特集

いざという時のために。ステーションの災害対策

近年、台風や豪雨による災害が各地で起こっています。特に2011年の東日本大震災では、災害対策の重要性を身をもって感じた方が多いのではないでしょうか。
もし訪問先で地震が起こった時、どう行動したらよいか、あなたのステーションには指針がありますか?
これから起こりうる首都直下型地震などの災害に、訪問看護ステーションはどう備えていくと良いのか、特集にまとめました。

「ホームケア防災ラボ」で地域に貢献

都内で展開するケアプロ訪問看護ステーションでは、DMATの経験があるスタッフと災害看護専門看護師の資格を持ったスタッフが中心となり、「ホームケア防災ラボ」を運営しています。
「地域を支えるケアスタッフが災害対策に取り組むことは、発災後の地域資源を守っていくという視点でも効果的である」と在宅医療事業部長の金坂さんは話します。
ホームケア防災ラボでは、情報発信や勉強会を定期的に開き、災害時にサービス提供を継続できるステーションを1ヵ所でも増やす取り組みをしています。詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。
災害時対応を変えるためのチャレンジ(ケアプロ株式会社 金坂宇将)

「災害時個別支援計画」で利用者さんにも意識付けを

愛知県にあるテンハート訪問看護ステーションでは、愛知医科大学の下園美保子先生と共同で「災害時個別支援計画」の作成をしています。
作成のきっかけは「一般的な災害対策マニュアルを利用して実施した災害訓練での失敗」だと、管理者の佐渡本さんは語ります。利用者さんの個別性が高く、いかに現実に即していないかを実感したそうです。
そこで下園先生に相談したところ、利用者さんに個別に災害支援計画を作ってみてはどうかという話に至りました。
個別に支援計画を作成することで、災害時に利用者さんが焦らず行動できるだけでなく、普段の生活でも災害に対して準備する行動変容が見られたそうです。
災害が発生した際は、限られた時間とマンパワーの中で、何人もの人が連絡や訪問をするなど、無駄な動きをしているのが現実です。
在宅医療の連携ツールとしても、この災害時個別支援計画は今後広く利用されるようになるかもしれません。
もしもに対応できる!災害時支援計画(テンハート訪問看護ステーション 佐渡本琢也)

高齢者こそ災害準備を

東京都健康長寿医療センター研究所の涌井智子先生は、高齢者にとっての災害準備の必要性を訴えています。
高齢者は、災害発生直後から72時間後までは、体力的・精神的な理由で避難が遅れてしまうと言われています。また、災害発生後72時間以降は、避難所などの生活環境への変化に耐えられず、身体機能や認知機能の低下が起こるリスクがあります。
そこで、災害発生前の対策を充実させることで、高齢者自らが、災害時に生き残る可能性を広げることができるそうです。
高齢者の防災準備あるあるや、今日からできるプチ避難準備について、涌井先生が解説しています。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
高齢者にとっての災害対策(東京都健康長寿医療センター研究所 涌井智子)
異なる支援ニーズへの対応と地域コミュニティ
今日からできるプチ災害準備(東京都健康長寿医療センター研究所 涌井智子)

ついつい後回しにしがちですが、いつ起きてもおかしくないのが災害です。これを機に、ステーションの災害対策について見直してみてはいかがでしょうか。

この記事を閲覧した方にオススメ

× 会員登録する(無料) ログインはこちら