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多疾患併存の緩和ケアがよく分かる 開始のタイミングと支援ニーズの理解
多疾患併存の緩和ケアがよく分かる 開始のタイミングと支援ニーズの理解
特集
2026年8月18日
2026年8月18日

多疾患併存の緩和ケアがよく分かる 開始のタイミングと支援ニーズの理解

非がん疾患の患者さんに質の高い緩和ケアを届けるための知識・視点を整理。訪問時のケアの実践につながるヒントをお届けします。今回は、「多疾患併存(multimorbidity、マルチモビディティ)」を取り上げます。東京ふれあい医療生活協同組合 ふれあいファミリークリニックの角允博先生に、多疾患併存に対する緩和ケアにおいて必要とされる支援について解説いただきます。 はじめに 多疾患併存とは、一般的に2つ以上の慢性疾患が1人の患者に並存している状態と定義されます1)。またQOLの低下、死亡率、ポリファーマシー、転倒、入院などのリスク増加との関連が示されており、国際的にも喫緊の課題に挙げられています2)。 本稿では、多疾患併存に対する緩和ケアの意義と課題を、「なぜ」「いつ」「どのように」の3つの観点から検討します。 なぜ多疾患併存の緩和ケアが求められるのか WHOの緩和ケアの定義は「緩和ケアは生命を脅かす病に直面する患者と家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に発見・評価し対応することで苦痛を予防・緩和するアプローチ」とされています 3)。 日本ではこれまで緩和ケアはがん中心に発展してきましたが、この定義に照らせば対象はすべての重篤疾患であり、がん以外の慢性疾患にも対応する体制整備が急務とされています。また、これまでは単一疾患に対する緩和ケアが主体でしたが、現在のわが国の超高齢者の多くは認知症や心不全、COPD、脊柱管狭窄症など複数の慢性疾患・障害の連鎖の中で終末期を迎えています。こうした患者群では疾患間の相互作用や医療的介入の複雑化により、身体的・心理社会的苦痛が重層化しています。したがって、疾患単位の管理を超えた緩和ケアが今、求められているのです。 多疾患併存の緩和ケアをいつ提供するのか 多疾患併存の軌跡は一見予測不可能なため、終末期を特定することがしばしば困難です。多疾患併存の中でも、慢性的で治癒不可能な性質を反映している「Advanced multimorbidity」 (高度な多疾患併存)という概念がありますが、近年のレビューでは緩和ケアを必要とする多疾患併存症の患者をどのように認識し、どの時期に緩和ケアを提供することが望ましいかは明らかではありません4)。 「サプライズクエスチョン」による特定方法 終末期を迎え、緩和ケアを必要とする可能性のある患者を特定するための方法の1つに、「サプライズクエスチョン」というシンプルな質問法があります。これは、「患者が12ヵ月以内に亡くなっても驚きませんか?」と医師や看護師が自問し「驚かない」と回答することで緩和ケア対象者を同定する方法です。 サプライズクエスチョンを検討したメタアナリシスでは、「驚かない」と回答した場合のその後の死亡率を感度として0.69、「驚く」と回答した場合のその後の死亡率を特異度として0.69であり、中等度の精度を示しました。ただし、セッティング、追跡期間、回答者により、ばらつきがみられました5)。 「治療負担」という考え方 また、多疾患併存への緩和ケアの開始は、治療負担の概念から考えることもできます。Mayらは、慢性疾患患者や長期医療を受ける人々にとって、病気そのもの(症状、制約、合併症など)から生じる負担(burden of illness)に加えて、医療制度・治療プロセス・自己管理から生じる「治療負担」(burden of treatment)という別の重みがあると論じ、注意喚起をしています6)。 これらの負担に対応する能力はcapabilityと呼ばれ、負担とのバランスが崩れると個々の患者の医療成果が悪化するだけでなく、介護者の負担が増大し、さらに医療サービスの需要とコストが増加する可能性が指摘されています7)。これをふまえ、多疾患併存の各疾患の医療制度・治療プロセス・自己管理が患者や介護者の生活にどのような影響を及ぼしているかを把握し、医療者と生活者である患者の間で調整を行うことが重要です。 この調整は、今まで疾患治癒を目的としていた医療的介入を縮小し、症状緩和や患者家族の生活を配慮したケアにシフトするアプローチです。医療従事者が多疾患併存への治療介入自体が患者にとって生活負担になっていると感じる時こそ、緩和ケアの契機になると考えられます。 多疾患併存に対してどういった緩和ケアを行うか 多疾患併存にどのような緩和ケアを行うかは明らかになっていない点が多いですが、多疾患併存に対する緩和ケアのニーズをまとめた先行文献8)、9)を参考に、どういった緩和ケアが必要かを考察します。 (1)身体的苦痛 多疾患併存の身体的苦痛では、痛みと移動の困難が最も多いといわれています8)。日常臨床でも心不全、腎不全などの内部疾患に伴う疼痛、変形性膝関節症や脊柱管狭窄症などの整形疾患、帯状疱疹後神経痛など多様な痛みを訴える患者に遭遇します。さらに認知機能障害を合併した場合、疼痛の評価は困難となることも多くあります。 症状は疾患間で相互作用を及ぼし、一連の疾患をそれぞれ個別に治療し、他疾患を考慮に入れないことは非効率的で、潜在的に有害であることを考慮する必要があります10)。 移動の困難については、介護保険サービスによるリハビリテーションや福祉用具を活用してサポートしているのが現状ですが、「移動が困難であること」それ自体が患者の「苦痛」であることを認識しておく必要があります。これらの身体的苦痛は、後述する心理社会的・スピリチュアルな苦痛と混在し、その表現型として疼痛を訴える場合もあり、解釈には注意を要します。 (2)心理社会的苦痛 Nicholsonらの研究によると、多疾患併存の患者とその介護者は、身体的なニーズには十分に対応されていると考えていた一方で、心理社会的およびスピリチュアルなニーズへのサポートが不足していると認識していました。 心理面では「不幸」「孤独」「不安」「抑うつ」、社会面では「社会的なつながりの維持」「個性とアイデンティティの維持」「介護者への信頼」「家族のサポート」がテーマとして抽出されました8)。心理面は社会面とも密接に関係し、患者本人だけでなく、対応する家族や介護者への教育的サポートも必要であると示されています。 社会的なつながりの維持については、患者と介護者の双方において指摘されています。患者自身も機能の低下によって社会と断絶されることは容易に想像されますが、介護者もまたフルタイムの介護を提供することで、社会的接触が減少し、友人、隣人、地域社会からの孤立感を訴えます。 実臨床において、介護者が患者に信頼され、家族がサポートできる体制をとれているケースがすべてではありません。その結果、患者家族は施設入所を選びますが、介護施設で問題になるのが多数の入居者の中で個性とアイデンティティを維持することです8)。こういった社会的苦痛に現行の介護保険制度の枠組みだけで対応していくことは困難であり、介護施設を含め、介護を社会にひらいていく上での新たな取り組みも必要であると考えられます。 (3)スピリチュアルペイン さらに、Nicholsonらによる研究では、多疾患併存のスピリチュアルに対するニーズは、「意味と目的」「悲しみと喪失」「宗教性および宗教的嗜好」「現在をよく生きること」の4つのテーマに分類されています8)。がん患者において、時間存在である人間は、過去から将来をつなぐ時間の中で現在を生きていますが、罹患し将来がみえなくなることで現在の生に意味や存在が成立しなくなるといわれています11)。この時間存在の概念は、「意味と目的」や「現在をよく生きること」といったニーズに関連します。 多疾患併存の高齢者は、長期にわたる臨床経過の中で、こうした実存的な課題に直面しているのです。時にそれはスピリチュアルペインほど強くない訴えで、身体的・心理社会的苦痛と混在して表出されるため、これを識別・認識するのがしばしば困難になります。 臨床では、「もう生きていてもしょうがない」「早く迎えが来ないかな」「迷惑ばかりかけている」といった言葉を耳にすることも少なくありません。ここではそれをメッセージとして受け取り、言語化し、それを相手に返していく作業が大切です。元来、スピリチュアルペインの概念はがん領域で問題になることが多くありましたが、訪問看護を含めた在宅医療従事者はこの問題に今後、普遍的に取り組む必要があると考えます。 まとめ 本稿では、多疾患併存に対する緩和ケアの必要性、導入時期、提供方法について検討しました。多疾患併存の緩和ケアは、緩和ケア領域のみならず在宅医療やプライマリケアの現場でも喫緊の課題です。今後、臨床実践と研究の両面から、患者の多層的な苦痛を的確に理解し支える枠組みの構築が期待されます。 本文で使用した略語一覧(本文登場順)QOL:quality of life(生活の質)WHO:world health organization(世界保健機関)COPD:chronic obstructive pulmonary disease(慢性閉塞性肺疾患) 執筆:角 允博東京ふれあい医療生活協同組合 ふれあいファミリークリニック 東京都足立区小台宮城で家庭医・在宅医として外来、在宅を通じプライマリケアに従事。多疾患併存における臨床的複雑性と意思決定にチームで取り組んでいる。 編集:株式会社照林社 【参考文献】 1)Valderas JM,Starfield B,Salisbury C,et al.:Defining comorbidity:implications for understanding health and health services.Ann Fam Med 2009;7(4):357-363.2)Multimorbidity:clinical assessment and management.NICE guideline,2016.https://www.nice.org.uk/guidance/ng562026/8/10閲覧3)日本ホスピス緩和ケア協会:WHO(世界保健機関)の緩和ケアの定義(2002年)https://www.hpcj.org/info/history.html2026/8/10閲覧4)Bowers SP,Black P,McCheyne L,et al.:Descriptions of advanced multimorbidity:A scoping review with content analysis.J Multimorb Comorb 2025;15:26335565251326309.5)Gupta A,Burgess R,Drozd M,et al.:The Surprise Question and clinician-predicted prognosis:systematic review and meta-analysis.BMJ Support Palliat Care 2024;15(1):12-35.6)May CR,Eton DT,Boehmer K,et al.:Rethinking the patient:using Burden of Treatment Theory to understand the changing dynamics of illness.BMC Health Serv Res 2014;14:281.7)May C,Montori VM,Mair FS:We need minimally disruptive medicine.BMJ 2009;339:b2803.8)Nicholson CJ,Combes S,Mold F,et al.:Addressing inequity in palliative care provision for older people living with multimorbidity.Perspectives of community-dwelling older people on their palliative care needs:A scoping review.Palliat Med 2023;37(4):475-497.9)Llop-Medina L,Fu Y,Garcés-Ferrer,et al.:Palliative Care in Older People with Multimorbidities:A Scoping Review on the Palliative Care Needs of Patients,Carers,and Health Professionals.Int J Environ Res Public Health 2022;19(6):3195.10)Hourican C,Peeters G,Melis R,et al.:Understanding multimorbidity requires sign-disease networks and higher-order interactions,a perspective.Front Syst Biol 2023;3:1155599.11)村田久行:終末期がん患者のスピリチュアルペインとそのケア.日ペインクリニック会誌 2011;18(1):1–8.

訪問看護ステーションの開業に活用できる助成金・補助金とは?
訪問看護ステーションの開業に活用できる助成金・補助金とは?
コラム
2026年8月18日
2026年8月18日

訪問看護ステーションの開業に活用できる助成金・補助金とは?

訪問看護ステーションの開業には、まとまった資金が必要です。融資や自己資金とともに、助成金・補助金も知っておきたい選択肢のひとつです。原則として返済不要のため、うまく活用できれば開業資金の負担を軽減できるでしょう。 ただし、多くの制度は「後払い」が基本のため、開業直後の運転資金として使えない点に注意が必要です。制度の内容を事前に把握しておかないと、申請のタイミングを逃してしまう場合もあります。 立ち上げ時に活用できる助成金・補助金の種類と注意点を知り、ぜひ開業準備に役立ててみてください。※本記事の情報は2026年7月時点のものです。各制度は変更される可能性があるため、詳細や最新情報は担当省庁や自治体の公式サイトにてご確認ください。 採用・雇用環境の整備に使える助成金 スタッフの確保・定着は、訪問看護ステーションの運営を支える大切な基盤です。雇用環境の整備に活用できる助成金を紹介します。 キャリアアップ助成金(正社員化コース) 非正規雇用のスタッフの正社員転換や直接雇用を促進し、雇用の安定とキャリアアップを支援する制度です。正規雇用化によってスタッフの働く意欲が高まり、職場の魅力向上にもつながります。 なお、申請には転換の前日までに「キャリアアップ計画」の提出が必要です。申請を考えている場合は、早めに準備を進めておきましょう。 働き方改革推進支援助成金 労働時間の適正管理や休暇取得の促進など、働きやすい職場環境づくりを後押しする助成金です。対象となる取り組みは幅広く、勤怠管理システムの導入や労務管理に関する専門家へのコンサルティング依頼なども含まれます。 「記録業務に時間がかかりすぎる」「スタッフが休みを取りにくい」といった現場の課題を抱えている場合に、活用できる可能性があります。 両立支援等助成金 育児や介護を抱えるスタッフが、仕事を続けやすい環境づくりを支援する制度です。柔軟な働き方の導入や業務代替体制の整備など、幅広い取り組みが対象となります。代表的なものに「育児休業等支援コース」があり、育休取得から職場復帰までの流れをサポートした場合に支給されます。 スタッフの離職防止・定着はもちろん、「ここなら長く働ける」と思ってもらえる職場の魅力づくりにも役立つ助成金です。 65歳超雇用推進助成金 定年延長や、継続雇用制度の導入に取り組んだ事業主を支援する助成金です。将来的にスタッフが長く働き続けられる環境を整えたいときに、選択肢のひとつとして知っておくとよいでしょう。 業務効率化・設備投資に使える助成金 業務効率化や設備投資を後押しする助成金も活用できます。開業時のコスト負担を抑えながら、現場環境を整えたい方はチェックしてみてください。 業務改善助成金 業務改善助成金は、生産性向上や業務効率化を目的とした、設備投資を支援する制度です。訪問スケジュール管理ソフトや電子カルテシステムの導入、休憩スペースの整備なども対象となります。 記録作業などの事務負担を減らし、スタッフが利用者さんへの対応に集中できる環境づくりに役立ちます。 IT導入補助金 業務改善助成金が設備投資全般を対象とするのに対し、IT導入補助金はITツールの導入に特化した補助金です。中小企業や小規模事業者を対象に、導入にかかる費用の一部を補助します。 クラウドサービスや電子カルテシステム、スケジュール管理ソフトなど、デジタル化全般が対象となります。 自治体独自の助成金・補助金 都道府県や市区町村が、訪問看護人材の確保・育成や事業所の運営支援を目的とした、独自の制度を設けている場合があります。 たとえば、 研修費用 設備導入費用の補助 人材確保 育成支援 など、地域の実情に合わせたさまざまな制度が存在します。 内容や要件は自治体によって異なります。申請期限が設けられているケースも多いため、開業予定地域の福祉局や担当窓口に早めに問い合わせておくとよいでしょう。 助成金・補助金活用前に知るべき3つのポイント 助成金・補助金は活用できれば心強い反面、知っておくべき注意点もあります。活用前に押さえておきたい3つのポイントを確認しておきましょう。 ポイント(1)支給は「後払い」が原則 助成金・補助金は、対象の取り組みを実施した後に申請・支給されるしくみです。開業直後の運転資金として当てにはできないため、自己資金や融資とは切り離して考える必要があります。 ポイント(2)必ず受け取れるとは限らない 審査に落ちるケースや、予算上限に達して申請期間が早期終了する場合もあります。「申請すれば確実にもらえる」という前提で、資金計画を立てるのは危険です。 ポイント(3)あくまで「プラスアルファ」の支援策 助成金・補助金は、自己資金や融資を軸とした資金計画を補完するものです。メインの資金源として頼りすぎず、活用できた場合の上乗せとして位置づけておきましょう。 まとめ:助成金・補助金は制度を知って早めに動こう 採用・雇用環境の整備、業務効率化・設備投資など、訪問看護ステーションの立ち上げで活用できる助成金・補助金は幅広くあります。返済不要の制度も多く、うまく活用できれば開業資金の負担を軽くできるでしょう。 ただし、どの制度も申請には準備が必要で、タイミングを逃すと活用できないケースもあります。 「使えそうな制度はあるか」「申請のタイミングはいつか」——開業を具体的に考え始めたら、ぜひ一度調べてみてください。知っている制度が増えるほど、資金計画の選択肢も広がります。 執筆:広瀬 よしの(看護師ライター)編集:米沢 まさこ(看護師ライター)監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)株式会社UPDATE代表取締役2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。 現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。そのほか、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。

食中毒症状とは?観察と受診の目安
食中毒症状とは?観察と受診の目安
コラム
2026年8月18日
2026年8月18日

食中毒症状とは?観察と受診の目安

食中毒では、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状がみられます。原因となる細菌やウイルス、寄生虫、自然毒などによって、症状の出方や発症までの時間は異なります。訪問看護や在宅ケアの現場では、「何を食べたか」だけでなく、「いつから症状が出たか」「水分が取れているか」「尿量が減っていないか」などを確認することが大切です。この記事では、食中毒でみられる主な症状、注意したいサイン、在宅での観察ポイントを解説します。 食中毒とは 食中毒とは、細菌やウイルス、有害な物質などが含まれた食品を食べることで、腹痛や下痢、嘔吐などの症状が起こる状態です。厚生労働省では、食中毒の原因として、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、リステリア、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、ノロウイルス、アニサキス、毒キノコ、有毒植物などを挙げています。 食中毒は夏に多いイメージがありますが、原因によって流行しやすい時期は異なります。たとえば、細菌性食中毒は気温や湿度が高い時期に増えやすく、ノロウイルスによる食中毒は冬に多くみられます。ただ、季節だけで判断せず、症状や食事内容、周囲の流行状況をあわせて確認することが大切です。 食中毒でみられる主な症状 食中毒の症状は、原因によって異なりますが、よくみられる症状には以下があります。 下痢 腹痛 吐き気 嘔吐 発熱 倦怠感 頭痛 悪寒 脱水症状 胃痛や腹部けいれん 重症の食中毒では、血便、3日以上続く下痢、高熱、頻回の嘔吐、脱水症状がみられることがあります。 高齢者や小児、妊婦、基礎疾患のある方、免疫機能が低下している方では、症状が重くなることがあります。特に在宅療養中の利用者さんでは、普段の体調や食事量、内服薬の影響も含めて観察することが重要です。 症状が出るまでの時間 食中毒は、食べてすぐに症状が出るものもあれば、数日後に症状が出るものもあります。発症までの時間は、原因を考えるうえで手がかりになります。厚生労働省が発表している、発症までの目安は次の通りです。 原因の例発症までの目安主な症状黄色ブドウ球菌30分〜6時間程度吐き気、嘔吐セレウス菌 嘔吐型30分〜6時間程度吐き気、嘔吐ウエルシュ菌6〜18時間程度腹部膨満、腹痛、下痢ノロウイルス24〜48時間程度吐き気、嘔吐、下痢、腹痛カンピロバクター2〜7日程度下痢、腹痛、発熱、嘔吐、吐き気腸管出血性大腸菌3〜8日程度腹痛、下痢、血便 ただし、同じものを食べても、全員が同じ症状になるとは限りません。年齢、体調、食べた量、基礎疾患などによって症状の強さは変わります。 注意したい症状 食中毒が疑われる場合でも、症状が軽く、水分が取れていて、尿が出ている場合は、主治医へ報告したうえで、点滴など特別な処置はせず様子を見ることがあります。一方で、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 3日以上続く下痢 嘔吐が続き、水分が取れない 血便がある 強い腹痛がある 高熱がある 尿量が明らかに少ない 口の中が乾いている 立ち上がるとふらつく ぐったりしている 意識がぼんやりしている 乳幼児、高齢者、妊婦、基礎疾患のある方に症状がある 特に、乳幼児や高齢者などにおいて、血便や強い腹痛がある場合は注意が必要です。腸管出血性大腸菌では、溶血性尿毒症症候群 や脳症などの重症合併症を発症する場合があります。 脱水症状に注意する 食中毒で特に注意したいのが脱水症状です。下痢や嘔吐が続くと、水分だけでなく電解質も失われます。高齢者では、のどの渇きを感じにくいことがあり、気づかないうちに脱水が進むことがあります。在宅では、以下のような変化を確認します。 尿量が少ない 尿の色が濃い 口唇や舌が乾いている 皮膚や口腔内が乾燥している 立ちくらみがある 脈が速い 血圧がいつもより低い ぼんやりしている 食事や水分が取れていない 嘔吐がある場合は、一度に多く飲むと吐き気が強くなることがあります。少量ずつ、こまめに水分を摂れるか確認します。経口補水液を使う場合は、基礎疾患や水分制限の有無にも注意し、必要に応じて医師や看護師に確認しましょう。 在宅での観察ポイント 訪問看護や介護の現場では、症状だけでなく、発症前後の食事内容や生活状況を確認します。食中毒は原因の特定が難しいこともありますが、以下の情報を整理しておくと、医師や保健所への相談時に役立ちます。 症状が始まった日時 主な症状 下痢や嘔吐の回数 便の性状 血便の有無 体温 腹痛の部位と強さ 水分摂取量 食事摂取量 尿量と尿の回数 食べたもの 同じものを食べた人の症状 服薬状況 基礎疾患 普段の状態との違い たとえば、以下のように記録すると共有しやすくなります。 「昨日夕食後から吐き気あり。本日朝までに嘔吐3回、水様便4回。体温37.8度。水分は少量ずつ摂取できているが、尿は朝から1回のみ。昨日、家族と同じ刺身を摂取。家族1名にも下痢あり。」 このように、「いつから」「何回」「何を食べたか」「水分と尿量はどうか」をまとめると、状態の変化が伝わりやすくなります。 感染を広げないための対応 食中毒の原因によっては、家庭内や施設内で感染が広がることがあります。特にノロウイルスは、ふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感染することがあります。厚生労働省は、ノロウイルスの感染経路として、感染者のふん便や吐ぶつからの二次感染、食品取扱者を介した食品汚染、加熱不十分な二枚貝、消毒不十分な水などを挙げています。感染拡大を防ぐためには、手洗い、吐ぶつやふん便の適切な処理、調理器具の洗浄、食品の十分な加熱が大切です。厚生労働省は、ノロウイルス対策として、調理器具や食器、ふきんなどを洗剤で洗い、熱湯85度以上で1分以上加熱する方法などを紹介しています。在宅では、トイレやドアノブなど、手が触れやすい場所の清掃も重要です。介助者が処理を行う場合は、手袋やマスクを使用し、処理後は石けんと流水で手を洗います。 食中毒を予防する基本 食中毒予防の基本は、菌やウイルスを「つけない」「増やさない」「やっつける」ことです。政府広報オンラインでも、家庭での食中毒予防として、食品の購入、保存、下準備、調理、食事、残った食品の取り扱いなど、各場面で注意することを紹介しています。具体的には、以下のような対策があります。 調理前や食事前に手を洗う 生肉や魚を扱った調理器具を使い回さない 食品を室温に長時間置かない 冷蔵・冷凍が必要な食品は早めに冷蔵庫・冷凍庫に保存する 肉や魚は中心部まで十分に加熱する 残った食品は早めに冷やし、十分に再加熱して食べる 消費期限を確認する 体調不良時は調理を控える 訪問看護では、利用者さんや家族の調理環境、冷蔵庫の管理、食事の保存方法なども確認できる範囲で見ておくとよいでしょう。 まとめ 食中毒では、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状がみられます。原因によって、食後すぐに症状が出る場合もあれば、数日後に発症する場合もあります。在宅ケアでは、症状だけでなく、発症した時間、食べたもの、下痢や嘔吐の回数、水分摂取量、尿量、普段との違いを確認することが大切です。血便、強い腹痛、高熱、水分が取れない、尿量が少ない、ぐったりしているなどの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。食中毒は、予防と早期対応が重要です。日ごろから手洗い、食品の適切な保存、十分な加熱を意識し、症状が出たときには脱水や重症化のサインを見逃さないようにしましょう。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】● 厚生労働省:「食中毒」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html,2026/8/10閲覧● 厚生労働省:「感染性胃腸炎(特にノロウイルス)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/norovirus.html,2026/8/10閲覧● 厚生労働省:「食事にひそむキケン~おいしく安全に食べるヒント」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202406_003.html,2026/8/10閲覧● 政府広報オンライン:「食中毒予防の原則と6つのポイント」https://www.gov-online.go.jp/article/20110602/entry-8196.html,2026/8/10閲覧● CDC:「Food Poisoning Symptoms」https://www.cdc.gov/food-safety/signs-symptoms/index.html,2026/8/10閲覧

感染クラスター対応をゲームで疑似体験!「クラスター8」体験レポート
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特集
2026年8月12日
2026年8月12日

感染クラスター対応をゲームで疑似体験!「クラスター8」体験レポート

「施設で新型感染症のクラスターが発生。しかも施設長は感染して不在——さあ、どうする?」。そんな緊迫の状況をカードゲームで疑似体験できるワークショップが、第8回日本在宅医療連合学会大会(2026年7月4日・5日、札幌)で開催されました。その名も「感染クラスター乗り切り体験ゲーム『クラスター8』」。実際にプレイヤーとして参加したNsPace編集部が、ゲームの様子と学びをレポートします。 「クラスター8」とは?現場の声から生まれた体験ゲーム クラスター8は、介護施設での感染クラスター発生時の対応を、チームで疑似体験するボードゲーム型の研修ツールです。開発の中心となったのは、コロナ禍で数多くの施設の感染対応を支援してきた医療・介護の実践者集団「一般社団法人KISA2隊(キサツ隊)」。「issue+design」との共同開発により、現場で見てきた工夫や失敗の教訓を集めて作られたといいます。 印象的だったのは、冒頭で語られた開発の動機です。クラスターの被害は感染者数だけでは語れません。感染対応を優先するあまり利用者さんのADL(日常生活動作)が低下してしまう、スタッフが疲弊して離職につながる、チームの人間関係が壊れてしまう——。そうした「二次被害」も含めて危機をどう乗り切るかを、安全な場で体験してもらいたい。ゲームにはそんな願いが込められています。 ゲームの舞台は「施設長不在の小規模施設」 ゲームの舞台は、利用者さん10名を職員6名で支える小規模な介護施設です。ある日、施設長が新型ウイルス感染症に感染して自宅隔離となり、残された職員だけでクラスター対応に立ち向かう——という設定で始まります。参加者は4人1組のチームとなり、それぞれ「医療職員」「介護職員」「ケアマネジャー」「感染対策委員」の役割を担当。感染発生からの8日間をターン制で進めていきます。ルールの骨格はシンプルです。 チーム共通の目標は「施設全体の感染者を一定数以下に抑える」こと 各自にはそれぞれ役割に応じた個人目標がある(職員の感染を防ぐ、利用者さんのADLを守る、職員の元気度を保つ…など) 毎ターン、20種類の「アクションカード」から実行する行動を最大3つまで選ぶ アクションには実行に必要な職員数があり、職員が感染すると打てる手がどんどん減っていく そして意地悪なことに、20種類のアクションの中には「実はあまり効果がないもの」も紛れ込んでいます。限られた人手で何を優先するか。チームの合意形成そのものが、このゲームの本体です。 体験して分かった「合意形成」の難しさ 編集部も1つのチームに入って参加しました。実際にやってみると、これが想像以上に悩ましいのです。 感染拡大を抑えたい医療職視点では、消毒やゾーニングを優先したい。一方で、利用者さんの生活を守る介護職視点では、隔離や制限ばかりだと個人目標のADLが守れない。職員の元気度を担当するメンバーからは「その前に職員が倒れます」と“待った”がかかる。それぞれの正義がぶつかる中で、3枚しか選べないカードをどれにするか——制限時間は刻一刻と減っていきます。 ゲームの結果は、チームの選択によって「グッドエンド」から「バッドエンド」まで複数のエンディングに分岐します。感染は抑えたのに利用者さんのADLが大きく低下し、職員の離職が始まってしまう、という苦いエンディングもあり、「感染者数さえ抑えればよいわけではない」という開発者のメッセージがここにも表れていました。 答え合わせで学ぶ、初動対応のポイント ゲーム後の解説パートでは、推奨される対応が具体的に示されました。詳細は割愛しますが、編集部が特に持ち帰りたいと感じたポイントを3つご紹介します。 (1)最初にやるべきは「指揮系統の明確化」 責任者が不在でも対応が止まらないよう、誰が判断し、誰に確認するのかをまず決める。指示待ちによる初動の遅れが、その後の展開を大きく左右します。 (2)ご家族への連絡は「有事の前」から 有事の連絡だけでは、ご家族の不安は募るばかり。平時から「何もないとき」にも連絡を取り、信頼関係を築いておくことで、緊急時の連絡も前向きに受け止めてもらえる、という指摘にはハッとさせられました。 (3)「よかれと思った対策」にも落とし穴がある 一見有効に思える対策でも、使い方や場面によっては逆効果になり得るものがあります。たとえば仕切りの設置が換気を妨げてしまうケースのように、「その対策は何のためか」を理解して選ぶことの大切さが強調されていました。 訪問看護ステーションでも「避難訓練」を 主催者が繰り返し語っていたのは、「これはあくまで疑似体験、いわば避難訓練です」ということ。本番はもっと過酷で、時間も情報も足りない中での判断を迫られます。だからこそ、平時に安全な場で「チームで決める」経験をしておくことに価値があるのだと感じました。 また、このゲームは医療職と介護職の合意形成ツールとしての側面も持っています。医療の正義と生活の正義、どちらも大切だからこそぶつかる。その調整を疑似体験できる研修ツールは、訪問看護ステーションと連携先の施設・事業所が合同で取り組む研修としても効果的だと感じました。 BCP(業務継続計画)は作って終わりになりがちです。自分たちの計画が本当に機能するのか、ゲームという形で点検してみる。そんな選択肢があることを、多くの事業所の方に知っていただきたいと感じた90分でした。 【参考文献】 第8回日本在宅医療連合学会大会運営事務局:「ワークショップ・交流集会・ハンズオンセミナー(事前予約)」.第8回日本在宅医療連合学会大会.https://www.aeplan.jp/jahcm2026/workshop/ 2026/8/6閲覧 一般社団法人KISA2隊:「感染クラスター8|感染対策研修をゲームで楽しく実施する!」.一般社団法人KISA2隊ウェブサイト.https://kisa2tai.or.jp/lp/cluster8/ 2026/8/6閲覧 厚生労働省老健局:「介護現場における感染対策の手引き 第3版」.厚生労働省ウェブサイト.令和5年9月.https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001149870.pdf 2026/8/6閲覧 厚生労働省:「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」.厚生労働省ウェブサイト.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html 2026/8/6閲覧

表皮水疱症の再生医療(自家培養表皮移植)【特別トークセッション 第4回】
表皮水疱症の再生医療(自家培養表皮移植)【特別トークセッション 第4回】
インタビュー
2026年8月12日
2026年8月12日

表皮水疱症の再生医療(自家培養表皮移植)【特別トークセッション 第4回】

国内での実施例がいまだ数十例に留まる、表皮水疱症の「自家培養表皮移植」。先進的な選択肢である一方、未知の治療に対する医療者側の心理的ハードルの高さも課題となっています。本連載では、自家培養表皮移植による再生医療を行う蒲郡市民病院の医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、高校2年生の当事者・山崎璃斗さんとお母様をお迎えしたトークセッションの模様を全4回でお届けします。連載最終回は、璃斗さんが経験した再生医療について詳しく伺います。 久保 良二(くぼ りょうじ)先生蒲郡市民病院 皮膚科 部長。日本専門医機構認定皮膚科専門医。専門領域は乾癬、白斑、褥瘡。名古屋市立大学医学部臨床准教授、蒲郡市民病院特定認定再生医療等委員会委員。藤田 順子(ふじた じゅんこ)さん蒲郡市民病院 看護部/皮膚・排泄ケア特定認定看護師。山崎璃斗さんの同院での初めての手術をきっかけに介入を開始。 山崎 璃斗(やまざき りと)さん栄養障害型表皮水疱症の当事者。現在はS高等学校(通信制)の2年生。幼少期より皮膚や粘膜の脆弱性に伴う広範な創傷や、関節の拘縮(屈曲変形)などの症状を抱えながら療養を継続。2020年より蒲郡市民病院にて自家培養表皮による再生医療を複数回受けている。山崎 奈美(やまざき なみ)さん璃斗さんの母 / 看護師・DebRA Japan(表皮水疱症友の会)所属。璃斗さんの誕生直後から日々の洗浄・ガーゼ処置・栄養管理を担ってきた。最新の知見を集めながら、在宅ケアを実践。救命救急受付の仕事に就いている。取材協力蒲郡市民病院株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC) ※本文中一部敬称略※本記事は、2026年6月4日時点の情報をもとに構成しています。 表皮水疱症における再生医療の位置づけ ――璃斗さんは、今回の治療をきっかけにQOLの変化を実感されたと伺っています。まずは、表皮水疱症における再生医療(自家培養表皮移植)がどのようなものか教えてください。 久保:  表皮水疱症において、再生医療は心強い存在になり得る治療法と考えています。流れとしては、治療が決まったらまずご本人の皮膚を小指の先くらい(約2平方センチメートル)採取します。それを再生医療メーカーの担当者さんに渡して約4週間かけて培養してもらうと、50枚ほどの表皮シートができるんです。出来上がる時期に合わせてご本人の入院日やどこに何枚移植するかを調整し、手術を行います。 ――患者様ご本人の皮膚を使用する治療法ということで、特性やメリットがある一方で、今後の普及にあたっての課題などはどのような点にあるのでしょうか。 久保: 現実的にこの治療がそれほど広がっていないのは、患者様に提案する以前に「医療者側が最初の一歩を乗り越えられない」問題が大きいからです。医療者の多くが実際にこの病気を診たことがない上に、再生医療という「やったことがない最先端の治療」を行うわけですから、重い腰が上がらないのです。当院が実践できているのは、病院や行政が再生医療に非常に協力的で、再生医療メーカーが近くにあるという点が大きいでしょう。 再生医療を選択した経緯 ――当時、お母様や璃斗さんご自身には、治療法の選択について迷いや葛藤はありましたか。 山崎(母): 表皮水疱症は症状がつらい病気ですから、なんとか良くしてあげたいという思いでずっと治療は検討していました。DebRA Japan(表皮水疱症友の会)がいつも最先端の医療情報を発信してくれていたので、大変参考にしていました。当時は再生医療のほかに骨髄移植の治験が始まるというお話もあったのですが、海外のデータも参照しながら、リスクと照らしあわせて我が家の場合は見送りました。本人の皮膚を用いた再生医療という新しい選択肢があり、それを地元の蒲郡市民病院で受けられると分かった時は、この治療を選ぶことに迷いはありませんでした。 ――実際の治療の流れや、入院中の璃斗さんの様子はいかがでしたか。 山崎(母): 最初は全身麻酔で、一気に数十枚の移植をしていただきました。まだ子どもだったので私も布団を持って行って、1週間以上一緒に病室で寝泊まりしていましたね。 璃斗: 手術が終わった直後は、移植したところが動かないように全身ガチガチに固められるので、まったく動けなくなるのがつらかったです。あとは、全身麻酔のあとの吐き気や抜糸の痛みもきつかったですね。 久保: 全身麻酔の時は、一度にたくさん移植していたので、抜糸もかわいそうでしたね…。小児科の先生にお願いして、強い鎮痛薬を使ったこともありました。最近は璃斗くんも大きくなって全身麻酔が難しくなり、ご本人も頑張ってくれるようになったので、局所麻酔で1枚〜2枚をピンポイントで移植するスタイルに変えています。 歩けることがうれしい。治療後の生活の変化 ――再生医療を受けて、璃斗さんの日常生活にはどのような変化が現れましたか。 璃斗: まずは手術後に皮膚の状態も落ち着いて、負担を感じず歩けるようになったと思います。気持ちの面でもストレスなく、外に出られるようになったことが、一番嬉しい変化ですね。 山崎(母): 再生医療を受ける前は、膝や足の指を動かすのも大変だったもんね。それが、自家培養表皮移植を受けて皮膚の状態が落ち着いてからは、歩行がとても自然に行えるようになったんです。 久保: 最初に来られたころに比べると、歩き方や歩行の様子がスムーズになり、確かな変化を感じています。また皮膚の状態が安定したことで、栄養バランスも整いやすくなり、身長や体重といった体の成長も感じ取ることができています。 藤田: 初めて会ったときから、約30㎝身長が伸びていますから…本当に大きくなりましたよね。私たちにとっても璃斗くんの成長はとても嬉しいです。 在宅支援のこれから「医療と生活をつなぐ役割」 ――璃斗さん、蒲郡市民病院の医療者の方々にメッセージをお願いします。 璃斗: 僕を担当してくれた久保先生や藤田さん、病棟の看護師さんたちは、血圧を測る時もチューブ包帯を巻いて傷つかないようにしてくれますし、何かをする前は必ず声をかけて確認してくれます。いつもすごく気にかけて優しく声をかけてくれてありがたいです。 ――ありがとうございます。最後に、藤田さん、久保先生、お母様から他の医療者に向けたメッセージをお願いします。 藤田: 私は、表皮水疱症のケアにおいて多職種連携が何より大事だと学びました。看護師1人だけでは絶対にできませんでした。病棟スタッフ、主治医、他の看護師、栄養士、再生医療メーカーの担当者さんなど、本当にいろんな方に助けてもらいました。 訪問看護師の皆さんも、自分たちだけで抱え込まないほうがよいと思います。心配な時は認定看護師の同行訪問などの制度を活用し、専門の看護師を巻き込むのもひとつの手です。表皮水疱症の患者様は、普段のケアを少しストップするだけで一気に悪くなってしまう特殊性もあります。1人で抱え込まずに、みんなで支える体制を作ってほしいです。 久保: 藤田さんも言っている通り、表皮水疱症は多職種で見ていく病気です。医師の場合も、再生医療に取り組みたい場合、1人で始めるのではなく、病院全体を巻き込んだ「チーム」で始めてほしいですね。まずは「お試しで2枚だけやってみよう」というくらいのスモールスタートで、一歩を踏み出してほしいなと思います。 山崎(母): この病気は本当に毎日が痛みの連続です。その痛みを少しでも軽減できる治療があるなら、チャレンジしたいと思う人が多いでしょう。ただ、全国的にはまだまだ治療を行っている病院が少ないので、少しでも多くの医療者の方に理解いただき、「こういう治療があるよ」とご本人やご家族に提案してもらえる世の中になったらうれしいなと思います。 また、我が家は訪問看護を利用するチャンスがありませんでしたが、子どもが小さいころはお風呂に入れるだけでもパニックで、「目を離したら万が一のことがあるのでは」と毎日神経をすり減らしていました。訪問看護師さんが来てくれて、ガーゼを巻くのを手伝ってくれたり、お話を聞いてくれたりするだけでも、ご家族の心はものすごく楽になると思います。「やりに来るだけ」じゃなくて、親の精神を支えてくれるような訪問看護師さんが地域に増えてくれたら本当にありがたいです。 ――大変貴重なお話をありがとうございました。 取材・執筆・編集: NsPace編集部 【参考】 〇難病情報センター「表皮水疱症(指定難病36)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/53382026年8月12日閲覧

ヘルパンギーナと溶連菌の見分け方
ヘルパンギーナと溶連菌の見分け方
コラム
2026年8月12日
2026年8月12日

ヘルパンギーナと溶連菌の見分け方|症状の違いと受診目安

ヘルパンギーナと溶連菌感染症は、どちらも発熱やのどの痛みがみられる病気です。症状が似ているため、「どちらなのか見分けにくい」と感じることもあります。 ただし、ヘルパンギーナは主にウイルスが原因で、のどの奥に水疱や潰瘍がみられやすい病気です。一方、溶連菌感染症は細菌が原因で、急なのどの痛みや発熱、扁桃の腫れ、首のリンパ節の腫れなどがみられます。この記事では、ヘルパンギーナと溶連菌感染症の違い、観察ポイント、受診の目安を解説します。 ヘルパンギーナとは ヘルパンギーナは、発熱とのどの痛み、口の中の水疱を特徴とする感染症です。乳幼児を中心に、夏に流行しやすい「夏かぜ」のひとつとされています。主な原因はコクサッキーウイルスA群などのエンテロウイルスです。 厚生労働省によると、ヘルパンギーナは感染してから2〜4日後に突然の発熱が起こり、その後、のどの痛みや水疱が現れます。発熱は1〜3日続くことが多く、食欲不振、全身のだるさ、頭痛などを伴うこともあります。 のどの奥に小さな水疱や潰瘍ができるため、飲み込むときに痛みが強くなり、水分や食事を取りにくくなることがあります。小児では、脱水症に注意が必要です。 溶連菌感染症とは 溶連菌感染症は、主にA群β溶血性レンサ球菌という細菌によって起こる感染症です。感染すると、急な発熱や強いのどの痛み、飲み込むときののどの痛み、扁桃が赤く腫れるなどの症状がみられ、首の前側のリンパの腫れ、口蓋の赤い点状出血、扁桃の白い付着物といった特徴的な症状が出現することもあります。 溶連菌感染症は細菌感染のため、A群β溶血性レンサ球菌による扁桃咽頭炎では、医師の判断により抗菌薬が投与されることがあります。 見分けるポイント ヘルパンギーナと溶連菌感染症は、症状だけで完全に見分けることは難しい場合があります。ただし、観察のポイントを整理すると、違いを把握しやすくなります。 項目ヘルパンギーナ溶連菌感染症原因主にウイルス主に細菌流行時期夏に多い冬季と春から初夏の2つの流行ピークがある年齢乳幼児に多い学童期の子どもに多い発熱突然の高熱がみられ、発熱は1~3日続く急な発熱が多いが、通常発熱は3~5日以内に下がるのどの所見のどの奥に水疱・潰瘍扁桃の腫れ、白い付着物咳・鼻水みられることがある目立たないことが多い治療対処療法が中心抗菌薬が必要な場合がある ヘルパンギーナでは、のどの奥の水疱や潰瘍が特徴です。一方、溶連菌感染症では、扁桃の腫れや白い付着物、首の前側のリンパ節の腫れなどが手がかりになります。 ただし、実際には症状が重なることもあります。家庭や在宅ケアの現場で「ヘルパンギーナだ」「溶連菌だ」と断定せず、症状の経過や全身状態を確認し、必要に応じて受診につなげることが大切です。 受診を考えたい症状 溶連菌感染症では、扁桃周囲膿瘍などの局所化膿性合併症やリウマチ熱、糸球体腎炎に至ることがあるため、早期に診断し抗菌薬投与する必要があるとされています。そのため、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 水分がほとんど取れない 尿の回数が明らかに少ない ぐったりしている 呼びかけへの反応が弱い 高熱が続く のどの痛みが強く、飲み込めない 発疹がある 首の腫れや強い痛みがある 呼吸が苦しそう けいれんがある ヘルパンギーナでは、のどの痛みによって水分摂取が難しくなり、脱水症につながることがあります。厚生労働省も、ヘルパンギーナの合併症として、熱性けいれん、脱水症、小児ではまれに髄膜炎や心筋炎などへの注意を挙げています。 在宅での観察ポイント 訪問看護や在宅ケアでは、病名を見分けることよりも、利用者さんや子どもの状態を具体的に観察することが重要です。 確認したいポイントは、以下のとおりです。 発熱がいつからあるか 最高体温 のどの痛みの程度 水分摂取量 食事量 尿量や尿の回数 口の中の水疱や潰瘍の有無 扁桃の腫れや白い付着物の有無 咳や鼻水の有無 発疹の有無 家族や園、学校での流行状況 活気の低下や意識状態の変化 記録する場合は、以下のように、症状と経過を具体的に書くと共有しやすくなります。 「昨日夕方から発熱。最高体温39.0度。のどの痛みが強く、水分摂取は少量。口腔内奥に小さな水疱様の所見あり。尿は朝から1回のみ。」 「本日朝から発熱とのどの痛みあり。咳・鼻水は目立たない。扁桃に白い付着物あり。首の前側に圧痛あり。食事摂取は半分程度。」 このように記録すると、医師や看護師に状況を伝えやすくなります。 家庭で気をつけたいこと ヘルパンギーナでも溶連菌感染症でも、発熱やのどの痛みがあるときは、無理に食事を取らせるよりも、水分摂取を優先します。冷たい飲み物、ゼリー、スープなど、のどにしみにくく飲み込みやすいものを選ぶとよいでしょう。 酸味の強い飲み物や熱い食べ物は、のどや口の中の痛みを強めることがあります。食事量が少なくても、水分が取れていて尿が出ているかを確認します。 溶連菌感染症が疑われる場合は、検査や治療が必要になることがあります。自己判断で市販薬だけで様子を見るのではなく、症状や流行状況に応じて医療機関へ相談しましょう。 まとめ ヘルパンギーナと溶連菌感染症は、どちらも発熱とのどの痛みがみられるため、見分けにくいことがあります。ヘルパンギーナは、夏に乳幼児を中心に流行し、のどの奥の水疱や潰瘍が特徴です。溶連菌感染症は、急なのどの痛み、発熱、扁桃の腫れ、首のリンパ節の腫れなどが手がかりになります。 ただし、症状だけで正確に判断することは難しいため、家庭や在宅ケアの現場では、病名を決めつけず、発熱の経過、水分摂取量、尿量、のどの所見、全身状態を観察することが大切です。ぐったりしている、水分が取れない、高熱が続くなどの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。 【参考文献】 厚生労働省:「ヘルパンギーナ」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/herpangina.html2026/8/12閲覧 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:「ヘルパンギーナ(詳細版)」.https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/herpangina/010/index.html2026/8/12閲覧 CDC:「About Strep Throat」.https://www.cdc.gov/group-a-strep/about/strep-throat.html2026/8/12閲覧 MSDマニュアル プロフェッショナル版:「扁桃咽頭炎」.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/16-耳鼻咽喉疾患/口腔咽頭疾患/扁桃咽頭炎2026/8/12閲覧 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:「A群溶血性レンサ球菌感染症」.https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/group-a-streptococcal-infection/index.html2026/8/12閲覧 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:「IDWR 2023年第43号<注目すべき感染症> A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」.https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/featured/2023/43/index.html2026/8/12閲覧 MSDマニュアル プロフェッショナル版:「扁桃周囲膿瘍および蜂窩織炎」.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/16-耳鼻咽喉疾患/口腔咽頭疾患/扁桃周囲膿瘍および蜂窩織炎2026/8/12閲覧

心温まるエピソード【つたえたい訪問看護の話】
心温まるエピソード【つたえたい訪問看護の話】
特集
2026年8月7日
2026年8月7日

心温まるエピソード【つたえたい訪問看護の話】第3回vol08

訪問看護の現場では、利用者さんやご家族との日々の関わりのなかで、その人らしさや大切にしてきた思いに触れる瞬間があります。今回は、「みんなの訪問看護アワード2025」に寄せられた投稿のなかから、利用者さんと訪問看護師の間に生まれた、忘れがたい5つのエピソードをご紹介します。 「筆が引き出すあのころの顔つき」 「もう、心も体も衰えました」と繰り返し話していた90代のAさん。かつて親しんだ筆を手にした瞬間、その表情は凛と引き締まり、迷いのない筆運びで作品を書き上げました。Aさんのなかに今も息づいていた力と、娘さんが懐かしい母の姿を見つけたエピソードです。 90代のAさんは、訪問するといつも笑顔で「私はもう、心も体も衰えました」と繰り返し話していました。そんなある日、足腰が弱り、自分では上がれなくなっていた2階へ、介助のもとで一緒に上がることになりました。案内していただいたのは、かつてAさんが使っていた部屋です。壁には、額に入れられたたくさんの習字や刺繍の作品が飾られていました。そこは、Aさんの生きてきた時間が詰まったような部屋でした。Aさんが以前、習字をしていたことは聞いていました。しかし、Aさんはいつも、「もう衰えて、指も曲がってしまったから、習字はできませんわ」と話していました。部屋で習字道具を見つけた私は、「やってみませんか」と声をかけ、1階の部屋まで運びました。「あきません。もうできません」Aさんは首を横に振りました。それでも私は、「私にも教えてほしいんです」とお願いし、墨汁を用意して筆を手渡しました。すると、Aさんの目の色が変わりました。すっと立ち上がり、背筋をぴんと伸ばして半紙に向かいます。そこには、気迫さえ感じさせる凛とした姿がありました。Aさんは、迷いのない筆運びですらすらと文字を書き上げ、最後に自らの雅号を添えました。そして、完成した作品を見つめながら、さまざまな感情が込み上げたように涙ぐんでいました。後日、筆を持つAさんの写真を娘さんに見ていただくと、「私が幼いころ、母はとても厳しい人でした。あのころのような、きりっとした表情を引き出してくださって、とてもうれしいです。こんな顔、久しぶりに見られました」と、喜びの言葉をいただきました。その後、Aさんの「もう衰えました」という言葉には、昔のように誰かのために何かをしたくても、思うようにできないもどかしさが込められていたのだと分かりました。 2025年1月投稿 「最期の願いを託した両親への手紙」 病状が進行するなか、ご両親への手紙を書きたいと願った38歳の佐藤さん。痛みや倦怠感が強まるなかでも少しずつ言葉をつづり、家族への感謝と思いやりを一通の手紙に託しました。その手紙が、今もご両親の心を支えているエピソードです。 佐藤さんは38歳。直腸がんが全身に転移し、ご家族は医療者から、予後が数カ月程度と見込まれると説明を受けていました。ご本人に病状をどのように伝えるかについては、ご家族と医療・ケアチームで慎重に話し合われていました。リハビリに取り組んでいたある日、佐藤さんから声をかけられました。「オレ、両親に手紙を書きたいんだ。協力してくれないかい?」薬の副作用もあり、痛みや倦怠感が強まり、体調は悪化し続けましたが、それでも佐藤さんは決して諦めることなく「やるんだ!」と、まさに決死の思いで書き上げました。完成した手紙には、自分が家族より先に旅立つことへの悲しみとともに、ご両親やご兄妹への最大級の感謝と、ご両親のこれからを気遣う言葉が綴られていました。「僕が亡くなったら家族に渡してください」そう約束した6日後、佐藤さんは亡くなりました。まだ温かい彼に手を合わせ、ご両親に手紙をお渡ししました。四十九日が過ぎたころ、ご両親にお会いすると、手紙を振り返りながら「ちゃんと分かっていたんだね」「私たちのこと心配してくれていたから、元気でいなくてはね」と目に涙を浮かべながら、小さく笑顔を見せてくださいました。佐藤さん。あなたが残した手紙は、今でもご両親を支えていますよ。 2025年1月投稿 「どうか最期まで満面の笑顔で」 表情や左手の動きで、豊かに気持ちを伝えていたTさん。満面の笑みは、関わる人たちの心を和ませていました。やがて表情が少なくなっていくなか、最期のときを迎える直前に見せた、穏やかなほほ笑みが心に残るエピソードです。 高次脳機能障害と右半身麻痺のあるTさん。失語により言葉を理解しているかどうかの判断も難しい状況で、意思表示の手段は、表情と動かせる左手の動きのみでした。移乗は断固拒否され、寝たまま左手で食事をする生活を20年程続けていました。好き嫌いがはっきりしていたTさんは、受け入れにくいことがあると、表情や動かせる左手で強く気持ちを示すことがありました。一方、うれしいときには満面の笑みを浮かべ、涙を流したり、握手を求めたりすることもありました。そうした豊かな感情表現と笑顔には、周囲の人の心を和ませる不思議な力がありました。だんだんと食が細くなり痩せ細るTさん。以前のように強く気持ちを表すことも少なくなり、力なく笑うようになっていきました。満面の笑みを見ることはなくなり、つらさからか泣くことも増えていきました。段々と表情も乏しくなるなか、最期のときを迎える直前、看護師の顔を見て微笑んだTさん。まるで「ありがとう」と伝えてくれているような穏やかな表情を見て、穏やかな気持ちになりました。Tさん、これからも大好きなパンと巻き寿司を口いっぱいに頬張りながら、あの素敵な笑顔で過ごしてね。 2025年1月投稿 「木曜日の午後2時」 がんの終末期を自宅で過ごしていた正義さんは、体調が変化しても、外を歩くことを楽しみにしていました。亡くなる2週間前まで一歩ずつ散歩を続け、いつも笑顔を見せていた正義さん。後になって知った「木曜日の午後2時」への思いに、訪問看護師の胸が熱くなったエピソードです。 がん終末期に病院を退院した正義(まさよし)さん。とてもダンディで心温かく、まるで正義の味方のような方でした。退院してから少しずつ元気になり、ベッド中心の生活から次第に歩けるようになりました。私が選んだウォーカーをとても気に入ってくださり、どんどん歩ける距離も伸びていきました。その姿は、腰椎に転移があるとは思えないほどでした。夏には1キロメートル近く散歩できました。足の悪い私は、スタスタ歩く正義さんについて行くのが大変なこともありました。秋の終わりになると、足がむくみ始め、重さも増して歩くスピードも遅くなりました。冬になっても、雨さえ降っていなければ、どれだけ寒い日でも「少しだけお付き合いください」と言われ、一緒に歩きました。吐く息が真っ白になるほど寒い日でも「風が気持ちいいですね」と笑っていました。正義さんと一緒に春を迎えられるとは、思っていませんでした。足は大きくむくんでいましたが、それでも正義さんは「外にでたい」と話し、私たちは一緒に20メートルほど歩きました。体はつらそうなのに嬉しそうでした。亡くなる2週間前にも、わずか10メートルではありましたが、歩くことができました。一歩一歩はとてもゆっくりで、足取りも重く、つらそうでした。それでも、正義さんの表情には嬉しそうな笑みが浮かんでいました。その翌日から全身の痛みが強まり、正義さんはベッドから動けなくなりました。傾眠状態になってからも、ケアの後には「ありがとうございました」と言って、いつものように笑顔を見せてくださいました。正義の味方のような方でした。後日、娘さんから「父は、訪問看護が来る木曜日の午後2時を、いつも心待ちにしていました」と聞きました。その言葉を聞いた瞬間、涙があふれました。けれど、木曜日の午後2時を心待ちにしていたのは、私も同じでした。 2025年1月投稿 「痛みとの孤独な闘い」 進行した膵臓がんと診断されたKさんは、入院ではなく、住み慣れた自宅で過ごすことを望みました。十分とはいえない生活環境のなかでも、訪問看護師や医師と関わりながら、自分らしい時間を過ごしたKさん。最期まで本人の希望を支えた日々と、看護師の心に残った言葉を描いたエピソードです。 生活保護で一人暮らしをしていた67歳のKさん。血糖値の管理が難しくなったことをきっかけに、訪問看護の介入を開始した。その後、著しい高血糖で入院し、肝臓への転移を伴う進行膵臓がんと診断された。Kさんは積極的な治療を希望せず、住み慣れた自宅で緩和ケアを受けながら過ごすことを選択した。がん性疼痛が強くなったため、年末からは医療用麻薬による疼痛緩和が開始されるも、入院は望まず。室内は生活環境を整えることが難しい状態で、寝具や排泄の環境も十分ではなかった。はじめは支援を受け入れることにためらいがあったが、体を動かすことが難しくなるにつれ、少しずつ排泄ケアなどを受け入れてくださるようになった。私たちは寝具や衣類を整え、Kさんらしく過ごせる方法を一緒に考えた。「一人で過ごすのは寂しくないですか。痛みを和らげるために、入院する方法もありますよ」そう声をかけると、Kさんは、「病院はどうしても嫌や。ここにおるんが気楽や」と答えた。決して整った環境ではなかったが、そこはKさんが長く暮らしてきたかけがえのない自宅だった。私はその思いを受け止め、主治医やほかの看護師と相談しながら、自宅で過ごし続けられるよう支援することを決めた。ラジオから懐かしい曲が流れると、Kさんは頭を揺らしてリズムを取った。私たちも一緒に歌い、穏やかな時間を過ごした。訪問診療医から「こういう看取りもいいね。みんなで支えれば、ここで最期まで過ごせると思う」と言葉をかけてもらったことも、支援を続けるうえで大きな支えとなった。最期が近いと感じた日の早朝、夢のなかにKさんが現れ、「ありがとうな」と声をかけてくれました。長く関わっていた別の看護師も、同じころにKさんの夢を見たという。Kさんは、自分が望んだ場所で最期まで過ごされた。私たちの関わりは、Kさんの寂しさや痛みを少しでも和らげ、心の支えとなったのだろうかと、今も考える。『負けないで、もう少し』今後、この歌を耳にするたびにKさんを思い出し、私たち自身が前を向くための応援歌として口ずさむことでしょう。 2025年1月投稿 利用者さんやご家族との信頼関係から生まれる温かい瞬間は、訪問看護師にとってかけがえのない宝物です。これからも一人ひとりの人生に寄り添い、心通う看護を届けていきたいですね。 編集: NsPace編集部

元気をもらえるエピソード【つたえたい訪問看護の話】
元気をもらえるエピソード【つたえたい訪問看護の話】
特集
2026年8月7日
2026年8月7日

元気をもらえるエピソード【つたえたい訪問看護の話】第3回vol07

訪問看護の現場では、疾患や障害などがある中でも懸命に前向きに生きる利用者さんがたくさんいます。「みんなの訪問看護アワード2025」に投稿されたエピソードから、利用者さんの前向きな姿勢に力を分けてもらえるエピソードをご紹介します。 「彼女が教えてくれた『手当て』」 末期乳がんの彼女は、自然療法で治すという固い意思を持ち、激痛の時には「薬よりも人の温もりだよ」と語った彼女のエピソード。 「息を引き取られたそうです」クリニックからの電話に言葉が出なかった。というのも、彼女は数年前に末期の乳がんで余命宣告をされたにもかかわらず、何度となく山を乗り越えてきたため、なんとなく絶対死なないような気がしていたからだ。彼女はとても強い方だった。「自然療法で治す」という固い意思を持っていたので、腫瘍から膿が出ようが、リンパ漏で下半身がビショビショになろうが、薬は一切使わなかった。一方で、どんなに体調が悪くても自分でできるリハビリを考え、常に身体を動かし、歌を歌い、いつも笑っていた。痛みや高熱も身体の必然の反応として受け止め、自然に治していく姿を見ていると「薬って本当に必要?」とさえ感じた。それでも激痛に震える彼女を前にすると「薬を使えば楽にしてあげられるのに…」と看護師として何もできないジレンマで辛くなることもあった。しかし彼女はそんな時には決まって「手当て」を希望されたのだ。看護の原点ともいえる「手当て」。「あなたが触ってくれるだけで楽になる。薬よりも人の温もりだよ」という彼女の言葉は、学生時代に学んだナイチンゲールの教えを彷彿とさせた。浮腫んだ身体にゆっくり手を沈めていく感触。「ああ、気持ちいい」と静かにつぶやいていた彼女の声。彼女の選択が正しかったのかは分からない。正直、もっと違う選択もあったのではないかとさえ感じる。それでも彼女が信じた治療に寄り添えたこと。それは間違いではなかったと感じている。 2024年10月投稿 利用者さんの前向きな姿勢や人生の歩みは、関わる訪問看護師だけでなく読者にまで元気や力を与えてくれます。あらためて、訪問看護師と利用者さんの関係は共鳴するのだと考えさせられます。 編集: NsPace編集部

表皮水疱症の食事&栄養管理【特別トークセッション 第3回】
表皮水疱症の食事&栄養管理【特別トークセッション 第3回】
インタビュー
2026年8月4日
2026年8月4日

表皮水疱症の食事&栄養管理【特別トークセッション 第3回】

全身の創傷から栄養が漏れ出てしまう表皮水疱症において、「食事と栄養管理」は重要なテーマです。本連載では、自家培養表皮移植による再生医療を行う蒲郡市民病院の医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、高校2年生の当事者・山崎璃斗さんとお母様をお迎えしたトークセッションの模様を全4回でお届けします。第3回は、栄養障害を補うための医学的アプローチやご家庭での試行錯誤について語り合います。 久保 良二(くぼ りょうじ)先生蒲郡市民病院 皮膚科 部長。日本専門医機構認定皮膚科専門医。専門領域は乾癬、白斑、褥瘡。名古屋市立大学医学部臨床准教授、蒲郡市民病院特定認定再生医療等委員会委員。藤田 順子(ふじた じゅんこ)さん蒲郡市民病院 看護部/皮膚・排泄ケア特定認定看護師。山崎璃斗さんの同院での初めての手術をきっかけに介入を開始。 山崎 璃斗(やまざき りと)さん栄養障害型表皮水疱症の当事者。現在はS高等学校(通信制)の2年生。幼少期より皮膚や粘膜の脆弱性に伴う広範な創傷や、関節の拘縮(屈曲変形)などの症状を抱えながら療養を継続。2020年より蒲郡市民病院にて自家培養表皮による再生医療を複数回受けている。山崎 奈美(やまざき なみ)さん璃斗さんの母 / 看護師・DebRA Japan(表皮水疱症友の会)所属。璃斗さんの誕生直後から日々の洗浄・ガーゼ処置・栄養管理を担ってきた。最新の知見を集めながら、在宅ケアを実践。救命救急受付の仕事に就いている。取材協力蒲郡市民病院株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC) ※本文中一部敬称略※本記事は、2026年6月4日時点の情報をもとに構成しています。 傷から栄養が漏れ出てしまう ――久保先生、「栄養障害型表皮水疱症」において、栄養管理が重視される医学的な理由について教えてください。 久保: 璃斗くんの場合、病名に「栄養障害型」とついている通り、栄養を口から入れたとしても、全身の傷から栄養が外に漏れ出ていっちゃうんですよね。再生医療を始める前は本当に皮膚の状態が深刻で、低栄養、低アルブミン血症、強い貧血症状に加えて、身長・体重も標準偏差から離れていたことが課題でした。 ――入院時は、病院側からはどのような食生活のサポートや栄養指導が行われているのでしょうか。 藤田:入院される時は、当院の栄養士が面談をして、メニューを細かく調整しています。食べられないものがある時は、お母様が外から買ってきてくれた持ち込みの食事で調整してもらうこともありました。 ――ご家庭では、どういった工夫をされていますか? 山崎(母): 水分も皮膚から抜けていってしまうので、便秘にもなりやすく、内科の先生にも相談しながら試行錯誤してきました。この子の場合は、食物繊維があまり効果的ではなく、水分を多めにとることを心がけています。タンパクや鉄、亜鉛を補うために飲む栄養剤も処方されていますが、大変なようです…。 璃斗: おいしくはないです(笑)。がんばって飲んでいます…。 食事による口腔内の傷 ――食事による口腔内の傷にも注意が必要だと思いますが、最近はどういった工夫をされているのでしょうか。 藤田: 基本的には、表皮水疱症の方はお菓子も口の中でスッと溶けるチョコレートやマシュマロなど飲み込むのに負担がないものを用意されることが多いと思います。ただ、最近の璃斗くんはご本人が自由に食べたいようですね(笑)。 山崎(母): そうなんです。小さいころはとても気を付けて対応していました。おせんべいを食べたらかけらがささってしまうことがありますし、海苔巻きを食べさせたら海苔が唇に張り付いて、皮膚も剥がれてしまったという経験もありますし…。おやつはアイスクリームが多かったですね。でも、今は自分で飴をガリっと噛んで食べています。当然血が出ていますし痛いはずですが…。 璃斗: 今は食べたいという気持ちのほうが強いんです(笑)。 見落とされがちな「歯科治療」の壁 ――栄養・口腔ケアの領域で、他に困っていることはありますか? 山崎(母): 実は、どこまで口の中の皮膚がめくれるかわからないために、歯科で基本的に治療をしてくれないんです。これまでの経験上は「口腔内のチェックとフッ素を塗るのみ」が基本でした。 DebRA Japan(表皮水疱症友の会)を通じて他の患者様やご家族との接点もありますが、表皮水疱症で歯科治療ができずに悩んでいる方は多いんです。 久保: そうだったのですね。表皮水疱症の患者様が歯科治療でそれほど困っているというのは、初めて知りました。大きな病院の歯科・口腔外科と皮膚科が連携を取らないといけない領域だと思います。医療者側も気を留めておかなければいけない重要なポイントですね。 ――多職種連携がいかに重要であるかも浮き彫りになりました。ありがとうございます。 最終回となる第4回では、再生医療について伺います。 取材・執筆・編集: NsPace編集部 【参考】〇難病情報センター「表皮水疱症(指定難病36)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/53382026年7月30日閲覧

学校だけがゴールではない─不登校支援と訪問看護師のケアマネジメント
学校だけがゴールではない─不登校支援と訪問看護師のケアマネジメント
コラム
2026年8月4日
2026年8月4日

学校だけがゴールではない─不登校支援と訪問看護師のケアマネジメント

不登校支援において、訪問看護師はどのような役割を担えるのでしょうか。家庭と学校・福祉をつなぐ多機関連携の実践と、訪問看護師が果たすケアマネジメント機能についてお伝えします。 不登校支援における訪問看護師の立場 ショートケーキ訪問看護ステーションは、東京都豊島区、板橋区、北区を中心に、発達障害や不登校など、生きづらさを抱える子どもと家族を対象とした児童精神科訪問看護を提供しています。 私たちは家庭という生活の場で子どもや家族と関わりながら、医療だけでなく教育や福祉とも積極的に連携し、その子らしく成長できる環境づくりを支援しています。学校訪問や支援者会議への参加、関係機関との情報共有も日常的な実践の1つです。 近年、不登校児童生徒数は増加し続けています。その背景には発達障害や精神的な不調、家庭環境の課題、友人関係の悩みなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。そのため、不登校支援は学校だけで完結するものではなく、家庭、医療、福祉、地域資源など、多くの関係者が連携しながら支援を行うことが求められています。 児童精神科領域の訪問看護に携わる中で、私は「子どもを支援する」というよりも、「子どもを取り巻く環境全体を支援する」という感覚を持つことが少なくありません。特に不登校支援においては、多機関連携をどのように進めるかが支援の質を大きく左右すると感じています。 今回は、ショートケーキ訪問看護ステーションでの実践を通して感じている多機関連携と訪問看護師のケアマネジメントについてお伝えしたいと思います。 学校と家庭をつなぐ情報共有 当ステーションでは、保護者の同意を得たうえで学校へ情報提供書を送付しています。担任やスクールソーシャルワーカー、特別支援教育コーディネーターなどと、定期的な情報共有やカンファレンスも行っています。 訪問看護師は家庭という生活の場に入るため、子どもや保護者から日常の様子を直接聞くことができます。 例えば、 「昨夜、両親とのトラブルがあり気持ちが不安定になっている」「友達とけんかをしたが仲直りはできた。しかし本人はまだ不安を抱えている」「睡眠が乱れており朝から活動することが難しい」 といった情報は、家庭で関わる訪問看護師だからこそ把握できる内容です。 一方で学校には、 「今日は朝から表情が硬かった」「授業中に集中が続かなかった」「休み時間は一人で過ごしていた」 など、家庭では見えない子どもの姿があります。 どちらも子どもの状態を理解するために重要な情報ですが、それぞれが独立して存在しているだけでは十分な支援にはつながりません。訪問看護師が学校と家庭の間に入り、双方の情報を整理しながら共有することで、支援者全体の目線を合わせることができます。 実際に行った支援者会議では、担任の先生から次のような言葉がありました。 「学校は楽しいところだよって本人に知ってもらいたいんです。来てくれたらたくさん楽しませたいと思っています。でも、そのための手立てが分からなかったんです」 家庭では本人の不安や悩みを聞くことができても、その情報が学校へ十分に伝わっていないことがあります。一方で学校側も、子どもを支えたいという思いを持ちながら、どのように関わればよいか悩んでいることがあります。 家庭での様子や本人の思いを共有したことで、学校側からは「子どもへのアプローチの選択肢が増えたことが嬉しい」という声が聞かれました。 この経験を通して、多機関連携の目的は支援者を増やすことではなく、子どもを理解する視点を増やすことなのだと改めて感じました。 子どもの居場所を増やすという視点 不登校支援では、「学校へ行けるようになること」が目標として語られることがあります。しかし、私たちが目指しているのは単純な登校ではありません。大切なのは、子どもが安心して過ごせる場所を増やしていくことです。 自宅だけでなく、 学校 保健室 別室登校 教育支援センター 放課後等デイサービス フリースクール 習い事や地域活動 など、本人が安心して過ごせる居場所を確保しながら、その子のペースに合わせた学習や社会参加の機会を整えていくことが重要です。 実際に、学校への登校は難しくても、放課後等デイサービスへ通うことが外出のきっかけになる子どもがいます。また、フリースクールが新たな学びの場となり、自信を取り戻していく子どももいます。 私たちは「学校へ戻すこと」をゴールにするのではなく、その子が安心して過ごせる場所を1つでも増やし、その子らしい社会とのつながり方を一緒に探していくことを大切にしています。 訪問看護師が担うケアマネジメント 成人領域では、介護支援専門員が支援全体を調整する役割を担っています。 一方、児童領域では事情が異なります。 障害福祉サービスを利用している場合には、計画相談支援事業所の相談支援専門員がケアマネジメントを担います。しかし、不登校の子どもの中には放課後等デイサービスや移動支援などの障害福祉サービスを利用しておらず、相談支援専門員が関与していないケースも少なくありません。 その場合、学校との調整、医療との連携、福祉サービスの導入検討、地域資源とのつながりづくりなど、多くの役割を保護者が担うことになります。 しかし、不登校が長期化すると、保護者自身も疲弊し、十分に調整役を担うことが難しくなることがあります。 そのような場面で訪問看護師は、子どもや保護者の思いを整理し、学校や医療機関、児童相談所、福祉機関へつなぎ、必要に応じて支援者会議を開催します。 また、放課後等デイサービスやフリースクール、教育支援センターなどの地域資源を紹介し、子どもや家族と一緒に新たな選択肢を検討することもあります。 制度上、訪問看護師はケアマネジャーではありません。しかし実践の中では、以下のコーディネーターとしての役割を担っています。 支援者同士をつなぐ 情報を整理する 支援の方向性をそろえる 私は、このケアマネジメント機能こそが、児童精神科領域における訪問看護師の大きな特徴の1つであると感じています。 訪問看護師が担う橋渡しの可能性 不登校支援は、1つの機関だけで完結するものではありません。 家庭、学校、医療、福祉、そして地域の多様な居場所がつながることで、初めて継続的で安定した支援が実現します。 訪問看護師は家庭に最も近い専門職の一人として、子どもと家族の思いを受け止めながら、多機関をつなぐ橋渡し役を担うことができます。 学校に行けることだけがゴールではありません。 子どもが安心して過ごせる場所を1つでも増やし、その子らしいペースで成長していける環境を整えること。そのために今後も、多機関連携とケアマネジメントを大切にした実践を続けていきたいと思います。 執筆:齋藤 透ケアプロ株式会社ショートケーキ訪問看護ステーション リーダー日本赤十字看護大学大学院 地域看護学領域 専門看護師コース修了 児童精神・発達支援・不登校支援を中心に活動。「学校に行かせること」だけをゴールにせず、家庭という生活の場から、親子関係や安心感、人とのつながりを支えることを大切にしている。ゲームや好きな話題を通した関係形成、親子間の感情整理、学校連携などを得意としている。 編集:NsPace 編集部 【参考】〇文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf2026/6/25閲覧

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