ステーション運営に関する記事

訪問看護ステーションの立ち上げで失敗しやすいポイントと対策
訪問看護ステーションの立ち上げで失敗しやすいポイントと対策
コラム
2026年7月28日
2026年7月28日

訪問看護ステーションの立ち上げで失敗しやすいポイントと対策

訪問看護ステーションの立ち上げに向け、入念に準備をしていても、開業後に思わぬ壁にぶつかることがあります。たとえば、利用者が集まらない・資金が底をつく・スタッフが離職するといった状況は、よく見られるケースです。こうした状況を事前に知っておくと、先まわりして対策を立てやすくなるでしょう。 そこで今回は、営業・収益管理・組織運営の3つの観点から、立ち上げで失敗しやすいポイントと対策を詳しく解説します。 営業・集客で陥りやすい落とし穴 訪問看護の営業は、一般的な営業活動とは少し異なります。良いケアだけで利用者が増えるわけではなく、紹介もととの関係づくりや効率的な動き方が欠かせません。この違いを理解した上で、開業時の営業・集客のポイントを抑えましょう。 開業してもすぐには依頼が来るわけではない 訪問看護ステーションを開業後、依頼が来るまでには時間がかかります。訪問看護の場合、利用者が自分で探して申し込むケースは少ないです。ケアマネジャーや病院から紹介を受けて利用が始まることがほとんどです。そのため、紹介もととの関係づくりが重要になります。 対策として、開業前からケアマネジャーや病院への挨拶まわりをすると、早期の利用者獲得につながります。 エリアを広げすぎて訪問効率がさがる 依頼を断りたくないあまりエリアを広げすぎると、移動時間が増え、1日に訪問できる件数が減ります。訪問件数が減れば売上も伸びず、看護師の負担だけが増える状況にもなりかねません。 こうしたリスクを避けるためには、エリアを絞っておくのが大切です。目安として、事業所から車で片道30分以内に訪問できる範囲を意識しましょう。 なお、中山間地域や過疎地域など、地理的な事情でやむを得ず移動距離が伸びてしまうエリアもあります。その場合は、収支計画書に無理がないかをしっかり確認しましょう。 営業活動がおろそかになる 現場が忙しくなると、営業は後回しになりやすいです。気づけば、最後にケアマネジャーに挨拶したのがいつか分からなくなってしまう場合もあります。 これを防ぐには、営業を個人任せにせず、組織全体としてのしくみづくりが大切です。たとえば、ケアマネジャーへの挨拶まわりやチラシの送付などを、誰がいつ担当するか月間スケジュールとして決めておきましょう。 管理者だけが営業を担うのではなく、メンバーも一緒に動く体制づくりが、利用者の安定した獲得につながります。 収益管理で陥りやすい落とし穴 訪問看護の経営では、収益を取りこぼしたり、気づかない間にコストが膨らんでいたりするケースもあります。ここでは、加算の見逃しや人件費負担など、注意すべき点をみていきましょう。 加算の算定漏れ 加算の算定漏れは、大きな機会損失につながります。緊急時訪問看護加算や特別管理加算など、算定要件を満たしているにも拘わらず、説明・同意の不足やレセプトのチェック漏れによって算定していないケースは少なくありません。 この対策として、定期的に加算対象者のリストを確認し、算定漏れを防ぐしくみをつくりましょう。 人件費率の高止まり 訪問看護は人件費の割合が大きく、売上が少しさがるだけで一気に経営が苦しくなりやすい事業です。スタッフごとの訪問件数(稼働率)を定期的に把握し、人件費率を意識した経営管理を行いましょう。 特に、2〜3か月先の稼働率を予測しながら管理していくと、急な資金繰り悪化を防ぎやすくなります。 人材紹介会社への過度な依存 人材紹介会社への過度な依存は、利益を圧迫する要因のひとつです。一般的に、紹介手数料は年収の20〜35%程度かかるため、採用コストが膨らみ、人件費率をさらに押し上げてしまいます。 採用を行う際は、自社サイトやSNS、スタッフからの紹介(リファラル採用)を活用して、コストを抑える工夫が必要です。 報酬改定による収支変化の見込み不足 診療報酬・介護報酬は、2〜3年ごとに改定されます。そのたびに収益構造が変わるため、改定の影響を考えていないと、想定していた売上や人員計画が崩れてしまう場合もあります。 とはいえ、改定内容を事前に把握することはできません。そのため、報酬がさがった場合や現状維持の場合など、複数のシナリオを想定しておくとよいでしょう。 組織運営で陥りやすい落とし穴 立ち上げ期はスタッフの人数が少ないため、組織運営について深く考える機会は少ないかもしれません。しかし、スタッフが増えるにつれて、コミュニケーションが複雑になりやすいです。 情報共有が行き届かなくなったり、メンバー間で価値観のズレが生じやすくなったりして、チームの一体感が損なわれるリスクがあります。 経験則として、5〜8名につき1名程度のリーダー候補を早期から育成・配置し、管理者とスタッフの間をつなぐ役割を担わせると、組織が大きくなっても一体感を保ちやすくなります。育成は「いつかやる」では遅く、立ち上げ期から意識的に動くようにしましょう。 まとめ:失敗しやすいポイントを知り、長く続く経営を目指そう 立ち上げの失敗は、準備不足よりも知識不足から来ることが多いです。営業・収益・組織ーーそれぞれの落とし穴を事前に知り、対策を考えておけると、トラブルを未然に防ぎやすくなります。 事業計画はケアプランのように、状況の変化に合わせて更新していくことが大切です。管理者だけでなく組織全体で、気づいたときに修正できるしくみづくりが、長く続く経営の基盤となるでしょう。 監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。そのほか、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

熱中症対策義務化とは?職場で必要な対応
熱中症対策義務化とは?職場で必要な対応
特集
2026年7月28日
2026年7月28日

熱中症対策義務化とは?職場で必要な対応

2025年6月1日から、職場における熱中症対策が強化されました。労働安全衛生規則の改正により、熱中症のおそれがある作業を行う事業者には、報告体制の整備、対応手順の作成、関係者への周知が義務付けられています。訪問看護の現場でも、夏場の移動、屋外での待機、空調が十分でない居宅でのケアなど、熱中症リスクが高まる場面があります。この記事では、熱中症対策義務化の概要と、訪問看護ステーションで確認したい対応ポイントを解説します。 熱中症対策義務化とは 熱中症対策義務化とは、職場で熱中症のおそれがある作業を行う場合に、事業者が重症化を防ぐための体制や手順を整えることを義務付けたものです。厚生労働省の資料では、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、状況に応じて迅速かつ適切に対応するため、「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業者に義務付けられたと説明されています。 つまり、単に水分補給を呼びかけるだけではなく、熱中症が疑われる人が出たときに、誰へ報告し、誰が判断し、どのように医療機関へつなぐのかを、あらかじめ決めておく必要があります。 対象となる作業 義務化の対象は、熱中症を生ずるおそれのある作業です。具体的には、暑さ指数であるWBGT値が28度以上、または気温31度以上の環境で、連続1時間以上、または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業とされています。 訪問看護では、屋外作業が中心ではなくても、以下のような場面で注意が必要です。 夏場の自転車や徒歩での訪問 炎天下での移動や待機 空調が十分でない居宅でのケア 入浴介助や清拭など、身体的負担が大きいケア 防護具やマスクを着用した状態でのケア 連続訪問で休憩が取りにくい勤務 室内であっても、温度や湿度が高い場合は熱中症のリスクがあります。「屋外ではないから大丈夫」と考えず、訪問先や移動中の環境も含めて確認することが大切です。 事業者に求められる3つの対応 報告体制を整備する まず必要なのは、熱中症の自覚症状があるスタッフや、熱中症のおそれがあるスタッフを見つけた人が、すぐに報告できる体制を作ることです。 たとえば、以下のような内容を決めておきます。 報告先の担当者 報告する連絡手段 担当者が不在の場合の連絡先 訪問中に症状が出た場合の連絡方法 直行直帰時の報告ルール 訪問看護では、スタッフが1人で移動し、1人で利用者さん宅を訪問する場面が多くあります。そのため、事務所内だけでなく、外出中でもすぐに連絡できる体制を整えることが重要です。 対応手順を作成する 次に、熱中症が疑われる場合の対応手順を作成します。環境省の資料でも、熱中症のおそれがある作業者を把握した場合に、迅速かつ的確な判断ができるよう、必要な措置の内容や実施手順を定めることが求められています。 手順には、以下のような内容を含めるとよいでしょう。 涼しい場所へ移動する 衣服をゆるめる 水分・塩分を補給する 体を冷やす 意識状態を確認する 改善しない場合は医療機関へ相談する 意識障害がある場合はためらわずに救急要請をする 特に、意識がぼんやりしている、受け答えがおかしい、自力で水分を取れない、症状が改善しないといった場合は、早急な対応が必要です。 関係者へ周知する 体制や手順を作成しても、スタッフが内容を知らなければ現場で使えません。そのため、作成したルールを関係者へ周知することも義務化の重要なポイントです。厚生労働省は、報告体制や対応手順をあらかじめ定め、関係作業者に周知することを求めています。 周知方法としては、以下が考えられます。 朝礼やミーティングで共有する マニュアルに記載する 事務所内に掲示する チャットツールで共有する 訪問バッグに対応フローを入れる 新人研修や夏前の研修で説明する 訪問看護では、常勤スタッフだけでなく、非常勤スタッフやオンコール担当者にも同じ情報が伝わるようにすることが大切です。 訪問看護で確認したい熱中症対策 訪問看護ステーションでは、スタッフ自身の熱中症対策と、利用者さんの熱中症予防の両方を考える必要があります。 スタッフ向けには、訪問スケジュールの調整、休憩時間の確保、飲料の携帯、移動手段の見直し、暑さ指数の確認などが有効です。環境省が提供する暑さ指数の情報も、日々の判断に役立ちます。厚生労働省の職場における熱中症予防情報では、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」など、職場での熱中症予防に関する情報が掲載されています。 利用者さんについては、室温、湿度、水分摂取量、尿量、食事量、発汗、意識状態などを観察します。高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくいことがあり、エアコンを使わずに過ごしている場合もあります。訪問時には、室温だけでなく、生活環境や家族のサポート状況も確認しましょう。 記録・報告のポイント 熱中症の疑いがある場合は、症状だけでなく、発生した状況も記録します。 たとえば、以下のように整理します。「13時ごろ、訪問移動後に頭痛と強い倦怠感あり。気温32度。水分摂取は午前中に約300mL。事務所へ報告し、涼しい場所で休憩。水分・塩分補給後もふらつきが残るため、管理者判断で受診を調整。」 利用者さんの場合は、以下のように記録します。「訪問時、室温30度、エアコン未使用。発汗あり、口渇の訴えあり。尿量は昨日より少ないとのこと。意識レベルは普段と変わりなく、食事と水分は経口摂取できそうと仰っている。水分摂取を促し、また、家族による室温管理と定期的な水分補給の声掛けを依頼した。主治医へ報告。」 「いつ」「どこで」「どのような症状があり」「どのように対応したか」を残すことで、再発予防やチーム内共有にもつながります。 まとめ 熱中症対策義務化により、職場では熱中症のおそれがある作業に対して、報告体制の整備、対応手順の作成、関係者への周知が求められるようになりました。訪問看護では、夏場の移動や空調が十分でない居宅でのケアなど、熱中症リスクが高まる場面があります。スタッフが安全に働ける環境を整えることは、利用者さんへ安定したケアを届けるためにも重要です。 熱中症対策は、個人の注意だけに任せるものではありません。事業所としてルールを整え、スタッフ全員が同じ手順で動けるようにしておくことが、重症化の予防につながります。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】● 厚生労働省:「職場における熱中症対策の強化について」.https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf,2026/5/30閲覧● 厚生労働省:「職場における熱中症予防情報」.https://neccyusho.mhlw.go.jp/,2026/5/30閲覧● 富山労働局:「職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行)」.https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/news_topics/oshirase/0706nechushokyoka.html,2026/5/30閲覧● 鹿児島労働局:「職場における熱中症対策の強化について」.https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/nettyusyou/2025-0418-7.html,2026/5/30閲覧● 環境省:「熱中症の対処方法(応急処置)」.https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_checksheet.php,2026/7/13閲覧● 厚生労働省:「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html,2026/7/21閲覧

訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント
訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント
コラム
2026年7月7日
2026年7月7日

訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント

訪問看護ステーションの開業を目指すとき、事業計画や人員体制と並んで避けて通れないのが「資金の準備」です。 開業には、初期費用と運転資金を合わせて、1,200〜1,500万円程度が必要な目安とされています。自己資金で足りない分は融資で補うことになるものの、看護師にとって融資は馴染みの薄い世界。「どこに相談すればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか? このコラムでは、融資先の選び方・よくある失敗・動き始めるタイミングについてわかりやすく解説します。 開業時の資金繰りは情報収集が重要 知識がないまま開業準備を進めてしまうと、審査に通らなかったり、開業後に運転資金が底をついたりするケースが起こりえます。融資は「申し込めば通る」ものではなく、事業計画の妥当性や自己資金の割合、申請するタイミングなど、複数の要素が審査に影響します。 「とりあえず動き始めてから考えよう」では、気づいたときには選択肢が狭まっていた——ということにもなりかねません。まずは、融資先の種類や特徴について詳しくみていきましょう。 融資先の特徴と選び方 ひとくちに融資といっても、相談先によって金利や審査のハードルが異なります。 主な融資先とその特徴を比較してみましょう。 主な融資先の比較 融資先金利審査のハードル特徴日本政策金融公庫2~3%台低め・創業実績なしでも可・開業時の第一候補信用金庫・地方銀行2~4%台中程度・地元に根ざした金融機関メガバンク低め高い・創業時は3~5年以上の実績が必要 ※上記に記載した融資の金利はあくまで目安であり、将来的に変更される可能性があります。実際に融資を検討する際は、必ず最新の条件を各金融機関へご確認ください。 開業時の融資は、日本政策金融公庫を第一候補に、信用金庫・地方銀行を併用するのが現実的です。メガバンクは、開業後に実績を積み、大口の資金需要が発生した際に検討する選択肢と考えておきましょう。 また、融資以外の手段として、クラウドファンディングという選択肢もあります。クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。資金調達と認知度向上を同時に狙える方法でもあり、訪問看護ステーションの開業で活用した事例もあります。 資金調達でよくある失敗 資金調達を進めるうえで、開業を考えている看護師が陥りやすい失敗があります。 よくある3つの失敗のパターンをあらかじめ知っておくと、同じ失敗は防ぎやすくなります。 失敗1.自己資金不足のまま融資申請してしまう 自己資金が少ないと、「事業への本気度が低い」と判断されやすく、審査で不利になります。「まず融資を受けてから自己資金を足せばいい」と考える方もいますが、自己資金なしでは融資を受けること自体が難しいのが現実です。開業を意識し始めたタイミングから、計画的に貯め始めておくことが大切です。 失敗2.見積もりの甘さから融資審査が通らない 訪問看護の報酬には、約2ヶ月間の入金タイムラグがあります。4月に提供したサービスの報酬が入金されるのは6月末です。このしくみを資金計画に織り込めていないと、「資金繰りの見通しが甘い」と判断され、融資審査が通らないケースがあります。また見積もりが甘いと、審査を通過できたとしても、開業後に運転資金が底をつくリスクも生じます。収益が安定するまでの6ヶ月分(金額にすると600〜1,000万円程度)の確保が必要です。このように、入金タイムラグを前提とした資金計画を立てておきましょう。 失敗3.助成金・補助金を当てにしてしまう もう一つ注意しておきたいのが、助成金・補助金の扱いです。助成金・補助金は後払いが基本のため、開業直後の資金繰りには使えません。助成金を当てにして資金計画を立ててしまうと、思わぬ資金不足につながる恐れもあります。あくまで「プラスアルファ」として考えておきましょう。 資金調達を始めるタイミング 資金調達は、思い立ったときに始めるのでは遅い場合があります。開業の時期から逆算して、計画的に動き始めましょう。目安となるスケジュールは以下のとおりです。 開業を意識し始めたらすぐ:自己資金を準備する 融資審査では、300〜500万円程度の自己資金があると有利になります。ただし、融資だけでは資金が足りなくなるケースもあるため、できれば1,000万円程度を目標に準備しておくと安心です。開業を意識し始めたら、まず貯蓄から始めましょう。 開業6ヶ月前:日本政策金融公庫に相談する 自己資金の目途が立ってきたら、日本政策金融公庫の窓口に相談しましょう。窓口への相談は無料で、「いくら借りられるか」「どんな書類が必要か」といった基本的な疑問から相談できます。事業計画書のたたき台・資金計画・開業時期の見通しを持参すると、話がスムーズに進みやすくなるでしょう。「まだ準備中だから」とためらわず、早めに足を運んでみてください。 開業3ヶ月前:融資申請・審査 相談の内容が固まってきたら、いよいよ融資申請のステップです。申請から実行までは、1〜2ヶ月かかります。「開業直前に申請すればいい」と後回しにしてしまうと、資金が間に合わなくなるリスクがあります。 このタイミングで動き出せるよう、逆算して準備を進めておきましょう。 また、日本政策金融公庫の融資だけでは必要な資金額に達しない場合もありますので、地方銀行や信用金庫への相談も同時並行で進めましょう。 まとめ:資金調達は、融資先を知って早めに動き始めよう! 金調達は、知識と準備が整っているほど、スムーズに進められます。融資先の特徴を理解し、開業の時期から逆算して動き始めると、資金面での不安を減らせます。 融資先の窓口相談は無料のところも多く、開業実績がなくても丁寧に対応してもらえます。「融資なんて自分にできるのかな」とためらわず、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。 まずは情報収集から始め、自己資金を貯え、融資相談・申請をする——このステップで、開業準備を整えていきましょう。 監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。そのほか、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

事業計画の立て方
事業計画の立て方
コラム
2026年6月16日
2026年6月16日

訪問看護ステーションを開業するには?具体的な事業計画の立て方

事業計画が必要なのはわかっていても、具体的な準備となると、なかなか手が動かないものです。前編「訪問看護ステーションの開設に必要な事業計画とは?」では、事業計画の意義や、選ばれる事業所づくりの考え方をお伝えしました。今回は、人員体制の考え方から収支計画の立て方まで、事業計画を実際に立てる具体的なステップを解説していきます。 開業に必要な人員体制を考える 「どんな利用者を支えたいか」「どのエリアで活動するか」が見えてきたら、次に考えるのが人員体制です。 訪問看護ステーションを開業するには、法令で定められた人員基準を満たす必要があり、常勤換算で看護職員2.5名以上の配置が必要です。 ただし、看護職員2.5名体制は開業の最低基準です。1人が退職や休職になると、人員基準を割り込むリスクがあります。安定した運営を続けるためには、まず3〜5名体制を目指すとよいでしょう。 開業時の人員構成を考える際は、次の3つを整理しておきましょう。 常勤・非常勤の人数: 常勤採用だけでなく、非常勤採用も合わせて必要数を考えましょう。 オンコールの体制:24時間365日の緊急対応の有無と、緊急対応をする場合はオンコールをどのように分担するかを考えましょう。 リハビリ職(PT・OT・ST)の採用: 多様なニーズに応えていくために、いつごろからリハビリ職を採用するかを検討しましょう。 人員構成は収支にも直結します。どのタイミングでどのような人を採用するかまで含めて設計することが重要です。また、「どんな利用者を支えたいか」「どんな地域に貢献したいか」などビジョンが明確であるほど、必要な人員構成も見えてきます。 持続可能な収支計画を立てる 人員体制が決まったら、次に取り組むべきは収支計画——いわゆる「お金の計画」です。「数字は苦手」という方も多いかもしれませんが、ここを後回しにしたまま開業すると、理念はあっても事業が続かない状況になりかねません。 収支計画を立てる際は、 収益モデルに合わせたKPI管理を行う 固定費を上げすぎない 資金繰りを考えた計画を立てる の3つのポイントを押さえておきましょう。 収益モデルに合わせたKPI管理を行う 訪問看護の収益は、主に介護保険・医療保険からの報酬で成り立っています。たとえば、訪問看護(1時間程度)は、1回あたり約8,000〜10,000円前後です。適応となる保険や利用者の状態、事業所の体制によって単価が変動します。仮に利用者20名に月8回(週2回x4週)訪問すると、月の売上はおよそ128〜160万円規模になります。 訪問看護では、訪問を行うプロセスが報酬で評価されるため、看護師を配置するだけでは売上にならず、訪問件数の管理が重要となります。企業や地域による差もありますが、給与や法定福利、社用車、携帯電話やタブレット端末、その他スタッフ雇用に必要な毎月の経費を考えると、1名あたり月に50万円程度かかります。 しっかりと、各スタッフが自らに抱える経費以上の売上を上げないと、事業所全体として赤字が続き存続できなくなってしまいます。スタッフごとの訪問稼働率を重要指標として管理することが重要です。 固定費を上げすぎない 訪問看護の支出は、人件費やスタッフ雇用にかかる経費、賃料など、そのほとんどが毎月固定でかかる経費です。これらの経費は、売上が予想通りに伸びないことや、一時的に下がることがあっても、下げることができないという特徴があります。 「スタッフを多く採用したい」「人材が集まらないから」と地域の相場以上に給与を高くしたり、事務所にお金をかけたりすると、開業時から固定費が高くなってしまいます。そうすると、赤字の金額と期間が増加し、資金不足に陥る可能性があるため注意が必要です。 資金繰りを考えた計画を立てる 開業後、利用者への訪問を行うと売上があがりますが、その売上はサービス提供後すぐに入金されるわけではありません。月末に実績を締めレセプト提出後、支払い基金から入金されるまで約2ヶ月のタイムラグがあります。また、特に開業初期のうちはレセプトの間違いなどにより返戻が生じることもあります。予定より入金が遅れる可能性も視野に入れておきましょう。 さらに、訪問看護事業所の立ち上げが増えている昨今は、開業初月は利用者の依頼がない(売上0円)というケースも少なくありません。そのため、利用者数の増加も厳しめに見積もり、緩徐に伸びていく計画を立てておくことが重要です。 開業に必要な資金を準備する 収支計画が見えてきたら、次は「開業までにいくら必要か」を整理しましょう。開業時には、次のような費用がかかります。 採用費 人件費 事務所の敷金・礼金 内装・備品 医療機器 訪問看護システム(電子カルテ) 車両費 合計の目安は500万円前後とされています。(※開業規模や地域によって異なります)ただし、開業時の費用だけでなく、開業後しばらくの資金も準備しておく必要があります。 先述したように、訪問看護の報酬は実際に入金されるまで2ヶ月ほどかかるしくみです。開業直後は売上がゼロの状態ですが、人件費・家賃・光熱費などの固定費は毎月発生します。 運転資金として6ヶ月分の固定費を手元に確保しておくのが安心で、金額にすると600〜1,000万円程度になります。初期費用と運転資金を合わせると、1,200〜1,500万円程度が現実的なラインです。 大きな金額に見えますが、自己資金だけで全額用意する必要はありません。資金の調達方法には、主に次の3つがあります。 ▼主な資金の調達方法 調達方法特徴ポイント自己資金返済不要で自由に使える手元資金事業の安定性・信用力のベースになる総資金の2〜3割が目安多いほど融資審査で有利日本政策金融公庫の創業融資開業実績がなくても申し込みやすい金利も比較的低い事業計画書の内容が審査の核助成金・補助金自治体によっては開業支援の補助あり条件・申請期限あり、早めのリサーチが必要あくまで、補助的な位置付け 融資を受ける場合は、毎月の返済額を収支計画に組み込んでおく必要があります。借りられたからOKではなく、「返しながら事業を続けられるか」を必ず確認しておきましょう。 まとめ:事業計画は「作って終わり」ではない 事業計画は、開業のために一度だけ作るものではありません。事業を動かし続けるためのベースになります。 看護の現場に置き換えると、ケアプランに近いイメージです。利用者の状態変化に合わせてケアプランを見直すように、事業計画も現実に合わせて更新していくものと考えておきましょう。現場が忙しくなると、計画を見返す機会が減りがちです。月1回の収支確認、半年に1回の計画見直しを習慣にすると、問題の早期発見につながります。 最初から完璧な事業計画である必要はありません。「何人のスタッフが必要か」「収支はどうなるか」「資金はどう調達するか」——まずはこの3つを書き出すことから始めてみてください。その積み重ねが、開業への道筋をつくっていくでしょう。 執筆:広瀬 よしの(看護師ライター)編集者:米沢 まさこ(看護師ライター) 監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。その他、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

訪問看護ステーションの開設に必要な事業計画とは?
訪問看護ステーションの開設に必要な事業計画とは?
コラム
2026年5月19日
2026年5月19日

訪問看護ステーションの開設に必要な事業計画とは?

訪問看護ステーションの運営は、ケアを提供するだけでは成り立ちません。スタッフの育成や地域との連携、安定した運営体制の構築など――。日々の業務の中で、管理者が考えるべきことは多岐にわたります。そのような状況で、現場の質を保ちながら訪問看護事業を継続していくためには、目の前の業務だけを見ていては不十分です。「誰にどんなサービスを提供していくか」という長期的な視点が欠かせません。そこで重要になるのが、ステーションを立ち上げる前に立案する「事業計画」です。 訪問看護で事業計画を立てる理由 訪問看護ステーションを開業する際、まず着手すべき事業計画。とはいえ、 「そもそも事業計画って何?」 「現場経験しかないけど、自分にできるかな?」という不安を感じている方は少なくないでしょう。 看護の分野は、経営や営業などの文脈では語られることが少なく、「ケアの質が高ければ成り立つ」というイメージを持たれやすいのも事実です。 しかし実際には、「どうやって事業として継続させていくか」を考えなければ、安定した運営は難しくなります。 そこで今回は、訪問看護ステーション立ち上げにおける事業計画とは何か、そしてなぜ必要なのかについて、わかりやすく解説していきます。 事業計画は事業を成立させるための「設計図」 事業計画とは、一言でいうと「事業をどうやって成り立たせるかを整理したもの」です。訪問看護に置き換えると、例えば次のような問いに答えていくことになります。 どんな利用者にケアを提供するのか ステーションの強みは何か どのエリアで開業するのか どうやって地域の方々に選んでもらうのか これらを整理せずに開業してしまうと、なんとなく運営している状態になりかねません。気がついたときには利用者が集まらず、経営が不安定になるリスクも出てきます。 逆に言えば、事業計画をしっかり立てておくことで、ステーションの運営理念が明確になり、経営判断の軸にもなっていくでしょう。 訪問看護の利用者は、自然に増えるわけではない 訪問看護は本来、必要な人に届けるものです。一般的な商売のように、広告や営業で売り込むようなものではありません。そのため、「いいケアをしていれば自然と利用者が増えるのでは?」と思われることもあります。 しかし実際には、地域の中で複数の訪問看護ステーションが存在しており、その中から選ばれる必要があります。つまり、「自分たちのステーションだからこそ発揮できる価値」を考えることが重要です。ここで必要になるのが、まず地域のニーズを知り、他のステーションの特徴を調べること。そしてこれらを踏まえ、どんな価値を発揮するステーションにしていくかを考えることです。 地域ごとの具体的なニーズを把握する 選ばれるステーションにしていくためには、地域のニーズを具体的に知っておく必要があります。エリアによって、訪問看護を利用したい方のニーズは大きく異なります。 独居の高齢者が多い 小児医療のニーズが高い すでに多くのステーションがある などの情報を把握していないと、「ニーズが少ない分野を選んで開業してしまう」「他のステーションが多すぎて選ばれない」といった状況にもなりかねません。 逆に、地域のニーズと自分たちの強みが一致すれば、無理に利用者を増やそうとしなくても選ばれやすいステーションになるでしょう。 そのため事業計画では、「どこで・誰に・何を提供するのか」をセットで考えることが重要です。 地域の中で選ばれる理由を把握する 数あるステーションの中から選ばれるためには、自分たちだからこそ発揮できる価値を考える必要があります。近隣のステーションの特徴を踏まえ、独自の「強み」を見出し、育てていきましょう。例えば、 難病の利用者へのケア体制がある 精神科看護に詳しい人材を確保できている 小児分野の看護・医療体制が整っている などの高い専門性があれば、これらを強みとして、他のステーションとは異なる価値を発揮できます。 このように「どんなサービスを、誰に、どのように提供するか」を、「自分たちだからこそ発揮できる価値」とセットで考えることが、選ばれる事業所づくりにつながるのです。 計画を実現可能にする3ステップ 事業計画は、ただ考えるだけでは机上の空論になってしまいます。実行できる形に落とし込むためには、次の3ステップで進めるとよいでしょう。 ステップ1.やるべきことを洗い出す 手続き・採用・営業準備など、必要なタスクを整理することで、抜け漏れを防げます。 ステップ2.タスクを分類分けする 大小さまざまなタスクを、大まかなジャンルごとに振り分けていきます。 ステップ3.期限から逆算してスケジュールを組む いつまでに開設するのか、そのために何をいつまでにやるのかを決めるフェーズです。月や週単位で何をやるかまで落とし込むことで、計画が現実的になります。また、計画通りに進まないことも考慮し、予備日を設けるようにしましょう。 まとめ:事業計画は、経営で迷わないための地図になる 事業計画は「どうやってこの事業を続けていくのか」を、言葉に落とし込んだものです。日々さまざまな判断を求められる訪問看護管理者にとって、方向性を示す地図があることで、経営の安定性は大きく変わっていくでしょう。 もし今あなたが立ち上げを考えているのであれば、「自分は、どんな訪問看護ステーションをつくりたいのか?」 「誰に、どんな価値を届けたいのか?」といった問いを言葉にすることが、事業計画の第一歩です。 次回のコラムでは、収益構造や人員体制などの視点で事業計画をどう立てるべきか、具体的に解説していきます。それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。 執筆・編集者:米沢 まさこ(看護師ライター) 監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。その他、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

訪問看護の組織づくりでMVVが必要な理由
訪問看護の組織づくりでMVVが必要な理由
コラム
2026年4月14日
2026年4月14日

訪問看護の組織づくりでMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が必要な理由

訪問看護ステーションの運営では、日々さまざまな判断が求められます。利用者・家族・多職種との調整、スタッフ教育、緊急対応――。その場その場で最善の選択をし続けることは簡単ではありません。ステーションの規模が大きくなるほど、判断基準の違いによる迷いや負担が管理者に集中しやすく、「組織としての軸」を求める声が増えてきます。こうした背景から近年注目されているのが、組織の理念や価値観を言語化した「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」です。訪問看護において、なぜMVVが重要なのでしょうか? その理由とメリットを、現場の課題と照らし合わせながら解説します。 訪問看護の組織づくりでMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が必要な理由 訪問看護ステーションの運営において、「MVV(Mission・Vision・Value)」を掲げるケースが増えてきました。日本語にすると「使命」「目指す未来」「価値観」ですが、耳なじみのない方もいるかもしれません。知っていたとしても、「理念を作った方がいいとは聞くけれど、忙しくてそこまで手が回らない」「本当に必要なのだろうか?」と感じている管理者の方も多いのではないでしょうか?確かに、理念がなくても、訪問看護の現場は回るでしょう。それでも多くのステーションが、ある段階で組織運営の壁にぶつかります。 そこで今回は、訪問看護ステーションにおいてMVVを明確にするメリット、明確にしないデメリットをお伝えしたいと思います。 訪問看護では理念がなくても機能する一方で… 訪問看護は、専門職の集まりです。看護師はそれぞれ高い倫理観を持ち、「利用者さんのために」という思いを共有しています。そのため、組織として明確な理念がなくても、現場はある程度機能します。 「利用者に寄り添うケアを行い、チームで協力しながら業務を進める」ことは、多くの看護職が当たり前のように行っているでしょう。しかし、ここに落とし穴があります。それは、「良いと思っていること」の基準が人によって違うということです。例えば、 利用者からの急な訪問依頼にどこまで応えるのか 家族からの相談にどう対応するのか 時間外対応をどう判断するのか こうした場面で、スタッフごとに判断が分かれることがあります。 小規模な組織であれば、管理者の考え方や暗黙のルールで回ることもあります。しかし、組織が少しずつ大きくなってくると、この違いが徐々に表面化してきます。 組織が大きくなると生じる価値観のズレ 訪問看護ステーションの運営では、スタッフが増えるほど組織マネジメントの難易度が上がります。人数が少ないうちは、 管理者の価値観 長く働くスタッフの経験 暗黙のルール などで組織がまとまることもあります。 しかし、スタッフが増え、新しいメンバーが加わると、価値観のズレが生まれやすくなります。例えば、 ケアの優先順位の考え方 利用者や関係者への対応のしかた チーム内の役割意識 といった部分で小さな違いが積み重なると、チームとしての一体感が弱くなります。 さらに、判断のたびに管理者に確認するような組織になると、管理者の負担も大きくなります。「このケースはどう対応したらいいですか?」「この判断でよかったでしょうか?」こうした相談が増えれば増えるほど、管理者は現場判断を一手に引き受けることになります。 訪問看護管理者の役割は方向性を示すこと 訪問看護管理者の仕事は多岐にわたります。人材管理・クレーム対応・地域連携・経営管理など、日々の業務に追われることも少なくありません。その中でも特に重要な役割が、組織の方向性を示すことです。訪問看護は現場判断の連続です。利用者や家族の状況は一人ひとり異なり、マニュアルだけでは対応できない場面も多くあるでしょう。だからこそ、スタッフが迷ったときに立ち返ることができる「軸」が必要になります。その軸を言語化したものが、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)です。 MVVは組織の判断基準になる MVVを改めて定義すると ●Mission(使命):私たちは何のために存在するのか●Vision(目指す未来):どんな組織を目指すのか●Value(価値観):どんな行動を大切にするのか を言語化したものです。これらが明確になると、現場の判断基準が揃います。MVVを明らかにすれば、スタッフが迷ったときに、「私たちの価値観から考えるとどうだろう?」と考えることも可能です。 管理者がその場にいなくても、組織としての判断ができるようになることから、管理者の負担を減らすという意味でも非常に大きな効果があります。 MVVがチームを強くする MVVのもう一つの役割は、チームの一体感を生み出すことです。訪問看護ステーションは、背景が異なる医療職が集まってチームを形成しています。一人ひとりの経験や価値観が違うからこそ、組織として大切にするものを共有することが重要です。 MVVがある組織では、 同じ方向を向いて仕事ができる 判断基準が共有される チームとしての一体感が生まれる といったポジティブな変化が起き、チームを強くするのです。また、MVVを組織で共有することで、採用の場面でも効果が期待できます。理念に共感して入職するスタッフは、組織に馴染みやすく、長く働く傾向があります。 まとめ:組織のコンパス「MVV」を明確にしよう! MVVを明確にするのは、立派な言葉を掲げるためではありません。大切なのは、組織のコンパスとして機能させることです。訪問看護の現場では、日々さまざまな判断が求められます。そのときに、組織全体で大切にする価値観があるかどうかで、チームワークは大きく変わります。もし今あなたが、組織運営に迷いを感じているのであれば、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか?「私たちは、何のためにこのステーションを運営しているのか?」「どんな組織を目指し、どんな行動を大切にするのか?」これらを明確にし、共有することが、強い組織づくりの第一歩になるかもしれません。 執筆・編集者:米沢まさこ(看護師ライター)監修:小瀬文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。その他、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

開催間近!学術集会長 藤野泰平氏 特別インタビュー【第15回日本在宅看護学会学術集会 11/29&30開催】
開催間近!学術集会長 藤野泰平氏 特別インタビュー【第15回日本在宅看護学会学術集会 11/29&30開催】
インタビュー
2025年11月11日
2025年11月11日

開催間近!学術集会長 藤野泰平氏 特別インタビュー【第15回日本在宅看護学会学術集会 11/29&30開催】

2025年11月29日(土)・30日(日)に、ウインクあいち(愛知県/JR名古屋駅より徒歩5分)にて「第15回日本在宅看護学会学術集会」が開催されます。テーマは、「訪問看護と社会インフラ~医療・ケアを地域の当たり前に~」。開催が目前に迫る中、学術集会長の藤野 泰平さんに、地域での暮らしを支え続ける訪問看護の意義や、社会インフラとしての可能性についてお話をうかがいました。 >>関連記事11月29日&30日開催!第15回日本在宅看護学会学術集会 見どころ紹介見どころやシンポジウムの紹介もされています。 藤野 泰平さん第15回日本在宅看護学会学術集会 学術集会長 名古屋市立大学看護学部卒業後、聖路加国際病院に入職。訪問診療クリニック、訪問看護ステーションの勤務を経て、2014年11月に株式会社デザインケア・みんなのかかりつけ訪問看護ステーションを設立。日本看護管理学会 看護の適正評価に関する検討委員会副委員長、一般社団法人日本男性看護師会 共同代表、オマハシステムジャパン理事、東京大学、慶應義塾大学非常勤講師などを歴任。 訪問看護を「社会インフラ」として考える ―前回の記事で、瀬戸内海の島で生まれたことがきっかけで訪問看護を「社会インフラ」と表現するようになったと教えていただきました。経緯について、もう少し詳しく教えてください。 はい。私が生まれ育った島では、「住みたい場所で暮らしたい」という願いが病気をきっかけに叶わなくなったり、緊急対応が間に合わず命に関わる事態になったりすることがありました。私自身も、家族として大きな無力感を覚えた経験があります。訪問看護や救急医療が十分でない地域では、日常生活や生き方にさまざまな制約が生じやすいことを実感したんです。 電気・ガス・水道と同じように、医療やケアが当たり前に届く社会をつくりたい――。この想いが、私の原点です。そして、「家族やペット、友人などと年を重ね、住み慣れた場所で日々穏やかに過ごしたい」という多くの人の願いに、医療や福祉がきちんと応えられる社会を実現したいと思っています。 ―そのために、訪問看護ができることは何でしょうか。 医療や介護は、当事者にならなければ実感しづらいものですよね。 例えば、私はこれまで「娘に迷惑をかけたくない」と施設に入った方が「娘に会いたい」と涙を流す姿や、亡くなった後にご家族が「母は幸せだったのでしょうか」「私は親孝行できたのでしょうか」と悔やむ姿などを何度も見てきました。「本当にこれでよかったのか」という後悔は、心に深く残るものです。 訪問看護の出発点は、利用者さんの「どう生きたいか」「どんな暮らしを望むのか」という声に丁寧に耳を傾け、受け止めることだと私は考えています。 そして、訪問看護師は日々多くの「最期」に立ち会います。その経験を通して得た声や気づきを地域で生きる人たちに伝えながら、「どうすればより良い最期を迎えられるか」「どう生きていけるか」という未来を描いていく。そうやって、まちの中で人と人との思いをつなぐことこそが、訪問看護という仕事の大切な一面なのだと、私は考えています。 ―藤野さんは、どのように「伝える」活動をされているのでしょうか。 例えば、書籍の執筆やホームページでのケア症例事例集の公開などを行っています。医療やケア、「生きる」ことに関する情報を、市民の方々へ還元していきたいと思っています。 人生の歩みや病気との向き合い方など、その方の「物語」がみえるケア症例事例集。(みんなのかかりつけ訪問看護ステーションHPより) 社会のしくみをより良くしていくために ―藤野さんは、幅広くご活動をされていますが、具体的な活動内容や、その背景にある想いについて教えてください。 まずは、なんといっても訪問看護事業です。世界的には、地域でのプライマリ・ケアを基盤に、生活に根ざした支援を重視する国が多い一方、日本では病院中心の体制が長く続いており、看護職の多くが病院に勤務しています。しかし、人が実際に生活するのは病院ではなく自宅です。生活の場で支える存在がもっと必要だと考えて訪問看護を始めました。スタッフが長く安心して働ける環境を整えることが、地域支援の持続可能性を保つことにもつながると考え、教育のオンライン化やオンコール専用コールセンターの設置などにも取り組んでいます。 また、学会活動にも力を入れています。今回は日本在宅看護学会の学術集会長を担当していますが、日本看護管理学会や日本在宅連合学会などでも委員会に参加し、さまざまな職種の方と協働して、社会のしくみをよりよく動かすための議論や提案を行っています。 医療や介護の現場は、「診療報酬」「介護報酬」という制度のもとで成り立っています。制度をどの方向に動かすのが望ましいのかを考える上で、学会は非常に有効なチャネルです。職種の枠を超え、仲間たちとともに、「社会にとってより良い形とは何か」について、議論を重ねながら社会をリードしていく。そんな役割を担えたらと考えています。 そのほか、ケアの質を見える化する「オマハシステム」や、看護職の多様なキャリアを支援する「日本男性看護師会」など、いくつかの団体や企業活動を通じて、看護のしくみづくりや社会的な基盤づくりにも携わっています。データやDXを活用して、社会全体を少しでも早く、より良い方向へと変えていけるよう、仲間と力を合わせて活動を続けています。 未来をつくるために意識したいこと ―今回の学術集会の運営にあたり、特に意識されたポイントについて教えていただけますか。 意識したのは、「未来をどうつくっていくか」ということです。今回の学術集会では、主に以下の3つを柱に据えました。 人づくり:未来を担う世代を育てる 社会を支えていくためには、「人づくり」がとても大切だと感じています。これは、法人の中で人材を育成するという狭い話ではありません。病院も在宅も大学も含めて、どのように人を育てていくかを考える。そこにこそ、学会が果たせる役割があると思うんです。生産性:力を発揮できる環境づくり 日本の一人あたり労働生産性は、主要国と比べて十分に高くはありません。裏を返せば「伸びしろが大きい」ということでもあります。人口減少が進む中でも、働く環境の整備やDXの推進によって、より多くの人が力を発揮できるようになれば、医療や福祉を含む社会全体の活力を高めていけると考えています。想像力:多様な人々の暮らしを想像する 社会の未来を考える上で、想像する力は欠かせません。医療者にとっても重要な力だと思っています。例えば、子どもを亡くした親の気持ち、仕事に失敗して家にこもる人の孤独、災害に遭った方々の日々などをどれだけ想像できるかが、行動を起こす上での鍵になります。遠く離れた国の子どもたちの現実を自分ごととして捉えるのは難しいのは、無関心なのではなく、単に経験の差や情報の届き方が影響している側面もあると思います。利用者さんの心に触れる経験を通じて、「自分たちの未来はどうあってほしいのか」「どんな社会にしていきたいのか」を想像する。その想像力をもとに、当事者意識を持って未来を考えていく。この学術集会が、そのきっかけになれば嬉しいと思っています。 視野を広げ、つながりを知り、自分を主語に語る ―若手看護師をはじめ、あまり学術集会に参加したことがない方へのアドバイスやメッセージがあれば教えてください。 臨床で働く中では、どうしても自分にできないことや職場の空気に意識が向きがちです。しかし、実際には世界はもっと広がっています。自分が大切にしている価値観やこだわりが認められなくても、別の場所では評価されることがある。広い視野を持つことは、一歩を踏み出す勇気につながることを、私自身も実感しています。 また、「自分たちの仕事がどこで、どのように、つながっているのか」を知ることも大切です。多種多様な立場の人の試行錯誤を知ることは、大きな学びになります。現場で一生懸命取り組むことが、退院後の患者さんの人生に影響を与えることもあります。その影響が、やがて家族や地域へと広がっていくことだってあるでしょう。こうしたつながりを実感できるのが、看護の醍醐味だと思っています。 そして、学術集会の場などで誰かと話すときは、「自分を主語に語ること」です。「『私は』こう思った」「『私は』困った」と、自分の言葉で表現すると良いと思います。明確な正解はありませんし、同じ出来事でも、背景や経験によって受け取り方は違います。自分を主語にすることで、「それいいね」という共感や、「こう考えてみたら?」という助言が生まれ、次の一歩につながるのです。皆さんには、さまざまな人の話を聞きながら、「自分にとっての意味」を感じ取ってほしいと思います。 ―最後に、学術集会の具体的なまわり方に関して、アドバイスをお願いします。 学会やセッションでは、ぜひ自分が興味を持ったテーマの場に足を運んでください。今の自分が求めていることは、きっとその中にあります。また、少し勇気がいるかもしれませんが、終わった後に登壇者等に「少しお話ししてもいいですか?」と声をかけてみてください。それだけで人生が大きく変わることもあります。自分の仕事に誇りを持てるきっかけになるかもしれません。 そして、11月29日(土)17時からの懇親会も、肩の力を抜いて語り合える貴重な時間だと思っています。第14回学術集会の懇親会も多くの若い方が参加してくださり、「あの話に共感しました」「こんな苦労がありました」といった会話が自然に生まれました。そんな何気ない交流が、自分を磨くきっかけになります。ぜひ積極的に参加して、声をかけてください。私もその場にいますので、話しかけてもらえれば、どんな質問にもできる限りお答えします。 そうした「有機的な出会い」の中で、一緒に未来をより良くしていく仲間として、互いに成長していけたらと思います。 2025年11月29日(土)、30日(日)開催の「第15回日本在宅看護学会学術集会」にご参加希望の方は、学術集会ウェブサイトよりご登録ください。また、学術集会の1日目終了後(17時~)には、懇親会も開催されます。ぜひあわせてご参加ください。・学術集会への登録はこちら第15回日本在宅看護学会学術集会 ウェブサイト・懇親会の情報はこちら 11/29・30開催「第15回日本在宅看護学会学術集会」に協賛!懇親会も開催 取材・編集:NsPace編集部執筆:小松原 菜々 【参考】〇プライマリ・ケア連合学会「プライマリ・ケアとは」https://www.primarycare-japan.com/about.htm2025/11/5閲覧〇厚生労働行政推進調査事業.筑波大学附属病院 総合診療・プライマリ・ケア推進事業報告書「わが国の総合診療はどうあるべきか 第4部 総合診療に関する国際比較」https://soshin.pcmed-tsukuba.jp/education/report/pdf/04_001.pdf2025/11/5閲覧〇厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況に関する 参考資料」(令和5年5月29日)https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001101182.pdf2025/11/5閲覧〇厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/gaikyo.pdf2025/11/5閲覧〇公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2024」https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html?utm_source=chatgpt.com2025/11/5閲覧

訪問看護のカスタマーハラスメント しくみ作りと対策【セミナーレポート後編】
訪問看護のカスタマーハラスメント しくみ作りと対策【セミナーレポート後編】
特集 会員限定
2025年10月7日
2025年10月7日

訪問看護のカスタマーハラスメント しくみ作りと対策【セミナーレポート後編】

NsPace(ナースペース)のオンラインセミナー「訪問看護のカスタマーハラスメント対策~安心して訪問看護ができるために~」(2025年6月20日開催)では、医療現場のカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)対策に詳しい坪田康佑先生を講師にお迎えし、訪問看護業界のハラスメントの実態や、講じるべき対策について教えていただきました。セミナーレポート後編では、具体的なカスハラ対策についてご紹介します。 ※約75分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)がとくに注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 >>前編はこちら訪問看護のカスタマーハラスメント 実態と制度【セミナーレポート前編】 【講師】坪田 康佑さん看護師/国会議員政策担当秘書/日本男性看護師會代表理事慶應義塾大学 看護医療学部を卒業。米国 Canisius 大学で MBA 取得。看護 DX や医療現場のカスタマーハラスメント対策など、さまざまな角度から看護師支援に取り組む。 カスハラ対策は組織の責務 訪問看護現場におけるカスハラに対しては、訪問看護ステーションや経営者が対策を講じる必要があります。 2020年6月には、厚生労働省が「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して、雇用管理上講ずべき措置等についての指針」で、事業主が職場全体で対策を進めるべきという告示を出しました。 また、労働安全衛生法の第69条には「労働者の健康の保守増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければいけない」と定められており、労働契約法でも「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるように、必要な考慮をする」という安全配慮義務が規定されています。事業所の規模を問わず、暴力・ハラスメント対策は、事業主や管理者の義務なのです。 事業所で講じるべきカスハラ対策 適切なカスハラ対応ができる体制・しくみ作りのため、まず必要なのは「カスハラをカスハラとして認識する」こと。現時点では「嫌な気持ちになったら報告する」という当たり前の行動ができていないことを理解し、「これってハラスメントなのでは?」という段階で声を上げられるしくみ作りを目指してください。そのために、まず事業所内で暴力・ハラスメントの定義を理解しておく必要があります。(暴力・ハラスメントの定義については前編「訪問看護のカスタマーハラスメント 実態と制度」参照) 上記をふまえ、以下のような体制・しくみを構築しておけば、発生後の対応で難しいとされる「速やかな指示」もできるはずです。 適切に警察に連絡できる体制 暴力をふるう、襲いかかる、凶器を持ち出すといった、暴行・傷害につながる事案は、警察に相談しなければなりません。いざというときに躊躇しないために、事前に警察へご挨拶に伺っておく、関係機関との協力体制を確認しておくのがおすすめです。また、警察に連絡する基準を明確にし、一人ひとりが認識することも必要でしょう。警察への相談窓口「#9110」では、緊急性のないトラブルや不安にも対応してくれます。 利用者さんとの関係の悪化を心配して通報を控えていると、カスハラは止まらず、悪循環を招きます。その利用者さんを担当する事業所が変わった場合、被害者はさらに増えるでしょう。訪問看護業界からの人材流出という問題にもつながるので、通報する勇気をもってください。 なお、こうしたしくみ作りは、利用者さんと訪問看護師がよい関係を築き、質の高い看護を提供していくためのものです。その想いと対策の内容を利用者さんやスタッフに伝え、みんなで理想的な関係を作っていくことが重要です。 被害者の心情に配慮した対応 ハラスメントが発生した際、スタッフへの最初の指示は「逃げて」です。スタッフが身の安全を確保できたら、客観的に問いかけて被害状況を記録していきます。 当たり前ですが、悪いのはハラスメントをした人間です。すべてのハラスメントは、被害者の尊厳や自尊心を傷つけるもの。被害者にはしっかりと「あなたは何も悪くない」と伝えてください。 そして被害者となったスタッフには、心理的ケアが必要です。状況に応じた受診方法を定めた上で事務所全体に共有し、それに則ってサポートしましょう。なお、被害状況によっては労災に該当することもあるため、医師に診断を受けるのは重要です。 また、継続的にケアを続けるのもポイント。時間が経ってから精神的な後遺症が表れることもあるので、管理職を中心に事業所全体でケアをしてください。専門家によるカウンセリングが受けられるしくみを用意しておくのもおすすめです。 さらに、被害を受けたスタッフが十分な休息をとれるよう、早退や休暇の取得ができる体制も必要です。なお、休むことで収入が減るという状況だと、カスハラは隠蔽する方向にイニシアティブが働きます。体制づくりの際にご注意ください。 二次被害になりやすい言い方の例と改善方法 ハラスメントへの対応時に意識したいのが、二次被害の防止です。「なぜすぐに相談しなかった?」「なぜ利用者を怒らせた?」といった「Why don’t you~?」型の言葉で原因追及をするのは、傷つけや行動否定といった二次被害につながるため、あくまで状況の整理に徹しましょう。気をつけなければならない点を洗い出すまでで終わりにしてください。 また「飲んで忘れよう」「遊んで気晴らしをしよう」といった逃避行動をすすめるのも二次被害につながります。事実から目をそらさず、問題を丁寧に取り扱っていきましょう。 感受性を高める実践的対策 カスハラ対策には、スタッフ一人ひとりの「暴力・ハラスメントへの感受性」を高めることも重要です。ポスターを貼って理解を促す、勉強会や研修を行うなどして、感受性を高めてください。ポイントは、定期的に行うこと。これまでのキャリアの中で培われた価値観は根強く、ハラスメントの定義を誤って認識していると簡単には正せないので、継続的なアプローチが必要です。 それから、「相談」をしやすいしくみ作りも求められます。相談ができるようになると連絡、やがては報告もできるようになっていくので、まずは嫌な思いをしたときに気持ちを話す習慣をつけられるようにしてください。 また、通報ツールや防犯グッズをスタッフに配布するのも効果的。カスハラが起こったときに録音や警備会社への連絡ができる商品があります。カスタマーハラスメント防止対策推進事業の奨励金や、地域医療介護総合確保基金の補助などの支援策もあるので、ぜひ活用してください。 * * * 看護師の笑顔は利用者さんの笑顔を、利用者さんの笑顔は家族の笑顔を、家族の笑顔は地域の笑顔を生むと私は考えています。看護師の笑顔を守ることは、たくさんの人々を笑顔にする第一歩。ぜひ一緒に看護師の笑顔を作っていきましょう。 【講師・坪田 康佑さんよりコメント】2025年9月30日、私が理事を務める二団体が、東京都産業労働局より「カスタマーハラスメント対策団体」として認証されました。今後は東京都の予算を活用し、相談窓口の設置や啓発活動を進めてまいります。専用サイトなども準備中ですので、何かありましたらお気軽にご連絡ください。・一般社団法人日本男性看護師會 代表理事 https://nursemen.net/・一般社団法人訪問看護支援協会 理事 https://kango.or.jp/ 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア 【参考文献】〇厚生労働省:事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和 2年6月1日適用】.https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf2025/9/4 閲覧〇坪田 康佑・池田 智・矢山 壮:訪問看護のハラスメントの実態と対策に関して.日本在宅看護学会第 14 回学術集会(2024 年 11 月 17 日),配布資料.〇三木 明子 監修・著:訪問看護・介護事業所必携! 暴力・ハラスメントの予防と対応,メディカ出版,2019〇日経ヘルスケア著・編:患者トラブル解決マニュアル,日経BP出版センター,2009

訪問看護のカスタマーハラスメント 実態と制度【セミナーレポート前編】
訪問看護のカスタマーハラスメント 実態と制度【セミナーレポート前編】
特集 会員限定
2025年9月30日
2025年9月30日

訪問看護のカスタマーハラスメント 実態と制度【セミナーレポート前編】

2025年6月20日、NsPace(ナースペース)はオンラインセミナー「訪問看護のカスタマーハラスメント対策~安心して訪問看護ができるために~」を開催。医療現場のカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)対策に詳しい坪田康佑先生に、訪問看護における暴力・ハラスメントの実態や対策について伺いました。セミナーレポート前編では、カスハラの基礎知識や、現場が抱える課題などをまとめます。 ※約75分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)がとくに注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 【講師】坪田 康佑さん看護師/国会議員政策担当秘書/日本男性看護師會代表理事慶應義塾大学 看護医療学部を卒業。米国Canisius大学でMBA取得。看護DXや医療現場のカスタマーハラスメント対策など、さまざまな角度から看護師支援に取り組む。 カスハラの定義と分類 訪問看護現場でのカスハラについて考えるにあたり、最初に「暴力、ハラスメントの定義」を明確にしておきましょう。 【身体的暴力】身体的な力を使って危害を及ぼす行為。実際に触れていなくても、拳を上げた時点で身体的暴力に該当します。 例叩かれる、つねられる、爪で引っかかれる、ものを投げられる、唾を吐かれる、背後から蹴られる 【精神的暴力】個人の尊厳や価値を言葉によって傷つけたり、貶めたりする行為。 例強い口調や大きな声で文句をいわれる、人格を否定される、理不尽なクレームで長時間拘束される 【セクハラ】性的な誘いや嫌がらせ、好意的態度の過度な要求など。 例体に触れられる、卑猥なことをいわれる、(訪問看護師の)身体的な特徴を話題にする、(利用者さん自身の)陰部を触るように要求される 新潟県はハラスメントを「暴言型」「暴力型」「時間拘束型」「リピート型」「SNS/インターネット上での誹謗中傷型」などの9つに分類し、対策を定めた「ペイシェントハラスメント対策指針」を発表しました。「ペイシェントハラスメント」と明記された行政文書は、これが初めてです。都道府県を越えて活用できる内容なので、ぜひ参考にしてください。 ハラスメントの定義に「原因」は含まれない カスハラが起こったとき、管理職が被害を受けたスタッフ側のサービスや態度、または利用者さんの病気に原因を探してしまうケースはよく見られます。しかし、ハラスメントの定義に原因は含まれません。原因に関係なく、「ハラスメントがあった」のであれば、その事実を否定してはいけません。再発防止に向けた検討を行いましょう。 訪問看護現場におけるカスハラの実態 2019年に行われた全国訪問看護事業協会の調査では、訪問看護師の45%が「身体的暴力」を、53%が「精神的暴力」を、利用者さんやその家族から受けたことがあると答えています。また、セクハラを受けた方の割合も48%に上りました。 さらに、2020年に福岡県の訪問看護ステーションを対象に実施された実態調査では、訪問看護師の約40%が、利用者さんやその家族などから暴力を受けた経験があることが明らかに。しかも、そのうちの半数は「1年以内」に暴力を受けています。現場でのカスハラは、「過去」ではなく「今」起こっているのです。 訪問看護業界では早急に対策を講じ、スタッフを守っていかなければなりません。 「声を上げられない」現場の空気 多くの訪問看護師がカスハラを受けているにも関わらず、被害の声が上がりにくいという現状もあります。その一因となっているのが、以下のような被害者の心理的背景です。 被害者の心理的背景・痛みはあったが、ケガには至らなかった・私のかかわり方が悪かったのかもしれない・管理者に説明するのは気が進まない・ことを大きくしたくない・利用者さんのために我慢しよう・認知症の方だから仕方がない こうした自責思考や「利用者さんのためを思っての選択」が、訪問看護現場のカスハラをなかったことにしてきました。しかし、起こった事案はきちんと共有し、対策を考えていかなければなりません。また、管理者は「声が上がらない=問題は起きていない」と捉えず、背景を考慮して「声を上げられる環境づくり」に取り組む必要があります。 訪問看護のハラスメント相談率は、訪問介護よりも低い 相談の意志という観点では、訪問看護のほうが訪問介護よりもハラスメントに関する相談率が低いことが厚生労働省の調査でわかっています。ハラスメントについて「些細な内容でも相談した」と回答した人の割合は、訪問看護は40%を下回りました。「ハラスメントを受けた際に、内容によっては相談した」という回答を含めてやっと80%を超える状況で、ハラスメントを受けても相談しなかった人が約20%もいます。 相談しない理由は、「利用者やその家族に病気、障害があるから」との回答が約半数を占めました。続いて「自分自身でうまく対応できていたから」が約34%、「問題が大きくなると面倒だから」が約16%となっています。 「利用者さんは病気だから」と考えない 「精神疾患がある方のほうがカスハラを起こしがち」と考える方は少なくありませんが、精神科とそれ以外の訪問看護での暴力発生率を比べると、精神科以外のほうが多いことがわかっています。精神疾患だから、認知症だからと考えず、カスハラへの感受性を高め、きちんと対策を講じなければなりません。 国や警察の取り組み カスハラに対する国の取り組みとして、厚生労働省は2021年に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を発表しています。 また2022年6月には、警視庁から各都道府県警に対して医療機関との連携を推進するよう促す通知が出されました。これを受けて警察では、医療機関や医師会からの通報・相談は関係部門で連携し、必要に応じて助言・対応・検挙などを行う体制の整備が進められました。さらに2024年2月には体制強化を明記した再通知が出されており、医療従事者の安全を守るため、的確かつ確実な対応に努める構えです。 ここで重要なのが「警察に電話する」ことが即「逮捕」につながるわけではないことです。生活安全部門も関わりながら、指導や助言などの対策をしてくれます。必要なときは躊躇せずに相談してください。 次回は事業所で講じるべき具体的なカスハラ対策や被害者の心のケア、二次被害の予防などについて解説いただきます。 >>後編はこちら訪問看護のカスタマーハラスメント しくみ作りと対策【セミナーレポート後編】 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア 【参考文献】〇滋賀県・公益社団法人滋賀県看護協会: 訪問看護・訪問介護事業所における暴力・ハラスメント対策マニュアル.令和元年度滋賀県委託事業 訪問看護師・訪問介護職員安全確保・離職防止対策事業. 2020.〇新潟県 病院局業務課:新潟県病院局 ペイシェントハラスメント対策指針,令和6年5月https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/life/677384_2027172_misc.pdf2025/9/4 閲覧〇全国訪問看護事業協会:訪問看護師が利用者・家族から受ける暴力に関する調査研究事業報告,2019〇坪田 康佑・池田 智・矢山 壮:訪問看護のハラスメントの実態と対策に関して.日本在宅看護学会第14回学術集会(2024年11月17日),配布資料.〇厚生労働省:事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】.https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf2025/7/31閲覧〇厚生労働省.:介護現場におけるハラスメントに関する調査研究(2019年3月)https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947359.pdf2025/9/4 閲覧〇厚生労働省:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル,2022https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf2025/9/4 閲覧〇警察庁:医療機関等との連携によるストーカー事案等の適切な対応について(令和6年1月22日付 警察庁丙企発第3号).https://www.npa.go.jp/laws/notification/2024iryoukikanrenkei.pdf2025/9/4 閲覧

新任訪問看護師の戸惑い 困難感への理解と支援【セミナーレポート前編】
新任訪問看護師の戸惑い 困難感への理解と支援【セミナーレポート前編】
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2025年4月15日
2025年4月15日

新任訪問看護師の戸惑い 困難感への理解と支援【セミナーレポート前編】

2025年1月23日、NsPace(ナースペース)はオンラインセミナー「新任訪問看護師の戸惑いあるある~ギャップを感じるのはなぜ?~」を開催。新任訪問看護師の戸惑いをテーマに、聖路加国際大学 講師の佐藤直子先生にお話を伺いました。セミナーレポート前編では、新任者の悩みと、それらを解消するサポート方法を紹介します。 ※約60分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)が特に注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 【講師】佐藤 直子 先生聖路加国際大学 講師/東京ひかりナースステーション 顧問/在宅看護専門看護師2003年より訪問看護に携わり、2019年~東京ひかりナースステーションクオリティマネジメント部部長。2010年に聖路加国際大学大学院の修士課程(CNSコース)を、2020年には博士課程(DNPコース)を修了。 訪問看護入職者の一般的な戸惑い・困難感 訪問看護師が感じる戸惑いや困難感に関して、いくつかの研究をもとに、以下のように分類しました。 ■個人の課題(仕事がうまくできない情けない思い)・知識や技術の不足・単独訪問の判断の難しさと責任・時間内にケアが終わらない など■場やシステムの課題、職場全体で取り組むべき問題・勤務体制(24時間対応、休みのとりにくさ)・(薬剤を含む)医療データが少ない、かつ入手が困難・他職種連携(これまで関わったことがない職種との連携) など■訪問看護特有ではない問題・職場内の人間関係・家庭との両立 など文献1)-3)の結果を集約 私が問いたいのは、「これらの問題は本当に『問題』なのか」ということです。例えば、ベテラン訪問看護師の多くは「介護保険制度や医療保険制度の理解は追い追いで良い」と話します。 また、単独訪問の判断の難しさと責任については、考え方を変える必要があるでしょう。訪問看護では、「患者の管理」を行うのではなく「ケアの管理」をします。患者管理をしようとすると、判断することや責任を負うことがつらくなってしまうでしょう。具体例として、訪問看護師が「この利用者さんは次回の訪問まで転倒しない」と判断することはできませんよね。「転ばせない」ことを主軸に患者管理をしようとすると、訪問の後も不安感が募ってしまうのです。それよりもちゃんと動けるケア、転んだらどのように起き上がるのかを考えるほうが良いです。 さらに、時間内にケアが終わらないのも新任者なら当たり前のことであり、問題ありません。技術は経験を重ねることで向上します。まずはそのことを上司や同僚に相談しましょう。 誤解されがちな「現場での判断のあり方」 「訪問看護師は一人で現場に行き、判断する」と考えている方もいますが、これは誤りです。テクノロジーの発達により、現場で個人が判断する時代は終わりました。例えば、利用者さんの体に新しい傷があれば、共有アプリに写真をアップロードし、先輩やドクターにその場で処置方法を確認できます。 また、私は訪問看護の最大の強みは、利用者さんと一緒に判断できることだと考えています。「私は看護師としてこのように判断しましたが、いつもどのように対処していますか?私はこの対応が良いと思いますが。」と利用者さんにぜひ尋ねてみてください。本来、医療やケアの選択は、利用者さんご自身が最も強い決定権をもつものです。 ただし、自分で判断するのが難しい利用者さんには噛み砕いて伝えたり、過去の記録に基づいて検討したりすることは必要です。 先輩看護師のフォローについて ここからは、主に新任者本人ではなく、サポートする先輩看護師に向けてお話しします。新任訪問看護師が一人で訪問するようになった際、「電話があるから大丈夫」「カメラがあるから大丈夫」ではなく、適切なフォローをすることが大切です。 例えば、よく言われる「何かあったら言ってね」という言葉は、一見親切そうで、実はとても不親切。新任者はその「何か」を判断できないからこそ困っているのです。 「どう?何か気になることはある?」「特に問題がなくても、訪問終わる前に連絡してね」といった積極的な声かけが大切です。新任者が自信を持って判断できるようになるまで、少ししつこいくらいに寄り添う(やりすぎかどうかは本人に聞いてくださいね)ことが、本当の支援につながります。 アンラーニングについて 訪問看護の新任者の葛藤を理解するためには、「アンラーニング」への理解も不可欠です。アンラーニングとは、既存の知識や価値観を捨て、新たに学び直すことを指します。 新任者は、前の職場の価値観を新しい職場で少なからず捨てるものがあります。捨てて新しい価値観を受け入れる過程では、苦しさを感じ、その気持ちを怒りとして表すことがあります。「このやり方は間違いだ」「前の職場ではこうしていた」と主張したり、悶々としたりといった具合です。受け入れる側には、その苦しみを理解するとともに、現在の職場の価値観を言葉にすることが求められます。サポーティブに関わることを意識しましょう。 なお、こうした苦しみは、キャリアを積んだ方でも感じます。なぜなら、看護理論家のパトリシア・ベナーさんもおっしゃっている通り、「経験がない部門に移れば、誰もが初心者になる」から。そして、初心者は行動指針やルールが分からず、状況に応じた行動ができないので、職場のローカルルールや大事にしていることを伝えてくださいね。 実践の原則を学ぶポイントは「経験の質」 初心者の成長に必要なのは、時間ではなく「経験の質」です。 経験学習のコツ経験すれば理解するのではなく、その経験にどんな意味があったのか、なぜそうなったのかを振り返り次に活かす。その振り返りは、なぜそうなったのかが分かるベテラン先輩が支援すべし! 「経験による学習」をうまくできない方は多く、周りが支援をしないと「ただ経験しただけ」になってしまいます。ベテラン先輩が「振り返り」の部分を支援しましょう。私が顧問を務めるステーションでは、クラウド上で「振り返りノート」をやりとりします。新任者の記録に先輩がフィードバックする形式です。 フィードバックのコツ 入職したてはすべての事象が新鮮で、情報を「そのまま」受け止めがち。そこで私は、振り返りノートで「起きた行為の意味」を説明します。また、「印象的だった」「勉強になった」という記述があれば、「具体的に何が印象的で、何を学んだか」を繰り返し聞きます。 特に注意すべきは「印象的」という言葉で、これは予想と違うことを意味します。先輩の仕事に「感動したケース」もあれば、「教科書と違って違和感を持ったケース」もあるでしょう。そこを明確にしないと、アンラーニングにおける葛藤や、誤った価値観の構築を招きます。 また、教訓が身についてくると、さまざまなケースで使いたくなるもの。その際は、どんなケースで教訓を適用できるかといった留意点をフィードバックします。 次回は、新人育成における業界の課題や、東京ひかりナースステーションでの実際の取り組みについてお話しいただきます。 >>後編はこちら新任訪問看護師の戸惑い 育成の課題と行動指針【セミナーレポート後編】 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア 【引用文献】1)森 陽子ら著.「新たに訪問看護分野に就労した看護師が訪問看護への移行期に経験した困難とその関連要因」日本看護管理学会誌,2016,20(2),p104-1142)平尾 由美子ら著.「病棟業務から訪問看護業務に移行した直後に看護師が感じる戸惑い・困難,8(1)」千葉県立保健医療大学紀要,2017,p169-176.3)柴田 滋子ら著.「訪問看護師が抱く困難感」日本農村医学会雑誌,2018,66(5),p.567-572 【参考文献】〇P.ベナーら著.早野ZITO真佐子訳.「ベナー ナースを育てる」医学書院,2011〇松尾 睦.『職場が生きる人が育つ 「経験学習」入門』ダイヤモンド社,2011

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