採用に関する記事

インタビュー
2021年1月21日
2021年1月21日

なぜ、若手の看護師が集まり定着するのか?

WyL(ウィル)株式会社の岩本さんは、訪問看護業界に多くのファンを持つ若手の経営者です。 ベテラン中心のステーションが多い中で、ウィルでは若手看護師がステーションを支えているそうです。 「やる気があるならためらわずに、若手からでも訪問看護はやるべき」を裏付ける採用、教育方針とはどんなものでしょうか。 スタッフの構成 岩本: 私たちの利用者さんは医療依存度が高い方が多いため、24時間365日営業を基本としています。病院では、看護師は夜勤がつきものですが、夜勤の主戦力となっているのは基本的に20代~30代の看護師です。 訪問看護も同様で、家庭のある40代~50代の先輩看護師を中心としたチームでは、どうしても夜間や土日にスタッフ全員が都合つかないケースが発生します。若手を中心にチームを組みますが、もちろんチーム内にはベテランの先輩看護師も必要です。チームとしてのバランスを最も重視していますね。 ―「チームとしてのバランス」とは? 岩本: 色々な病棟を経験した方は、幅広い疾患を持つ利用者さんに対して網羅的に対応できる、ジェネラリストである場合が多いと思います。ただし、私はいつも「本当にすべてをこなせるジェネラリストって存在するのだろうか」と疑問に思います。 すべての病棟を経験した看護師はおそらくいなくて、そうなるといくつかの病棟を経験しつつも、やはり経験してきたことには偏りがある。偏りがあるからこそ、色々な経歴を持った看護師が集まることで、組み合わせでチームが強くなると私たちは考えています。 30代前半ぐらいまでの若手、中堅の看護師が訪問看護に来るのはやはり勇気がいることですが、実際に現場に出ている先輩方に聞けば、「やる気があるならためらわずにやるべき」という声の方が多いです。 ー若手の看護師さんをどのように採用されているんですか? 岩本: 採用に関しては、「ウィル」というブランドの形成だけでなく、ウェブ上の露出、ファンの形成、そのファンとコンタクトをとった後の行動に至る部分まで、細かに設計しています。 これらをグループ全体で活用していくことで、他の地域でもホームページから見学者が来て、その見学者が働きたいと思えるような採用支援を行っています。 若手訪問看護師の教育制度 岩本: 訪問看護に初めて従事する看護師がほとんどなので、導入として ・訪問看護がどのように行われるのか ・どう考えていくべきなのか ・私たちが提供する看護にはどういう価値があるのか について、きちんと理解してもらいます。 学習期間としては3ヶ月から半年ぐらいを最初のステップとして、標準的な学習の期間としています。ただし、私たちは沖縄、福岡、一関など地方にも拠点があるため、新人が入った時に1か所に新人を集めて研修をすることは難しいです。 そのため、学習はすべて学研メディカルさんと一緒に開発したEラーニングで標準的な学習ができる体制を組んでいます。このEラーニングですべての理解や実践、心構えができるのかというと、そういうではありません。インプットした学習は、「頭の片隅にまず引き出しを作る」くらいのものだと考えています。 基本的に臨床における看護教育の中心はOJTなので、OJTを細かく分類→整理→言語化して実践しています。 (OJT:On-the-Job Training、現場教育のこと) ―どのようにOJTを実践されているんですか? 岩本: 訪問看護のOJTでは同行訪問が基本ですが、実はこの同行訪問について言及している教育プログラムは多くありません。私たちはこの同行訪問についても、5つのステップに分けて考えています。 ステップ1:ケアの見学 ステップ2:先輩の真似をして一部やってみる ステップ3:そのケアについて一通り自分でやってみる ステップ4:ケアマネジャーや医師への報告連絡相談を実施する ステップ5:長期的な予測のもと、この数週間過ごせるかという看護過程を頭の中で回してみる ステップ5まで1人でできて、初めて単独で訪問ができるのではないかと考え、このOJTの5ステップを自立へのステップとしています。ですので、皆さんがやっていることと基本的には変わりはないですが、私たちなりに細かく分類→整理→言語化をしています。 新人に合わせて上手くアレンジをすることで、どのステーションでも標準的なステップが踏めるよう、再現性のある制度にしています。 WyL株式会社 代表取締役 / ウィル訪問看護ステーション江戸川 所長 / 看護師・保健師・在宅看護専門看護師 岩本大希 ドラマ『ナースマン』に影響を受け、「最も患者さんに近い存在」として医療に関わりたいと思い、看護師になることを決意。2016年4月にWyL株式会社を創立し、直営で2店舗、関連会社でフランチャイズ4店舗を運営。(2020年12月現在)「全ての人に“家に帰る”選択肢を」を理念に掲げ、小児、精神、神経難病、困難な社会的な背景があるなど、在宅療養の中でも受け皿の少ない利用者を中心に訪問看護事業を展開している。 インタビューをした人 シニアライフデザイン 堀内裕子 桜美林大学大学院老年学研究科博士前期課程修了。「ジェロントロジスト」のコンサルタント・マーケッターとして、シニア案件に数多く参画。日本応用老年学会常任理事、日本市民安全学会常任理事を務め、リサーチ・コンサルティングとして、大手不動産企業新規商業施設戦略/大手GMSのシニア向け売り場企画/大手百貨店の高齢者向けサービス・婦人服企画等を多数行う。活動にはNHK 総合 「首都圏情報ネタドリ!」出演、「新シニア市場攻略のカギはモラトリアムおじさんだ!」(ダイヤモンド社)編著他、企業・自治体での講演多数。 採用と定着についてもっと知りたい方は、こちらの特集記事をご覧ください。

特集
2021年1月20日
2021年1月20日

採用のポイントと定着の秘訣

訪問看護業界の課題として、人材不足が挙げられます。 看護職員の既卒採用者の6人に1人は、再就職後、採用年度内に退職していると言われています。 せっかく採用したけれど、すぐ退職されてしまったという経験がある訪問看護ステーションも、少なくないのではないでしょうか。 採用面接の時点で見極めや、入職後の適切なフォロー体制が求められています。 ほかの訪問看護ステーションでは、採用の際にどんなポイントを見ており、スタッフ定着に対してどんな工夫を行っているのでしょうか?特集にまとめました。 人材紹介に頼らない採用戦略 セントケア ・グループでは全国に100ヵ所近い訪問看護ステーションを展開しています。 現在は人材紹介会社はできるだけ利用せず、ホームページ、各種SNS、社員紹介制度にて採用活動をされています。ターゲット層に応じた方法で情報発信をすることで、採用に結びついているようです。 「自社アピールを前面に出しすぎるのは良くないかと思っていたのですが、ダイレクトに伝えないとわからない部分もある」と訪問看護部門の統括部長、藤原さんは採用活動について語ります。 具体的な採用施策や、ご自身が入職に至った経緯を伺いました。詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。 異業種参入 第一の壁:採用(セントケア・ホールディング株式会社 藤原祐子) 採用の時点で見極めを 精神科特化型の訪問看護ステーションみのりでは、組織の中でも自分の役割を見つけ、主体的に動ける人を採用しています。 手厚い福利厚生や、統括部長の小瀬古さんの執筆された本の影響もあり、求人への問い合わせは多いそうです。そのため、電話での一次面接、同行訪問、対面面接と、入職前にいくつか段階を設けてじっくりとマッチングをしています。 訪問看護ステーションとして入職者に求めていることをあらかじめ伝えることで、ミスマッチを少なくしています。みのりでは、どんな人を採用しているのでしょうか?厳しく、優しく、人と向き合う採用についてを伺いました。詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。 向き合い、選ぶ採用(訪問看護ステーションみのり 進あすか、訪問看護ステーションみのり奈良 小瀬古信幸) ファンを獲得し多様な看護師を採用 東京都江戸川区を中心に全国に展開するWyL(ウィル)訪問看護ステーションでは、多様なバックグラウンドを持ったスタッフの採用をしています。 「『本当にすべてをこなせるジェネラリストって存在するのだろうか』と疑問に思います」と代表取締役の岩本さんは語ります。 多くの病棟を経験したとしても、全てができる看護師というのはほとんどおらず、経験や強みは人それぞれです。だからこそ、多様な経歴のスタッフを採用し、お互いの経験を活かしながらチームを強化していけるのです。 また「ウィル」というブランド形成やメディア露出などを綿密な設計の上で行い、ファンを獲得し、仲間を増やしているそうです。詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。 なぜ、若手の看護師が集まり、定着するのか?(WyL訪問看護ステーション 岩本大希) どんなステーションにするため、どんな人材を求め、どんな採用戦略を取るのか。改めて考えると、ステーションの色がより浮き出てくるかもしれません。 転職者のリアルな声をもっと聞きいてみたいという方は、訪問看護に飛び込みたい看護師を応援するホームケアラインのホームページをぜひご覧ください。 参考:公益社団法人日本看護協会広報部 2020年3月30日ニュースリリース

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