コミュニケーションに関する記事

訪問看護のやりがいエピソード
訪問看護のやりがいエピソード
特集
2023年11月14日
2023年11月14日

訪問看護のやりがいエピソード【つたえたい訪問看護の話】

仕事は生活するお金を稼ぐために必要な手段のひとつですが、人生のうちの多くの時間を占めます。充実感・自己肯定感を得るためにも、仕事のやりがいは大切です。今回は、「みんなの訪問看護アワード2023」に投稿されたエピソードから、やりがいをテーマとしたエピソードを5つご紹介します。 「訪問看護を、私の一生の仕事に、後押ししてくれたO氏」 この人のために何ができるか?看護師を職業として選んだ理由や看護師としての初心を思い返すエピソードです。 「外の景色見てもらおうよ」「外に出て風を感じてもらおう」私たち、訪問看護を始めてまもないナース3人は、ALSで数年間寝たきり、人工呼吸器つけた70代のO氏を、外に連れ出す計画を立てました。呼吸維持のため、アンビューバッグ。万が一のため、足踏み式吸引機。移動の為のストレッチャーを、準備して、近くの神社へ。紅葉の綺麗な時期でした。数年ぶりに外に出たO氏は、後日パソコンの指先の操作で、「楽しかった」「気持ちよかった」と感想を述べてくれました。別日には、公園にも出かけました。またクリスマスには、3人で持ち寄った楽器でミニコンサートを、ベッドサイドで開催しました。もう亡くなってしまいましたが、その時撮った写真は、今でも私を初心に帰してくれます。これは、私の20年以上も前の大切な思い出です。今では、スタッフも10人以上の大きなステーションに成長しました。あの時の原動力は、今と違って時間にもゆとりがあったからうまれたのかも知れません。しかしながら、若いスタッフにあの情熱は確実に受け継がれていると感じています。嬉しいことに、この街にも、訪問看護が着実に根付いてきたようです。 2023年2月投稿 「『最期まで面倒見る』って言われたけれど…」 利用者さんの選んだ最期の過ごし方とその日常に、訪問看護として関われる喜びを感じるエピソードです。 100歳を超える女性が退院。主介護者は息子さん。脳梗塞での入院で、病院からは療養型をすすめられ「うちで最期まで面倒みますよ」と言われたが、息子さんは自宅退院を希望。経口摂取も難しく、年齢的にもいつ何があってもおかしくないといわれたものの、そろそろ3ヵ月が過ぎる。表情が穏やかになり、訪問入浴で笑顔もみられ、訪問リハで拘縮も緩和してくる。息子さんは看護師からのケアの指導に「我流だったけど、プロはやっぱり違う」と大満足。「お母さん、お家はいいねぇ。退院できて、年も越せて本当に良かったねぇ」と優しく語り掛ける息子さん。母は言葉では返事できないが、温かい笑顔で返す、そんな日々に訪問看護とリハで関わっている。 2023年2月投稿 「日常を支えること」 人の生は有限であり、何気ない日々の尊さと時間の大切さを実感させられるとともに、その生を支援できる訪問看護のやりがいを感じるエピソードです。 「誕生日おめでとう」「ありがとう」か細い声ではあるが、Aさんが笑みを浮かべ、そう返した。年の瀬に末期がんを宣告され、ひと月半が経つ。徐々に口数が減り表情が乏しくなり行く状況で、少し先の目標を掲げながら伴走を続けてきた。クリスマスを迎える。新年を迎える。そして、誕生日のお祝いをする。それは決して特別ではない当たり前の日常。私たちはそんな日々を積み重ねながら人生を歩んでいるのだと思う。しかし、高齢になり病気を患うと、それまで当たり前だった日常はそうではなくなってしまう。私が考える看護師の役割とは、その人にとって当たり前の日常を送れるよう手を差し伸べること。感情を表出したり、季節を感じたり。Aさんと接して、よりその大切さを感じた。今日もAさんの看護に向かう。いつものように挨拶を交わすとAさんの顔に笑みが浮かんだ。その傍らで誕生日プレゼントのガーベラが、色鮮やかに咲いていた。 2023年2月投稿 「生きる意欲を失いかけた方へ伴走する看護」 自分らしくできないならもう自分ではない…。病気は時に人の尊厳や生きる意欲をかき消してしまうこともあります。ただそうなってからも、病気に打ち勝つ努力をされた利用者さんやご家族と、それを支援し伴走し続けた投稿者さんには感動を覚えます。 妻のM様と二人暮らしの90歳代のE様。入浴前後には「行ってきます、行ってらっしゃい」「ただいま、おかえり」と声を掛け合ったりお二人のやり取りを見ているとお互いを大切にしていることがうかがえる素敵なご夫婦。E様は元国語教師、M様は父が大手デパートの役員で裕福な家庭のお嬢様。E様は末期膀胱がんで膀胱タンポナーデを繰り返し、膀胱留置カテーテルが挿入された。重度大動脈弁狭窄症による失神発作も頻回に認め介護を受けることが多くなり「死にたい」という発言も聞かれるようになった。訪問看護ではE様の意思決定に伴走し、E様はM様と自宅で暮らす選択をした。1日3回訪問をしてまずは身体的側面を整え、お二人の文化・社会的側面を意識した関わりを続けた結果、病状も以前より安定し入浴も再開。趣味の読書や晩酌もできるようになりE様らしさを取り戻した。現在もお二人は自宅で暮らし訪問看護はその暮らしに伴走している。 2023年2月投稿 「『看護はアート』と考えられた訪問看護」 訪問看護という仕事は、たくさんの色を重ね合わせて作り上げていくものなのかもしれません。そんな仕事へのやりがいや自己の成長を感じたエピソードです。 学生のころ、「看護はアート」とナイチンゲールが述べたと習った。病院で働いていたころはそう思えなかった。しかし訪問看護師として働き始め、その人らしさを守れるように、生活を多角的に看る看護を考え始めて、「看護はアート」であると理解できるようになった。認知症の独居の患者には、内服を確実にできる工夫を考えるほか、生活状況・火の元の管理や、訪問販売で不要な契約をしていないか等ケアマネと家族と連携して考えた。看取りのがん患者には医療提供はもちろん、ルート類でつまずかない室内配置を考えたり、本人や家族それぞれの思いを吐露できるよう介入したり、看取りの後悔をご家族が軽減できるようエンゼルケアを一緒に行ったり、自分なりに工夫した。訪問看護は患者と家族をつなぎ、介護・福祉を通して地域にも貢献できる仕事だ。ナイチンゲールの述べたことを理解するのに看護師になって何年もかかったが、訪問看護師になって成長できたと思う。 2023年1月投稿 なぜ訪問看護に携わるのか? 「なぜ今の仕事を選んだのですか?」「仕事のやりがいは?」 聞かれてはっきりと答えることができる人は実はそう多くないのかも知れません。今回それぞれのエピソードでやりがいや充実感も感じ取れますが、それは投稿者さんにとっての答えでしかありません。ではあなたが訪問看護をする理由は何ですか?エピソードを通じ、一度自分の中で振り返る機会になれば幸いです。 編集: 合同会社ヘルメースイラスト: 藤井 昌子

呼吸困難への対応 後編【がん身体症状の緩和ケア】
呼吸困難への対応 後編【がん身体症状の緩和ケア】
特集
2023年11月7日
2023年11月7日

呼吸困難への対応 後編【がん身体症状の緩和ケア】

末期の肺がんを患う鈴木さん。自宅での療養を開始したものの、同居する娘さんから距離を置かれているように感じ、さみしさや自分を責める気持ちに苦しんでいます。それが呼吸困難の症状にも影響しているようです。訪問看護師として何ができるのか、今回も最善の策を考えていきます。 >>前編はこちら呼吸困難への対応 前編【がん身体症状の緩和ケア】 精神的なつらさが関係することも 訪問看護師のあなたの働きかけで、娘さんに主治医から病状説明してもらうことになりました。これから娘さんをどのようにサポートできるかも含め、話し合いを行います。 主治医: 本日はお忙しい中、時間をつくっていただきありがとうございます。主治医です。本日はお母様の病状についてお話しさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 娘さん: お願いします。 主治医: お母様は肺がんで療養され、これ以上抗がん剤が効かないと判断されました。緩和ケア病棟に行く選択肢もありましたが、お母様の希望でご自宅に戻ることになりました。 主治医がさらに続けます。 主治医: お母様の両方の肺にはたくさんの転移がみられます。また、右肺には胸水と呼ばれる水もたまっているので、呼吸が苦しくなりやすい状態です。このため、お母様には鼻から酸素を吸っていただいています。こうしていただくことで、現在のところは十分な酸素を供給できています。 娘さん: でも父からときどき息苦しさの訴えがあると聞いています。それはなぜでしょうか? 主治医: 今は十分な深呼吸をしても、以前のようには酸素を体内に取り込めません。その少しの苦しさが増大してしまうと苦しくなってしまうのかもしれません。息が苦しいと感じることは「すぐに命がなくなってしまうかもしれない」という恐怖にもつながります。中にはパニックになってしまう方や過呼吸になってしまう方もいます。精神的なつらさが呼吸の苦しさにつながる方は多いです。 娘さん: 母もそのような精神的なつらさを抱えているということですね。 あなた: お母様にとって家は生きる場所です。それをご家族の皆さんに、そして娘さんに認めてもらえることで、安心してご自宅で生き抜くことができるのではないでしょうか。 娘さん: …わかりました。忙しさを理由に母を避けていたのかもしれません。きっと母を失うことを認めたくなかったのかもしれません。うまくできるかどうかわかりませんが、今日母と話してみます。ここにいてもいいんだよって…。 あなた: うまく話せなくてもよいのではないですか。娘さんの気持ちが伝われば…。きっと伝わりますよ。 娘さん: そうですね。いろいろと話してみます。 酸素療法中に配療すること 娘さんがご自宅に帰られた後、あなたはよい機会なので、今後の対応について主治医に聞いてみることにしました。 あなた: 先生ありがとうございました。また途中で出しゃばってすみません。 主治医: いえいえ、大丈夫ですよ。 あなた: ところで、今後、鈴木さんが呼吸困難を訴えた場合はどう対応すればよいでしょうか。 主治医: まず環境の整備ですね。気流や不快な匂いへの対処、一人にしないことなどでしょう。それでも息苦しさが改善しない場合、モルヒネ10mg/日を内服することにしましょう。さらに呼吸が苦しいときには酸素を3L/分まで増量するようにしてください。 CO2ナルコーシスのリスクを理解しておく あなた: 鈴木さんはそれほどひどい呼吸不全を起こしているわけではないですよね。酸素を増やすことに意味があるのでしょうか。CO2ナルコーシスの心配もあるのではないですか? 主治医: よく勉強されていますね。鈴木さんの場合、換気量がさほど減っているわけではないので、二酸化炭素が体内に著明にたまってしまう状態であるCO2ナルコーシスは起こしづらいと考えています。それでもCO2ナルコーシスを起こさないように、状態観察は必要ですね。もしCO2ナルコーシスを疑ったときには遠慮なく呼んでください。できるだけ早く往診します。 あなた: わかりました。ありがとうございます。先生、CO2ナルコーシスを起こすということは、呼吸不全が進行していることかと思います。その場合は看取りも近いと考えてよいのでしょうか。 主治医: そうなる可能性もあります。CO2ナルコーシスで意識が低下し、回復が困難と考える場合は看取りに備えた対応をするかもしれません。一方で回復可能と考える場合は、胸腔穿刺を行って胸水を排液し換気量を増やす、または高流量鼻カニュラ酸素療法(high flow nasal cannula oxygen:HFNC)という加温・加湿された高流量の酸素を投与する方法もありますね。そのときの状況次第だと思います。 呼吸不全にはⅠ型とⅡ型がある あなた: 呼吸が苦しいとの訴えがあったとき、呼吸不全があるかどうかは、酸素飽和度や呼吸数などで判断してよいのでしょうか。 主治医: 呼吸不全は、動脈血中の酸素分圧(PaO2)が60mmHg以下のことです。酸素飽和度が90%未満の状態と考えればよいでしょう。それに加えて、動脈血中の二酸化炭素分圧(PaCO2)が45mmHg以下の場合(Ⅰ型呼吸不全)と、46mmHg以上の場合(Ⅱ型呼吸不全)に分けられます。CO2ナルコーシスは二酸化炭素がたまることで起こるので、Ⅱ型に相当します。 あなた: 二酸化炭素分圧を調べるには動脈血を採血して、血液ガス分析を行うしかないですよね。 主治医: そうですね。ただ、調べる機械を持っていない診療所も多いので、調べられるうちにどこかで一度調べておくとよいかもしれません。Ⅱ型ならCO2ナルコーシスに十分注意する必要があるというわけです。入院中の血液ガス分析結果では鈴木さんはⅠ型に相当しますので、ややナルコーシスになるリスクは少ないですが、意識レベルが低下していると感じたら連絡をお願いしますね。 あなた: わかりました。 呼吸困難が緩和され穏やかな最期に 娘さんが鈴木さんとお話しされてから、鈴木さんは不思議なほど呼吸困難を訴えることが少なくなりました。呼吸の状態(酸素飽和度)は徐々に悪くなっていきましたが、息苦しさを訴えることはありませんでした。娘さんは2週間ほど介護休暇をとり、ご主人よりもベッドサイドにいる時間が増えたそうです。さらにそこから2週間、鈴木さんは穏やかに過ごしておられましたが、ある日、状態が大きく変化しました。 朝から鈴木さんが強い息苦しさを訴えているとの連絡が入り、あなたは急いで鈴木さんのご自宅に駆けつけました。 鈴木さんは呼吸が浅く、呼吸数も頻回です。酸素飽和度78%、脈拍120回/分、呼吸数25回/分、血圧90/62mmHg。呼びかけると少しうなずきますが、意識レベルも低下しているようです。 あなたは酸素を3L/分に増量し、主治医に連絡しました。到着した主治医はまずモルヒネ10mgを皮下注射しました。その後、0.05mL/時(0.5mg/時)で持続皮下注射を開始しました。開始10分ほどで呼吸数は18回/分まで減ってきました。 あなたは鈴木さんに呼びかけます。 あなた: 鈴木さん、苦しくないですか? 鈴木さん: 少し楽になったわ…。 しかし、鈴木さんのお顔は真っ青です。 主治医: 酸素を増量しても、酸素飽和度が78%から上がらないですね。血圧も70mmHg台まで下がってきました。強い呼吸不全の状態です。このままの状態では長くは頑張れないので、ご家族にしっかりお別れをしてもらいましょう。 あなた: わかりました。 主治医は、呼吸の苦しさは可能な限り緩和していること、肺に酸素が入らない状態のため、長くは頑張れないことをご主人と娘さんに伝えました。あなた は鈴木さんの足をさすりながら、ご主人と娘さんに鈴木さんに付き添い話しかけてもらうようにしました。聴力は最後まで保たれることが多いためです。 2時間ほどそのままの状態で付き添ったところ、下顎呼吸が始まりました。ご主人と娘さんに最後の呼吸が始まっており、苦痛はすでにないことを伝え、手を握って話しかけるようにお願いしました。やがて呼吸が停止し、いったん診療所に戻っていた主治医に連絡し、死亡確認をしてもらいました。あなたはエンゼルケアを行い、鈴木さんにお別れを告げました。 エンゼルケアを終えた鈴木さんの表情は少し微笑んでいるように見えました。 執筆:鈴木 央鈴木内科医院 院長●プロフィール1987年 昭和大学医学部卒業1999年 鈴木内科医院 副院長2015年 鈴木内科医院 院長 鈴木内科医院前院長 鈴木荘一が日本に紹介したホスピス・ケアの概念を引き継ぎ在宅ケアを行っている。 編集:株式会社照林社 【参考】〇日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会編.『進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン(2023年版)』金原出版,東京,2023.

呼吸困難への対応 前編【がん身体症状の緩和ケア】
呼吸困難への対応 前編【がん身体症状の緩和ケア】
特集
2023年10月31日
2023年10月31日

呼吸困難への対応 前編【がん身体症状の緩和ケア】

呼吸困難とは呼吸時の不快な感覚のことをいいます。ご本人が「息苦しい」と感じる主観的な症状であるため、呼吸不全の病態と一致しないことも少なくありません。今回は末期の肺がんを患う鈴木さんのケースを通して、呼吸困難への対応を見ていきましょう。 在宅療養を始めたばかりの鈴木さん 鈴木さんは62歳の肺がん末期の利用者さんです。専業主婦として過ごしてこられましたが、2年前に肺がんが判明。抗がん剤治療を行っていましたが、効果がなくなり、自宅で過ごすことを選択されました。鈴木さんは両肺に多発転移、右胸に胸水貯留があるという状態です。 訪問看護師であるあなたと初めて会ったとき、鈴木さんは笑顔でした。1L/分で酸素が流れている経鼻酸素カニューレを手放せない状態ではありましたが、特に痛みもなく、息苦しさもないとのこと。酸素飽和度95%と呼吸状態もある程度保たれていました。 鈴木さんはご主人と娘さんの三人暮らしで、家事はすべてご主人がやってくれています。居間に置かれた介護用ベッドで療養されており、ときどきさみしそうな表情を浮かべることがあり、あなたはそれが少し気になっていました。 呼吸困難の訴えがあり夜間に訪問 退院翌日の夜10時、あなたが持っていたステーションの緊急用携帯電話が鳴りました。鈴木さんのご主人からです。 ご主人: 妻が1時間ほど前から息が苦しいと言っています。酸素の量を3L/分まで上げてもいいと言われていたので、酸素を増やして、背中をさすっていたのですがよくなりません。このまま息が止まってしまうのではないかと不安になり、電話をしました。 あなたはすぐに訪問する旨を伝えて、自転車で鈴木さんのご自宅に向かいました。訪問に向かう間、あなたはいろいろなことを考えていました。酸素飽和度が極端に低下していたら…、酸素を増やしても苦しいのだから主治医にすぐ連絡するべきなのだろうか…、そんなときに自分は何ができるのだろうか…。薄曇りの初夏の夜のことでした。 訪問してみると、居間のベッドで鈴木さんが座り込んでいました。起座呼吸の言葉が頭をよぎります。かなり状態がよくないのではないかと思い、鈴木さんに声をかけて、症状を聞きながら酸素飽和度と血圧を測定しました。鈴木さんの息はかなりハアハアしています。 鈴木さん: 胸の奥が何か締め付けられるような感じで、空気がうまく入っていかないの。このままだともっと苦しくなるような気がして…。 鈴木さんの酸素飽和度は98%(酸素投与量 3L/分)、血圧120/68mmHg、脈拍98回/分、呼吸数22回/分と大きな異常はありません。 リラックスを促し症状を緩和 まずあなたは、窓を開けて居間に風を呼び込むことにしました。窓を開けると幸いさわやかな風が吹き込んできました。次にベッドを45度程度にギャッジアップしました。クッションを集め、つらくない姿勢をとりました。右を下にしたほうが、少し楽になるようでした。 鈴木さんのように胸水が片側にたまっている患者さんの場合、側臥位をとると楽になったり、呼吸状態がよくなったりします。どちらの向きにするかは、胸水や酸素の状態によって違ってきますので、患者さんご本人の反応やSpO2などをみて調整するとよいでしょう。よくいわれているのは胸水がたまっているほうを上にすることですが、胸水の量が多いと健側の肺が胸水によって圧排され、かえって呼吸困難が強まることもあるので注意が必要です。 ベッドの脇には友人からの退院祝いである百合の花が置かれていました。匂いがきついと感じたあなたは、その花を隣室に移し、匂いがこもらないようにしました。 10分ほど背中をさすっていると「だいぶ楽になってきたわ」と鈴木さんが話されました。呼吸数も13回/分ほどまで改善している様子です。さらに30分ほど背中をさすり、当面状態が悪化する可能性は少ないことをご主人と鈴木さんに説明し、鈴木さんのお宅を後にしました。 薬物療法ではモルヒネや抗不安薬を使用 翌日、申し送りでそのことをスタッフに説明すると、ベテラン訪問看護師の西水さんから声をかけられました。 西水さん: よく対応したわね。私でもあなたと同じように対応したと思うわよ。特にあなたが窓を開けて空気の流れをつくったことはすごくいい工夫だと思ったわ。海外では携帯用のファンを持たせるように患者に指示して、苦しくなったら口元にファンで風を送り込むように指示している先生もいるそうよ。 あなた: そうなんですか。百合の花の匂いが少しきついなと思ったので風を送るようにしたのですが…。何とか楽になってくれてよかったです。でも、夜中にまた呼ばれたらどうしようとあまり寝られませんでした。 西水さん: そうね、先生たちはこんなときのため頓服の薬を出してくれているから、それを服用させるのも一つの手よね。たいてい抗不安薬であることが多いわ。でも緩和ケアの先生たちはモルヒネやヒドロモルフォンの速放性製剤を出してくれることが多いのよ。 あなた: 患者さんにとって呼吸が苦しいというのは、不安というか、恐怖だと思います。なので、抗不安薬が処方されるのは分かるのですが、医療用麻薬が処方されるはなぜですか? 西水さん: 医療用麻薬のうちモルヒネとヒドロモルフォンは呼吸困難を改善させる効果があるとされているの。その機序ははっきりと分かっていない部分もあるのだけど、呼吸中枢に働いて呼吸数を減らすといわれているわ。呼吸数が減るとずいぶん楽になるのよ。 あなた: そうなんですね。勉強になりました。ところで、西水さん、実は鈴木さんのことで気になることがあるのです。初回訪問の時、鈴木さんが少しさみしそうな表情をされているように思ったんです。鈴木さんの娘さんが同居されているのですが、昨日、今日とお会いしなかったことも少し気がかりで…。 西水さん: あなたがそう思うなら、お二人に聞いてみるのはどうかしら。 あなた: わかりました、聞いてみます。 どこかさみしそうだった本当の理由 翌日の定期訪問では、鈴木さんは息苦しさも改善して穏やかに過ごされていました。体のチェックでも胸水はさほど増えていないと思われ、酸素の投与量を医師の指示で1L/分に減らしても、酸素飽和度は95%と大きな問題はなさそうです。 ご主人もいらっしゃったので、あなたは思い切って鈴木さんご夫婦に切り出しました。 あなた: 素敵なご夫婦ですね。これだけご主人がかいがいしくお世話をされるご夫婦はそう多くはありませんよ。 鈴木さん: ありがとう。でもそんなによくはないのよ。 あなた: 確か娘さんもご一緒でしたよね。あまりお見かけしないなと思って…。 鈴木さん: 娘は…。 そう言いかけて、鈴木さんは途中でだまってしまいました。 あなた: 話したくないことでしたら、無理にお答えいただかなくても結構ですよ。 鈴木さん: そんなことはないの。でも、少し娘のことを考えると申し訳なくて…。 あなた: よかったら聞かせていただけませんか。 鈴木さん: 娘は会社でプロジェクトのリーダーを任されているのよ。毎日遅くまで仕事して、疲れ果てて帰ってくるの。この1年ほどは食事もほとんど一緒にとっていないわ。そんな生活だから、私が退院するとき、娘はそのまま緩和ケア病棟に入るように強くすすめてきたの。家に帰ってこられても、自分には私を世話できないって。それは無理のないことだとも思ったわ。でも、私はどうしても家に帰りたかった。味気ない病院の天井を見ているのはもう限界だとも思ったの。幸い主人が帰ってもいいよと言ってくれたので、こうして帰ることができたのだけど。娘は気分が悪いらしく、帰ってもほとんど会ってくれないの。夜遅く帰った後に夫が声をかけても「疲れたから寝る」と言って、ほとんど口も聞いていないのよ。娘にとって私は迷惑なのかもしれないわね。きっと主人にとっても迷惑なのよね。この前のようなことがまたあれば、緩和ケア病棟に入ったほうがいいかもしれないわね。 あなた: そうだったんですか。でも、鈴木さんは家で過ごしたいんですよね。 鈴木さん: できればだけど…。 娘さんに手紙を書いてみることに あなたはその日はそのままステーションに帰りました。ステーションに帰ると管理者の望月さんと先輩の西水さんに相談しました。また、主治医の先生にも報告し、まずは訪問看護のほうから娘さんにアプローチすることにしました。 あなたはまず娘さんに手紙を書いてみることにしました。書き出しは悩みましたが、鈴木さんが娘さんに引け目を感じていること、不安やさみしい気持ちがあるように見えること、つらい症状は精神的な要因から生じている可能性があることを記載しました。そして、最後にステーションに電話をもらえるようにお願いをしてみました。 手紙を渡した翌日の午後、娘さんから電話がありました。 娘さん: お手紙、ありがとうございました。母のこと気遣っていただき、感謝しています。正直なところ仕事も忙しく、母が自宅に戻ってきたことで私に何ができるのか、すごくモヤモヤしていたのです。私は緩和ケア病棟に行くように強くすすめたのですが、今の両親を見ていると、自宅に戻るのも悪くないかなって思うようになって…。でも、あれだけ自宅に戻ることを反対した手前、母の前に行きづらくて。ほとんど話すことも見つからないのです。上司は事情を知っていて、私にしばらく介護休暇を取るようにすすめてくれるのですが、この仕事を放り出すわけにも行かず、悩んでいました。 あなた: そうだったんですね。娘さんもつらい思いをされていたのですね。もしよかったら、忙しいとは思うのですが、一度、主治医から鈴木さんの病状について説明を受けていただくお時間をつくっていただけないでしょうか。私たちも同席し、娘さんをどのように応援できるのか相談させていただければと思うのです。 娘さん: ありがとうございます。分かりました、時間をつくってみます。 あなたは、主治医と管理者に娘さんと話した内容を伝え、彼女と相談する時間をつくってもらうようお願いしました。そしてご主人にはきちんとこのことを伝えておくようにしました。 >>後編はこちら呼吸困難への対応 後編【がん身体症状の緩和ケア】 執筆:鈴木 央鈴木内科医院 院長●プロフィール1987年 昭和大学医学部卒業1999年 鈴木内科医院 副院長2015年 鈴木内科医院 院長 鈴木内科医院前院長 鈴木荘一が日本に紹介したホスピス・ケアの概念を引き継ぎ在宅ケアを行っている。 編集:株式会社照林社 【参考】〇日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会編.『進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン(2023年版)』金原出版,東京,2023.

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
特集
2023年10月18日
2023年10月18日

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、村田 実稔さん(ウィル訪問看護ステーション江東サテライト/東京都)の入賞エピソード「ちょっと早めの金婚式」をもとにした漫画の後編をお届けします。 ※記事内に記載している所属先は、2023年3月の受賞当時のものです。 「ちょっと早めの金婚式」前回までのあらすじ 訪問看護師 新人の村田さんは、所長の櫛野さんとともに尿管癌末期の利用者 山本さんの訪問を担当しています。余命宣告をされていますが、ご家族の意向で山本さんご本人には伝えていません。「妻に迷惑をかけたくない」と歩行リハビリをがんばる山本さんでしたが、病状は進行していき、あと少しの時間しか残されていませんでした。 〇訪問看護師 新人 村田さん〇所長 櫛野さん >>前編はこちら受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 ちょっと早めの金婚式<後編> 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:村田 実稔(むらた みのる)ウィル訪問看護ステーション江東サテライト(東京都)山本さん(仮名)は、私が初めて担当させていただいた末期がんの利用者さんです。このエピソードは私にとってとても印象深かったため、投稿させていただきました。素敵なお話なので、投稿時点から受賞するのではないかな、とも期待していました(笑)。最終的には金婚式を行い、ご本人も奥様も喜んでくださって、後悔が残らず本当によかったと思っています。ありがとうございました。 [no_toc]

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
特集
2023年10月17日
2023年10月17日

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、村田 実稔さん(ウィル訪問看護ステーション江東サテライト/東京都)の入賞エピソード「ちょっと早めの金婚式」の漫画をお届けします。 ※記事内に記載している所属先は、2023年3月の受賞当時のものです。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 ちょっと早めの金婚式<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:村田 実稔(むらた みのる)ウィル訪問看護ステーション江東サテライト(東京都) [no_toc]

受賞作品漫画「104歳の日常」
受賞作品漫画「104歳の日常」
特集
2023年10月4日
2023年10月4日

受賞作品漫画「104歳の日常<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、長尾 弥生さん(白川訪問看護ステーションこだま/岐阜県)の入賞エピソード「104歳の日常」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「104歳の日常」前回までのあらすじ白川訪問看護ステーションと同じ敷地内にある高齢者住宅に住む利用者の石井さん。御年104歳にも関わらず、シニアカーでおでかけしたり、自室でお料理をしたり、朝からお酒を飲んだりと、元気にマイペースに暮らしています。しかし、高齢で心不全もあるため、緊急呼び出しがあり「苦しい」「もう死ぬのかな」とおっしゃることも…。 >>前編はこちら受賞作品漫画「104歳の日常<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 104歳の日常<後編> 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:長尾 弥生(ながお やよい)白川訪問看護ステーションこだま(岐阜県)「私たちのステーションに、こんなに元気な104歳の方がいらっしゃいますよ」ということを皆さんに知っていただきたくて、このエピソードを投稿しました。私たちが看護しているというよりも、私たちのほうが石井さん(仮名)から毎回パワーをいただき、癒されています。以前から、石井さんのお話を漫画にしたいね、と同僚と話していたので、実際に漫画にしていただき、大変うれしく思っております。訪問看護について、中には「看取り」「長期間の闘病」など、つらくて暗いイメージをお持ちの方もいるかもしれません。でも、実際の訪問看護には、こんなにほっこりとした楽しい日常もたくさんあります。今回漫画にしていただいたことで、より多くの方に訪問看護の楽しさを知っていただけたら、とても嬉しいです。 [no_toc]

受賞作品漫画「104歳の日常」
受賞作品漫画「104歳の日常」
特集
2023年10月3日
2023年10月3日

受賞作品漫画「104歳の日常<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、長尾 弥生さん(白川訪問看護ステーションこだま/岐阜県)の入賞エピソード「104歳の日常」の漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 104歳の日常<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「104歳の日常<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:長尾 弥生(ながお やよい)白川訪問看護ステーションこだま(岐阜県) [no_toc]

漫画「爪切りを通して」
漫画「爪切りを通して」
特集
2023年9月13日
2023年9月13日

受賞作品漫画「爪切りを通して<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、古橋 笑生さん(ひだかK&F訪問看護ステーション/埼玉県)の入賞エピソード「爪切りを通して」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「爪切りを通して」前回までのあらすじなかなかお風呂の介助以外のサポートができず、利用者の田中さんとの間に高い壁を感じていた古橋さん。どうコミュニケーションをとるべきか、悩んでいました。ある日、田中さんの爪が伸びていることに気付き、「切りましょうか」と提案。すると、田中さんは「そんなことお願いできるの?」と言いながら、何かを取り出して…。 >>前編はこちら受賞作品漫画「爪切りを通して<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 爪切りを通して<後編> 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:古橋 笑生(ふるはし えみ)ひだかK&F訪問看護ステーション(埼玉県)まさか入賞するとは思っておらず、ご連絡いただいた際には本当に驚きました。ステーションの所長や同僚もみんな祝福してくれました。漫画化は少し恥ずかしい気持ちもありましたが、「またお会いしたい」と思っていた利用者さんが漫画の中にいらっしゃって、またお会いできたような気持ちになり、嬉しくて笑みが溢れました。本当にありがとうございました。 [no_toc]

漫画「爪切りを通して」
漫画「爪切りを通して」
特集
2023年9月12日
2023年9月12日

受賞作品漫画「爪切りを通して<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、古橋 笑生さん(ひだかK&F訪問看護ステーション/埼玉県)の入賞エピソード「爪切りを通して」の漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 爪切りを通して<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「爪切りを通して<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:古橋 笑生(ふるはし えみ)ひだかK&F訪問看護ステーション(埼玉県) [no_toc]

漫画「新任訪問看護師からの学び」
漫画「新任訪問看護師からの学び」
特集
2023年8月30日
2023年8月30日

受賞作品漫画「新任訪問看護師からの学び<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、佐藤 理恵さん(一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション/神奈川県)の入賞エピソード「新任訪問看護師からの学び」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「新任訪問看護師からの学び」前回までのあらすじ佐藤さんが働く訪問看護ステーションの看護師は、50代がメイン。そこに、貴重な30代の新任訪問看護師 三上さんが入職しました。糖尿病・フットケアが得意分野で、小さな子どもたちを抱えながらも意欲にあふれる三上さん。教育担当の佐藤さんは、自身の経験も踏まえながら、負担をかけすぎず、でもしっかりスキルを生かせるように…と検討していきました。 >>前編はこちら受賞作品漫画「新任訪問看護師からの学び<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 新任訪問看護師からの学び<後編> 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:佐藤 理恵(さとう りえ)一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション(神奈川県) 受賞のお知らせを聞いたときは「本当に?」と驚きましたが、漫画に登場する三上さんも、一緒に喜んでくれました。今回エピソードを投稿してみて、日々行っていることを言語化することは非常に大事なことだと思いましたし、言語化する過程で、「あのとき自分はどう考えたんだろう」と改めて振り返り、気づきを得る良い機会になりました。本当にありがとうございました。

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