福利厚生

インタビュー

牛丼チェーンを見習って、訪問看護をメジャーに!

記録作成や事務作業で残業時間が長くなりがちな訪問看護業界の中で、リカバリーインターナショナル株式会社は、ICT化により平均残業時間は10時間未満を達成しています。 チャレンジを続ける大河原さんに、業界を変える取り組みについて伺いました。 働きやすさへのチャレンジ ―お話をうかがって、大河原さんは「より良くしたい」という気持ちが強い方だと感じました。具体的に今、チャレンジしている取り組みなどはありますか? 大河原: 訪問看護業界をもっと働きやすい業界にするために、リカバリーとして取り組んでいることが四つあります。 残業を減らす取り組み 大河原: 私は無駄な時間が非常に多いのが、訪問看護の課題だと感じていました。そこで、ICTを活用した業務効率化に取り組んでいます。スマホでのスケジュール管理、業務管理のアプリ利用などした結果、現在は平均残業時間が10時間未満となりました。 1分単位の残業代支給 大河原: これはIPOを視野に入れた取り組みでもありますが、私自身が病院で思っていた「頑張った分、評価して欲しい」「しっかり対価として報酬もらいたい」という気持ちを少しでも体現化したいと思って作った制度です。 時間有給の制度 大河原: この制度は特に好評で、お子さんがいらっしゃる方や勉強したい方、定期的に通院が必要な方などが1時間単位で利用しています。また訪問看護だけでなくもっと広く外部のことを知りたい、という方がデイサービスや病院で週に1回兼業するということも可能にしています。 電動自転車通勤の制度   大河原: 訪問の際に使ってもらっている電動自転車を、通勤で使うのも許可しています。そのため、通勤も含めてすべて自転車保険に入っています。車はもちろん保険に入っていますが、自転車保険まで入っているステーションは少ないのではないかと思います。 ―平均残業時間が10時間未満というのは驚きですが、ICT化にあたりスタッフの皆さんの反応はいかがでしたか? 大河原: 初めは「なぜ紙で書かないのか」「緊急のものは全部ファイリングした方が良い」「こんな電子カルテの情報では分からない」という反対の声が非常に多くありました。 しかし、私自身がICTを利用して「緊急で訪問した際にこうしたらうまく行った」「ICTを利用しておかげでこういうことができて現場で助かった」ということを常に声を大にして言い続けたことで、徐々にスタッフの理解を得ることに繋がりました。 ICT化を始めてから7年が経ちましたが、今は皆ICTがないと仕事できないという状態になっています。またICT化は利用者さんにも大きなメリットがあると感じます。 当社は24時間365日対応のステーションですが、利用者さんから夜間緊急で電話が来た際に「看護師が電話に出て話して安心して終わり」ではなく、ICT化された電子カルテがあるからこそ「きちんと電子カルテを見て素早く駆けつけること」が可能になっています。 当社は夜間の緊急時タクシー利用もOKとしているので、看護師さんがタクシーの中でカルテを見ながら訪問先へ向かうことができます。 こんなやり方もあるというということを、知ってもらえると嬉しいです。 チャレンジしてみたいこと 大河原: 訪問看護業界に現在約4万人しか看護師が従事していない中、2025年に向けて10万人以上必要となると言われているので、業界全体で協力しなくてはいけないと思っています。 一番分かりやすい例として、僕は牛丼の話を教えてもらいました。牛丼はもともとメジャーな食べ物ではありませんでしたが、松屋さんや吉野屋さんなど色んな牛丼チェーンが出てきたおかげで皆牛丼が好きになり、結果として牛丼業界全体が儲かったそうです。 訪問看護は、まだ看護師も一般の方々もあまり知らない業界だと思います。「どうしたらしっかり運営できるか」「どうしたらうまく行くか」を、皆に知ってもらい適正な経営ができるステーションが増えればもっと良い業界になっていくと思います。 正直まだスタッフが約100人の会社で大きな成功と言えないと思っていますが、私なりの成功モデルを提示して、皆さんにも認めてもらえるような会社を作っていきたいと考えています。それが当社のIPOを目指している1つの理由でもあります。 ―直近の目標がIPOということですが、もっと先の目標も伺えますか? 大河原: 当社がリカバリーインターナショナルという会社名をつけているのも、私自身が海外で、在宅の大切さや海外の人たちの気持ちの力を知ったためです。なので、いずれは「外国人の看護師さんを採用する」「海外で訪問看護の提供する」これが私の最大の夢、目標です。 コロナウイルスは本当に全世界に大きな影響を及ぼしていますが、今だからこそ私たちがいままでやってきたことを全世界に発信していきたいと思っています。 新型コロナウイルス対応 大河原: 当社では「こういった時期だからこそ、訪問看護に行こう」と言っています。それは利用者さんが家で一人、病を抱えたまま悩んでいる状況が非常に心苦しいからです。 おそらく「利用者さんが発熱している場合は訪問を見送る」というステーションもあると思いますが、実際行けば「肺炎だった」「脱水だった」、あるいは「熱中症だった」ということがあります。 こういう時期だからこそ訪問看護の大切さを伝えていくことで、スタッフ自身に「自分が看護に行くことに意味があるんだ」と思ってもらうことが必要ですし、利用者さん自身も「相談していいんだ」と思う、そういう環境を作ることが大切だと思います。 経営的な面でお話すると、先日の訪問看護財団の発表でもあったように多くのステーションさんで収益が下がっている中、当社は実は20%ぐらい利用者さんが増えている状況です。 コロナ禍では、ケアマネジャーさんは対面で営業に来られるのを嫌がります。その気持ちはよく理解できるので、営業に行かないという選択肢ではなく、電話でケアマネジャーさんの不安に寄り添いコミュニケーションをすることを大切にしました。 具体的にはすでに連携しているケアマネジャーさんには、ご利用者の状態を丁寧に説明したり、まだ連携していないケアマネジャーさんには、プランを作る上で困っていることはないかなど相談にのったりしています。 この状況で「どう訪問看護ステーションを運営していけばよいかわからない」という声を非常に多く聞きます。当社では現在訪問看護事業としての感染予防対策を誰にでもわかりやすい形でマニュアル化しています。 今後はこの社内で作っているマニュアルも外部に公開して、訪問看護業界全体に少しでも貢献できればと考えています。 リカバリーインターナショナル株式会社 代表取締役社長 / 看護師 大河原峻 大学在学中に海外にホームステイしたことをきっかけに、海外で働くことに興味を持つ。卒業後、手術室勤務を経てオーストラリアで働くが現実と理想のギャップに、看護師として働く自信を失う。その後、旅行先のフィリピンの在宅医療に強い衝撃を受け、帰国後にリカバリーインターナショナル株式会社を設立。2020年12月現在、設立7年で11事業所を運営している。 インタビューをした人 シニアライフデザイン 堀内裕子 桜美林大学大学院老年学研究科博士前期課程修了。「ジェロントロジスト」のコンサルタント・マーケッターとして、シニア案件に数多く参画。日本応用老年学会常任理事、日本市民安全学会常任理事を務め、リサーチ・コンサルティングとして、大手不動産企業新規商業施設戦略/大手GMSのシニア向け売り場企画/大手百貨店の高齢者向けサービス・婦人服企画等を多数行う。活動にはNHK 総合 「首都圏情報ネタドリ!」出演、「新シニア市場攻略のカギはモラトリアムおじさんだ!」(ダイヤモンド社)編著他、企業・自治体での講演多数。     新型コロナ感染症対策についてもっと知りたい方は、こちらの特集記事をご覧ください。

インタビュー

看護師を成長、定着させる制度

訪問看護業界は、看護師の離職率の高さが問題となっています。 ケアプロ株式会社では、成長を促進させる人事評価制度と手厚い福利厚生制度で定着率を上げる取り組みをしています。どんな制度を設けているのか、在宅医療事業部長の金坂さんにお話を伺いました。 成果の評価方法 金坂: 大学病院などでは、キャリアラダー評価と、経験年数に応じた人事評価などが行われていると思います。またその上がり方は、かなり緩やかです。 ケアプロでは、人事評価の指標としてラダーを活用しています。そのラダーに沿った絶対評価をしていることが特徴です。ラダーは6ステップに設定していて、ステップごとの目標と、達成時の給与のプラス額が明確になっています。 ラダーのステップに応じた目標や課題が明確に言語化されているので、若手の看護師に、漠然と「新規の利用者を受け持つには、まだ早い」と言うのではなく、「ここを強化する必要があるから、まだ新規の利用者さんを受け持つのは難しい」と伝えることができるようになりました。 ―ほかにも、特徴的な評価システムはありますか? 金坂: 会社としては、貢献した人を表彰する機会を大切にしていて、3か月に一度、ミッション・ビジョンの表彰式を実施しています。例えば最近だと、セラピストスタッフを表彰しました。 入社する新人セラピストが増える中で、病院と訪問看護では求められる役割や考え方、連携のしかたが異なります。それをわかりやすく整理した比較表を作ってくれました。 表彰はただ「ありがとうございます」で終わるのではなく、表彰されるに値する行動になぜ移せたのか、その人の経験を言語化してもらいます。 そうすることで、「自分も何か少しでもやってみよう」と思う人が増え、社内が活性化するのを感じています。 スタッフの働き方をサポート ーケアプロ株式会社では、スタッフの働きやすさのサポートに力を入れていると伺いました。 金坂: はい、20代が6割くらいを占める会社なので、若い世代にもやりがいをもって長く働いてもらうことを目指しています。そのために、さまざまなサポートを用意しています。 休みが取りやすい 現在足立区と中野区にステーションにはそれぞれ、30名弱のスタッフが所属しているため、スタッフが一人休んでも、ご利用者さまの定期訪問が提供できる体制になっています。年間休日120日+有休、それに加えて、介護・子育て応援有休というものもありプラス5~10日間の特別休暇がつきます。 オンコールが2人体制 「いざとなったら所長に電話してもいいよ」というのは、訪問看護ではよく聞きますが、ケアプロのように最初から2名体制のところは珍しいかもしれません。 150人くらいの利用者さんを基本は1人で対応しますが、電話が重なった時や、新人スタッフの時は夜間でも2名のスタッフで同行訪問できるような体制にしています。 福利厚生、手当が充実 ステーションはスタッフのボランティア精神でなんとか維持するものではありません。利益率が多少悪くなっても、仕事としてしっかりと評価するようにしています。 例えば、夜間待機は一晩担当すると6,000円、1回出動すると加えて5,000円が支給されます。また、土日・祝日出勤に対する手当や、家賃補助もあります。 多様な働き方が可能 週5で8時間勤務が基本ですが、育児や副業などの理由で、時短で働きたいというスタッフについては、週休3日や6~7時間の時短勤務など多様な働き方が選べるようにしています。また1人1台パソコンとスマートフォンを貸与して、在宅ワークに対応するなど、働きやすい環境作りには力を入れています。 就学、資格取得、研修参加などキャリアアップへの支援の充実 ケアプロでは、キャリアアップの支援にも力を入れています。大学院への進学、認定看護師の資格取得、外部研修への参加時の費用補助や出張扱い、勤務調整など多様な方法で支援を行っています。 ケアプロ株式会社 在宅医療事業部 事業部長 金坂宇将 地元島根の急性期病院で臨床経験を積む。看護師3年目で看護連盟活動に参画し、病院看護だけではなく地域医療や政治の世界を知り、もっと地域医療に貢献したいという気持ちから、看護師10年目で在宅医療業界に転身。現在、日本の在宅医療業界の課題を解決するために、事業運営に取り組んでいる。 ケアプロ株式会社 「革新的なヘルスケアサービスをプロデュースし、健康的な社会づくりに貢献する」をミッションに2007年12月創立。直営で2店舗の訪問看護ステーションを運営するとともに、予防医療事業、在宅医療事業、交通医療事業の3事業を展開している。(2020年12月現在)

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