インタビュー

大規模化と多角化で、安定した経営を実現

訪問看護ステーションは小規模の事業所が多く、その多くが赤字で、大規模になるにつれて黒字化していることがわかっています。
ケアプロ株式会社では、事業の多角化とステーションの大規模化で持続性のあるモデルを実現しています。代表取締役の川添さんに、ケアプロの戦略を伺いました。

ステーションの大規模化


ーケアプロ株式会社では、大規模ステーションを展開していると伺いました。
川添:
国の政策として、機能強化型訪問看護ステーションの認定を受けていると報酬が多くつくなど、規模が大きい事業所を優遇する流れがあります。
実は創業当初はどんどん店舗を増やす予定でしたが、1ヶ所で大きな店舗を構える大規模化戦略に切り替えていきました。現在は、

常勤換算看護師・セラピスト数30名以上の人員基準

居宅介護支援事業所併設など機能強化型訪問看護管理療養費1の条件を満たしたステーション
を造語として「総合訪問看護ステーション」と呼び、実現を目指して拡大しています。
ー総合訪問看護ステーションには、どんなメリットがあると感じていますか?
川添:
疾患・病期・年齢の異なる、さまざまな利用者様を受け入れられるようになりました。
また、小規模のステーションで24時間365日、休祝日、夜間問わず対応をすると、1人のスタッフが休んだときの影響も大きく、スタッフのワークライフバランスが崩れてしまいますよね。一方、スタッフが多くいれば、リソースをコントロールでき、サービスの持続性を持って提供する訪問看護ステーションのモデルを作れると思っています。
スタッフの働き方においても、新卒から中堅、ベテランまでさまざまなスタッフが働くことができ、キャリアアップ、家庭との両立、ダブルワークなど多様なキャリアのスタッフが働くことができるようになったこともメリットだと感じています。

事業の多角化


ーケアプロ株式会社では、ステーション経営以外にも、多角的に事業展開していると伺いました。
川添:
事業としては始めた順に、予防医療事業、在宅医療事業、交通医療事業の3つを展開しています。ステーション経営は在宅医療事業の一環です。

予防医療事業

1年以上健診を受けていない3,600万人に対する生活習慣病予防、日本全体の医療費の抑制をミッションに掲げています。
事業内容は、セルフ健康チェックサービスです。47都道府県に看護師、保健師、管理栄養士、臨床検査技師が出張して血糖値やコレステロール、肝機能、骨密度などをその場で測定します。以前は一回500円など有料で展開していましたが、現在はスーパーマーケットなどにスポンサーになってもらい、無料でサービスを提供しています。年間1万人くらいの方に私たちの健診を受けていただいていますね。

交通医療事業

交通弱者のための外出支援マッチングサービスと、サッカーの救護手配を中心とする「サッカーナース」をやっています。特に交通医療事業は立ち上がったばかりなので、投資する観点でいうと今一番力を入れているところです。

予防医療事業から在宅医療事業に展開

川添:
東日本大震災のボランティアとして健診や健康相談を行う機会があり、仮設住宅で孤独死が増えている現状を目の当たりにしました。
病床数や在院日数を減らしても在宅での受け皿が十分でない状況で、このままいくと、日本中で、病院でも在宅でも看られない孤独死のような形が出てきてしまうだろうと思いました。
そうした状況をちょっとでも変えていきたいと思ったのが、訪問看護事業に取り組んだ経緯です。
立ち上げ当初は看取りや孤独死の課題に取り組んでいましたが、今ではもう少し広いところで「在宅医療の課題を解決し、”私らしくいきたい”を支える社会を創造する」をミッションとして取り組んでいます。

ケアプロ株式会社 代表取締役
川添高志
幼少期に入退院を繰り返す中で、「当たり前の健康」の大切さを実感するとともに、病や障害があってもよりよく生きていくことを支える看護に、大きな価値を感じる。
看護学生時代、足を切断する糖尿病患者に出会い、予防医療が十分行き届いていない現状に問題意識を感じる。ケアプロ株式会社を起業後、2012年より在宅医療事業部を立ち上げ、訪問看護に参入。
ケアプロ株式会社
「革新的なヘルスケアサービスをプロデュースし、健康的な社会づくりに貢献する」をミッションに2007年12月創立。直営で2店舗の訪問看護ステーションを運営するとともに、予防医療事業、在宅医療事業、交通医療事業の3事業を展開している。(2020年12月現在)

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