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【多職種連携】理学療法士が訪問看護でヒヤッとしたこと4選
【多職種連携】理学療法士が訪問看護でヒヤッとしたこと4選
特集
2022年11月22日
2022年11月22日

【多職種連携】理学療法士が訪問看護でヒヤッとしたこと4選

訪問看護の現場は病院やクリニックと全く異なる環境ですが、ヒヤリハットは同じように存在します。例えば、訪問看護スタッフの人為的なミスや、利用者さんが起こす予想外のハプニングなどです。一方、利用者さん宅へ移動中に起こる交通ハプニングもあり、これは訪問看護ならではのものですね。 今回は理学療法士である私自身が、訪問看護で経験したハプニングについてご紹介します。 目次・訪問看護ならではの車に関するトラブル・パーキンソン病を患う利用者さんの薬が切れてヒヤリ・利用者も介助者も転倒しそうになる場面がいっぱい・歩行訓練中、床に落ちている内服薬を発見・隠さずに共有することが大切 訪問看護ならではの車に関するトラブル 医療の現場ではなく「訪問」看護だからこそ起こり得るものとして、交通手段でのトラブルがあります。土地勘がない道路での運転は慣れが必要ですので、訪問看護の初めには道に迷うことが少なからずあります。 私が実際に経験したものとしては、道を間違えてしまい約束の時間に訪問予定のお宅にたどり着けなかったということがありました。可能であれば、訪問看護に伺う前にルートの確認ができればベストですね。しかし、時間に余裕を持って行動していれば多少の間違いがあっても大きな問題となることはなさそうです。 同じく車で起こり得るヒヤッとすることとして、スピード違反や事故といったものもあります。もちろん、訪問看護の車だからといって交通違反は見逃してもらえません。これらも時間に余裕を持って行うことが大切な予防策です。 また訪問看護の利用者さんのご自宅に十分な駐車スペースがない事もあります。路上に駐車する際は場所をご家族に確認することが必要ですね。実際に、利用者さんの家族に確認し忘れて、お隣の敷地に駐車してしまったために駐車違反の切符を取られた同僚もいました。近隣なら自転車など別の手段を使用するのも手段の一つですね。 パーキンソン病を患う利用者さんの薬が切れてヒヤリ 訪問看護の現場では時に日中独居の方もいらっしゃいます。 実際の例として夕方に家族が帰宅するまでの間、さまざまな職種が訪問をして投薬管理や日常生活のケアをしていた重度のパーキンソン病の利用者さんのお話をしたいと思います。その方は、娘さんと2人暮らしでしたが日中は独居であり、また薬のオンオフが激しく薬が切れてしまうと動作の最中でも動けなくなってしまう方でした。 1時間ごとにケアワーカー、ナースなどが訪問し、薬の飲み忘れがないかどうかも含めて管理していましたが、ある日訪問すると返答がなく、いつも座っている車椅子にもいません。呼びかけにも、声が出にくくなるというパーキンソン病のせいか返答もなく、少し開いているトイレを覗いたところ、車椅子に移る動作の途中転んだようで地面に倒れていました。薬の作用が切れてしまったらしく、立ち上がれなかったとのこと。病気によってはこのようなハプニングもあります。かかりつけ医に報告しましたが、診察の結果、骨折等もなくひと安心となりました。 利用者も介助者も転倒しそうになる場面がいっぱい これは訪問看護でも病院でも起こり得ることですが、トイレや車椅子への移乗もしくは歩行訓練中に、利用者さんがガクッと膝折れを起こしてしまいバランスを失うという事があります。実際に、脳梗塞後の高度な高次脳機能障害のある70歳女性のトイレ移乗動作を介助している時に、体が反り返ってガクッと膝折れを起こしてしまい、倒れこむようにベットに寝かせた経験がありヒヤッとしました。安全のために、歩行介助ベルトなどをつけて訓練を行いますが、不意に起こると対応が難しい場合もあります。やはり不測の事態にも備えて介助することが必要ですね。 また、訪問看護では靴を履きませんので、畳やフローリングなどで滑ることがあります。入浴現場での介助では、水滴や石鹸など一層滑りやすい要素もいっぱいです。余分な水分は十分に拭き取り、あらかじめシミュレーションを行って予防策を練ることが大切です。 歩行訓練中、床に落ちている内服薬を発見 訪問看護を受けている利用者さんの中には、年老いた配偶者が介護をしている老々介護の場合もたくさんあります。ご夫婦ともに軽度の認知症があると言った場合には、薬の内服に関することなどでもヒヤッとすることがあります。 実際の現場で起こった話として、日中はご高齢のご夫婦のみとなる利用者さんの自宅内で歩行訓練中、ベッドの下から内服薬が落ちているのを発見したことがあります。ご夫婦ともに軽度の認知症があり、落ちていた内服薬は、錠剤のみになっているためにどのような薬効のものなのかわからず、またいつに落としたものなのか、飲ませてもいいものかわからずにヒヤッとしたことがあります。 幸い全てのお薬には、製薬会社のマークと番号などが記載されているため、薬剤師さんに問い合わせたところ、胃薬であることがわかって飲まなくてもいいということになりました。 しかし、様々な病気を持ち合わせている可能性がある高齢者の場合には、循環器系の大切なお薬が含まれている場合もあり、飲まないと困るということもありますので、大切なお薬に関する知識も大切です。また、このような場合にはしっかりと報告し、専門家の指示を仰ぎましょう。 隠さずに共有することが大切 おわりになりましたが、どんな仕事内容の現場であってもヒヤッとする場面は存在します。 訪問看護のスタッフが起こす人為的なものだけでなく、利用者さんが薬を落としたり無くしたり、利用者さんご自身が体のバランスを崩して転倒してしまうなど、避けられない事態によることもあります。 また、病院では起こり得ないような交通手段でのヒヤッとすることは、訪問看護ならではのものですね。 重要なのは、現場でのヒヤッとしたことを放置せずに他のスタッフなどと共有することです。隠さずに共有することは、大きな事故を防ぐことや同じような状況下で起こり得ることを予測して対応策を考えることができるという利点もあります。もちろん、ヒヤッとした時には慌てることがないように行動することが最も重要ですので、普段からパニックに陥らないように心がけたいものですね。 記事提供:株式会社3Sunny(スリーサニー)

特集
2022年5月2日
2022年5月2日

退院前カンファレンスってどんなことするの?

退院前カンファレンスに参加されたことがありますか?参加したことがある人は気づいているかもしれませんが、退院前カンファレンスは、それぞれの医療機関や対象患者様、参加する構成メンバーによって内容が様々です。 そのため、スタンダードな退院前カンファレンスはどんなものなのか、感覚が掴みづらいという人も多いのではないでしょうか。 退院前カンファレンスを開催する目的や大まかな進行内容は基本的には同じです。ここでは退院前カンファレンスの基本的な概要にご説明します。 ポイントを掴んで、退院前カンファレンスで有益な情報を得ることができるようにしましょう。 目次・退院前カンファレンスの目的とは?・誰が参加するの?主催は?・退院前カンファレンスの内容は?・退院前カンファレンスでの収益計算・おわりに 退院前カンファレンスの目的とは? 退院前カンファレンスは、退院予定の患者様で、自宅での療養に在宅サービスを利用する必要のある場合に開催します。カンファレンスを開催する目的として、2つ挙げることができます。 一つ目は、入院医療機関が持っている患者様の情報を、直接在宅サービスの担当者へ情報提供することです。自宅にて訪問看護などの在宅サービスを利用する際に必要な情報について、直接顔を合わせて情報交換することができます。顔の見える連携が取れると、退院後にわからないことがあった場合でも、直接問い合わせがしやすくなります。 2つ目の目的としては、患者様、家族への安心感の提供です。事前に病院に来て、医療機関から訪問看護の担当者を紹介することで、患者様、家族が安心するということがあります。会ったことがない人に自宅で初めて会うというのは誰でも抵抗感があることです。 また、スタッフ同士が連携している様子を患者様、家族に見てもらうことにより、しっかりと情報交換ができて連携ができているのだと実感してもらえます。それが患者様、家族と在宅サービス担当者との信頼関係の構築と在宅療養への安心感に繋がります。 誰が参加するの?主催は? ほとんどの場合、退院前カンファレンスを主催するのは、入院している医療機関の医療ソーシャルワーカーです。医療ソーシャルワーカーが院内の関係職種や在宅サービスの担当者へ連絡し、カンファレンスの日程調整をします。 院内の関係職種については、対象となる患者様を担当している医師、病棟看護師、リハビリスタッフ、薬剤師、栄養士、地域連携関係部署の退院調整看護師、医療ソーシャルワーカーといったメンバーです。 在宅サービスからのメンバーとしては、在宅医、訪問看護師、ケアマネージャー、調剤薬局の薬剤師、歯科医師、歯科衛生士、訪問リハビリスタッフ、訪問ヘルパーなどです。必要に応じて、利用するデイケアやデイサービスの担当者や福祉用具業者、医療機器業者なども参加することもあります。 また、患者様、家族がカンファレンスに参加してもらい、希望や意見を聞いたり、医療機関側と在宅サービス関係者の連携の様子を見てもらったりします。 退院までの間に、これだけの人数を集めてカンファレンスをするには、日程調整が難しい場合もあり、すべてのメンバーが集められないこともあります。その時には、記録を作成し、患者様、家族に了解を取った上で、記録を各担当者へ送り情報共有を図ります。 退院前カンファレンスの内容は? 退院前カンファレンスの内容は、病気や治療、症状のコントロールに関すること、病棟での看護状況、リハビリの内容、処方内容や服薬の仕方、社会保障制度の活用状況、利用予定の在宅サービスの内容等について、情報共有とディスカッションをします。 入院中の管理を在宅でそのまま行うわけではありませんので、入院中に在宅に合わせた管理に移行するために打ち合わせをします。 また、患者様、家族の希望や意見、心配事などについても話をしてもらい、カンファレンスで検討します。 進行は、患者様、家族の話を聞きながら進めることもあれば、職種ごとに一通り基本情報のプレゼンを先に行うなど、患者様、家族のキャラクターやその場の雰囲気で司会進行する人が判断するでしょう。それぞれの担当者が情報をまとめた資料等を配布することもあります。 退院前カンファレンスでの収益計算 退院前カンファレンスに参加することは、担当する患者様が退院する前に多くの情報を得ることができますのでとても有益なことです。 しかし、参加するとなったら、医療機関まで赴く手間と時間とお金がかかりますよね。訪問の時間を削ってスタッフをカンファレンスに派遣するわけですから、在宅サービス事業者にとっては、退院前カンファレンスに参加して収益が出るのかは気になるところだと思います。 訪問看護ステーションの看護師が退院前カンファレンスに参加した場合には、退院時共同指導加算を算定することができます。 ただ、退院前カンファレンスに参加するメンバーや患者様の状態、複数の訪問看護ステーションの参加などの条件によっては算定できない場合もあります。算定要件には細かな規定があるため、算定する際は確認が必要です。 おわりに ここでは、退院前カンファレンスに関する基本的な概要についてご紹介しました。 在宅サービスを利用する退院予定の患者様の全てを対象に退院前カンファレンスを実施できれば良いのですが、急な退院決定により実施できなかったり、医療スタッフへの過剰な業務負担により開催が難しかったりし、全ての患者様に退院前カンファレンスを提供することができていないのが現状です。 しかし、退院前カンファレンスができないケースであっても、医療機関側と在宅サービス担当者が電話や文書による密な連携を図り、在宅療養を開始する患者様、家族の安心、安全のために努力する必要があります。退院前カンファレンスは情報共有の一つの方法です。上手に活用して、在宅療養サポートの充実につなげたいですね。 記事提供:株式会社3Sunny(スリーサニー)

特集
2021年8月13日
2021年8月13日

在宅医療でヒヤッとしたこと4選

仕事中、いくら注意していても誰もがヒヤッとした経験が1度はあるのではないでしょうか。関わる対象が人だからこそ、他の職業に比べてヒヤッとする度合いが大きいかもしれません。そして在宅では、病院では起こらないようなことが起こりヒヤッとすることがあります。 今回は訪問入浴介護勤務の看護師が経験した、在宅ならではのヒヤッとしたことをご紹介したいと思います。 目次 ◆訪問したら利用者様が不在だった ◆入浴中、カテーテルが自然抜去 ◆利用者様のベッド上に忘れ物 ◆お布団の中にペットや虫 ◆まとめ   ◆訪問したら利用者様が不在だった 今回のケースの利用者様は、軽度の認知症がありましたが一人で暮らしていました。ふらつきが時々あるけれど歩行ができる方でした。ある日訪問すると、家の中のどこにもいません。ふらつきがあるのでどこかで転んで動けなくなっているのではないか、何か事故に巻き込まれたのではないかと一緒に訪問したスタッフと家の周囲を必死に探しました。 しばらくすると、私たちの心配をよそに「どうしたの?何かあった?」と利用者様が帰ってきました。利用者様にはあらかじめ訪問時間を伝えていますが、忘れて買い物に出かけてしまったそうです。利用者様の顔を見たときは、ホッとして一気に力が抜けました。 このことはケアマネジャーに伝え、その後は私たちが訪問する前にサービスに入るヘルパーさんからも、再度訪問時間を伝えてもらうようにしました。 ◆入浴中、カテーテルが自然抜去 訪問入浴介護の利用者様で、膀胱留置カテーテルを挿入している方は多いです。そのためスタッフ皆で抜去しないように気を付けて介助しているのですが、自然抜去してしまった経験があります。入浴中いつも通り介助をしていたのですが、湯船の中にぷかぷか浮かぶカテーテルを発見しました。手早く入浴を済ませ、すぐに訪問看護師に連絡しました。全身状態を伝えると、すぐに向かうので退室していいとのことでした。 後で伺うと、原因は膀胱留置カテーテルを交換したばかりだったのですが、固定液の量が少なかったために自然抜去したのではないかとのことでした。湯船に浮かぶカテーテルを見たときはスタッフと一緒に青ざめましたが、自分たちが原因ではなくてホッとしました。 ◆利用者様のベッド上に忘れ物 在宅の仕事では、たくさんの荷物を持って利用者様のお宅に伺うと思います。訪問入浴介護も同じです。多くの物品を持ち歩くため、利用者様のお宅に忘れ物をすることも少なくありません。私は体温計を利用者様の枕元に忘れてしまうことが何度かありました。 次の利用者様のお宅に行って使おうとしたときに気付くのですが、本当にヒヤッとします。サービスを中断してしまうことで利用者様に迷惑をかけてしまいます。そしてもし忘れた場所が利用者様のベッドで、寝返りなどをしたときに体の下敷きにしてしまったら怪我をするかもしれません。それがはさみなど鋭利なものだったら本当に危険です。 私はなるべく利用者様のお宅を出る前か、車に戻ったらすぐにナースバックの中身を確認するように心がけ、忘れ物をなくすようにしました。 ◆ お布団の中にペットや虫 これは今では笑い話ですが、その時は本当にヒヤッとしたことです。入浴の準備が整ったため、利用者様に「お洋服を脱ぎましょうね」と声をかけました。そして布団をめくると、なんとペットの猫がいて「ニャー!」という鳴き声と共にものすごい勢いで飛び出してきました。びっくりして、私も思わず声をあげてしまいました。利用者様のお部屋は昔ながらの造りでとても寒かったので、猫もお布団の中でぬくぬくしていたのでしょう。 他には虫がいたことも何回かあります。整った環境で暮らしている利用者様ばかりではありません。 病気のため体の自由がきかず、そのうえ一人暮らしという方も多くいらっしゃいます。訪問入浴介護の仕事を始めて、色んなお宅があるということを学びました。 ◆まとめ 重大な事故につながるものから珍事件までご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。命に関わる仕事だからこそ、ヒヤッとすることは極力少なくしたいですね。 その為には事前の準備や、ヒヤッとした原因を認識ことが大切だと思います。実際にヒヤッとした事例を共有して、対策を立てることに役立てていただけたら嬉しいです。 ** 記事提供:株式会社3Sunny(スリーサニー)  

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