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元気をもらえるエピソード【つたえたい訪問看護の話】第3回vol07

元気をもらえるエピソード【つたえたい訪問看護の話】

訪問看護の現場では、疾患や障害などがある中でも懸命に前向きに生きる利用者さんがたくさんいます。「みんなの訪問看護アワード2025」に投稿されたエピソードから、利用者さんの前向きな姿勢に力を分けてもらえるエピソードをご紹介します。

「彼女が教えてくれた『手当て』」

末期乳がんの彼女は、自然療法で治すという固い意思を持ち、激痛の時には「薬よりも人の温もりだよ」と語った彼女のエピソード。

「息を引き取られたそうです」
クリニックからの電話に言葉が出なかった。というのも、彼女は数年前に末期の乳がんで余命宣告をされたにもかかわらず、何度となく山を乗り越えてきたため、なんとなく絶対死なないような気がしていたからだ。彼女はとても強い方だった。「自然療法で治す」という固い意思を持っていたので、腫瘍から膿が出ようが、リンパ漏で下半身がビショビショになろうが、薬は一切使わなかった。一方で、どんなに体調が悪くても自分でできるリハビリを考え、常に身体を動かし、歌を歌い、いつも笑っていた。
痛みや高熱も身体の必然の反応として受け止め、自然に治していく姿を見ていると「薬って本当に必要?」とさえ感じた。それでも激痛に震える彼女を前にすると「薬を使えば楽にしてあげられるのに…」と看護師として何もできないジレンマで辛くなることもあった。しかし彼女はそんな時には決まって「手当て」を希望されたのだ。看護の原点ともいえる「手当て」。「あなたが触ってくれるだけで楽になる。薬よりも人の温もりだよ」という彼女の言葉は、学生時代に学んだナイチンゲールの教えを彷彿とさせた。浮腫んだ身体にゆっくり手を沈めていく感触。「ああ、気持ちいい」と静かにつぶやいていた彼女の声。
彼女の選択が正しかったのかは分からない。正直、もっと違う選択もあったのではないかとさえ感じる。それでも彼女が信じた治療に寄り添えたこと。それは間違いではなかったと感じている。

2024年10月投稿

利用者さんの前向きな姿勢や人生の歩みは、関わる訪問看護師だけでなく読者にまで元気や力を与えてくれます。あらためて、訪問看護師と利用者さんの関係は共鳴するのだと考えさせられます。

編集: NsPace編集部

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