インタビュー

全国に拡大中!地域を支える『みま~も』とは?

前回、地域を「面」で支えるしくみを作るために「地域ささえあいセンター」が立ちあがったと伺いました。その活動の一つに『みま~も』があります。
ほかの地域からも「真似したい!」と言われる取り組みとはどんなものか、澤登さんに伺いました。

『みま~も』の活動

澤登:
3つの主な活動として「地域づくりセミナー」、「SOS『みま~も』キーホルダー登録システム」、「『みま~も』ステーション」があります。

地域づくりセミナー

澤登:
こちらは地域に暮らす人たちに向けて毎月セミナーを開催していて、毎回130人を超える地域住民の方が参加してくれています。
活動資金は賛同してくださる企業や病院、事業所、クリニックなどから協賛という形で募っています。また専門職が多いネットワークなので、セミナー講師を引き受ける形で支援していただくこともあります。

SOS『みま~も』キーホルダー登録システム

澤登:
こちらはその方の個人番号、暮らすエリアや地域包括支援センターの電話番号が記載されたキーホルダーを配布する活動です。例えば、認知症の方が徘徊して警察に保護されたケースなどで、身元確認をするのに役に立ちます。
今、大田区では65歳以上が16万人いる中で、高齢者見守りキーホルダーの登録者が5万人います。多くの方の外出時の安心につながっていると思います。
また、この取り組みは大田区だけでなく全国に広がっていて、私が把握する限りですけど、50の自治体で導入しているそうです。

『みま~も』ステーション

澤登:
こちらは商店街の空き店舗に活動拠点を作り、さまざまなプログラムを提供する場所として利用しています。元々は、商店街として場所は余っているけれど、どの店主も80~90歳と高齢の方が多く、サービス業などをやる余力がないという状況がありました。
そこで私たちがその場所を借りることで、商店街にとってはお客さんが増え、私たちにとっても活動の拠点ができ、商店街を訪れる人たちにとっても買い物がてら、プログラムに参加できる。三者にメリットがある関係を構築することができました。この活動を始めて、今年がちょうど10年目くらいです。

『みま~も』が広がった理由


―『みま~も』ステーションでは、子育て世代から高齢者まで幅広いプログラムが多いですよね。
澤登:
立ち上げたときは高齢者向けで活動を始めましたが、活動を続けていく中で高齢者だけを対象にしてもそれは見守り、支え合いとしては広がっていかないと思ったんです。
若い世代、子どもまですべての世代がこのネットワークに参加することで、本当の意味での見守りができると思います。
また、私たちが大事にしているのは、高齢者の人たちを参加者やお客さんにしないということです。ネットワークの作り手として一緒に入ってもらう、健康でいるための運動はもちろん大事だけど、役割や生きがいも大事にしています。
社会参加、地域とのつながりを持ちながら、自分が必要とされていることを感じられる高齢者を増やしていく。
例えば、「元気かあさんのミマモリ食堂」というものがありますが、ごはんを作るのは高齢者の「かあさん」たち。この食堂は地域の中で、ご飯を食べながら何気ないおしゃべりができる心がほっこりする場所になっています。たまに若い「かあさん」が参加したときに、先輩「かあさん」たちが温かい声をかけている光景を見るのも楽しみのひとつです。
―『みま~も』の活動がこんなにも広がっているのは、 なぜでしょうか。
澤登:
活動を続けていく中で、ひとつ自分を褒めてあげたいなと思うのは、「辞めなかったこと」です。
こういった活動というのは継続性が大事だと思います。最初は様子見でお客さんとして来る人はいるかもしれませんが、何度か参加するなかでいい活動だと思ってくださって、この活動のために自分も協力しようと思えるような、一人ひとりの行動変容につながっていったのではないかと思います。
そしてのれんわけとして、地方版『みま~も』も全国9ヶ所に誕生しています。地域によって課題は異なるため、同じ活動をするというのは難しいと思いますが、協賛の街づくりをしたいということであれば、ノウハウなどを提供するようにしています。
牧田総合病院 地域ささえあいセンター
センター長
澤登久雄
大学時代、児童演劇に夢中になり、舞台芸術を提供する地域の団体職員として8年勤務。結婚し、子供ができたことをきっかけにデイサービスに就職。介護福祉士・ケアマネージャー・社会福祉士の資格を取得後、牧田総合病院に入職。病院内に地域ささえあいセンターを立ち上げ、センター長として地域貢献に尽力している。

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