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ロタウイルス感染症 重症化リスクや下痢・嘔吐への対応【大人も要注意】

ロタウイルス感染症 重症化リスクや下痢・嘔吐への対応【大人も要注意】

ロタウイルス感染症は、子どもがかかるイメージが強いかもしれませんが、大人もかかる可能性があるため注意が必要です。この記事では、多くの子どもがかかるロタウイルス感染症の対処方法や、下痢や嘔吐への対応方法、大人がかかるとどうなるかについて解説します。訪問看護の利用者さんやご自身・ご家族の健康管理のためにも確認しておきましょう。

ロタウイルス感染症とは

ロタウイルス感染症は、ロタウイルスの感染によって引き起こされる急性の感染症で、胃腸炎を中心とした症状が現れます。全年齢でかかる可能性がありますが、0〜6歳頃の子どもに見られることが多い病気です。症状や原因、感染経路、重症化リスクなどについて詳しく見ていきましょう。

症状

ロタウイルスに感染すると1~4日の潜伏期間を経て発熱と嘔吐が現れ、小腸からの水分吸収が阻害されることで下痢症が起こります。血便や粘血便などはなく、吐き気や嘔吐、発熱、腹痛が通常1〜2週間程度続きます。

脱水が重度になると、電解質異常、意識障害やショックなどを起こし、場合によっては死亡することもあります。大人も20〜30代と50〜60代を中心に見られますが、5歳までにほとんどの子どもがかかるといわれているほど、子どもに多い病気です。

原因

ロタウイルスは、A~G群の7種類に分類され、人に感染することが報告されているのは主にA群とC群です。B群も人に感染するとの報告がありますが、極めて稀です。

感染経路

ロタウイルスの主な感染経路は、ロタウイルスに感染した人の下痢便や嘔吐物に含まれるウイルス粒子が口に入ること(糞口感染)です。感染力が非常に高く、10〜100個のウイルス粒子が口に入るだけで感染します。感染した人の下痢便には1gあたり1000億~1兆個のロタウイルスが含まれているといわれています。また、汚染された水や食べ物に触れた手を口に入れることでも、感染する可能性があります。

重症化リスク

大人は一般的にロタウイルス感染症の症状が出にくい傾向があります。しかし、体力が落ちている人が感染した場合は重症化に注意が必要です。脱水が起きた場合、ほかのウイルス性胃腸炎よりも重症になる傾向があります。また、重度の脱水によって生じる高尿酸血症、それに続いて起きる尿酸結石、腎後性腎不全などが報告されています。

特に注意すべきなのがロタウイルス脳炎・脳症です。難治性のけいれんが起こると、後遺症をもたらすケースが少なくありません。約40%が予後不良ともいわれていることから、ロタウイルス脳炎・脳症へ進行する前に適切に対応することが重要といえます。

下痢や嘔吐への対応方法

ロタウイルスは糞便に含まれるため、子どものおむつ交換の際は使い捨て手袋を着用し、処理した後は手をよく洗いましょう。また、汚れた衣類や床などは次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)で消毒することが重要です。嘔吐物や便を放置すると、保育園や幼稚園、自宅などで感染が広がる恐れがあります。

ロタウイルス感染症のワクチン

ロタウイルスワクチンには、3回接種の5価経口弱毒生ロタウイルスワクチンと2回接種の経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンがあります。初回の接種は生後2ヵ月〜14週6日までに行います。2回目以降の接種は、前回から27日以上の間隔をあける必要があります。

ワクチンの副作用としては、発熱や下痢、便秘などもありますが、腸重積症に関して特に注意が必要です。腸重積症は、腸の一部が隣接する腸管にはまり込む病気で、腸の血流が悪化し、組織に障害を引き起こします。ワクチン接種から約1〜2週間は、発症するリスクが高まるとされています。

突然の激しい泣き声、機嫌の急変、嘔吐、血便、倦怠感、顔色が悪いなどの症状が1つでも見られる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

ロタウイルス感染症にかかった際の登園は?

ロタウイルス感染症にかかった際の保育園や幼稚園の対応については、一律のルールが設けられていません。ロタウイルスは感染から2〜3週間は便中にウイルスが排せつされることを考慮し、出席再開のタイミングを決めるとよいでしょう。ただし、ウイルスが排せつされなくなるまで出席停止とするルールもないため、医師に相談した上で判断することが大切です。

* * *

ロタウイルス感染症は、下痢症をはじめとする胃腸関連の症状が現れる病気です。脱水が重度になると電解質異常や腎臓関連の病気を合併する恐れもあるため、こまめな水分補給が欠かせません。また、感染力が非常に強いため、感染対策をより徹底する必要があります。今回、解説した内容を自身やご家族の体調管理、利用者さんのアセスメントにぜひ役立ててください。

編集・執筆:加藤 良大
監修:豊田 早苗

医師 豊田 早苗
とよだクリニック院長
鳥取大学卒業後、JA厚生連に勤務し、総合診療医として医療機関の少ない過疎地等にくらす住民の健康をサポート。
2005年とよだクリニックを開業し院長に。患者さんに寄り添い、じっくりと話を聞きながら、患者さん一人ひとりに合わせた診療を行っている。

【参考】
〇NIID国立感染症研究所「ロタウイルス感染性胃腸炎とは」(2013/5/15)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/3377-rota-intro.html
(2023/9/25閲覧)
〇厚生労働省「ロタウイルス」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/rota_index.html
(2023/9/25閲覧)
〇厚生労働省「ロタウイルスに関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/index.html
(2023/9/29)
〇京都市「京都市こどもの感染症」
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000146/146234/kodomo21-05.pdf
(2023/9/25閲覧)
〇京都市「保険だより」
https://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/cmsfiles/contents/0000118/118456/27winter.pdf
(2023/9/25閲覧)

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