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ターミナルケアとは?在宅での支援内容

ターミナルケアとは?在宅での支援内容

ターミナルケアとは、病気の治癒が難しく、人生の最終段階にある方に対して、身体的・精神的な苦痛をやわらげ、その人らしい時間を過ごせるように支えるケアです。終末期ケアとも呼ばれます。

ターミナルケアでは、痛みや息苦しさなどの症状緩和だけでなく、本人の希望、家族の不安、療養場所の選択、看取りに向けた準備なども大切になります。この記事では、ターミナルケアの意味、緩和ケアとの違い、在宅で受けられる支援、訪問看護での観察ポイントを解説します。

ターミナルケアとは

2009年に全日本病院協会が発表したガイドラインでは、「終末期」とは、医師が客観的な情報を基に治療により病気の回復が期待できないと判断すること、患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師などの関係者が納得すること、患者・家族・医師・看護師などの関係者が死を予測し対応を考えること、これら3つの条件を満たす場合をいうとしています。

終末期に行われるターミナルケアは、人生の最終段階にある方に対して、苦痛をやわらげながら生活の質を保つためのケアです。病気を治すことだけを目的にするのではなく、本人が何を大切にしたいか、どこで過ごしたいか、どのような医療やケアを望むかを確認しながら支援します。また、本人・家族などの精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行うことが必要です。

人生の最終段階における医療やケアでは、本人が医療・ケアチームと十分に話し合い、自分の意思に基づいて方針を決めることが重要とされています。本人の意思が確認できない場合でも、家族などと話し合いながら、本人にとって最善と考えられる方針を検討します。

ターミナルケアの対象は、がんだけではありません。心不全、呼吸器疾患、神経難病、認知症、老衰など、さまざまな病気や状態が含まれます。大切なのは、病名だけで判断するのではなく、本人の状態や希望、生活背景に合わせて支援することです。

緩和ケアとの違い

ターミナルケアと似た言葉に、緩和ケアがあります。緩和ケアは、病気による身体や心のつらさをやわらげるケアです。終末期だけに行うものではなく、病気と診断された早い段階から受けることができます。

一方、ターミナルケアは、人生の最終段階にある方を支えるケアとして使われることが多い言葉です。医療の開始・中止・変更、痛みや息苦しさへの対応に加え、残された時間をどう過ごすか、家族とどのように関わるか、どこで最期を迎えたいかといった内容も含まれます。

どちらも、本人と家族の苦痛をやわらげ、その人らしい生活を支えるという点では共通しています。現場では、ターミナルケアと緩和ケアを切り離して考えるのではなく、必要な支援を組み合わせることが大切です。

在宅ターミナルケアで受けられる支援

在宅ターミナルケアでは、自宅や施設など、本人が過ごしたい場所で療養を続けられるように支援します。訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問薬剤管理、福祉用具、介護サービスなどを組み合わせて体制を整えます。

在宅で受けられる支援には、以下があります。

  • 痛みや息苦しさへの対応
  • 吐き気、便秘、倦怠感などの症状緩和
  • 服薬管理
  • 点滴や酸素療法などの医療処置
  • 食事や水分摂取の相談
  • 口腔ケア
  • 排泄ケア
  • 褥瘡予防や皮膚ケア
  • 入浴や清拭の支援
  • 家族への介助方法の説明
  • 急変時や看取り時の連絡体制づくり
  • 本人や家族の心理的支援

ターミナルケアでは、「何かをすること」だけが支援ではありません。静かにそばにいること、本人の言葉を聞くこと、家族が不安を話せる場をつくることも大切なケアです。

訪問看護の役割

在宅でのターミナルケアでは、訪問看護が重要な役割を担います。訪問看護師は、本人の症状や生活状況を確認し、医師やケアマネジャー、介護職、薬剤師などと連携しながら療養生活を支えます。

訪問看護で行う支援には、以下があります。

  • バイタルサインの確認
  • 痛みや息苦しさの観察
  • 薬の効果や副作用の確認
  • 医師の指示の下での医療処置の実施
  • 皮膚や褥瘡の予防・ケア
  • 食事や水分摂取の確認
  • 排泄状況の確認
  • 意識状態の変化の確認
  • 家族への介助方法の説明
  • 急変時の対応相談
  • 看取りに向けた支援

本人の状態が変化しやすい時期には、訪問回数や連絡体制を見直すことがあります。夜間や休日に不安が強い場合は、緊急時の連絡先、どのようなときに連絡するか、救急搬送を希望するかなどを、あらかじめ確認しておくことが大切です。

本人の意思を確認する

ターミナルケアで大切なのは、本人の意思をできる限り確認することです。病状が進むにつれて、認知機能の低下などにより、本人が思いを言葉にしにくくなることがあります。そのため、意思を示せるうちだけでなく、日々の関わりの中で専門職が機会をとらえ、本人の意向を繰り返し確認していくことが大切です。

どのような治療を受けたいか、どこで過ごしたいか、誰にそばにいてほしいか、何を大切にしたいかは、人によって異なります。

本人の希望は、一度決めたら変えられないものではありません。体調や気持ち、家族の状況によって変わることがあります。そのため、医療やケアの方針は、本人、家族、医療・ケアチームで繰り返し話し合うことが大切です。

話し合っておきたい内容には、以下があります。

  • どこで療養したいか
  • どのような治療を望むか
  • 延命治療についてどう考えるか
  • 苦痛が強いときの対応
  • 急変時に救急搬送を希望するか
  • 誰に意思決定を支えてほしいか
  • 家族に伝えておきたいこと
  • 最期の時間をどのように過ごしたいか

このような話し合いは、本人や家族にとって負担になることもあります。無理に一度で決めようとせず、体調や気持ちに配慮しながら進めることが大切です。

家族への支援

ターミナルケアでは、本人だけでなく家族への支援も欠かせません。家族は、介護や見守り、医療判断への不安、仕事や生活との両立、看取りへの心配など、さまざまな負担を抱えることがあります。

家族支援では、以下のような内容を確認します。

  • 介護を担う人は誰か
  • 夜間の見守りができるか
  • 家族の休息時間があるか
  • 不安を相談できる相手がいるか
  • 医療処置や薬の管理に不安がないか
  • 急変時の対応を理解しているか
  • 看取りについて話し合えているか

在宅療養を支える家族には、休息の機会も必要です。短期入院や介護サービスを利用して、家族の身体的・精神的な負担を軽減する選択肢もあります。

家族が「もっとできたのではないか」と自分を責めることもあります。医療・介護職は、家族の頑張りを認め、不安や迷いを受け止めながら支えることが大切です。

ターミナルケアでは、家族の言動に戸惑いや違和感を覚えることもあるかもしれません。そのようなときは、「対応が難しい家族」と捉えるのではなく、つらい状況の中で気持ちが揺れ動き、支えを必要としている存在として理解してみましょう。家族の思いに目を向けることで、医療・介護職も中立的な立場で関われるようになるでしょう。

在宅での観察ポイント

終末期は、病状や体力が少しずつ変化していくことがあります。訪問看護や介護の現場では、症状の変化と本人の苦痛を丁寧に観察します。

確認したいポイントは、以下のとおりです。

  • 痛みの有無と強さ
  • 息苦しさの有無
  • 表情や反応
  • 意識状態
  • 食事量や水分摂取量
  • 尿量
  • 便秘や下痢の有無
  • 吐き気や嘔吐の有無
  • 眠れているか
  • 皮膚の状態
  • 褥瘡の有無
  • 口腔内の乾燥
  • むくみ
  • 家族の疲労や不安

記録する場合は、以下のように具体的に書くと共有しやすくなります。

「本日、食事摂取は数口程度。水分は少量ずつ摂取可能。痛みの訴えは少ないが、体位変換時に顔をしかめる様子あり。呼吸苦の訴えなし。家族より夜間の不安について相談あり。」

「午前中から傾眠傾向。呼びかけには開眼するが発語少ない。尿量は前日より減少。口腔内乾燥あり。家族へ状態変化を説明し、主治医へ報告。」

このように、本人の症状だけでなく、家族の不安や介護負担も記録しておくと、チームで支援しやすくなります。

費用や利用できる制度

ターミナルケアにかかる費用は、利用するサービスや事業所の加算状況、保険の種類、自己負担割合、医療処置の内容、訪問回数などによって異なります。自宅での療養では、医療保険や介護保険を使って、訪問診療、訪問看護、訪問介護、福祉用具などを利用することがあります。

介護保険を使う場合は、要介護認定やケアプランが関係します。医療保険で訪問看護を利用する場合もあります。どちらを使うかは、病名や状態、医師の指示、制度上の扱いによって変わるため、ケアマネジャー、訪問看護ステーション、医療機関へ確認しましょう。

費用面の不安がある場合は、早めに相談することが大切です。医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談すると、利用できる制度やサービスを整理しやすくなります。

まとめ

ターミナルケアとは、人生の最終段階にある方が、できるだけ苦痛を少なく、その人らしく過ごせるように支えるケアです。痛みや息苦しさなどの症状緩和だけでなく、本人の意思決定、家族支援、療養場所の選択、看取りに向けた準備も含まれます。本人や家族の思いを繰り返し聞きながら、その人らしい最期を迎えられるよう、医療やケアを進めていくことが大切です。

そのために、訪問診療、訪問看護、訪問介護、薬剤師、ケアマネジャーなど、多職種が連携して支援し、必要なサービスを整えることが大切です。

訪問看護や介護の現場では、痛み、息苦しさ、食事量、水分摂取量、意識状態、皮膚の状態、家族の疲労や不安を継続して観察します。本人と家族が安心して過ごせるよう、早めに話し合い、チームで支える体制をつくりましょう。

監修:飛鳥馬 沙耶(あすま さや)/訪問看護ステーション 管理者
HCU・高度急性期病棟にて約6年間、循環器・心臓外科・脳外科領域を中心とした急性期看護に従事。2023年より訪問看護ステーションの管理者として、在宅医療の現場に携わる。専門領域は、訪問看護・在宅医療、急性期看護。


【参考文献】

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