流行性角結膜炎(はやり目)とは?症状・原因・予防・治療法を解説

流行性角結膜炎(はやり目)は感染力が強い結膜炎で、医療・介護の現場では特に注意が必要な疾患です。訪問看護の現場では、利用者さんやご家族の間で感染が広がることを防ぐため、早期発見と適切な対応が求められます。
本記事では、流行性角結膜炎の症状や原因、予防策、治療法について解説します。利用者さんのアセスメントやケアに役立ててください。
目次
流行性角結膜炎とは
流行性角結膜炎(Epidemic keratoconjunctivitis:EKC)は、感染力の強い結膜炎の一種で、「はやり目」とも呼ばれます。発症までの潜伏期間は8~14日と比較的長く、突然症状が現れることが特徴です。
主な症状は、まぶたの腫れ(眼瞼浮腫)や涙が多く出る(流涙)などで、強い充血を伴います。通常、片目から始まることが多いですが、感染力が非常に強いため、短期間で両目に広がることがよくあります。
特徴的な症状は、耳の前にあるリンパ節(耳前リンパ節)の腫れです。ほかの種類の結膜炎ではあまりみられないため、診断の際の手がかりとなります。また、角膜にも炎症が及び、透明度が低下して混濁が生じることがあります。数年間続くこともあり、視力に影響を与える可能性があるため、早期の対処が重要です。
流行性角結膜炎の原因
流行性角結膜炎の原因は、アデノウイルスの感染です。アデノウイルスは非常に多くの種類があり、51の血清型と52~67型の遺伝的型が確認されています。
その中でも、流行性角結膜炎の発症に関与するのは下記のとおりです。
- D種:8型、19型、37型、53型、54型、56型
- B群:3型、7型、11型
- E群:4型
特にD種の8型、19型、37型、53型、54型および56型が流行性角結膜炎の原因になると考えられています。
流行性角結膜炎の予防方法
流行性角結膜炎は、主に接触感染で、涙や目やに(眼脂)が付着したタオルやティッシュペーパー、洗面器、枕カバーなどを介して感染します。
感染を防ぐには手洗いを徹底することが基本です。特に、目をこすったり、目薬をさしたりした後は、石鹸を使って丁寧に手を洗い、清潔なタオルやペーパータオルで拭きましょう。また、使用したティッシュペーパーや目薬をさした後のゴミは、ウイルスの拡散を防ぐために、密閉できるビニール袋に入れて廃棄します。涙や目やにが付着しやすい枕カバーやタオルはこまめに洗濯しましょう。
ドアノブやパソコンのキーボード、眼鏡、机、椅子など、手が頻繁に触れる場所は、ウイルスが付着しやすいため、塩素系漂白剤でこまめに消毒することが望ましいでしょう。
流行性角結膜炎にかかりやすい年齢
流行性角結膜炎は、幅広い年齢層で発症する感染症ですが、特に1~5歳の小児に多くみられます。小児がかかりやすい理由として、免疫機能が十分に発達していない、日常的に手で目をこすりやすい、集団生活の中で感染しやすい環境にあるなどが挙げられます。
また、流行性角結膜炎は大人にもみられる疾患です。家族内や職場での感染が多く、医療従事者や介護職員、教育関係者など、多くの人と接する機会がある職種の方は、特に注意が必要です。
流行性角結膜炎の治療法
現在(2025年時点)、アデノウイルスに効果がある抗ウイルス薬は存在しません。流行性角結膜炎は、発症から2週間ほどでウイルスに対する抗体が体内で作られ、自然に回復していくため、治療の目的は炎症を抑えながら症状を和らげることです。
炎症を抑えるために、抗炎症成分を含む点眼薬を使用します。また、角膜に炎症や混濁が生じている場合はステロイドの点眼薬を使用します。細菌感染も伴っている可能性がある場合には、抗菌剤の点眼薬を併用することがあります。
流行性角結膜炎で医療機関を受診する目安
流行性角結膜炎は感染力が非常に強いため、症状が現れた際には早めに医療機関を受診しましょう。また、流行性角結膜炎は、感染症法における第3種感染症に分類されており、医師から「感染の恐れがない」と認められるまで登校や出勤を控えなければなりません。
流行性角結膜炎と似た病気
流行性角結膜炎と症状がよく似た病気はいくつか存在し、鑑別が必要です。流行性角結膜炎と混同されやすい代表的な病気として、プール熱と急性出血性結膜炎があります。
プール熱
プール熱は正しくは咽頭結膜熱といい、アデノウイルス(主に3型、そのほか2型,4型、7型など)の感染によって引き起こされる疾患です。
潜伏期間は5~7日程度で、発熱、のどの痛みや腫れ、目の充血や目やにの増加などの症状が現れます。流行性角結膜炎と同じく、リンパ節の腫れがみられる場合があります。そのほか、腹痛や下痢などの消化器症状を伴うこともあるなど、流行性角結膜炎と症状が少し異なります。通常、症状は1~2週間ほどで自然に治まりますが、まれに肺炎を合併し、重症化するケースも報告されています。
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急性出血性結膜炎
急性出血性結膜炎は、エンテロウイルス70(EV70)やコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)によって引き起こされる結膜炎です。
突然の強い目の痛みや異物感、光がまぶしく感じるなどの症状から始まります。その後、結膜の充血が現れ、特に結膜下出血が顕著にみられます。また、まぶたの腫れや目やに、結膜の濾胞形成、角膜表層のびまん性混濁といった症状も伴うことがあります。
さらに、全身症状として頭痛や発熱、呼吸器症状がみられることがあり、単なる目の病気ではなく、全身に影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。
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流行性角結膜炎は、アデノウイルスによる強い感染力を持つ疾患で、適切な感染対策を講じることが重要です。特に訪問看護の現場では、利用者さんだけでなくそのご家族やスタッフ間での感染拡大を防ぐため、標準予防策の徹底が求められます。利用者さんの状態を的確に見極め、医療機関につなげるとともに、日頃からの衛生管理と適切な対応を心がけましょう。
| 編集・執筆:加藤 良大 監修:内野 美樹 ![]() ケイシン五反田アイクリニック院長・慶應義塾医学部眼科学特任講師 2001 年山梨医科大学卒業、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局 2012 年慶應医学博士号取得、ハーバード大学医学部スケベンス眼研究所留学 2015 年ハーバード大学公衆衛生大学院にて修士号取得 2016 年慶應義塾大学医学部特任講師、2020 年ケイシン五反田アイクリニック院長 現在は公衆衛生学の視点より予防医学に重点を置いたアイケアグッズを多く監修しており、数多くのメディアで活躍中である。 |
【参考】
〇国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「流行性角結膜炎」(2014年04月01日)
https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/epidemic-keratoconjunctivitis/index.html
2025/9/14閲覧
〇国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「急性出血性結膜炎」(2012年7月)
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ka/ahc/010/ahc-intro.html
2025/9/14閲覧
