家族看護に関する記事

忘れられない思い出エピソード【つたえたい訪問看護の話】
忘れられない思い出エピソード【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年12月2日
2025年12月2日

忘れられない思い出エピソード【つたえたい訪問看護の話】

訪問看護師の仕事は、人との出会いの連続です。「みんなの訪問看護アワード2023」に寄せられた投稿から、そうした出会いの中で、今でも忘れることができない利用者さんやご家族に関わるエピソードを4つご紹介します。 「ラブレターと、家で叶った2人の外出」 健やかなる時も病めるときも…。夫婦になる際の誓いの言葉を、最後まで行動で示す夫婦愛に感動するエピソードです。 仲良し夫婦の妻が入院。お見舞いに制限ある中、夫は「あなたが家にいなくて寂しい。元気になって帰ってきてください」と手紙を送る。入院中に胃ろう造設。手技が定着しないまま退院。訪問看護とリハが関わる。訪問看護師の指導で夫は胃ろうの手技をマスター。リハでの離床・移乗練習も行い、車いすで近所の公園に外出。2人で桜を見て満面の笑顔。妻はその後しばらくしてご逝去されたが、夫は最期をともに過ごせて安堵した表情がとても印象的でした。 2023年2月投稿 「最期の直前に電話してくださって眠るように旅立たれたAさん」 最期まで自分の生き方を全うした利用者さんが印象に残るエピソードです。 奥様が他界されてからは、独居のAさん。心不全で在宅酸素療法、尿道留置カテーテルを挿入している90代の方。今まで緊急訪問や救急搬送での入退院がたびたびありました。独居生活も厳しくその都度話し合いを重ねてきましたが主治医にはどうか自宅で看取ってくださいと懇願しておられました。Aさんは亡くなる当日の朝ご飯も食べ、ヘルパーさんに調子悪いので昼来て欲しいと言われました。午後看護師につらいので来てほしいと電話があり30分後に駆けつけました。携帯電話を握りしめまるで眠っておられるように安らかな最期でした。私たちの心配をよそに、きれいに安らかに旅立たれたAさん。最期まで希望を持って生き抜いたAさん。言葉で言い表せないことを教えていただきました。 2022年12月投稿 「白いごはんが食べたい」 大切な思い出は疾患を凌駕する原動力にもなると思い知らされるエピソードです。 アルツハイマー型認知症、脳梗塞後の80代女性で、娘さんと仲の良い方だった。こちらの言っていることは理解できていたが、自ら主体的に動くことはなく文字通りされるがままの様子だった。入院先の病院では食べる力はあるものの、食べることをやめていたのか食事がまったく進まなかったようである。娘さんから女性は畑仕事が好きだったこと、仕事に向かう旦那さんには両手に収まらない程の大きなオニギリを作って仕事に送り出していたことを聞き、自宅でゆっくり関われば食べる力を取り戻すと信じ、娘さんと一緒に食事を口元に運び続けた。訪問を続けたある日。「白いごはんが食べたい」と、その女性ははっきりと口にした。そのうちに表情が戻り、箸を使って食事を食べるようになった。あの日、驚き娘さんと顔を見合わせ、手を叩いて喜んだことは今でも忘れられない。 2023年2月投稿 「2人の時間を今も内緒にしていること。」 前向きに笑顔で疾患に立ち向かうことを約束した二人だからこそ、儚くも代えがたい大切な時間をつくれたのかもしれませんね。 訪問看護1年目(26歳)、初めての癌末期自宅での看取りでした。(70代女性)先輩と2人で同行訪問して、利用者様からいただいた初めての言葉は「あなたもっと笑いなさい。こっちはこういう状況でただでさえ暗くなるのに余計暗くなるわ」と。訪問が初めてな上、利用者様に言われた言葉は重く訪問する度に私自身気まずい想いでした。その後は訪問にも慣れ、プライベートな話を沢山し笑い合いました。(私の恋愛や仕事、利用者様の若い時の話等)ある時は、利用者様の旦那様に関しての愚痴や感謝していること。ある時は当時流行っていた加工アプリで一緒に写真を撮ったり、マニキュアを塗ったりと病院では考えられない看護をしていたと当時は思いました。最期が近くなってお酒好きということもあり、ご本人様希望で、往診医、先輩、利用者様家族皆でお酒を飲みながら晩酌をしました。それから2週間程で息を引き取りました。あれから数年経ちましたが今でも1番印象に残っている利用者様で、たまに写真を見返し嫌なことがあった時は当時を思い出し活力をいただいています。 2023年2月投稿 いつまでも心の中に生きる姿 「人生で印象的だった場面を思い出してください」。そう言われて思い出すことができる出来事はどのくらいあるでしょう。訪問看護師は、人の感情が大きく揺れ動く場面に遭遇する機会が多い仕事。ぜひ、一つひとつの出会いを大事にしていきたいものですね。 編集: 合同会社ヘルメース イラスト: 藤井 昌子  2026年1月23日(金)17時まで「第4回 みんなの訪問看護アワード」エピソード募集中!↓

エンバーミングの手順とは? 専門的な処置について解説
エンバーミングの手順とは? 専門的な処置について解説
コラム
2025年11月18日
2025年11月18日

エンバーミングの手順とは? 専門的な処置について解説

エンバーミングには、大きく分けると「防腐」「消毒」「修復・化粧」の3つの目的があります。今回は、これらの目的のために、実際にどのような処置が行われているのか、現役のエンバーマーである牛渡一帆氏に解説していただきます。 エンバーミングの手順 エンバーミングは、体内・体外、両方からのアプローチによってご遺体の状態を安定させ、感染症に対する安全な環境をつくり、お姿を整える処置です。エンバーマーは、こうした処置を通じて、ご遺族が安心して最後のお別れに向き合うことができるよう支援しています。 エンバーミングは、大まかにまとめると次のような手順で行われます。 1. ご遺体の施設への受け入れ、必要書類やお預かり品の確認2. ご遺体体表の汚れの洗浄・消毒および状態確認3. 薬液の調合4. 表情の整え5. 血管の剖出6. 薬液の注入・排血7. 胸水や腹水、体腔内残渣物などの吸引8. 体腔内への薬液充填9. 各所切開部の縫合10. 全身の洗浄・洗髪11. 治療痕や点滴痕などの処置12. 着せ替え13. 表情の再調整・メイク14. ヘアセット15. 布団への安置または納棺 通常、処置に要する時間はおおよそ3時間ですが、ご遺族の要望や故人の体格、身体の状態によっては時間が前後したり、処置内容が追加されたりする場合もあります。広範囲にわたる損壊や欠損などがある場合では、丸一日お預かりすることもあります。 次に、エンバーミングの専門的な処置について詳しく解説していきます。 ご遺体に対する専門的な処置の実際 薬液の注入・排血 通常、生体では体内に取り込まれた酸素や栄養、水分は、動脈血によって全身の組織に運ばれ、各臓器で代謝や処理が行われます。そして、その過程で生じる二酸化炭素や老廃物、余分な水分は静脈血によって回収され、最終的に呼気や便、尿として体外へ排出されます。エンバーミングでは、この脈管の機能を利用し、動脈からの薬液注入と静脈からの血液排出(排血)を行います。 動脈を流れる薬液は、組織に作用し、防腐や消毒、血色をよくするといった効果を与え、静脈に入ると、残留している血液とともに老廃物や余分な水分など、腐敗の元になるものと混ざり合って流れていきます。 しかし、生体と違い代謝機能が失われているご遺体は、自力で不要な物質を体外へ排出することができません。したがって、静脈の一部を開放し、直接体外へ排血する必要があります。 薬液の注入に使用する動脈には、基本的に頸部や上腕、大腿にある血管を選択し、左右いずれか一側、または複数の箇所を切開します。排血には右内頸静脈を使用することが多いです。ただし、血流が滞るような障害(動脈硬化や血栓など)がみられる場合は、該当箇所に皮下注射で薬液を直接注入したり、皮膚に塗布して浸透させたりする方法をとることもあります。 血管の剖出と切開部の縫合 上記で述べた動脈と静脈を取り出すために、血管を覆っている疎性結合組織や脂肪組織を取り除く必要があります。この作業は解剖で行う「剖出」と同じです。該当箇所に2~3cmほどの切開を行い、血管を剖出します。薬液の注入と排血が完了した後は、最終的に切開部を縫合し、テープや修復用ワックスなどで目立たないように隠します。 胸水や腹水、体腔内残渣物などの吸引と薬液充填 さらに、脈管からでは対応しきれない部位にある胸水や腹水、胃の内容物、尿、便などを吸引します。腹部に1cm程度の穴を開けて、体腔内に残った腐敗要因となる物質を除去します。吸引後は、同じ場所から直接薬液を体腔内に充填します。 なお、エンバーミングで使用する薬液には、特殊なケースにも対応できるよう、さまざまな種類があります。状況に応じて、最適な薬液をそのつど選択しています。  組織の保湿や水分補給効果がある薬液 脱水や乾燥を促す薬液 やつれてしまった部位に組織の代わりとして充填する薬液 欠損箇所を補うためのワックス など 最後に、全身を洗浄します。 ここまでの処置は、あくまで「ご遺体の保全」を目的とした、エンバーミングならではの内容ですが、エンバーマーの仕事はそれだけではありません。 着せ替えや表情の再調整、ヘアセット われわれエンバーマーが、ご遺族と接することができる時間はあまり長くはありませんが、その中でできる限り、ご遺族の要望や故人への想い、エンバーミングに期待していることなどを教えていただきます。その情報に基づいて、故人の表情や髪型を整えたり、衣装の着付け、ひげや爪の手入れ、化粧を施したりします。 そのため、エンバーミングのご依頼時には、故人についての具体的な情報のご提供をお願いしています。 エンバーミングの依頼に必要なもの エンバーミングを依頼する際は、「死亡診断書(検案書)のコピー」と「エンバーミング依頼書」(以下、依頼書)の2点が必要です。また、故人に着せたい衣装や生前の写真、場合によっては入れ歯やウィッグ、アクセサリーなどをお預かりすることもあります。 依頼書には、ご遺族の要望を記入する欄があり、表情の整え方、ひげ剃りの要・不要、髪型、服の着せ方、メイクの希望などをご記入いただきます。内容によっては、高度な修復が必要になることもあります。 なお、依頼書には、2親等以内のご遺族による署名が求められます。 ご家族が立ち会えないからこそ依頼書が必要 エンバーミングでは、先述したような外科的な処置に加えて、ホルマリンを始めとする医薬用外劇物の使用を伴います。また、死亡診断書に記載された死因だけでは分からない、何かしらの感染症に故人が罹患している可能性もあります。こういったことを考慮し、エンバーミングは曝露対策や感染防御、故人のプライバシーに最大限配慮された「エンバーミングセンター」という専門の施設で行われます。 またエンバーミングは「日本遺体衛生保全協会」の認定資格を持つ専門のエンバーマーが実施するものであり、原則としてご遺族を含む第三者が立ち会うことはできません。 このような事情から、故人のお姿をご遺族の希望に近づけるためにも、依頼書の質問にお答えいただくようにお願いしています。 最後に エンバーミングの依頼は、特別な場合に限られたものではありません。最近では、「できるだけゆっくりと故人と過ごす時間をとりたい」「冷たくて重たそうなドライアイスをあの人の身体に乗せるのはかわいそう」「病気でやつれた顔を元気な頃のようにきれいにしたい」といった想いから、エンバーミングに価値を感じて依頼されるケースも増えています。 エンバーミングの一番の目的は、故人のお身体の状態を安定させることによって、ご遺族が安心して最後のお別れに向き合えるように時間を確保することだと考えています。そして、「大切な人の死」という現実を受け入れ、気持ちの整理をするための時間と場を提供するグリーフサポートの一環であると考えます。 担当するエンバーマーは、責任をもって、書類や写真を参考にしながら、目の前のお身体に向き合います。最後の時間に、ご家族が「大切な人にどのような姿でいてほしいか」「故人はご家族とどのようなお姿でお別れしたいか」を想像しながら、エンバーミングの処置を行っているのです。  執筆:牛渡 一帆(うしわた かずほ)株式会社ジーエスアイ エンバーミングセンター長一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA) 認定エンバーマー、スーパーバイザー一般社団法人グリーフサポート研究所認定 グリーフサポートバディ2011年にIFSAのエンバーマーに認定。2012年に株式会社ジーエスアイに入社。2020年、厚生労働行政推進調査事業費補助金新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「遺体における新型コロナウイルスの感染性に関する評価研究」に参加。エンバーミングの普及に努める。編集:株式会社照林社

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年9月10日
2025年9月10日

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」後編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、ホープ賞を受賞した梶本 聡美さん(訪問看護ステーションかすたねっと/大阪府)の投稿エピソード「いつものアップルパイ」をもとにした漫画をお届けします。  「いつものアップルパイ」前回までのあらすじ作業療法士の梶本さんが、在宅リハビリの仕事を始めて早々に担当した佐藤さん。片麻痺や失語症があり、旦那さんは一生懸命介護に向き合っていました。しかし、ご本人は「希望を持ってもどうせ叶わない」と思っているようで、どうサポートしていけばよいか事業所内で相談。管理者の米島さんも訪問時の「いままでできたことができなくなっている」という佐藤さんの言葉を振り返ります。そして、佐藤さんがもともと料理が得意で、アップルパイづくりにも自信を持っていたことが突破口になるのではと考え…。>>前編はこちら受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】 「いつものアップルパイ」後編   漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者:梶本 聡美(かじもと さとみ)さん訪問看護ステーションかすたねっと(大阪府)この度はホープ賞に選んでいただき、ありがとうございました。訪問看護を始めてまだ日も浅く、迷ったり悩んだりする日々ではありますが、職員の皆さんはいつも私の話に耳を傾け、一緒に悩み、考えてくれます。また、漫画では私を主人公として描いていただきましたが、今回のアップルパイづくりも、スタッフ一丸となってみんなで対応していました。皆さんに改めて感謝の気持ちを伝えたいです。今回のエピソードの関わりは私にとってとても貴重な経験となりました。その後、Tさん(漫画内「佐藤さん」(仮名))はお亡くなりになりましたが、葬儀の際にご主人がアップルパイを作った時の写真を飾ってくださいました。ご夫婦にとって楽しいひと時を過ごすお手伝いが少しでもできたのかなと感じています。訪問看護やリハビリは医療処置や運動だけでなく、こうした関わりを大切に行っているということを漫画化を通して知っていただく機会になれば嬉しいです。 [no_toc]

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年9月9日
2025年9月9日

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、ホープ賞を受賞した梶本 聡美さん(訪問看護ステーションかすたねっと/大阪府)の投稿エピソード「いつものアップルパイ」をもとにした漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちら・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】 「いつものアップルパイ」前編 >>後編はこちら受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」後編【つたえたい訪問看護の話】   漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者:梶本 聡美(かじもと さとみ)さん訪問看護ステーションかすたねっと(大阪府) [no_toc]

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年8月27日
2025年8月27日

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」後編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した服部 景子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の投稿エピソード「意思疎通、出来ます。」をもとにした漫画をお届けします。  「意思疎通、出来ます。」前回までのあらすじサマリーの「意思疎通不可」にチェックが付いていた利用者のトシ子さん。訪問看護師の服部さんは、トシ子さんと介護を担う娘さんをできるだけサポートしたいと思いながらも、バイタル測定もさせてもらえない状況でした。ベテランの所長さんが訪問しても同様の結果だったことから、「トシ子さんには何か訴えたいことがあるのでは」と考え、改めて担当としてトシ子さんのサポートに向き合う決意を固めました。>>前編はこちら受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】 「意思疎通、出来ます。」後編 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者:服部 景子(はっとり けいこ)さん愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道)3年連続で表彰いただき、誠にありがとうございます。授賞式に参加するたびに感じるのは、「全国には、こんなにも熱い想いで訪問看護に取り組んでいる仲間がたくさんいる」ということです。皆さんのエピソードを読み、お話を伺い、笑い、涙し、感動し、共感しながら、たくさんのエネルギーをいただいています。今回エピソードが漫画化されたことを、トシ子さんはもちろん、娘さん、ケアマネジャーさん、上司、同僚、家族がとても喜んでくれており、私自身も幸せな気持ちでいっぱいです。このような機会をくださったトシ子さんと娘さんに、心から感謝申し上げます。また、NsPaceの皆様の活動には、いつも深く感謝しています。これからも訪問看護師の輪がますます広がっていくことを、心より願っています。

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年8月26日
2025年8月26日

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した服部 景子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の投稿エピソード「意思疎通、出来ます。」をもとにした漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちら・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】 「意思疎通、出来ます。」前編 >>後編はこちら受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」後編【つたえたい訪問看護の話】   漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者:服部 景子(はっとり けいこ)さん愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道)

大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」【つたえたい訪問看護の話】
大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年7月22日
2025年7月22日

大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第3話【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、株式会社ウッディ 訪問看護ステーションはーと(東京都) 木戸 恵子さんの大賞エピソード「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」をもとにした漫画の第3話(最終話)をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】  「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」前回までのあらすじ4人のお子さんがいるえみさんは、末期の肺がんを患っている。子どもたちと最後の思い出をつくるために、主治医の許可も得て宮崎から東京に飛行機で移動していたが、容体が急変して緊急入院。移動には高いリスクを伴うが、えみさんや夫は「宮崎へ帰りたい」と切望しており、病院は訪問看護師の木戸さんに相談した。その後、えみさんは木戸さんが運営するホームホスピスで、体力をつけるために3日ほど休養。いよいよ、在宅医のW先生やドライバーさんたちとともに、車で宮崎へ向かう。<主な登場人物>>>第1話はこちら大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第1話【つたえたい訪問看護の話】>>第2話はこちら大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第2話【つたえたい訪問看護の話】 「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第3話(最終話)   漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者: 木戸 恵子(きど けいこ)さん株式会社ウッディ 訪問看護ステーションはーと(東京都)大賞をいただき、とても光栄で、嬉しく思います。私は訪問看護師になって27年になります。確実な医療ケアや医療処置が求められる緊張の現場ですが、まずは患者さんやご家族のお話を伺い、患者さんの心の風景を垣間見られるように、という意識を持って接しています。えみさん(仮名)も、お話を傾聴し、心の風景を共有することから関わりました。課題や心配はありましたが、ご本人・家族と医療者すべての思いを繋ぐために覚悟を決め、その場の雰囲気を瞬間的に察知しながらアセスメントに努めました。私は、常日頃から出会った関係性や連携を大切にしています。例えば、研修で学びを共にした仲間とは情報交換や視察をし合ったり、仕事仲間とはカンファレンスを繰り返したりと、絆づくりをしています。えみさんの事例においても、相談した仲間たちすべてが自分事のように対応してくれました。普段の連携力や繋がりを生かせたことは、今後のやりがいにもなります。私が出会ったとき、えみさんの体力は限界アラームが鳴り始めていましたが、たくさんの方の心に響く、熱くて強い命の炎を持っておられた方でした。改めて振り返ると、えみさんの原動力が私たちをさらに強く繋げてくださったのだと思い、感動しています。貴重な体験をさせていただきました。最後に、えみさんのご冥福を祈るとともに、ご家族様や関わってくださった仲間たちに感謝申し上げます。ありがとうございました。 >>「第3回 みんなの訪問看護アワード」特設ページ [no_toc]

エンバーミング(遺体衛生保全)とは? 歴史や目的・意義を解説
エンバーミング(遺体衛生保全)とは? 歴史や目的・意義を解説
コラム
2025年7月15日
2025年7月15日

エンバーミング(遺体衛生保全)とは? 歴史や目的・意義を解説

エンバーミング(遺体衛生保全)は、故人の姿を生前の安らかな状態に近づけるために、防腐処置や消毒、修復などを施す技術です。ご遺族が心の準備を整え、悲しみと向き合うために重要な手段でもあります。本記事では、日本におけるエンバーミングの先駆者であり、グリーフサポートの普及にも尽力されている橋爪謙一郎氏に、エンバーミングの歴史とその深い意義について詳しく教えていただきます。 知っておきたい、死後の身体変化が与える影響 ヒトが亡くなった後、その身体は適切な処置をしなければ、時間の経過、病気や治療、身体が置かれている環境などの影響を受けて変化し続けます。変化を最小限にして、その人らしい姿を保てるかどうかは、家族のグリーフに影響を与える要素となることから、身体の状態に合わせた適切な処置が求められます。 看護師の皆さんは、故人の尊厳を守るために、ていねいにエンゼルケアを行っていることと思います。また、遺されたご家族が、故人のつらそうな表情を目の当たりにすることで、罪悪感や苦しい感情を持たないように配慮されていると思います。エンバーミングについて理解をしていただくために、まずは亡くなった後の身体の変化、「死体現象」についてお話しすることから始めたいと思います。 ヒトが亡くなった後の変化:死体現象とは 皆さんは「死体現象」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? この現象は、早期と晩期に分けられます。 晩期死体現象には腐敗や自家融解が含まれているため、この現象を止めるためにドライアイスや保冷庫などを用いて処置することで対応します。しかし、早期死体現象に対しては、必要な対処がされていないことが多くあります。 早期死体現象には、以下が含まれます。 ・血液の変化・死斑の発現・死後硬直・死体温の変化・乾燥・角膜の乾燥と混濁など 腐敗の進行は抑えられたとしても、それよりも早い時期に始まっている変化は、残念ながらそのまま進むことがあります。そうなると、看護師の方々がエンゼルケアをしっかり行ったとしても、時間の経過とともに変化が起こってしまうのです。 もう少し分かりやすく具体的にお伝えしましょう。血管中に残った血液は、重力に従って上から下へと移動していきます。身体が仰向けに寝かされている状態であれば、背中側の部位に血液による変色が強く現れ、それと同時に、顔や腹部の表皮で乾燥が進みます。 心停止とともに血流が止まり、体内からの水分補給が途絶えている上に、重力の働きによって、顔の表皮の乾燥がさらに進んでいきます。そのため、きれいに施された化粧であっても、崩れたように見えることがあるのです。特に粘膜部分は乾燥しやすく、唇やまぶたに大きな変化がみられます。本来は保湿が必要ですが、それが行われないと、乾燥が進み、口元やまぶたが開いてきてしまいます。 エンバーミングの歴史と日本での普及 エンバーミングは、日本語で「遺体衛生保全」と訳されます。歴史をたどると、古代エジプト時代のミイラづくりが起源とされています。時代が進むにつれてヨーロッパに伝わり、医学の進歩のために解剖用の遺体を保存する目的でさらに発展しました。その後、アメリカにも伝わり、1900年代には教育制度やライセンス制度が確立され、医学の進歩とともに薬品の開発や技術革新が進み、現代に至ります。 日本では、1988年に埼玉県で一般の方向けに初めてエンバーミングが提供されました1)。その後、全国に広がり、2025年現在では32の都道府県で、91の施設においてエンバーミング処置が提供されています(日本遺体衛生保全協会調べによる)。 このようにエンバーミングは、長い歴史と技術の積み重ねを経て、現代においても重要な役割を果たすようになりました。 エンバーミングの目的と意義 エンバーミングには「防腐」「消毒」「修復・化粧」という3つの目的があるといわれています。 防腐:体内のタンパク質が腐敗・自家融解することをホルムアルデヒドやアルコールなどの薬品を注入浸透させることによって抑制する。消毒:薬品を注入し浸透させ、あるいは表皮に塗布することによりウイルスや細菌を不活性化する。修復・化粧:病気療養中および死後変化によって変化したお姿を生前の安らかだった頃の姿、表情に近づける。 しかし、これだけを聞いても、実際に利用する方にとってどのようなメリットがあるのか分かりにくい部分があると思います。エンバーミングをすると、ご遺族にとってどのような意義や価値があるのかについて解説していきます。 時間の制約から解放される エンバーミングをすることによって、慌てて葬儀をする必要がなくなります。ご遺体の変化が進むことを考えて、できるだけ早く葬儀を行った結果、「気持ちの整理もつかないままお別れをしなければならなかった」と後悔するご家族は少なくありません。また、変化を抑えるために、専用の保冷庫に預けることをすすめられ、故人と会えないまま葬儀当日を迎えることもあります。そうしたケースでは、「亡くなった」という実感がないまま「気がついたら葬儀が終わっていた」と感じる方もいらっしゃいます。 一方で、エンバーミングを施したことによって、体調を崩されたご家族の回復を待ち、家族全員が揃ってから葬儀を行うことができたケースもあります。このように、最後のお別れを一緒に過ごしたい人たちのスケジュールを尊重した上で、葬儀の日程を決めることが可能になるのです。 過度に冷やす必要がなくなる 葬祭業の立場からすれば、ドライアイスや保冷庫などを使用してご遺体の温度を下げ、腐敗の進行を遅らせることは当たり前の対応です。しかし、その身体の冷たさにショックを受けるご家族は多く、「こんなに冷たくなって……」というお声をよく聞きます。 エンバーミングを施した場合は、ほとんどのケースでドライアイスを使用する必要がなくなります。エンバーミングを施した故人に触れたご家族から、「冷たくないんですね。以前に葬儀をした時は、身体に霜がつくほど冷やされてしまって、本当にかわいそうに思いました」とお話しいただいたことがあります。実は違和感を持っていても「仕方ない」と感じるご家族が多いのだと思います。 もちろん、我々エンバーマーが処置をする前に日数が経過し、腐敗が進行してしまった場合には、エンバーミングを行っただけでは変化を止めることができないケースもあります。そのため、死亡後はできるだけ早めに処置することが望ましいのです。 その人らしさを取り戻す エンバーミングを施すことによって、病気や治療などの影響でやつれてしまっているお顔やお姿を安らかだった頃に近づけることが可能です。生前にどのような病気を患い、どのような治療を受けていたのかといった情報を、エンバーマーが詳細に渡って把握できれば、ご遺体の状態を改善することができるようになります。 ご遺族からの依頼の多くは、「できる限り元気だった頃の姿や表情を取り戻してほしい」というものです。エンバーミングによって防腐され、安定した状態であれば、傷の修復や含み綿などでは改善が難しい「痩せた部位」の修復も可能になります。 また、ドライアイスや保冷庫による処置では、必要な追加処置を行わなければ、乾燥が進み、口やまぶたが開いたり、変色が進んだりすることがあります。エンバーミングを施すことによって、体内から保湿されるため、過度の乾燥を抑えることができます。 さらに、表皮からも保湿することで、肌が整った状態で化粧を行うことが可能になり、その人らしさを取り戻すことにもつながります。使用する薬品に含まれる色素が組織に浸透することで、血色の悪かった部分にも自然な色味が戻るため、厚く化粧をする必要がなくなるケースもあります。 * * * このように、エンバーミングは、ご遺族が「死」を緩やかに受け入れ、大切な人と向き合いながら最後のお別れの時間を過ごすために、役立つ手段の一つだといえるのです。  執筆:橋爪 謙一郎株式会社ジーエスアイ 代表取締役一般社団法人グリーフサポート研究所 代表理事米国で葬祭科学とエンバーミング、グリーフサポートを学び、帰国後(有)ジーエスアイと(一社)研究所を設立。現在は東大大学院で脳科学的視点からグリーフの研究を行う。編集:株式会社照林社 【引用文献】1)日本遺体衛生保全協会:エンバーミングとは- 医療従事者の立場から.https://www.embalming.jp/embalming/medic/2025/6/20閲覧

エンゼルケア応用編 ~ご家族対応とQ&A~【セミナーレポート後編】
エンゼルケア応用編 ~ご家族対応とQ&A~【セミナーレポート後編】
特集 会員限定
2025年6月24日
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エンゼルケア応用編 ~ご家族対応とQ&A~【セミナーレポート後編】

2025年3月14日、NsPace(ナースペース)は、エンゼルケアの実践的な知識をご紹介するオンラインセミナー「エンゼルケア 応用編 ~状態別対応とコミュニケーション~」を開催。「エンゼルメイク研究会」代表の小林光恵さんに、顔や体の状態別のケア方法やお看取り前後のコミュニケーションについて教えていただきました。 セミナーレポート後編では、ご家族とのコミュニケーションの工夫やQ&Aセッションの内容をお届けします。 ※約90分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)がとくに注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 >>前編はこちらエンゼルケア応用編 ~お顔の状態別ケア~【セミナーレポート前編】 【講師】小林 光恵さん看護師、作家。編集者を経験後、1991 年からは執筆業を中心に活躍しており、漫画「おたんこナース」、ドラマ「ナースマン」の原案者としても知られる。2001 年には、看護師としての経験をいかして「エンゼルメイク研究会」を発足し、代表に就任。2015 年より「ケアリング美容研究会(旧名・看護に美容ケアをいかす会)」代表も務める。 切開部や拘縮への対応 亡くなられた後、気切部をはじめとした切開部の断端は生着しません。そのため、ケアとしてはまず清拭を行い、創部をしっかりと合わせて、できれば皮膚接合用などのテンションの高いテープを貼ります。その上からフィルム剤、さらにベージュの不織布を貼って、切開部を目立たなくしましょう。ポイントは、一貫して「生着しないこと」に留意して対応することです。 また、関節部分が屈曲したまま硬く固定される「拘縮」が見られる方の対応は、医療者側では行いません。ご家族から関節を伸ばしたいとご要望があった場合は、葬儀社への相談を促してください。 ご家族とのコミュニケーション エンゼルケアでは、ご家族とのコミュニケーションも大切な要素のひとつです。お看取り前後やケアを行う際には、以下のような声かけを意識すると、ご家族の安心や信頼につながります。 お看取り前の声かけ 着替え用衣類の準備については、医師から「残された時間」や「最期が近づいていること」などの病状説明があったタイミングでご案内するとより自然です。「万が一のときは」と前置きのひと言を添えることで、ご家族にも配慮した伝え方になります。 エンゼルケア時 私が自身の母を看取った際は、看護師の方々が「息が止まったら連絡をください」「担当医は◯時に到着します」といった業務的な案内にとどめてくださったことが、かえって心の支えになりました。そうした経験から、私は亡くなった後の言葉がけは必須ではないと考えています。無理に声をかける必要はなく、ご家族の状況に応じた柔軟な対応が大切です。 例えば、抱き移しの際に「どうぞ抱いて差し上げてください」とお声かけするだけでも、ご家族の心情に寄り添う関わりになります。 また、事業所のスタンスにもよりますが、エンゼルケア終了後に「ご不明な点がありましたらいつでもご連絡ください」と伝えておくと、ご家族は心強いはずです。 時代の流れをふまえたエンゼルケアを 近年、「死」への対応についての社会の捉え方は大きく変化しています。とくに葬送はこのところ大幅な簡略化が進み、時間をかけずに終わらせるケースが増加傾向にあります。つまり、ご遺体と過ごす時間が少なくなりつつあります。 これからのエンゼルケアのあり方について検討する際も、そうした流れをふまえる必要があるでしょう。グリーフワークにとってプラスになることを意識しながら、ぜひ事業所のみなさんで考えてみてください。 Q&Aセッション Q.エンゼルケアの説明と料金の提示はどのように行うとよいでしょうか? エンゼルケアの料金は、細かな金額こそ異なるものの、多くの事業所で請求されています。金額提示方法については、研究会では契約書へ記載することを推奨しています。金額とあわせて、事業所で実施しているエンゼルケアの内容を整理して記載しておくとよいでしょう。「担当看護師◯名が◯分間の中で、必要と判断した看護(体をきれいにする、着替えさせるなど)を行います」のように書くのがおすすめです。 Q.自壊創があり、滲出液や出血が見られる場合はどのように対応すればよいですか? 研究会では、生前と同様の処置を継続するのがよいと考えています。滲出液が多く臭気が強い場合は、次亜塩素酸水をスプレーし、その上で生前お使いだった臭気を抑制する軟膏を塗布するなどがよいでしょう。 【お顔への対応】 後頭部や体の背面に滲出液や出血が見られる場合は、重力の影響を受けて流出が続き、時間経過とともにそれらが溜まって汚染が広がる可能性があり、フィルム剤で創部を密閉したり、汚染を吸収する布類を敷いたりなどの対応の必要があります。 それに比べて、お顔の創部は重力の影響は大きくなく、水分を吸収するガーゼなどを当て、フィルム剤で密閉したあとは、ベージュのテープや肌の色に近い布などでカバーして目立ちにくくします。 【浮腫によって滲出液が出ている場合の対応】 浮腫による滲出液はいつまで出続けるか予測がつかないため、汚染しないように吸収するものを当てておく必要があります。身につける衣服も滲出液に汚染される可能性があるので、とくに大事なお着替えの場合は、時間を空けて着せる、吸収するものを当てた状態で着用していただくなどの対応をとってください。 Q.お顔の乾燥を最小限にするコツ、また手に入れやすい保湿剤を教えてください。 乾燥の防止に必要なのは油分をたっぷりなじませることです。おすすめの保湿剤は、化粧品のクリーム。油分で油膜をつくるワセリンやオリーブオイルでも乾燥は防止できますが、化粧品としてつくられた保湿クリームは、伸びのよさやなじみやすさの点で優秀です。 クリームを選ぶ際は「バニシングクリーム」や「コールドクリーム」を避けてください。前者は油分が少ない、あるいは油分がまったく入っておらず、後者はクレンジングやマッサージに適したもので、いずれも保湿には向きません。「保湿クリーム」と表記されているものを選びましょう。 また、最も乾燥に注意したい部位は唇で、葬儀社の方も「唇はとにかく早い段階で保湿してほしい」と話します。唇はワセリンやオリーブオイルなどで保湿し、メイクをする場合は口紅をしっかり塗ります。 * * * 今回は研究会が考えるエンゼルケアのノウハウについて、具体的な場面をイメージしながらお伝えしてきました。ぜひ現場で実践して、より質の高いケアを目指していただければ幸いです。 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア

大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」【つたえたい訪問看護の話】
大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年6月17日
2025年6月17日

大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第2話【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、株式会社ウッディ 訪問看護ステーションはーと(東京都) 木戸 恵子さんの大賞エピソード「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」をもとにした漫画の第2話をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】 「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」前回までのあらすじ4人のお子さんがいるえみさんは、末期の肺がんを患っている。子どもたちと最後の思い出をつくるために、主治医の許可も得て宮崎から東京に飛行機で移動していたところ、容体が急変してしまい、緊急入院することになった。えみさんや夫は「子どもたちのいる宮崎に帰りたい」と言っており、J病院の医師・看護師たちはリスクが大きいため悩んだが、訪問看護師の木戸さんに相談することにした。<主な登場人物>>>第1話はこちら大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第1話【つたえたい訪問看護の話】 「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第2話 >>第3話(最終話)はこちら大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第3話【つたえたい訪問看護の話】 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者: 木戸 恵子(きど けいこ)さん株式会社ウッディ 訪問看護ステーションはーと(東京都) >>「第3回 みんなの訪問看護アワード」特設ページ [no_toc]

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