インタビュー

地域に選ばれる訪問看護ステーションになる

新規開業した訪問看護ステーションの中には、利用者がなかなか獲得できないステーションもあります。地域ささえあいセンターから見た、頼みたくなるステーションには、どんな特徴があるのでしょうか。引き続き、澤登さんにお話を伺います。 

依頼したいステーションの特徴

澤登:
訪問看護ステーションの中には、小児や認知症などに特化しているところもあります。その部分のケアが重点的に必要であれば、こういったステーションに連絡を取ることもあると思います。
しかし、在宅で看ていくと考えた時には、さまざまな多職種連携やサービスによって、その人が地域で暮らしていけるよう支えていくわけです。
その視点からいうと、地域の多職種の方、あるいは多職種連携のコーディネーターとなるような方と顔の見える関係づくりができている訪問看護ステーションは依頼しやすいというのはあります。
―地域の方と信頼関係を築いていくにあたり、訪問看護ステーションが具体的に取り組むべきことは何でしょうか。
澤登:
信頼関係って抽象的で難しいですが、生活を支えるという具体的な作業を通して、徐々にできてくるものだと思います。
管理者さんなどステーションと地域をつなげる役割の人が、自分たちのステーションがどんなことを大事にしているのか、看護の専門職として何ができるかなどを、多職種の方に明確に伝えていくことが大切だと思います。
例えば、『みま~も』でもデイサービスやデイケアで働く理学療法士さんたちが商店街裏の公園で、元気な人たちを対象にした体操を毎週やってくれているんです。当然ながら、これは本来の仕事ではありませんが、こういう取り組みをしている事業所は地域から信頼され、地域に根差していると感じます。 

地域に入り込む方法


―例えば、立ち上げたばかりのステーションなどは、どのように多職種のネットワークに入っていけば良いと思われますか?
澤登:
どこの地域でも多職種が集まる会が、今すごく盛り上がっているなと感じます。そういう場に顔を出していくことが、まず大事だと思います。
その中で、看護師という立場からチームに何が貢献できるか、ほかのサービスの人たちの立場も踏まえることが必要です。
どうしても医療と介護って壁を感じることがある中で、看護師の方から介護に携わる人たちのことを理解しようという姿勢が、関係づくりでも大事だと思います。
―訪問看護師は、どのように地域に関わっていけば良いと思いますか。
澤登:
専門職が地域に出ていき、元気なころから地域住民に関わることによって、その方が健康でいる時期を長くするためにさまざまなことができます。
そのため通常の訪問看護のように、元気がなくなってしまってから関わるのではなく、もっと早くに地域に出て、関わっていくことも必要だと思います。
元気なころから訪問看護ステーションの看護師が関わっていれば、利用者さんとしても安心できるし、例えば看取りの時期も本人自身では思いを表出できなくなったとしても、その方の生き方を支えていけると思うんです。
また、訪問看護師さんも管理職か現場の方かにもよりますが、毎日毎日、時間単位のケアに追われる仕事をしていたら、いつか力尽きてしまうかもしれません。
そんな時も、利用者の方たちが元気だったころをイメージすると、がんばろうと思える、地域に支えられる面もあると思います。 

牧田総合病院 地域ささえあいセンター
センター長
澤登久雄
大学時代、児童演劇に夢中になり、舞台芸術を提供する地域の団体職員として8年勤務。結婚し、子供ができたことをきっかけにデイサービスに就職。介護福祉士・ケアマネージャー・社会福祉士の資格を取得後、牧田総合病院に入職。病院内に地域ささえあいセンターを立ち上げ、センター長として地域貢献に尽力している。
地域で活躍する訪問看護ステーションについてもっと知りたい方は、こちらの特集記事をご覧ください。

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