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コラム
2021年1月20日
2021年1月20日

末期がん利用者の受け入れ時、3つのポイント 

  訪問看護の働く上で、いずれは受け持つことになる末期がんの利用者。病院から訪問看護に転職する理由に、「自宅での看取りに関わりたい」という方は多いのではないでしょうか?しかし、いざ受け持つとなると、どんな情報を収集して調整していけば良いか迷うことも多いと思います。今回は、末期がんの利用者の受け入れから退院するまでにやるべき3つのポイントをお伝えしたいと思います。   ①基本情報を収集する 新規依頼の電話相談を受ける際に事前に収集する項目をテンプレート化しておくと漏れなく確認することができます。診療情報提供書や看護サマリーを病院に依頼しても良いかと思います。具体的な確認項目としては、現病歴・既往歴、本人・家族へのIC状況、病識、ADL、使用薬剤、デバイス、KP/家族、介護保険の使用状況などが挙げられます。また、病院側には退院カンファレンスを依頼して退院前に利用者・家族と直接顔を合わすことも重要です。 ②利用者・家族が安心して家に帰れるように配慮する 末期がんの利用者やその家族は「本当に家に帰って大丈夫かな」「やっぱり最期は病院のほうが安心かな」など退院することに対して不安を抱えています。その点でも退院カンファレンスの開催を依頼し、退院するにあたって不安に感じていることを事前に把握して少しでも軽減できるようにアプローチすると良いかと思います。退院前に顔合わせして自宅でのサポート体制を知ってもらうことや緊急時対応も具体的に説明することで安心してもらえることが多いです。 ③多職種で目標の共有、サービスを調整する 基本情報を収集したら、退院後の生活をイメージします。現状で家に帰ったら何が困りそうか、その困りごとはどのようにサポートすれば解決もしくは軽減することができるだろうかを考えます。訪問看護としては、訪問頻度やケア内容、使える社会資源は何かを検討します。末期がんの方は亡くなる直前までADLが保たれている場合が多く、訪問診療の導入や介護保険の利用が後手に回るケースがあります。そのため起こりうる症状や状況を予測しながら早めに訪問診療やケアマネジャーを打診しておくことも必要です。その際に「どうして家に帰る選択をしたのか?」「今後どのように過ごしたいのか?」を多職種で共有することも重要です。 さいごに 私自身、がん末期の方と関わる中で本人・家族の葛藤と向き合いながら最期に向けて伴走できることが訪問看護の醍醐味だと思っています。退院支援は伴走のスタートラインなので、ここを丁寧に実践することが大切です。上記3つのポイントを意識して利用者・家族と信頼関係を築きながら介入してみてください。 藤井 達也地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。

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2021年1月20日
2021年1月20日

人工呼吸器を使用する利用者受け入れ時、3つのポイント

現在、病院から在宅に帰ってくる利用者の重症度は上がっており、今後も医療依存度の高い方を受け持つケースも増えていくと思われます。その中でも侵襲的人工呼吸器を装着しているケースは看護師にとっても心理的負担が大きく、抵抗感もあるのではないでしょうか?また、家族も退院するにあたって不安が大きい場合が多いです。今回は少しでも不安なく介入できるように3つのポイントをお伝えしたいと思います。   ①どんな設定になっているのかを理解し、機械操作にも慣れる 侵襲的人工呼吸器といってもモードによって設定項目、観察項目が違います。入院等で設定変更された場合や初回介入時には、まずどんな設定になっているのかを把握しましょう。ただ、機械自体を触ることにも抵抗感がある場合もあると思うので介入前にレンタル会社に勉強会の依頼をして、事業所スタッフみんなで事前に機械に触れてみること、観察ポイントに関してレクチャーを受けておくと心理的負担は軽減できるかと思います。   ②経過を追えるようにチェックシートを作る 観察項目(換気量、吸気圧、気道内圧、呼吸回数、SpO2など)を記録に残せるようにチェックシートを作成すると日々の訪問の経時記録として残せます。通常時の記録を取っておくことで異常に気づきやすく、早期の対処につながります。また、回路交換や主電源の確認など定期的に確認が必要な項目もシート内に入れておくと漏れなく観察できるかと思います。   ③緊急時対応に関して事前に家族に指導する カニューレの事故抜去や停電などは看護師不在のときに起こりうるリスクがあります。その際に医師や看護師が自宅に到着するまでには時間がかかるため、カニューレ再挿入の手技、バックアップ電源へのつなぎ変え、蘇生バックの使用などは事前に家族に指導することやシミュレーションを実施すると良いでしょう。病院で指導を受けていても自宅環境で再度実施することが大切です。また、シミュレーションを実施することで看護師自身も訪問時にトラブルが起きたときに焦らず対応ができると思います。   さいごに 人工呼吸器もさまざまな機種や機能があって複雑化しています。しかし、基本的な知識と異常時の対応は共通しています。私自身もはじめは人工呼吸器に心理的抵抗感がありましたが、今では呼吸アセスメントする上での味方だと思っています。まずは触れてみること、数値からアセスメントしてみることから少しずつ慣れていってもらえればと思います。最後に私自身が人工呼吸器に関して参考にしている本を1冊紹介します。人工呼吸に活かす! 呼吸生理がわかる、好きになる~臨床現場でのモヤモヤも解決!(著:田中竜馬)呼吸のメカニズムから人工呼吸器の基本的な知識まで網羅しながら分かりやすく解説が載っているので、基礎的な知識を身に付けるにはオススメです。   藤井 達也地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。

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