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訪問看護関連の「ここがポイント!」/令和4年度 診療報酬改定・決定版 後編

令和4年度診療報酬改定の具体的な内容が確定しました。このシリーズでは、訪問看護関連の改定項目のうち、主に訪問看護ステーションの運営や収益に関わるポイントを解説します。(2022年3月15日現在)

【目次】
[ポイント1] 専門性の高い訪問看護師の専門的な管理に対する「専門管理加算」の新設 
[ポイント2] 同行訪問する専門性の高い看護師に特定行為研修修了看護師が追加
[ポイント3] 訪問看護師が特定行為を行う際に医師が「手順書」を交付した場合の「手順書加算」新設
[ポイント4] 医療ニーズの高い利用者にメリット-複数名訪問看護加算で看護補助者が同行する場合に看護師等が含まれる
[ポイント5] 看取りニーズへの対応-退院日に行ったターミナルケアの指導も加算要件
[ポイント6] 訪問看護師がICTを活用して医師の看取り支援を行った場合の「遠隔死亡診断補助加算」新設
[ポイント7] 医療ニーズの高い退院患者への長時間の退院支援指導の評価
[ポイント8] 理学療法士が行う訪問リハビリテーションの報告が厳密に-訪問看護指示書に実施時間と頻度を明記
[ポイント9] 事務手続きの簡素化-難病等の利用者への複数回訪問看護において評価区分の統合

【関連URL】
・令和4年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000920430.pdf
・令和4年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html

【告示・通知】
・厚生労働省令第32号「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の一部を改正する省令」
・保発0304号 令和4年3月4日 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」の一部改正について
・保発0304第3号 令和4年3月4日 「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」
・保医発0304第4号 令和4年3月4日 「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」
・厚生労働省告示第59号「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件」 令和4年3月4日
・厚生労働省告示第60号「訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件」 令和4年3月4日

[ポイント1] 専門性の高い訪問看護師の専門的な管理に対する「専門管理加算」の新設 

訪問看護ステーションに配置されている専門の研修を受けた「専門性の高い看護師」が訪問看護を行い、利用者の病態に応じた高度なケアおよび計画的な管理を実施した場合の評価として「専門管理加算」が新設され、月1回に限り所定額に2,500円が加算されます。

「専門性の高い看護師」とは、がん看護領域(緩和ケア、がん性疼痛看護、がん化学療法看護、乳がん看護、がん放射線療法看護)の認定看護師とがん看護専門看護師、および皮膚・排泄ケア認定看護師、ならびに特定行為研修を修了した看護師です。特定行為研修を修了した看護師が特定行為を行う場合は、「手順書加算(後述)」を算定する利用者が対象になります。

在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料においても同様です。

専門管理加算

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p28より引用

[ポイント2] 同行訪問する専門性の高い看護師に特定行為研修修了看護師が追加

専門性の高い看護師による同行訪問を評価する「訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)」の施設基準にある「褥瘡に係る専門の研修」に、「特定行為研修(創傷管理関連)」が追加されました。

国は特定行為研修の推進を強力に進めており、ここでも「特定行為研修を修了した看護師」にインセンティブが与えられた形です。今回の改定では、精神科リエゾンチーム加算、栄養サポートチーム加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、呼吸ケアチーム加算の要件として履修が必要とされる研修の種類にも特定行為研修が追加されました。

「在宅患者訪問看護・指導料」の3、および「同一建物居住者訪問看護・指導料」の3についても同様です。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p28より引用

[ポイント3] 訪問看護師が特定行為を行う際に医師が「手順書」を交付した場合の「手順書加算」新設

訪問看護師が特定行為を行う際の医師の「手順書」交付に「手順書加算」が新設されました。

訪問看護ステーションの特定行為研修を修了した看護師が「特定行為」を行う際には、保険医療機関の医師が診療に基づいて特定行為の必要性を認めることが前提となります。

特定行為は、下記のように訪問看護において専門の管理を必要とするものに限られます。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p29より引用

[ポイント4] 医療ニーズの高い利用者にメリット-複数名訪問看護加算で看護補助者が同行する場合に看護師等が含まれる

複数名訪問看護加算で看護補助者が同行する場合に、看護師等が同行する場合も含めることになりました。

「複数名訪問看護加算」は、複数名で訪問看護を行う必要がある利用者に対して、同時に複数の看護師等による訪問看護を行った場合に算定できる加算です。「複数の看護師等」が同時に訪問を行う場合と「看護師等と看護補助者」が訪問する場合で、回数制限も算定額も違います。

これまでは看護補助者の同行では、「看護職員が看護補助者と同時に指定訪問看護を行う場合に限る。」とされていました。今回の改定では「看護補助者」が「その他職員(看護師等または看護補助者)」と変わり、看護師等が同行する場合も算定可能になりました。看護師等が複数で同時訪問する必要性の高い医療的ニーズの高い利用者にはメリットになります。

在宅患者訪問看護・指導料の注7及び同一建物居住者訪問看護・指導料の注4に規定する複数名訪問看護・指導加算も同様です。

複数名訪問看護加算の見直し

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p25より引用

[ポイント5] 看取りニーズへの対応-退院日に行ったターミナルケアの指導も加算要件

退院日に行ったターミナルケアに係る指導も「訪問看護ターミナルケア療養費」の要件として認められるようになりました。

「訪問看護ターミナルケア療養費」の算定にあたっては、利用者の死亡日とその前14日以内に2回以上の指定訪問看護を実施することとなっています。

これまでは、退院日の訪問は訪問看護基本療養費の算定ができなかったため、利用者が退院日かその翌日に亡くなった場合は、「訪問看護ターミナルケア療養費」は算定できませんでした。しかし、ターミナル期の利用者は退院直後に死亡することも多く退院日に訪問看護師がケアを行うことが多いため、指定訪問看護に「退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導を含む」と変更されました。

1回を退院支援指導加算とする場合には、退院日にターミナルケアに係る療養上必要な指導を行っていることが必要です。

訪問看護ターミナルケア療養費の見直し

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p32より引用

[ポイント6] 訪問看護師がICTを活用して医師の看取り支援を行った場合の「遠隔死亡診断補助加算」新設

訪問看護ステーションに配置されている「情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修」を受けた看護師が主治医の指示に基づいてICTを活用して、医師の死亡診断の補助を行う場合に、「遠隔死亡診断補助加算」として、1,500円が所定額に加算されます。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p34をもとに作成
研修を受けた看護師が主治医の指示に基づき、ICTを活用し、医師の死亡診断の補助を行う

遠隔死亡診断補助加算

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p34より引用

[ポイント7] 医療ニーズの高い退院患者への長時間の退院支援指導の評価

退院日に看護師等が長時間にわたる退院支援指導を行った場合、退院支援指導加算として8,400円加算されることになりました。

「退院支援指導加算」は、退院時に訪問看護ステーションの看護師等が、退院する医療機関以外の場で、退院時に療養上必要な指導を行った場合に算定されます。訪問看護管理療養費は、退院日の翌日以降初日の指定訪問看護実施日に6,000円加算されるというものです。今回、医療的ニーズの高い利用者に対しては長時間の退院支援指導を行っている実態を反映した見直しとなりました。

退院支援指導加算の見直し

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p31より引用

[ポイント8] 理学療法士が行う訪問リハビリテーションの報告が厳密に-訪問看護指示書に実施時間と頻度を明記

医療的ニーズの高い利用者に対する理学療法士による訪問看護が適切に提供されるように、訪問看護指示書の記載方法が変更になりました。

具体的には、理学療法士等が訪問看護の一環として行う訪問リハビリテーションの「時間」と「実施頻度」を訪問看護指示書に記載することになりました。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p26より引用

[ポイント9] 事務手続きの簡素化-難病等の利用者への複数回訪問看護において評価区分の統合

難病等複数回訪問加算において、同一建物内の利用者の人数に応じた評価区分の加算について、同じ金額の評価区分を統合することになりました。 「難病等複数回訪問加算」は、難病等の利用者に対して必要に応じて1日に2回または3回以上の指定訪問看護を行った場合に算定でき、回数によって算定額が変わります。同一建物居住者に対しては複数回・複数名の訪問看護に対しては減算になるようになっています。今回の見直しにより、事務手続きの簡素化が図られました。

記事編集:株式会社照林社

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