インタビュー

地域の強みを活かし合う「見える事例検討会」とは

地域全体の底上げをするため、のばなでは「見える事例検討会」を実施しています。実際にどんな人が参加して、どのように行われているのでしょうか。引き続き、冨田さんにお話を伺いました。

見えることで伝わる思い

ー見える事例検討会をはじめたきっかけを教えてください。
冨田:
病床数が減ってスムーズに入院できないこともある中で、在宅生活をどう支えていくかに強く課題を感じていました。そこで必要だと思ったのが、多職種で知恵を共有し連携を図ることです。
どんな方法がいいか試行錯誤した結果、「見える事例検討会」に辿り着きました。
どんな試行錯誤をされたんですか?
冨田:
これまでは自分たちの活動や思いを可視化できる機会がありませんでした。それが劇場型というか、勉強会という形で「見える」ようにしたことで自分たちの思いが伝わるようになりました。
名刺交換をしたらネットワーク広がった気になることもありますが、名刺交換した人がどういう思いで利用者さんと関わっているかを知る機会はなかなかありません。それが、ひとつの事例を通していろんな意見を出していくと見えてくるんです。
名刺交換のお話、確かに!と思いました。参加されている方の反応はいかがですか?
冨田:
お互いの考えが見える場所として、同じように実感してくれているようです。
見える事例検討会の目的は「援助技術の向上」「事例の課題解決」「ネットワークの構築」です。参加者は医師、看護師、そのほかの医療従事者、ボランティア、民生委員、お寺の住職、行政の方なんかも来ますが、一番多いのは、訪問看護ステーションさんですね。
お寺の住職さんまでとは幅広いですね。訪問看護ステーションにとってはどのようなメリットがあると感じますか?
冨田:参加者が自分たちの意見を出すことにより、福祉関係者や行政の人たちから「この訪問看護ステーションは、こういう考えでやっているのか」と認識してもらえます。まず知ってもらうことで、次の関係に進んでいくことができると思いますね。

多職種の強みと弱みを生かせる地域へ

見える事例検討会は具体的にどのように実施されているのでしょうか?
冨田:
検討会は「見え検マップ」というマインドマップを中心に進行しています。まずAさんという方に関して病気、家族構成、生活状況、課題などの事例を提供されます。参加者が「ここはどうですか?」など質問をして、答えられた情報をマップに追記していく流れです。

ホワイトボードに書き足していくことで全体像が視覚的に見えるようになります。そして、事例に関わっている方が見落としていた部分や自分たちの強みにも気付くことができます。

具体的にどんな気づきがあるのか、聞かせてください。
冨田:
例えば、看護師さんが参加されていると質問内容は薬や持病など医療的なものがどうしても多くなりがちです。一方、ケアマネジャーさんなど他の職種からは地域住民との関わり、経済状況などについての質問が上がってきます。
専門と専門外のように「強みと弱み」を補っていけるような知恵の共有ができていきます。お互いに「ここは協力しなければ」という気持ちになりますね。
自分と違う職種の人がいるからこそ、気づけることがあるんですね。
冨田:
はい。他にも、権利擁護の使い方が分からなかったケアマネジャーさんに士業の方がアドバイスできたこともありました。地域包括支援センターの方が地域の社会資源を知り、ないものは行政としてどう作っていくか、考える材料として持ち帰ることもあります。
見える事例検討会は今後の目標などはありますか?
冨田:
地域力の底上げのためにファシリテートしていければと思っています。
実は見える事例検討会の発祥は横浜なんです。医師と社会福祉士の方が立ち上げ、その方々から研修を受けました。現在は日本全国に見え検トレーナーの養成講座を受けた方がいて、地域ごとに行われています。
冨田さんは何年前から、見える事例検討会をやられているんですか?
冨田:
僕たちが見える事例検討会を始めたのは2014年です。開催回数も80回を超えました。在宅を軸に働かれている多職種の方や看護学生の間でもスタンダードになるまで続けていきたいと思っています。

野花ヘルスプロモート代表取締役
冨田昌秀

祖母が看護師だった影響を受けて自身も看護師に。病棟での看護に違和感があり、介護保険施行のタイミングで起業を決意。代表を務める野花ヘルスプロモートは認知症ケアに注力しており、大阪府岸和田市にてケアプランセンター、デイサービス、訪問介護、訪問看護、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームを運営。
地域で活躍する訪問看護ステーションについてもっと知りたい方は、こちらの特集記事をご覧ください。
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