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寒暖差疲労とは?症状・セルフチェック・原因・対処法・予防法

寒暖差疲労対策&予防

朝方・日中・夜間の気温差が大きい季節の変わり目には、寒暖差疲労が起きることがあります。疲労は寒暖差によるものだけではなく、さまざまな疾患によって起きている可能性もあるため、慎重な判断が求められます。

本記事では、寒暖差疲労の症状からセルフチェックの方法、原因、メカニズム、セルフチェック、対処法、予防法まで詳しく解説します。訪問看護において利用者さんのアセスメントに活かすことはもちろん、ご自身が体調不良になったときのためにぜひご一読ください。

寒暖差疲労とは

寒暖差疲労は、気温差によって身体の機能を調節する自律神経が働きすぎて、エネルギーを消費してしまうために起こる症状のことです。主な症状は、疲労感やめまい、食欲不振などです。1日の最高気温と最低気温との差が7度以上ある日や、前日との気温差が7度以上ある日に症状が現れやすいでしょう。疲労は、体力の消耗や精神的なストレス、自律神経や甲状腺の病気など、さまざまな原因でも起こります。寒暖差が激しい時期に疲労が起きた際は、寒暖差疲労も可能性のひとつとして考えましょう。

寒暖差疲労の症状・セルフチェック

寒暖差疲労では、疲労感のほかにも、肩こりや腰痛、頭痛、めまい、不眠、食欲不振、便秘や下痢、イライラ、冷え、むくみなど、さまざまな症状が現れます。次の項目に当てはまる方は、寒暖差疲労が起こりやすいでしょう。

  • 暑さや寒さが人よりも苦手に感じる
  • エアコンで体調が悪くなりやすい
  • 顔や全身がほてりやすい
  • 自分だけが寒かったり暑かったりすることが多い
  • 寒暖差が大きいと、頭痛や肩こり、めまい、関節痛などさまざまな症状が現れる
  • 季節の変わり目に体調を崩しやすい
  • 冷え性がある
  • 温度が変わらない環境に長時間いることが多い
  • 身体がむくみやすい

ただし、上記はあくまでも傾向である上に、必ずしも寒暖差疲労によるものとは限りません。安易な自己判断は重大な病気を見逃す原因となるため、症状が続く場合は医師に相談しましょう。

寒暖差疲労の原因・メカニズム

寒暖差疲労に大きく関わるといわれているのが自律神経です。改めて基本的な知識をおさらいしておきましょう。

自律神経は、身体を活発に動かすときに働く「交感神経」と、身体を休めるときに働く「副交感神経」で成り立っています。この2つの神経がバランスを取りながら、呼吸や体温、心拍、消化、代謝、排尿・排便などの生命活動に欠かせない機能をコントロールしています。

例えば、体温を調整する際は、骨格筋を収縮させることで熱を生み出します。このときに症状として表れるのが「震え」です。また、血管の収縮を促すことで筋肉を硬くして体温を上げます。さらに、発汗によって体温を下げることも自律神経の働きによるものです。

交感神経と副交感神経が急激に切り替わると臓器に負担がかかるため、ゆっくりと切り替えなければなりません。しかし、寒暖差が大きい日は、この自律神経の働きが1日の中で何度も急激に切り替わるため、臓器に大きな負担がかかって不調を誘発します。

寒暖差疲労が起きやすいシーン

寒暖差疲労は、その名のとおり寒暖差が大きい日に起こります。寒暖差疲労が起きやすいシーンについてご紹介します。

季節の変わり目

春や秋は朝晩の気温差が大きく、寒暖差疲労が起こりやすい季節です。朝晩は肌寒くても昼間は暖かいため、服装の調整が難しくなります。その結果、体感温度を一定に保つことができず、寒暖差疲労が起こります。

エアコンの利用

エアコンを使用する場合、室内と室外の温度差が大きくなります。訪問看護の現場では、利用者さんの体調管理のためにエアコンを使用していることが多いでしょう。このような環境では、リビングから廊下や外に出たときの寒暖差が大きくなるため、寒暖差疲労に警戒が必要です。

屋外での活動

山登りやキャンプなどのアウトドア活動では、日中や平地は暑くても夜間や山頂は冷え込むことがあります。また、訪問看護の現場では、家の中から外に出るときに気温の変化が生じるため、適切な服装に着替えることが大切です。

旅行

旅行先でも寒暖差に注意が必要です。冬の温暖な地域から寒冷地への旅行、夏の涼しい地域から暑い地域への旅行などでは、気候の変化によって寒暖差疲労が誘発されます。旅行中は体調管理を心がけるとともに、行き先に適した服装を準備しましょう。

寒暖差疲労の対処法

寒暖差疲労が起きた際は、寒暖差による自律神経の過剰な働きを正常化させるために、次の対処法を実践しましょう。

身体を温める

寒いときは、血管が表面近くにある、首元や肩甲間部、内腿をカイロやホットタオルなどで温めましょう。ただし、身体を温める行為である運動を行う際は外してください。

運動を習慣づける

自律神経のバランスが崩れにくい身体づくりのために、適度な運動を習慣づけましょう。一定のリズムで15~30分程度の運動を習慣づけることで、身体の筋肉が増えて自律神経のバランスが乱れにくくなります。

また、ゆっくりと3分歩いて、3分早歩きを繰り返すのを15~30程度続けるのもよいでしょう。この場合、1分につき60~80歩を目安とし、呼吸は2秒で吸って4秒で吐くのを繰り返します。

首と肩の筋肉の緊張を緩める

首と肩の筋肉をストレッチすると、筋肉の緊張が緩んで副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整いやすくなります。

両手を後頭部に添えて、顔をうつむけることで首の後ろを伸ばしましょう。続いて、ゆっくりと上を向いて首の前を伸ばし、左右にゆっくりと倒して首の横を伸ばします。最後に肩甲骨の周りや腰、背中、太ももの裏、ふくらはぎを伸ばしてください。

寒暖差疲労の予防法

寒暖差疲労を予防するために、日頃から次のような行動を心がけましょう。

規則正しい生活を心がける

規則正しい生活リズムを作ることは、自律神経のバランスを整えるために重要です。

睡眠時間は7時間程度を目安とし、夜23時から朝6時の間は寝ているようにしましょう。太陽に当たることで、良質な睡眠を促すセロトニンが増加するため、日中はなるべく外出することが大切です。ただし、夏場は熱中症の心配があるため、外出時間帯や外出先などを考慮しなければなりません。

食事については1日3食、栄養バランスの取れた食事を心がけてください。

冷たい飲み物を控える

冷たい飲み物は臓器を冷やすため、寒暖差疲労の悪化につながる恐れがあります。暑いときに冷たい飲み物を飲むと急激に体温が低下するため、自律神経のバランスが崩れるとともに臓器に大きな負担がかかります。

冷たい飲み物を控えるとともに、身体を温める根菜類や温かい飲み物などを取りましょう。

冷暖房器具に頼りすぎない

冷暖房器具に頼ると自律神経が働く機会が減少することで、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできなくなります。食事や服装、運動などで体温を調節できる場合は、そのほうがよいでしょう。

ただし、夏の熱中症対策には冷房が推奨されており、冬に室温が18℃未満になると、高血圧をはじめとした健康被害が生じるリスクがあります。適正に使用しましょう。

入浴で汗をかくようにする

入浴すると、身体が温まるだけではなく、リラックス効果によって副交感神経が優位になります。なるべく毎日入浴しましょう。

38~40℃程度の湯に15~20分程度つかることが基本ですが、利用者さんの疾患によっては温度と入浴時間、入浴方法に調整が必要です。

* * *

寒暖差疲労は、寒暖差が大きい季節の変わり目やエアコンを過剰に使用しているときなどに起こりやすいものです。今回、解説した内容を自身の体調管理と利用者さんのアセスメントにぜひ役立ててください。

編集・執筆:加藤 良大
監修:久手堅 司

せたがや内科・神経内科クリニック院長 医学博士。
久手堅 司
「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「寒暖差疲労外来」等の特殊外来を行っている。これらの特殊外来は、メディアから注目されている。著書に「気象病ハンドブック」誠文堂新光社。監修本に「毎日がラクになる!自律神経が整う本」宝島社等がある。

【参考】
〇一般社団法人半田市医師会「今月のテーマ 寒暖差疲労」(2018年11月)
https://www.handa-center.jp/medical/facility/pdf/20181120.pdf
2023/7/17閲覧

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