セロトニン・オキシトシン・ドーパミン
特集
2024年8月20日
2024年8月20日

幸せホルモンを増やす方法とは セロトニン・オキシトシン・ドーパミンなど

最近メディアやニュースでも取り上げられる「幸せホルモン」。幸せホルモンが正常に働くことにより、心と体のバランスを安定させ、幸せを感じやすくするといわれています。 本記事では、幸せホルモンの意味や種類、高齢者に不足しがちなセロトニンの分泌を活性化させる方法について解説します。幸せホルモンは誤解されやすい部分もあるため、利用者さんに正しい情報を提供できるようにしておきましょう。 幸せホルモンとは 一般的にいわれている幸せホルモンとは、セロトニンやオキシトシンといった神経伝達物質のことを指します。適切な量が分泌されることによって、心身の安定や幸福感などがもたらされるため、幸せホルモンと呼ばれています。 幸せホルモンの種類 幸せホルモンと呼ばれているのは、主に次の4つです。 セロトニン セロトニンは脳内の神経伝達物質の1つで、主に大脳基底核や延髄の縫線核、視床下部などに存在しています。セロトニンには、快感や喜びに関係するドーパミンや不安や恐怖に影響するノルアドレナリンといった神経伝達物質の分泌をコントロールし、脳内の興奮を鎮めて精神を安定させる働きがあります。セロトニンの分泌が低下すると、疲労感やイライラ、不安や恐怖などの慢性的ストレスを感じやすくなり、うつ症状や不眠、パニック症などが現れることがあります。セロトニンが十分に分泌されている状態を保つことで、これらの精神症状を抑えることが可能です。 オキシトシン オキシトシンは、脳の視床下部から分泌される神経伝達物質の1つです。妊娠・出産時に多く分泌されるホルモンとして知られていますが、信頼感や共感性を高めるだけでなく、不安や恐怖の緩和にも関与しています。人との抱擁・手をつなぐなどのスキンシップや親しい人との会話によって老若男女問わず、脳内で分泌されることが分かっています。 ドーパミン ドーパミンは、快楽を感じる脳内報酬系を活性化させる神経伝達物質です。アルコールや麻薬など依存性があるものの多くはドーパミンの分泌を活性化させることで快楽をもたらすといわれています。 エンドルフィン エンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれ、気分の高揚や幸福感、鎮痛作用などをもたらす神経伝達物質で、α(アルファ)とβ(ベータ)、γ(ガンマ)に分類されます。なかでもβ-エンドルフィンは、痛みを抑えるモルヒネの数倍から数十倍の鎮痛作用があるといわれています。 幸せホルモンは高齢者にも効果はある? 幸せホルモンといえば、身体活動が活発な若年層や中年層に注目されることが多いものですが、高齢者にも効果が期待できます。セロトニンやドーパミン、エンドルフィンなどは、どれも年齢を問わず分泌されており、精神の安定や幸福感などに関与しています。 高齢者は外出機会の減少により日光を浴びることが少なくなったり、閉経により女性ホルモンが減少したりすることで、セロトニンが不足しがちです。その結果、ストレスを感じやすくなり、イライラや恐怖など、さまざまなネガティブな感情がわき起こるようになります。 さらに、意欲や集中力が低下するため、外出しなくなったり趣味を楽しめなくなったりすることもあるでしょう。結果的にうつや認知症にもつながる可能性があるため、高齢者こそ幸せホルモンの分泌が活性化されるような行動を心がけることが大切です。 高齢者に不足しがちなセロトニン 幸せホルモンのなかでも高齢者に不足しがちなセロトニンは、生活習慣の工夫によって分泌を促すことができます。高齢者でもできるセロトニンの分泌を活性化させる方法を3つ紹介します。 外出 外出の際に日光を浴びることで、セロトニンの分泌量が増えます。また、友人や家族と外出する場合は、コミュニケーションによってオキシトシンの分泌も促されるため、なるべく複数人で外出すると良いでしょう。公園を散歩する、友人とランチに出かける、地域のイベントに参加するなど、さまざまな方法を取り入れましょう。 適度な運動 適度な運動もセロトニンの分泌を促します。ウォーキング、ストレッチなどの適度な運動は、体力や筋力の維持にもつながるため、高齢者こそ習慣づけたいところでしょう。 アミノ酸を十分にとる セロトニンの材料となる必須アミノ酸であるトリプトファンを多く含む食品を摂取することが大切です。たとえば、チーズやヨーグルトなどの乳製品、大豆製品、魚介類や肉、卵などがあります。高齢者はタンパク質の摂取不足な傾向があることから、より意識的にこれらの食品を取り入れることが大切です。ただし、タンパク質を多く摂りすぎると、結果的に塩分や脂質の過剰摂取につながりやすいため、野菜や果物などとのバランスも考慮して日々の献立を決めましょう。 * * * 年齢にかかわらず、外出や運動、栄養のバランスを考えた食事などを日常生活に取り入れることで、幸せホルモンの分泌を促しましょう。心身の健康を維持し、豊かな人生を送るためにも幸せホルモンについて知っておくことが大切です。訪問看護の際に幸せホルモンについて質問された際は、正しい知識をもってアドバイスしましょう。   編集・執筆:加藤 良大監修:豊田 早苗とよだクリニック院長鳥取大学卒業後、JA厚生連に勤務し、総合診療医として医療機関の少ない過疎地等にくらす住民の健康をサポート。2005年とよだクリニックを開業し院長に。患者さんに寄り添い、じっくりと話を聞きながら、患者さん一人ひとりに合わせた診療を行っている。 【参考】〇H H Loh, L F Tseng, E Wei, and C H Li:beta-endorphin is a potent analgesic agent. 1976 Aug; 73(8): 2895–2898.〇厚生労働省.e-ヘルスネット「セロトニン(せろとにん)」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html2024/8/8閲覧

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