多職種連携に関する記事

11月29日&30日開催!第15回日本在宅看護学会学術集会 見どころ紹介
11月29日&30日開催!第15回日本在宅看護学会学術集会 見どころ紹介
特集
2025年10月7日
2025年10月7日

11月29日&30日開催!第15回日本在宅看護学会学術集会 見どころ紹介

2025年11月29日(土)、30日(日)に開催される予定の「第15回日本在宅看護学会学術集会」。ウインクあいち(愛知県/JR名古屋駅より徒歩5分)で開催され、オンデマンド配信も行われます。テーマは、「社会インフラとしての在宅看護~在宅看護は、社会を変えられるのか?~」。今回は、学術集会長の藤野 泰平氏に見どころをご紹介いただきます。 執筆:藤野 泰平第15回日本在宅看護学会学術集会 学術集会長名古屋市立大学看護学部卒業後、聖路加国際病院に入職。訪問診療クリニック、訪問看護ステーションの勤務を経て、2014年11月に株式会社デザインケア・みんなのかかりつけ訪問看護ステーションを設立。日本看護管理学会 看護の適正評価に関する検討委員会副委員長、一般社団法人日本男性看護師会 共同代表、オマハシステムジャパン理事、東京大学、慶應義塾大学非常勤講師などを歴任。 【社会インフラ】というテーマに込めた思い 今や、訪問看護がないと家に帰ることができない人も多いと思います。それは、田舎でもそうでしょうか?  令和に入ってからの調査によると、訪問看護ステーションのない市区町村は全国で約25%1)あります。こうした地域では家に帰れず、病気になると家族や友人と離れ離れの生活を余儀なくされる人が多くいます。読者の中にも、「家に帰りたかった」という家族の思いを叶えられず、悲しい思いをした人もいらっしゃるのではないでしょうか。 私の故郷の景色 瀬戸内海の島で生まれた私もその一人です。日本中どこに住んでいても、電気・ガス・水道が整備されているのと同じように、必要なケアが当たり前に受けられる社会には、訪問看護が欠かせないと考えています。だからこそ、学術集会のテーマにもあるように、私は訪問看護を「社会インフラ」と表現しています。 また、孤独死が年間約2万人いる2)ことから、都市部であっても、ケアにつながる人は恵まれているのかもしれません。 今回目指していた2025年を迎え、これから2040年に向けて、日本中どこにいても必要なケアを受けられること、そしてどんな疾患や家族構成、どんな環境であっても、「住みたい場所で、住みたい人と、幸せに生きる」ことを支える訪問看護の価値を、市民の方に提供したいと考えています。そのために何ができるのかということを、参加者の皆さんと各セッションを通じて考えていけるような会にしたいと思っています。 日本在宅看護学会 理事長の山田雅子先生と 少子高齢化の中でも、人がいきいき、力を発揮できる環境を創る 少子高齢化が進む中で、少ない人数で多くの人を支えることになります。そのため、一人の医療職が、環境に左右されずに持っている力を発揮できることや、さらに力を高めることが重要となると思います。 シンポジウムの中でも、以下の3つはまさにそのような、人が力を発揮し成長できる環境やしくみづくりにフォーカスを当てたものになります。 ・シンポジウム1「在宅ケアの未来を創る(担う)実践者をどう育てるかー多様化する現場と学びの接続を考えるー」日本における在宅看護の「いま」と「これから」を見据え、現場で活躍する看護師、大学等の教育者等と、現場の実践と教育・育成の接続について多角的に検討する予定です。・シンポジウム4「訪問先でのカスハラにどう向き合うか~スタッフを守るための対策を考える~」多くの学会等でご講演をされている、武ユカリ先生と、実践者、管理者、弁護士の先生に、カスハラの対応方法について具体的な挑戦を話していただきます。・シンポジウム7「人が辞めずに、いきいき育つ! 心理的安全性の高い組織の創り方」『25の事例から学ぶ 看護のための心理的安全性』(弘文堂)を執筆された、秋山美紀先生にも登壇いただき、看護職が幸せに働けるように、「心理的安全性・ウェルビーイング・ポジティブ心理学」を中心に据えた看護管理、看護実践の提案を行ってもらいます。 ケアをする我々も人であるため、環境によって、パフォーマンスの程度は変わってしまいます。チームで助け合える、言いたいことを言える心理的安全が高い組織を目指し、力が発揮できる環境を創ることが、少子高齢化が進む日本の未来を考える上で必要不可欠だと考えています。 想像力を発揮し、今苦しんでいる人と、未来をイメージすること 我々は、世の中のすべてを見ているわけではなく、「選択的注意(Selective Attention)」といって、興味があることなどに目がいきやすいといわれています。 人によっては、知らないこともあると思います。例えば、訪問看護がない地域で処置が必要な人がどう暮らしているか、災害になった地域での1日はどのように流れているのか、災害を経験した人と経験してない人の想像力の違い、直接ケアを提供しない職種の人が社会課題をどう考えているか、在宅看護CNS(Certified Nurse Specialist:専門看護師)が政治家になる覚悟などです。 知らなければ想像できないこれらの情報は、「選択的注意」の観点から、頭に入りにくいこともあるでしょう。ただ、未来を創る当事者である我々にとって、想像することはとても大切なこと。だからこそ、そういった思いを持つ演者の先生からお話をうかがい、我々の視野を広げ、想像力を共に育てていきたいと思っています。 各セッションでは、訪問看護の質向上、災害時の備え、人口減少社会での看護の役割、技術革新と多職種連携など、未来を形づくるために欠かせない幅広いテーマも取り上げます。いくつかのシンポジウムをご紹介しましょう。 ・シンポジウム2「訪問看護の質向上に向けた評価指標の標準化のための研究:長寿科学政策研究事業からの報告」研究者の皆さんが質を上げるアプローチについてどう考え、日々努力をしているかを知ってほしいと思っています。・シンポジウム3「南海トラフ地震・複合災害に備える愛知・東海:BCP進化・名古屋モデル・仲間づくりで築く在宅ケアのレジリエンス」南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくないと考えられています。災害経験者も含めて、どういうことを準備し、行っていけばいいかを、机上でBCPを作成するだけではなくて、より自分ごとになるようなコンテンツを用意しています。・シンポジウム5「”減る”社会でも、看護でつなぐー支え合う持続可能なケアとは」人口減少と超高齢化が進行し、在宅ケアの前提条件が大きく変わっていく中で、家族の介護力の低下、独居高齢者の増加、医療・介護分野における人材不足といったさまざまな課題があります。看護職は単なる医療提供者の枠を超え、「人と人」「人と地域」「人とテクノロジー」をつなぐ存在として、新たな役割について考えます。・シンポジウム6「今起きている技術革新から紐解く、「自分らしく生きる」を実現するための連携」利用者様に寄り添い声を聴いてきた看護師だからこそ、「今ここ」の支援に応える多職種連携と、「これから」の暮らしを創る連携の両面が重要です。メディア、企業、大学、政治などの人々とも手を取り合うことで、目の前の利用者様のニーズにこたえるだけでなく、誰もが「自分らしく生きられる社会」という未来を共に創っていくことを考えていきたいと思っています。 そのほか、未来を創造するために、臨床倫理の観点や、CNSかつ政治家の立場の方の思いを、講演を通じて知っていただくことで、参加者の皆さんの想像力を一層高める機会になるはずです。 想像力を高めることは、ケアを十分に受けることができない地域の人々の状況を理解することにもつながります。未来を創る当事者の一人として、より一層アクションを起こしていけるのではないかと思っています。 「学会」というツールとは。 学会に参加したことがないという人もいらっしゃるかもしれません。私の思いとしては、20代30代の学会に参加したことがない人も参加していただきたいと思っています。なぜなら、今20代の看護師さんは、2040年に35歳から45歳くらいになり、未来の日本を支え、課題を解決する中心的な人となっていると思うからです。私も20歳くらいから学会に参加をしていて、視野を広げさせてもらい、成長させてもらいました。だからこそ、今の自分があると思っています。学びを加速するという意味で、あまり学会に参加したことがない、若手にもぜひ参加してほしいと思います。 学術集会の企画委員会の皆さんと。少しでも良い学術集会にすべく、絶賛検討中です! また学会は、実践の発表や対話を通じて、価値観やスタンスを磨く絶好の場でもあります。若手だけではなく、病棟の看護師も含めて、在宅看護に関わる全ての方に、参加していただき、未来を創る当事者として、大いに語り合い、学び合いたいと思っております。ぜひ名古屋にお越しいただけると嬉しいです!よろしくお願いします。 2025年11月29日(土)、30日(日)開催の「第15回日本在宅看護学会学術集会」にご参加希望の方は、学術集会ウェブサイトよりご登録ください。また、学術集会の1日目終了後には、懇親会も開催されます。ぜひあわせてご参加ください。・学術集会への登録はこちら 第15回日本在宅看護学会学術集会 ウェブサイト・11/29・30開催「第15回日本在宅看護学会学術集会」に協賛!懇親会も開催 編集:NsPace編集部 【参考】1)一般社団法人 全国訪問看護事業協会「アクションプラン 2025 評価チーム」「訪問看護アクションプラン2025の最終評価(案)」(令和4年11月)https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/evalulation.pdf2025/10/2閲覧2)内閣府.「孤立死者数の推計方法等について ~「警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者」をもとに~「孤独死・孤立死」WG取りまとめ」https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/wg/r6/pdf/houkokusyo.pdf2025/10/2閲覧

第7回 日本在宅医療連合学会大会の舞台裏と2040年に向けての展望【学会レポート】
第7回 日本在宅医療連合学会大会の舞台裏と2040年に向けての展望【学会レポート】
特集
2025年9月16日
2025年9月16日

第7回 日本在宅医療連合学会大会の舞台裏と2040年に向けての展望【学会レポート】

第7回日本在宅医療連合学会大会は、2025年6月14日(土)・15日(日)に出島メッセ長崎にて開催されました。テーマは、「在宅医療の未来を語ろう。~2025年問題に向き合い、2040年に備える~ 長崎から全国へ」です。本記事では、石垣 泰則氏(日本在宅医療連合学会 前代表理事)のインタビューと、学会大会のプログラムのレポートをお届けします。 ※本記事は、2025年6月時点の情報をもとに制作しています。 石垣 泰則氏インタビュー 2025年6月に開催された第7回日本在宅医療連合学会大会では、医師、看護師、リハビリ職、介護士、ケアマネジャー、管理栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカー(MSW)など、数多くの職種の方々が参加していました。行政や企業などとも連携した多様な各地域の事例が共有され、ハラスメントにまつわる問題やICT利活用をはじめ、対応を急ぐべきテーマについても活発な議論が行われていました。 ここでは、前代表理事(~2025年6月12日)である石垣 泰則氏に、学会大会の舞台裏や、訪問看護の皆さまに知っていただきたいポイントなどを伺いました。 石垣 泰則氏日本在宅医療連合学会 理事(前 代表理事)/医療法人社団悠輝会 コーラルクリニック 院長 ―在宅医療連合学会大会のプログラム選定や準備はどのようにされているのでしょうか。 多職種連携や災害対応、教育・人材育成などは重要性が高いため、毎年継続的にプログラムに組み込むようにしています。一方、大会長が独自に選定するテーマもあり、今年は「2025年問題・2040年問題」がそれにあたります。運営は大会長や運営委員会に一任されていますが、過去の大会長も委員として参加し、経験・ノウハウを共有しています。会場の確保なども含めて、準備期間は通常4~5年です。 在宅医療連合学会は、医師が中心だった「日本在宅医学会」と、病院医師と在宅多職種が中心だった「日本在宅医療学会」がその名のとおり連合してできた学会で、学会大会にも幅広い職種の方々にご参加いただいています。運営委員会にも若手からベテランまで、在宅医療の分野で活躍する多職種の方々が集まっており、皆さんに有意義な時間を過ごしてもらうべく、丁寧にテーマを検討してくださっています。 ―今回の大会ではサブテーマの中に「長崎から全国へ」という言葉が入っていますが、訪問看護師の方々に特に知ってほしい取り組みなどはありますか? 長崎は在宅医療先進地域で、「長崎在宅Dr.ネット」や「あじさいネット」といった多職種連携のしくみが整っています。病院と診療所、医師同士の連携もしっかりしており、訪問看護師にとっても、非常に働きやすい環境といえるでしょう。こうした長崎の事例を多くの方々に知っていただき、各地域で連携を進める際のヒントにしていただきたいです。 ―訪問看護師さんたちへのメッセージをお願いします。 訪問看護は在宅医療の大きな推進力です。ぜひ、皆さんも日本在宅医療連合学会に参加いただき、声を大にしてアピールしてください。2026年は、札幌市(北海道)で第8回大会が開催されます。大会長の大友 宣先生がユニークな企画を数多く計画しており、SNSでも随時情報を発信していく予定ですので、ぜひご覧になってください。オンデマンド配信もありますが、ぜひ現地に集ってface-to-faceで話し合い、学び合いましょう。 また、日本在宅医療連合学会では、今年度に在宅医療における特定研修終了看護師の活用ガイドの作成を委託されています。我々も、訪問看護師の皆さんが一層活躍できるよう、尽力していきます。 第7回日本在宅医療連合学会大会 ピックアップ紹介 シンポジウム「医療依存度の高い患者様、これで安心して引き受けられます」 座長 中田 隆文氏(マリオス小林内科クリニック)座長 中山 優季氏(公益財団法人東京都医学総合研究所難病ケア看護ユニット) 在宅医療において、医療的ケア児や神経難病患者等、医療依存度の高い患者さんへの対応が求められるケースが増えており、特に在宅呼吸管理・ケアは呼吸器疾患以外の対象者の増加や機器の多様化が進み、受け入れに悩む場面が多いでしょう。本シンポジウムでは、患者さんの「やりたいこと」「したい暮らし」を実現するための支援のヒントが数多く提供されました。 どこにいても気道クリアランス法が実施でき、安全に呼吸ケアが行える環境づくりや、神経難病患者さん自身が主体的に生活を継続していくための支援のポイント、多機能型療養通所介護における支援の現状、栄養指導や舌トレーニングによる生活改善事例等が共有されました。 また、特に小児をサポートする制度・サービスは少ない現状があります。例えば、多機能型の療養通所介護を運営するにあたっては、「療養通所介護」「生活介護」「児童発達支援」「放課後等デイ」という4つの手続き・処理が必要になっているとのこと。こうした現場の実情を踏まえ、制度のアップデートの必要についても活発にディスカッションされました。 シンポジウム「長崎市の地域包括ケアシステムと多職種連携 20年の総括と検証」 座長 藤井 卓氏(藤井外科医院) 長崎在宅Dr.ネット 代表の藤井 卓氏 在宅医療先進地域である長崎の取り組みについて、これまでの約20年の歴史を振り返り検証するシンポジウム。長崎では、地域包括ケアシステムの構築に向けて、以下のような新しい取り組みを次々と行ってきました。 長崎の取り組み(一部)・長崎在宅Dr.ネット導入・あじさいネット導入長崎県内の総合病院の診療情報を、他の医療機関で活用できるしくみ・P-ネット(長崎薬剤師在宅医療研究会)導入訪問薬剤管理指導等にグループとして対応するしくみ。在宅診療所等からP-ネットの窓口に依頼すると、薬局・薬剤師が割り振られる・OPTIM(緩和ケア普及のための地域プロジェクト)への参加 これらの取り組みを推進してきた医療者たちは、在宅医療自体がまだ一般的ではなかった頃から、まるで学校の部活動のように日々仕事後に集まり、「みんなと一緒ならできる」「失敗したらまた考えればいい」という思いを持って議論を重ねてきたとのこと。 「困っている人がいるならなんとかしたい」「医療者側の都合で病院から自宅に戻れない人を出したくない」と、一人ひとりの患者さん・利用者さんに真摯に熱く向き合ってきた事例も複数紹介されました。シンポジウム内では、多職種が集まって勉強会をしている様子や飲食している姿なども写真で投影され、施設や職種の垣根を越えて、顔の見える関係性を維持しつづけてきたことがうかがえました。 シンポジウム「この町で暮らし、最期まで、自分らしく活き、逝くことは、叶えられてますか?」 ~先駆者たちが語る、目指したいこと~ 座長 白髭 豊氏(白髭内科医院)座長 安中 正和氏(安中外科・脳神経外科医院) 過去に毎年シンポジウムが開催されていた「30年後の医療の姿を考える会」(会長 秋山 正子氏)。この会にゆかりのある方々からこれまでの取り組みの紹介が共有されるとともに、2040年に向けての展望がディスカッションされました。 随時事例を交えながら、秋山 正子氏の暮らしの保健室やお看取り支援の取り組み、市原 美穗氏のホームホスピスの運営や全国ホームホスピス協会の取り組み、宇都宮 宏子氏の在宅ケア移行支援の取り組みなどが共有されました。また、座長の安中氏からは、ZEVIOUS研究(在宅医療のアウトカムと質を「見える化」するための研究)の背景にもある在宅医療現場の質に対する課題感なども提示されました。 「最期まで自分らしく生きる」ことを支えるために、利用者・患者さんご本人に寄り添い、その人の人生や思いを聴くことの重要性。そして、在宅医療を提供する施設が増えて選択肢が多様になっているからこそ、ご本人の望む暮らしをサポートするためには地域のネットワークを構築して、ひとつのチームとして利用者・患者さんを支えていくことが必要であるというメッセージが語られました。 シンポジウム「あなたの地域が被災した時、助けに行きます ~助けて欲しい診療所あつまれ~」 座長 市橋 亮一氏(医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック 名駅)座長 佐々木 淳氏(医療法人社団悠翔会) 座長・HoMAT発起人の一人である市橋氏 本シンポジウムでは、災害時における医療福祉支援の新たな形としての「間接支援」や「広域BCP(事業継続計画)」のあり方について、能登半島地震での実体験などをもとに議論が行われました。 座長の市橋氏や佐々木氏は、被災地の災害関連死を阻止するための支援をするDC-CATの活動などと並行して、「外部支援者が日常業務を肩代わり」する間接支援の体制づくりを推進しています。市橋氏いわく「これまでの災害支援は、短期間の自発的支援が中心。業務の重複や混乱が発生しやすかった」とのこと。 「HoMAT」:https://homat.net/ HoMATは広域でのネットワーク連携により、災害時に被災の影響を受けていない地域が支援できる体制づくりを目指している。HoMAT派遣医療者は、災害対応に出向く医療者の地元の通常支援を代診する。上記ウェブサイトから登録可能 間接支援の取り組みは、2024年の能登半島地震の際にすでに実践されています。被災地に出向いた医療従事者の地元での診療を代行する体制は、災害特有の業務に集中できるため、持続可能で再現性が高く、有効であることが確認されています。 一方で、診療体制・デバイス・電子カルテ等が異なることによる戸惑いや支援者の体力的負担やストレス管理の難しさ、受援側の内部調整が必要だという課題も浮き彫りになったとのこと。実際に能登半島地震の支援に行った医師や、支援に行った医師の地元の診療を代わりに行った医師から、「受援力」の大切さや、平時からの関係性構築・双方向的人材交流の重要性等が共有されました。 交流集会「全国の看多機メンバー・興味のある方、みんな集まれ!」 座長 山崎 佳子氏(千葉県看多機連絡協議会) 左)千葉県看多機連絡協議会 会長 福田 裕子氏  右)山崎 佳子氏 本交流会では、千葉県における看多機(看護小規模多機能型居宅介護)の現状やメリット・デメリット、「千葉県看多機連絡協議会」設立の経緯、取り組み内容等が共有されるとともに、参加者がグループに分かれて、看多機における実践例や困りごと、悩みごと、疑問点等を語り合う場がもたれました。 看多機は、主治医との連携のもと、医療処置も含めた多様なサービス(訪問看護、訪問介護、通い、泊まり)を24時間365日提供する点が特徴的。医療依存度が高い方、体調が不安定な障害を抱えている方などが、住み慣れた自宅で生活しながらケアを受けることができる介護保険サービスです。看多機がスタートしたのは2012年のことですが、いまだ看多機が設立されていない市町村も多く、普及に向けて課題があります。 会場には、看多機経営者や看多機運営に興味がある人たち等が集まっており、「運営・経営がうまくいっている看多機の特徴は?」「〇〇のような患者さんは受け入れ可能なのか」「包括料金のため『使いたい放題』にならないか」「介護職にどこまで業務を任せられるのか」といった話題で活発にディスカッションされていました。 関連記事:・ちば看多機研究会「看多機を広めよう・つなげよう・深めよう」イベントレポートhttps://www.ns-pace.com/article/category/feature/multi-functional-care-event おなかの保健室 運営:よかケアネット(長崎くらしに寄り添うネットワーク) 長崎の「よかケアネット」(代表:下屋敷 元子氏)は、人生の終末期にある方やその人を支える方たちのサポートを行うボランティア団体。高齢者の方のお話を聞いて本にまとめる「聞き書きボランティア」や排泄ケアの啓発活動(POOマスター長崎)などをしています。 本学会大会の一角には、よかケアネットを中心に「おなかの保健室」を開室しており、気軽に立ち寄り、お腹のことを相談できる場所がありました。便育ハンドブック「KAIUN BENIKU HANDBOOK」(うんこ文化センター おまかせうんチッチ発行)などをもとに排泄に関する啓蒙活動を行っているほか、男性の尿漏れを防ぐための最新機器や健康的な排泄を促すサプリメントの情報なども得ることができました。 編集部メンバーも、「おまかせうんチッチ」代表でPOOマスター養成カリキュラムを考案した榊原 千秋氏による排泄ケアを贅沢にも体験。セルフケアについてのアドバイスもいただいた。 * * * 在宅医療連合学会大会では、在宅医療にまつわるさまざまなテーマで活発な議論が行われ、各地域・各分野の先進的な取り組みが紹介されていました。現場の知見や多職種連携の工夫に触れる機会となり、在宅医療の未来を考える上で多くの示唆が得られる貴重な場です。第8回大会(北海道札幌市)にも注目していきましょう。 取材・編集・執筆:NsPace編集部

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年9月10日
2025年9月10日

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」後編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、ホープ賞を受賞した梶本 聡美さん(訪問看護ステーションかすたねっと/大阪府)の投稿エピソード「いつものアップルパイ」をもとにした漫画をお届けします。  「いつものアップルパイ」前回までのあらすじ作業療法士の梶本さんが、在宅リハビリの仕事を始めて早々に担当した佐藤さん。片麻痺や失語症があり、旦那さんは一生懸命介護に向き合っていました。しかし、ご本人は「希望を持ってもどうせ叶わない」と思っているようで、どうサポートしていけばよいか事業所内で相談。管理者の米島さんも訪問時の「いままでできたことができなくなっている」という佐藤さんの言葉を振り返ります。そして、佐藤さんがもともと料理が得意で、アップルパイづくりにも自信を持っていたことが突破口になるのではと考え…。>>前編はこちら受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】 「いつものアップルパイ」後編   漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者:梶本 聡美(かじもと さとみ)さん訪問看護ステーションかすたねっと(大阪府)この度はホープ賞に選んでいただき、ありがとうございました。訪問看護を始めてまだ日も浅く、迷ったり悩んだりする日々ではありますが、職員の皆さんはいつも私の話に耳を傾け、一緒に悩み、考えてくれます。また、漫画では私を主人公として描いていただきましたが、今回のアップルパイづくりも、スタッフ一丸となってみんなで対応していました。皆さんに改めて感謝の気持ちを伝えたいです。今回のエピソードの関わりは私にとってとても貴重な経験となりました。その後、Tさん(漫画内「佐藤さん」(仮名))はお亡くなりになりましたが、葬儀の際にご主人がアップルパイを作った時の写真を飾ってくださいました。ご夫婦にとって楽しいひと時を過ごすお手伝いが少しでもできたのかなと感じています。訪問看護やリハビリは医療処置や運動だけでなく、こうした関わりを大切に行っているということを漫画化を通して知っていただく機会になれば嬉しいです。 [no_toc]

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年9月9日
2025年9月9日

受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」前編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、ホープ賞を受賞した梶本 聡美さん(訪問看護ステーションかすたねっと/大阪府)の投稿エピソード「いつものアップルパイ」をもとにした漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちら・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】 「いつものアップルパイ」前編 >>後編はこちら受賞エピソード漫画化!「いつものアップルパイ」後編【つたえたい訪問看護の話】   漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者:梶本 聡美(かじもと さとみ)さん訪問看護ステーションかすたねっと(大阪府) [no_toc]

在宅における透析患者さんの合併症対応【事例あり】&導入時の心理的支援の重要性
在宅における透析患者さんの合併症対応【事例あり】&導入時の心理的支援の重要性
特集
2025年9月2日
2025年9月2日

在宅における透析患者さんの合併症対応【事例あり】&導入時の心理的支援の重要性

透析治療は、身体的な負担だけでなく、生活の変化や将来への不安などから、精神的にも大きなストレスを伴います。うつ状態や孤立感を抱える患者さんも少なくないため、訪問看護においては身体的ケアと並行し、患者さんの心に寄り添うサポートも不可欠です。今回は透析患者さんに対する支援として、事例を交えた合併症対応と、透析受容の心理的段階に応じた関わりについて解説します。 透析患者さんに起こりやすい症状 透析患者さんの状態に変化があった際、「どうしたらよいのか分からない」「自分に対応できるか不安」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。基本的な対応の流れは、透析患者さんでもそうでない方でも大きく変わりません。ただし、透析患者さんには特有の注意点があります。 今回は、「血圧の低下」「高カリウム血症」「溢水」を取り上げ、透析患者さんならではの対応のポイントについてお伝えします。特に、「高カリウム血症」や「溢水」は、心停止や呼吸困難といった重篤な状態を引き起こす可能性があり、緊急透析が必要となるケースも少なくありません。こうした症状を早期に察知し、迅速に対応することが、患者さんの命を守る上で重要です。 1 血圧の低下 透析直後や帰宅後は、脱水傾向により血圧が低下することがあります。透析後は自律神経が不安定になりやすいため、急な立ち上がりや歩行は避けたほうがよいでしょう。 なぜ透析後に脱水が起こるのか?透析では、体内の余分な水分を取り除く「除水」が行われ、体重をドライウェイト(DW:目標体重)に近づけます。その過程で、以下のような場合に脱水状態になることがあります。  大量の除水により循環血液量が減少した場合 DWが適切ではない場合 透析による血管拡張 交感神経活動の低下 急激な電解質変動による循環動態の乱れ これらにより、帰宅途中や直後に立ちくらみ、めまい、ふらつき、倦怠感、冷汗、血圧低下(収縮期血圧が90mmHg以下)の症状を起こすことがあります。 安静を促し、水分補給を行うのが対応の基本(図1) 安静にして様子を見る(横になり下肢を挙上する) 水分摂取を行う(回復が見られない場合は透析施設へ連絡する) 血圧が回復しない、または意識障害がある場合は、速やかに救急要請する 図1 血圧が低下したときの対応 安静を促し、水分補給を行う。血圧低下に加えて、顔面蒼白、冷汗、頻呼吸、意識障害(JCSⅡ以上)などの症状が見られたら、「ショック状態」と判断し、救急要請が必要。 2 手足の「しびれ」と高カリウム血症 透析患者さんは腎機能が低下しているため、体内にカリウムが蓄積しやすく、高カリウム血症を起こしやすい状態です。 高カリウム血症の症状カリウムは筋肉や神経の働きに重要な役割を果たします。濃度が高くなると表1のような症状が現れます。 表1 血清カリウム濃度に応じた症状 5.5mEq/L以上初期症状手足のしびれ(感覚異常)、筋力低下・脱力感、口周囲の違和感、吐き気7.0mEq/L以上重度症状意識障害、不整脈(テント状T波)、心停止のリスク *数値は一般的な数値であり、個人差があります   事例:食事が引き金の高カリウム血症A氏(70代・男性) 息子夫婦と同居 透析スケジュール:火・木・土の週3回 透析歴:1年 現在の状況:透析を開始し、尿量が減少してきている 訪問看護師が月曜日の午前中に訪問すると、A氏から手指のしびれ、口周囲の違和感、軽度の吐き気の訴えがあった。「いつもと特に変わったことはないけれど、朝起きたら唇がしびれていて、何かおかしい。手先もしびれている気がする」とのこと。食事内容を確認すると、「昨日は息子夫婦と一緒に外食をして、生野菜と果物をたくさん食べた」との発言があった。 【訪問看護師の対応】緊急透析検討のため透析施設へ連絡 訪問看護師は、A氏の症状から高カリウム血症とアセスメント。緊急透析を検討する必要があるため、透析施設へ連絡し、症状と食事内容の情報を伝えました。 【透析室での対応】緊急透析および食事指導を実施 来院時の血中カリウム値は7.0mEq/L、心電図ではテント状T波を確認しました。緊急透析を実施し、症状は改善されました。その後、カリウム吸着薬が処方され、カリウム制限に関する食事指導を行いました。 【対応のポイント】しびれの訴えには要注意 しびれの訴えがあった場合は、バイタルサインを確認し、直近の透析状況および食事内容を確認します。予防策として、ブロッコリーやバナナ、生の野菜ジュース、干し芋のような乾物など、カリウムの多く含まれる食品の摂取を控えるよう指導し、食事管理を徹底してもらいます。また、透析の適正な実施が必要です。 3 溢水による心不全 透析患者さんは腎機能が著しく低下しており、水分や塩分を尿として排出できないため、体内に水分が蓄積しやすくなります。この状態を「溢水(いっすい)」と呼びます。 溢水の症状体重増加、頸静脈の怒張、呼吸困難・息切れ・咳嗽・湿性ラ音の聴取・血清泡沫痰、水分蓄積による浮腫 呼吸困難時は安楽な体位をとる呼吸困難は、座位やファウラー位で軽減することが多くあります(図2)。患者さんの安楽な体位を工夫するようにしてください。 図2 呼吸困難時の対応 呼吸困難は、上半身を起こす座位やファウラー位で軽減することが多くある。安楽な体位になるよう工夫する。   事例:会話中の息切れで気づいた、心不全症状B氏(70代、女性) 独居 透析スケジュール:火・木・土の週3回 透析歴:15年 既往歴:心筋梗塞、脳梗塞、気管支喘息 訪問看護師が月曜日の朝に訪問したところ、以下の症状を確認した。 ・呼吸困難(会話時に息切れ)、臥位にて増強(起座呼吸) ・下腿浮腫(+2:4mmのくぼみ) ・体重:前回の透析後より+4.2kgの増加(DW:40kg) ・バイタルサイン:血圧 170/98mmHg、SpO₂ 88%、心拍数 112回/分 ・顔色不良、倦怠感強い 【訪問看護師の対応】心不全を疑い全身状態をアセスメント 心不全を疑い、アセスメントを開始しました。バイタルサインの測定、浮腫・呼吸状態の観察、直近の透析状況(特に最終体重)・体重増加量・食事内容(水分摂取量)を確認し、透析施設へ緊急連絡しました。 【透析室での対応】緊急透析を実施し、DWの見直しも 透析室では、緊急透析を行い、除水3.8Lを実施。透析後は、呼吸状態・浮腫ともに改善しました。あらためてドライウェイトを見直すとともに、塩分・水分管理の再指導を行いました。 体重増加と呼吸状態の変化は心不全のサイン中2日明けの訪問(B氏の場合は火曜日)は特に注意が必要です。その間の体重増加や呼吸状態の変化は、心不全のサインです。患者さんの「いつもと違う」訴えを見逃さず、透析施設・主治医との連携が大切です。 * * * 合併症への対応では、訪問看護師によるアセスメントが不可欠です。異常を察知した際には、ためらわずに透析施設と情報を共有し、重症化の予防に努めましょう。 透析導入時の心理的支援のポイント では次に、患者さんの心のケアにおいて重要な「心理的支援」についてご紹介します。透析を受け入れる過程で患者さんが経験する心理的な段階に応じた支援のあり方や、訪問看護師が果たす役割について解説します。 透析患者さんの多くは、透析治療を生活の一部として受け入れ、前向きに適応していく心理的・社会的なプロセスを辿ります。訪問看護師が理解しておくべき、透析受容の心理的段階と支援のポイントは以下のとおりです。 透析受容の心理的段階(図3) 透析治療の開始から時間の経過とともに、患者さんは以下のような段階を経験します。 図3 透析受容の心理的段階 ●混乱期治療開始時には、「なぜ自分が透析を?」という戸惑いや否定的な感情が強く表れます。病気の受容が難しく、治療や生活の変化に対する不安が大きく、精神的な混乱が生じます。 ●変化期少しずつ治療や生活の制限について理解が進み、自分なりの対処法や工夫を模索するようになり、生活の再構築に向けた前向きな姿勢が見られるようになります。 ●共存期透析治療を日常の一部として受け入れ、前向きに捉えるようになります。自己管理やセルフケアへの意欲が高まり、治療とともに生きる意識が芽生えます。 ただし、すべての患者さんがこのプロセスを順調に進むわけではありません。透析を始めて何年経っても受け入れられず、苦しんでいる方もいます。透析の受容は、性格・価値観・生活背景・家族や社会的支援の有無など、さまざまな要因に左右されるため、画一的な経過をたどるものではありません。 各段階に応じた支援の重要性 患者さんの心理状態に応じた支援は非常に重要です。特に混乱期には、透析に関する詳しい指導を行っても、患者さんが情報を受け取る余裕がなく、内容が頭に入らないことがあります。指導を受ける気持ちになれない場合も少なくありません。 このような時期には、まずは患者さんの気持ちに寄り添い、安心感を与えるかかわりが何よりも大切です。患者さんが少しずつ気持ちを整理し、「透析」という現実を受け止められるようになるまで、焦らずに支援を続ける姿勢が求められます。 透析の受容は一度で完了するものではなく、揺れ動くプロセスです。訪問看護師の皆さんには、患者さんが今どの段階にいるのかを見極め、それぞれの段階に応じた「今の気持ち」に丁寧に寄り添いながら支援していくことが重要です。  執筆:熊澤 ひとみ医療法人偕行会 透析医療事業部 副事業部長透析看護認定看護師【職歴】昭和63(1988)年 名古屋共立病院 入職平成11(1999)年 偕行会 セントラルクリニック 異動平成17(2005)年 透析医療事業部 副事業部長令和3(2021)年 医療法人偕行会 法人本部 理事【所属学会】日本腎不全看護学会 監事日本臨床腎臓病看護学会日本透析医学会編集:株式会社照林社

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年8月27日
2025年8月27日

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」後編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した服部 景子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の投稿エピソード「意思疎通、出来ます。」をもとにした漫画をお届けします。  「意思疎通、出来ます。」前回までのあらすじサマリーの「意思疎通不可」にチェックが付いていた利用者のトシ子さん。訪問看護師の服部さんは、トシ子さんと介護を担う娘さんをできるだけサポートしたいと思いながらも、バイタル測定もさせてもらえない状況でした。ベテランの所長さんが訪問しても同様の結果だったことから、「トシ子さんには何か訴えたいことがあるのでは」と考え、改めて担当としてトシ子さんのサポートに向き合う決意を固めました。>>前編はこちら受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】 「意思疎通、出来ます。」後編 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者:服部 景子(はっとり けいこ)さん愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道)3年連続で表彰いただき、誠にありがとうございます。授賞式に参加するたびに感じるのは、「全国には、こんなにも熱い想いで訪問看護に取り組んでいる仲間がたくさんいる」ということです。皆さんのエピソードを読み、お話を伺い、笑い、涙し、感動し、共感しながら、たくさんのエネルギーをいただいています。今回エピソードが漫画化されたことを、トシ子さんはもちろん、娘さん、ケアマネジャーさん、上司、同僚、家族がとても喜んでくれており、私自身も幸せな気持ちでいっぱいです。このような機会をくださったトシ子さんと娘さんに、心から感謝申し上げます。また、NsPaceの皆様の活動には、いつも深く感謝しています。これからも訪問看護師の輪がますます広がっていくことを、心より願っています。

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年8月26日
2025年8月26日

受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」前編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した服部 景子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の投稿エピソード「意思疎通、出来ます。」をもとにした漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちら・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】 「意思疎通、出来ます。」前編 >>後編はこちら受賞エピソード漫画化!「意思疎通、出来ます。」後編【つたえたい訪問看護の話】   漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者:服部 景子(はっとり けいこ)さん愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道)

家族まるごと看るサービスも  「東大看護GNRC目白台プロジェクト」の新たな取り組み
家族まるごと看るサービスも  「東大看護GNRC目白台プロジェクト」の新たな取り組み
特集
2025年8月19日
2025年8月19日

家族まるごと看るサービスも  「東大看護GNRC目白台プロジェクト」の新たな取り組み

東京大学医学部附属病院 分院の跡地(東京都文京区目白台)にヘルスケア複合建物が誕生し、2025年7月にグランドオープンを迎えました。ここには、東京大学大学院 医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター(以下「東大GNRC」)のオープンラボや、新たな取り組みに挑戦する看護ステーションも入っています。新たな看護の拠点で行われる取り組みや研究内容に迫ります。 文京区目白台に誕生したヘルスケア複合建物 東京大学医学部附属病院 分院の跡地に誕生したヘルスケア複合建物「Tonowa Garden(トノワ ガーデン)目白台」。「SUSTAINABLE COMMUNITY CAMPUS~地域をむすぶ、世界に広がる、未来へつながる。」というコンセプトで、人同士の多様なつながりが生まれることを目指しています。 建物内には、ヘルスケア関連の施設が多数あります。サービス付き高齢者向け住宅、介護付有料老人ホーム、リハビリ特化型デイサービス、クリニック、調剤薬局、学童保育施設のほか、「東大看護ステーション目白台」、「東大GNRCオープンラボ」という新たな看護の拠点も入っています。 「東大看護ステーション目白台」とは? 東大看護ステーション目白台は、東大GNRCの教員らが立ち上げた「一般社団法人東大看護学実装普及研究所」が運営する看護ステーション。研究者であり臨床経験も積んでいるメンバーが、東大GNRCと連携しながら質の高い看護サービスを提供します。介護保険・医療保険制度による訪問看護はもちろんのこと、新しい保険外看護サービスも提供。世帯単位での月額制看護サービス「GNRCつながるケア」を展開しています。 「家族まるごと支える」新たなチャレンジ 提供:一般社団法人東大看護学実装普及研究所 「GNRCつながるケア」は、個人ではなく世帯単位で看護を提供する点が特徴的です。定期面談、メール・電話での相談、別居のご家族へのレポート送付などに対応しています(※)。介護保険・健康保険による訪問看護の対象にならない方や病院の受診に至っていない方など、これまで医療との接点がなかったご家族にも看護師による健康相談サービスを届けられる新しい取り組みです。 ※プランにより、対象人数や面談頻度、提供サービスなどは異なります。 「東大GNRCオープンラボ」とは? 東大GNRCオープンラボは、東京大学医学系研究科附属の研究機関で、東大看護系教員、大学院生、学部生などによって運営されています。 「誰もが自分と自分のまわりの人たちを大事にできる『幸せ社会』を目指す拠点」として、文京区民が気軽に立ち寄れる暮らしの保健室の機能を持つほか、さまざまな研究・取り組みが行われる予定です。多目的スペースのため、自由度高く活用できます。 直近では、2025年6月~12月に文京区からの委託事業として『共に学ぶ「ケア」講座』を実施しており、学生から高齢者まで幅広い層の方から定員を超える多数の申し込みがあったとのこと。地域住民の関心・ニーズの高さがうかがえます。 東大GNRCセンター長 山本 則子教授。東大医学部衛生看護学科を1963年に卒業した遠藤和枝さんが東大GNRCに寄贈された絵画「酸素を放出する微細藻類」と。 完成見学会も盛況 2025年5月末に行われた東大GNRCオープンラボの完成見学会では、研究分野ごとにコーナーが設けられ、研究内容や開発した商品、取り組みなどを説明。訪れた方々は熱心に聞き入っていました。 2025年5月末に行われた完成見学会での様子 例えば、地域看護学・公衆衛生看護学分野のコーナーでは、「乳児の股関節脱臼の遅診断・見落としゼロ」プロジェクトが紹介されていました。乳児股関節脱臼は、徒手検査では一部見落とされる可能性があり、発見が遅れると高齢期の変形性股関節症に至るリスクもあります。こうしたリスクを減らすために、各自治体が行っている新生児訪問指導時に保健師等による超音波検査を行うことを提案しており、一部地域で試行したことによる成果も出ています。 イベント時には、人形を用いた超音波検査の体験も そのほかにも複数の体験コーナーが設けられ、医療や健康に関心を持ってもらえるような工夫が凝らされており、活発な交流も生まれていました。 イノベーティブな発想で「新しい看護」にチャレンジ 最後に、東大GNRCオープンラボ・東大看護ステーション目白台を運営している皆さまのコメントをご紹介します。 東大GNRCセンター長 山本則子教授 看護が人間の生活にとって重要で欠かせないものであるという点は今後も変わりませんが、ニーズに応じて看護の形、やり方は変わっていきます。だからこそ私たちは、イノベーティブな発想を持ち、勇気をもって新しい取り組みにチャレンジしていくべきだと思っています。 東大GNRCオープンラボ・東大看護ステーション目白台では、多様な方々の力を合わせながら、新たな看護を生み出す研究・開発を進めていきます。 東大看護ステーション目白台 管理者 北村智美さん 「GNRCつながるケア」は保険外サービスであり、ご自宅に限らず入院先や施設での面談、通院への立ち合いなどさまざまな可能性があると思います。利用者のニーズに合わせて、柔軟な形で看護を提供していけたらと思います。 将来的にはここから得た研究知見を発表し、他地域でも提供可能な方法を検討していきたいと考えております。 東大GNRCオープンラボ 広報担当 仲上豪二朗教授 東大GNRCオープンラボは、地域の方々とともに研究を推進できる先進的な場です。 東大病院の分院が閉院した2001年以降、この建物が完成するまでに多数の検討・調整がなされてきました。東大研究者たちの強い想いや努力の積み重ね、そして東大に愛着を持ってくださっている地域の方々からの後押しなどがあったからこそ、東大GNRCオープンラボが誕生できた経緯があります。 先人たちからのバトンをしっかり受け取り、少しでも早く社会に役立つ研究を推進すべく、覚悟と信念をもって取り組んでいきます。 * * * 新たな看護の研究拠点が誕生し、世帯単位での看護サービスや市民参加型の研究活動など、先進的な取り組みが展開されています。ぜひ今後の展開に注目していきましょう。 執筆・取材・編集:NsPace編集部 ■訪問看護の紙芝居データ 公開中! お子様に訪問看護を説明したいときにも使える!未就学児向けの紙芝居「かぞくのみかた ほうもんかんごしさん」のデータを公開中!「お役立ちツール」からダウンロードできます。 >>お役立ちツール

大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」【つたえたい訪問看護の話】
大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年7月22日
2025年7月22日

大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第3話【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、株式会社ウッディ 訪問看護ステーションはーと(東京都) 木戸 恵子さんの大賞エピソード「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」をもとにした漫画の第3話(最終話)をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】  「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」前回までのあらすじ4人のお子さんがいるえみさんは、末期の肺がんを患っている。子どもたちと最後の思い出をつくるために、主治医の許可も得て宮崎から東京に飛行機で移動していたが、容体が急変して緊急入院。移動には高いリスクを伴うが、えみさんや夫は「宮崎へ帰りたい」と切望しており、病院は訪問看護師の木戸さんに相談した。その後、えみさんは木戸さんが運営するホームホスピスで、体力をつけるために3日ほど休養。いよいよ、在宅医のW先生やドライバーさんたちとともに、車で宮崎へ向かう。<主な登場人物>>>第1話はこちら大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第1話【つたえたい訪問看護の話】>>第2話はこちら大賞エピソード漫画化!「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第2話【つたえたい訪問看護の話】 「お母さん~看護の襷をつなぐということ~」第3話(最終話)   漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者: 木戸 恵子(きど けいこ)さん株式会社ウッディ 訪問看護ステーションはーと(東京都)大賞をいただき、とても光栄で、嬉しく思います。私は訪問看護師になって27年になります。確実な医療ケアや医療処置が求められる緊張の現場ですが、まずは患者さんやご家族のお話を伺い、患者さんの心の風景を垣間見られるように、という意識を持って接しています。えみさん(仮名)も、お話を傾聴し、心の風景を共有することから関わりました。課題や心配はありましたが、ご本人・家族と医療者すべての思いを繋ぐために覚悟を決め、その場の雰囲気を瞬間的に察知しながらアセスメントに努めました。私は、常日頃から出会った関係性や連携を大切にしています。例えば、研修で学びを共にした仲間とは情報交換や視察をし合ったり、仕事仲間とはカンファレンスを繰り返したりと、絆づくりをしています。えみさんの事例においても、相談した仲間たちすべてが自分事のように対応してくれました。普段の連携力や繋がりを生かせたことは、今後のやりがいにもなります。私が出会ったとき、えみさんの体力は限界アラームが鳴り始めていましたが、たくさんの方の心に響く、熱くて強い命の炎を持っておられた方でした。改めて振り返ると、えみさんの原動力が私たちをさらに強く繋げてくださったのだと思い、感動しています。貴重な体験をさせていただきました。最後に、えみさんのご冥福を祈るとともに、ご家族様や関わってくださった仲間たちに感謝申し上げます。ありがとうございました。 >>「第3回 みんなの訪問看護アワード」特設ページ [no_toc]

特集
2025年7月22日
2025年7月22日

バスキュラーアクセスのトラブル対応、日常管理のポイントも【事例あり】

透析患者さんにとって、生命維持に直結するバスキュラーアクセス※の日常管理は、在宅での療養生活を支える訪問看護においても避けては通れない重要な課題です。今回は訪問時に遭遇しやすい、バスキュラーアクセスのトラブル対応と日常管理のポイントについて、ありがちな事例を3つ挙げながら解説します。 ※内シャント(AVF)、人工血管(AVG)、長期留置カテーテルを含む 事例1:透析カテーテルが抜去しかけている 患者さんのドレッシング交換を行おうとしたところ、透析用の長期留置カテーテルが通常の固定位置から大きくずれており、抜去しかけている状態であることに気がついた。 【初期対応】まずは全身とカテーテル周囲を観察 患者さんの全身状態(バイタルサイン、意識状態、訴えの有無など)を慎重に観察しながら、カテーテル周囲の状態を確認することが重要です。自己判断での処置は避け、主治医または透析クリニックへ速やかに報告・相談し、受診や処置の必要性について指示を仰ぎます。 【禁忌】カテーテルの押し込みはNG! カテーテルを自ら押し込むことは原則として禁忌です。長期留置カテーテルは、血管(多くは上大静脈)に直接挿入されています。押し込む行為は感染リスクを著しく高めるだけでなく、先端が血管壁を損傷する可能性があり、カテーテルの位置が逸脱して機能不全を起こす危険性があります。 【対処法】落ち着いて仮固定し、連携を カテーテルには触れず、清潔操作で滅菌ガーゼを仮固定(過度な圧迫は避ける)します。 感染徴候(発赤・熱感・膿・発熱など)を観察後、主治医または透析施設へ速やかに連絡し、状況を詳細に報告します。 事例2:シャント音やスリルが消失している 訪問時、シャントの観察を実施したところ、シャント音が聞こえず、スリルが触知できなかった。 【初期対応】まずはシャント側の上肢を観察 シャント音やスリルの消失は、シャントの閉塞や血栓形成による血流遮断の可能性が疑われます。シャント側の上肢の皮膚温、色調、浮腫の有無を観察し、再度、聴診と触診を実施します。シャント中枢側(吻合より遠い部位)でシャント音が聴取できなくても、吻合部付近で聴取できる場合があるため、範囲を絞らず広めに確認しましょう。 【対処法】シャント閉塞疑いの場合は速やかに連絡 再度確認してもシャント音が聞こえず、スリルが触知できない場合は、シャントの閉塞が疑われます。その場合は、速やかに透析施設または主治医へ連絡します。 シャントが閉塞している場合、透析が実施できません。手術が必要となるため、手術の日程や透析日の調整など迅速な対応が求められます。 事例3:シャント周囲の皮膚に発赤や熱感を認める シャント周囲の皮膚に明らかな発赤と熱感を認めた。患者さん本人は「少し赤いけど痛みはない」と話していたが、感染徴候がみられる状態であった。 【初期対応】まずは感染徴候を観察 シャント周囲の発赤と熱感は、感染の初期徴候である可能性を示す重要なサインです。早期対応を怠ると、最悪の場合、全身性の敗血症につながることもあります。発赤・熱感以外の感染徴候(腫脹・疼痛・浸出液・皮膚潰瘍など)も観察し、全身状態(発熱・悪寒・倦怠感など)を確認します。 【禁忌】温め、もみほぐしはNG! 温罨法(おんあんぽう)やもみほぐしは炎症を悪化させ、感染を広げる危険性があります。感染徴候を認めた際は、注意が必要です。 【対処法】全身症状がある場合は主治医に連絡 発熱・悪寒・倦怠感などがあれば全身感染(シャント感染・敗血症)を疑い、速やかに透析施設または主治医に連絡し、受診・処置の指示を仰ぎます。 手術の可能性を視野に入れた搬送手段の確保を検討し、受診の指示があった場合、速やかに家族や訪問診療医らと搬送について調整します。特に発熱や強い痛みがある場合は緊急搬送が必要となる場合があります。 バスキュラーアクセスの日常管理のポイント 長期留置カテーテルとシャントについて、それぞれの日常管理のポイントを示します。 長期留置カテーテル 日常管理では、以下の項目を観察します。 観察項目内容挿入部の状態発赤・腫脹・浸出液・熱感などの感染徴候の有無を観察固定状態テープやドレッシングの固定状態(しっかり固定されているか)を確認カテーテル位置ズレや抜けかけの有無を確認全身状態発熱・悪寒・倦怠感など、感染徴候の有無を確認出血・漏れ挿入部からの出血や透析後の漏れの有無を確認疼痛・掻痒痛みやかゆみの有無およびその程度・部位を確認 清潔保持とケア 原則として透析施設でドレッシング材の交換を行いますが、訪問看護師が行う場合もあります。その際は、清潔操作を徹底しましょう。 入浴、シャワー時はカテーテル部を防水処置で保護します。濡れていると感染の原因となります。 患者・家族指導 日常生活でカテーテルを引っ張らないように注意すること、着替えの際はカテーテル部を押さえるなどの配慮が必要であることを伝えます。 発熱や出血など、異常時の連絡体制を共有しておきます。 少しのズレでもカテーテルの位置が「いつもと違う」と感じたら、医療機関との早期連携を心がけるように伝えます。 シャントの日常管理のポイント シャントは「命をつなぐライフライン」です。日々のセルフチェックが、トラブルの早期発見・重症化予防につながります。患者さん本人にも以下のチェック項目を共有し、「いつもと違う」は異常のサインであり、小さな変化も放置せず、訪問看護師に連絡するよう伝えます。連絡を受けた訪問看護師は、遠慮せずに透析施設へ連絡しましょう。 【観察項目】・シャント音、スリル(振動感)があるか・シャント部に発赤、腫脹、熱感がないか・シャント肢にしびれや冷感がないか・出血や内出血、痂皮(かひ)などがないか 生活の中での注意点患者さんに以下のことに注意するよう指導します。 シャント肢を圧迫しない(重い荷物を持たない、腕枕や腕時計、きつい袖を避ける) 採血・血圧測定・注射はシャント肢を避ける シャント肢を清潔に保つ 転倒や打撲を避ける(特に高齢者は要注意) * * * バスキュラーアクセスの管理は、透析療法を支える基盤であり、訪問看護の中でも特に専門性と慎重さが求められる領域です。日々の観察や患者さんへの声かけにより、訪問看護師の違和感に気づける力こそが、重篤なトラブルを防ぐことにつながります。今回ご紹介した事例や管理に関する解説が、現場でのケアに少しでもお役に立てば幸いです。  執筆:熊澤 ひとみ医療法人偕行会 透析医療事業部 副事業部長透析看護認定看護師【職歴】昭和63(1988)年 名古屋共立病院 入職平成11(1999)年 偕行会 セントラルクリニック 異動平成17(2005)年 透析医療事業部 副事業部長令和3(2021)年 医療法人偕行会 法人本部 理事【所属学会】日本腎不全看護学会 監事日本臨床腎臓病看護学会日本透析医学会編集:株式会社照林社

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