インタビュー

第3回みんなの訪問看護アワード 訪問看護師になった理由【特別トークセッション 前編】

第3回みんなの訪問看護アワード 訪問看護師になった理由【特別トークセッ

2025年3月8日(土)に、東京駅からすぐのイベントホール「My Shokudo Hall & Kitchen」にて開催した「第3回 みんなの訪問看護アワード」表彰式。表彰、特別トークセッション、懇親会などを行い、会場は大いに盛り上がりました。ここでは、特別トークセッションの内容をピックアップしてお届けします。

ファシリテーターに特別審査員の長嶺由衣子さんを迎え、訪問看護の道に進んだ理由ややりがい、エピソードを投稿したきっかけや背景などを3名の受賞者の皆さまにお話しいただきました。前編は、訪問看護の道に進んだきっかけややりがいについてのお話です。

【ファシリテーター】
長嶺 由衣子(ながみね ゆいこ)さん
東京科学大学 公衆衛生学分野 非常勤講師

【登壇者】
有川 美紀(ありかわ みき)さん
八幡医師会訪問看護ステーション(福岡県)
「みんなの訪問看護アワード2025」入賞
投稿エピソード「訪問看護の『正解』とは」

松橋 久恵(まつはし ひさえ)さん
株式会社メディハート 訪問看護ステーションそら(東京都)
「みんなの訪問看護アワード2025」入賞
投稿エピソード「私たちの足跡は残さない」 

服部 景子(はっとり けいこ)さん
愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道)
「みんなの訪問看護アワード2025」審査員特別賞
投稿エピソード「意思疎通、出来ます。」

※以下、本文中敬称略
※本記事は、2025年3月時点の情報をもとに構成しています。

訪問看護師を志したきっかけややりがいは?

第3回みんなの訪問看護アワードトークセッションの様子1

長嶺: 本日は、訪問看護師の皆さまが抱える心配事や葛藤にまつわるエピソードをピックアップし、それらのエピソードを投稿してくださった三名の受賞者の方々とお話ししていければと思っています。まずは自己紹介をお願いします。

有川: 福岡の北九州市から来ました「八幡医師会訪問看護ステーション」の有川美紀と申します。私の働く地域は高齢化率が35%を超えているのですが、山の麓にあって、とにかく階段がたくさんある地域です。家の前まで車で行けないようなお宅もたくさんあります。7年ほど大学病院で働いた後に訪問看護師を15年ほどやっています。よろしくお願いします。

松橋: 東京の「訪問看護ステーションそら」の松橋久恵と申します。私は20年病院で勤めていましたが、家庭の都合で退職して訪問看護師になりました。2024年まで感染管理認定看護師としても活動していました。どうぞよろしくお願いします。

服部: 北海道から参りました「訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう」の服部景子と申します。私は看護師歴25年で、うち訪問看護師歴は12年ほどになります。よろしくお願いいたします。

利用者さんと膝を突き合わせ、心を通わせる

長嶺: よろしくお願いします。では、皆さんが訪問看護の道に進んだ理由を教えてください。

有川: 私は、実は学生時代の実習のころから訪問看護の仕事にとても魅力を感じていたんです。病院実習に泣きながら通っていたということもありますが……。「訪問看護っていいな」「いつかやりたいな」と思っていたので、出産を機にこの道に進みました。さまざまな課題を抱えている地域ではありますが、日々前向きにお仕事をさせてもらっています。

長嶺: ありがとうございます。松橋さんは20年病院勤めをされてから訪問看護に移られたのですね。どうして訪問看護師になったのですか?

第3回みんなの訪問看護アワードトークセッションの様子2

松橋: はい。家庭の都合で病院を退職することになり、次の仕事でも感染管理の経験を活かそうと思ったのですが、改めて「どんな仕事をすると楽しいかな」とじっくり考えた時に、訪問看護の世界が頭に浮かんだんです。

訪問看護の魅力は、利用者さんの暮らしの中に入り込み、「生活」と「看護」が並行し、互いに影響し合いながら進んでいく点にあると思います。これまで得られなかった体験が日々積み重なり、人としての経験値も深まっていくのを感じます。そうした環境で、その人らしく過ごせるよう支援しながら看護を届けられることに、大きなやりがいを感じています。

長嶺: ありがとうございます。服部さんは、今回三度目の受賞ですね。訪問看護を始めたきっかけを教えてください。

服部: はい。私は、急性期の病院で働いていた際、「今と違うステージで働いてみたいな」と思った時に、本屋さんで一冊の本に出会ったことが訪問看護を始めるきっかけになりました。聖路加病院の押川真喜子先生が書かれた『在宅で死ぬということ』という一冊なのですが、本当に感動して……。「家で死ぬってすごくいいな」「自分の家族も家で看取りたいな」と思ったんです。それで「訪問看護やってみよう!」と決意しました。

訪問看護は、利用者さんやご家族と膝を突き合わせて、じっくり対話を重ねながら信頼関係を築いていくことができると感じています。利用者さんとご家族と一緒に悩んだり、悲しんだり、喜んだりする日々にやりがいを感じています。

長嶺: 利用者さんやご家族とじっくり関係を築いていけるのも訪問看護ならではの魅力ですね。ありがとうございます。

* * *

次回は、エピソードを投稿したきっかけやその背景を深掘ります。エピソードには書ききれなかった想いやその後の利用者さんの様子などを語っていただきます。

>>後編はこちら(※近日公開)
第3回みんなの訪問看護アワード 投稿エピソードを深掘り【特別トークセッション 後編】

執筆:高橋 佳代子
取材・編集:NsPace編集部

【参照】
〇日本医師会.『JMAP地域医療情報システム』「福岡県 北九州市八幡東区」
https://jmap.jp/cities/detail/city/40108
2025/5/9閲覧
〇北九州市「各区の高齢者人口・高齢化率比較」(令和6年4月1日現在)
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001111766.pdf
2025/5/9閲覧

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