スタッフ支援に関する記事

安心感をどう作るか⑦ 人が辞めない事業所の雰囲気づくり
安心感をどう作るか⑦ 人が辞めない事業所の雰囲気づくり
特集
2022年11月15日
2022年11月15日

安心感をどう作るか⑦ 人が辞めない事業所の雰囲気づくり

最初の発生から2年が過ぎても、いまだ終息の見えない新型コロナ。感染防止対策だけではなく、目には見えないスタッフの不安やメンタルヘルスへの対応もステーションの管理者には要求されます。ベテラン管理者のみなさんに、今必要とされるスタッフマネジメントについて語っていただきます。今回は、医療法人ハートフリーやすらぎの大橋奈美さんです。 お話大橋奈美医療法人ハートフリーやすらぎ 常務理事・統括管理責任者(訪問看護認定看護師) 職員を最優先に 私たちの医療法人には、24時間支援診療所、訪問看護ステーション(機能強化型Ⅰ)、居宅介護支援事業所、ナーシングデイがあります。そのなかで、私は、職員の安心と幸せを最優先にした姿勢を貫いています。極端な言いかたを許してもらえば、「利用者さんよりも職員を大切にする」という姿勢です。 大切にされている職員だからこそ、利用者さんやご家族を大切にすることができます。 退職率は低いが、若い職員も多い 常勤看護師は、現在21名です。コロナ禍での看護師の退職の増加が話題になりましたが、辞める人が少ないのが私たちのステーションの特徴です。一方で、看護師の平均年齢は30代前半と比較的若いのも特徴です。毎年新人の応募者が殺到し、採用試験は3次まで行っています。 なぜ、職員が辞めずに新人の応募も多いのか、思い当たる理由を九つ挙げていきます。 ①事業所内で雑談が多い 当ステーションで飛び交う話は、仕事の話よりも雑談のほうが多いかもしれません。ほかのステーションの管理者さんと話をすると、雑談が少ないところほど、辞める人が多い傾向がある感じがします。たとえば、トイレで一緒になった職員にはこんな声を掛けます。 「その髪、あの女優さんみたいで、かわいいなあ」「言いすぎでしょう?」「ははは、褒めすぎたわ」 そんな雑談の積み重ねが、「悩み相談」をしやすい柔らかな雰囲気を生み出します。 ②利用者宅でも柔らかな雰囲気を継続 冗談が飛び交う柔らかな雰囲気は、訪問の際、利用者さんにも伝わります。たとえば、新人と先輩が一緒に訪問したとします。 「わしもなあ、どの道その道、あの世に行く道や。この子にわしの血管に打たしてやって、この子が点滴を上手になるのがわしの役割や」 利用者さんも新人を育ててくれるのです。 ③「ありがとう」と何度も言う 職員に対し、感謝の気持ちを一日に100回以上伝えていると思います。ステーションが運営できるのは、職員の働きがあるからです。その感謝の気持ちを「あいうえお」の言葉で表します。すなわち、「ありがとう、いいね、うれしかったわ、ええやん、おおきに」です。 ④褒めるだけの職員面接 年に2回、人事考課の面接があります。そこでは、その職員がやって来たことを具体的に褒め、注意に類することは一切言いません。 注意に関しては、当ステーションの管理職や先輩たちが、現場でそのつど行います。 「褒める」ことは、「認める」ことでもあります。管理職を私が認めれば、管理職は自然に部下を認めます。 ⑤自分で目標を考えてもらう 人事考課の面接で私が心がけていることは、自分で目標を立ててもらうことです。 「自分の弱みは何だと思う?」「ターミナルケアで、家族にいろいろ言われると、何もできなくなることです」「どないしたらええのやろ?」「何かをしようとするよりも先に、家族の話にもっと耳を傾けるように努力します」 自分の考えた目標だからこそ責任を持てるのだと思います。次のような言い方に比べてモチベーションがあがるのは確実です。 「あんたってなあ、ターミナルケアで、家族に高圧的に言われたら、何もできへんよなあ」 ⑥好き嫌いを認める 利用者さんだって、合う看護師と合わない看護師がいるように、看護師だって、相性の悪い利用者さんがいます。私は、それを認めています。苦手や弱みを克服するよりも、得意や強みを伸ばすほうが、のびのびと働けます。 ⑦毅然とした姿勢を示す瞬間も 職員に感謝する一方で、毅然と姿勢を示す瞬間もあります。「ニコニコ笑顔」が当ステーションの文化であり、苦虫をつぶしたような顔をしている職員には、「どんなことが家であったのか知らんけど、そんな表情ゆるさへん」などと、すぐに注意を飛ばします。 ⑧一人では何もできないと自覚する 本音で語り合え、思いを共有できる仲間を一人確保するところからステーションづくりを始めました。その後、何があっても揺るがない仲間が、三人、四人と増えていきました。 ⑨できる方法を考える できない言い訳よりも、できる方法を考えるよう徹底しています。たとえば、新型コロナに感染した利用者さん宅に「訪問したい」という職員がいました。こちらが、「行くな」と止めても、「助けたい」と職員は言います。これ以上止めたら、モチベーションが下がります。そこで私は、次のように言いました。 「よっしゃ、わかった、行きたいんやな。じゃあ、安全に訪問できる方法を考えようや」 * 利用者さんを助けたいと申し出る職員たちを、私は誇りに思っています。そんな職員を守り、大切にするのが私たち管理者の役目です。 ー第9回に続く 記事編集:株式会社メディカ出版

ケースメソッドで考える悩ましい管理者業務への処方箋
ケースメソッドで考える悩ましい管理者業務への処方箋
特集
2022年11月8日
2022年11月8日

CASE2利用者からのハラスメントへの対応_その1:何を考える必要があるか

管理者として課題に直面したとき、自分以外の管理者がどう判断するかを知りたくなることはありませんか? この連載は、参加者どうしで考えをシェアしあう研修手法である、ケースメソッド注1セミナーの形式に沿って、訪問看護管理者が直面する課題を考えていきます。第4回は、カスタマーハラスメントへの対応時にどんな検討が必要かを考えていきます。 はじめに 今回から3回にわたり、利用者からのハラスメントの事例をテーマに考えます。 みなさんのなかにも、ハラスメントへの対応に悩まれたり、苦い経験をしたりしている人が少なからずいると思います。また痛ましい事件のことを思い浮かべた人もいらっしゃるでしょう。そのことを思い出して、苦しくなったり、嫌な気持ちになったりするかもしれません。 しかし、今後そのようなカスタマーハラスメントの場面に遭遇したとき、管理者としてよりよいアクションをとれるように、学ぶことに価値があると考えています。みなさんも、「自分だったらどうするだろう」と考えながら読んでいただければと思います。 ケースと設問 CASE2 スタッフから、利用者によるハラスメントの相談を受けたとき スタッフナース田中さんから「利用者Hさんの訪問を外してほしい」と相談を受けた。利用者Hさんには脳梗塞後麻痺と心不全があり、入浴介助を行なっていた。Hさんはニコニコと穏やかな性格だったが、介助時に「裸になって一緒に入ろう」などとセクハラ発言をされるのが不快という理由だった。Hさんは一人暮らしで、以前利用していた訪問看護ステーションでも同様の言動がみられ、さらに、キーパーソンの娘が「厳格で真面目な父がそんなことをするはずがない」と主張し、その訪問看護ステーションでトラブルになっていた。そんな経緯での当ステーションへの依頼だったため、依頼を受けることにはスタッフナースたちから反対の声が大きかった。よく依頼をくれるケアマネジャーからの依頼で、しかも直近は当ステーションの売上が低迷しているために、依頼を受けることにしたのだ。管理者としてどう対応したらよいだろうか? 設問もしあなたがこの管理者であれば、Hさんのような利用者への対応はどのようにすべきだと考えますか。ご自身の経験から考えたアイデアをみなさんにシェアしてください。 田中さんからの相談を受けたとき、配慮すべきことは何か 講師今回は、ハラスメントの言動がある利用者のケースです。みなさんがこの管理者であれば、どのような対応をしていきますか? Aさん注2田中さんから「Hさんの訪問は外してほしい」と言われているので、田中さんの心理的なケアがいちばんに必要だと思います。そしてその後の対応策となると難しいですね。田中さん以外のスタッフに訪問に行ってもらっても、同じことが起こると予想されます。 Bさん田中さんに「我慢してHさんに訪問してよ」と言ったら、それこそ管理者のパワハラです。Hさんには脳梗塞の既往歴があり、セクハラ発言は高次脳機能障害によるものかもしれません。主治医にも相談が必要です。 Cさん主治医に相談もですけど、まずはHさんにセクハラ発言についての事実を確認します。そして、ケアマネや主治医らとHさんへのケアの方針を相談します。 Dさん今までの発言にまだ出てきていませんが、娘さんとコンタクトをとる必要があります。あとはステーション内でHさんについての情報共有をするミーティングが必要だと思います。 「田中さんからの相談を受けたとき、配慮すべきことは何か」の小括 利用者によるハラスメントの相談を受けたケースを題材に、まず、管理者として何を考えなければならないかを話しあいました。 ●田中さんへの心理的なケアがいちばんに必要。訪問に行くスタッフを替えるだけじゃダメ。●既往歴を考えると、Hさんの言動に影響している可能性があるので、主治医に相談する。●事実確認の上で、主治医だけではなくケアマネも含めて、今後のケア方針を相談する。●キーパーソンとコンタクトをとる必要がある。●ステーション内でミーティングし、情報共有する。 田中さんへのケアと、事実確認、そして問題解決に向けて多くの人たちと協力して事を進めていかなくてはならないことが見えてきました。 次回は、「問題の解決に向けて管理者としてどのような行動をすべきなのか」を考えていきます。 ー第5回に続く 注1ケースメソッドとは、架空事例(ケース)について、参加者それぞれの考えをシェアしあうことで、学びを得ていく授業形式です。ケースの教材には、訪問看護管理者が問題に直面している状況が、物語風に構成されています。参加者は、ケースの教材を予習し、自分がこのケースの主人公ならどうするかを事前に考えた状態で、授業に参加します。ケースメソッドの授業では、講師のリードのもと、参加者どうしでアイデアをシェアしながら議論をすることによって学びます。参加者の発言が何よりも学びを豊かにする鍵となります。 注2 発言者はA・B・C・Dとしていますが、常に同一の人物ではありません。別人であっても便宜上そのように表記しています。 執筆鶴ケ谷理子合同会社manabico代表慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。看護師、保健師、MBA。大学病院(精神科)、訪問看護、事業会社での人事を経験後、株式会社やさしい手看護部長として訪問看護事業の拡大に寄与。看護師250人超の面談を実施し、看護師採用・看護師研修などのしくみづくりをする。看護師が働きやすい職場環境作りの支援を目指し合同会社manabicoを立ち上げる。【合同会社manabico HP】https://manabico.com 記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2022年10月11日
2022年10月11日

CASE1スタッフナースが利用者に過度に感情移入している心配があるとき_その3:どのように面談を行うか?

管理者として課題に直面したとき、自分以外の管理者がどう判断するかを知りたくなることはありませんか? この連載は、参加者どうしで考えをシェアしあう研修手法である、ケースメソッド注1セミナーの形式に沿って、訪問看護管理者が直面する課題を考えていきます。第3回は、CASE1「スタッフナースが利用者に過度に感情移入している心配があるとき」の議論のまとめです。 はじめに 前回は、終末期の利用者に過度な感情移入をしているように見える佐藤さんを支援するために、具体的にどのような介入が必要か、A・B・C・Dさんそれぞれの考えを出しあいました。今回は、佐藤さんとの面談を行う際の注意点について話しあいます。 議論の題材となっているケースと設問は以下のとおりです。 ケースと設問 CASE1 スタッフナースが利用者に過度に感情移入している心配があるとき スタッフナースの佐藤さんについて、「担当利用者に感情移入しすぎなのではないか?」と別のスタッフナースから相談があった。どうやら寝ても覚めても利用者のことを考えているらしい。佐藤さんは、在宅看取りの看護に携わることを希望して、病院から訪問看護に転職してきた背景がある。終末期の利用者を担当するのは2回目、今回は主担当として任されている。そのためか思いが強くなりすぎているように見える佐藤さんに対して、管理者としてどのような支援ができるだろうか? 設問あなたがこの管理者であれば、佐藤さんのようなスタッフへの支援はどのようにすべきと考えますか。ご自身の経験から考えたアイデアをみなさんにシェアしてください。 面談の目的を佐藤さんの育成にフォーカスする 講師ここまでのみなさんの意見から、面談の目的を「佐藤さんの育成」と設定したいと思います。そうすると、面談はどのように進めるべきだと考えますか? Aさん注2まずは佐藤さんに話をしてもらわないといけないので、利用者の状況を聞いて、その時に佐藤さん自身はどういう気持ちになったのかを話してもらいます。いろいろ聞きたいのはグッとこらえます。 Bさん話してもらうことは大切ですけど、やはり、確認すべきことや言うべきことはちゃんとしたいです。なかなか言いにくいこともあったりするのですが、管理者としてステーション全体のことも考える必要があると思います。 Cさん言うべきことはちゃんと言ったうえで、佐藤さんとしてはこれからどうしたいか? 管理者からどういう支援があれば助かるか?を話したいです。 Dさんそうなんですよね、佐藤さんの状況や気持ちを確認して、その上で、「次の訪問はどうしようか」という話ができるのがいちばんよいと思います。 講師Aさんから「グッとこらえる」と発言がありましたが、表情を見ると、ほかのみなさんも同意されているようです。一方みなさんの言われるように、スタッフにとって耳に痛いことも管理者としてしっかり言わないといけない。スタッフの振る舞いは、ステーション全体の評判につながります。そして、面談の終わりには、「今後に向けてどうするのか」が必ず確認したいことですね。 訪問看護師を育成する手法「1on1」 講師では、これまでの議論を受けて、CASE1のまとめです。 今回は、「終末期の利用者に対して過度な感情移入をしているように見える佐藤さん」のケースを通して、管理者がスタッフを育成する手法としての1on1について考えました。 スタッフの置かれている状況や、スタッフの持つスキルなどによって、支援の内容は変わりますが、基本的に1on1の目的は、スタッフの抱える問題を解決することです。今回のケースでいえば、決して佐藤さんを評価することではありません。1on1は、スタッフの抱える問題解決と、それに向けたスタッフの成長のために行うものです。これを念頭に置き、経営者・管理者の方は、次の3つのステップを毎回行うことを意識してください。 信頼関係を構築する → 学びを深化させる → 次の行動の決定をうながす 佐藤さんが自身の問題を解決することは、そのステーションの問題を解決することでもあります。「1on1はスタッフのための時間」を意識してください。これが難しいんですけどね。あれこれ言いたくなってしまいますよね(笑)。 Aさん面談って、あれこれ問い詰めてしまったり、「こうしなさい」と指導してしまったりすることが多くて。「育成を目的とした1on1はスタッフのための時間」と意識するといいんですね。 講師そうですね、「スタッフである訪問看護師の成長のプロセスを支援する」という立場に管理者が立つことが大切です。ある企業のマネジャーさんは、1on1ではストップウォッチを持って「今日はまず5分間は話を聞くぞ」とされているそうです。1on1の原則である、3つのステップを意識して、いろいろ工夫しながら進めてみてください。 * 次回は、CASE2「利用者からのハラスメントにどう対応するか?」を考えます。 注1ケースメソッドとは、架空事例(ケース)について、参加者それぞれの考えをシェアしあうことで、学びを得ていく授業形式です。ケースの教材には、訪問看護管理者が問題に直面している状況が、物語風に構成されています。参加者は、ケースの教材を予習し、自分がこのケースの主人公ならどうするかを事前に考えた状態で、授業に参加します。ケースメソッドの授業では、講師のリードのもと、参加者どうしでアイデアをシェアしながら議論をすることによって学びます。これは講義形式のセミナーとはずいぶん違ったものです。参加者の発言が何よりもセミナーを豊かにする鍵となります。 注2発言者はA・B・C・Dとしていますが、常に同一の人物ではありません。別人であっても便宜上そのように表記しています。 執筆鶴ケ谷理子合同会社manabico代表慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。看護師、保健師、MBA。大学病院(精神科)、訪問看護、事業会社での人事を経験後、株式会社やさしい手看護部長として訪問看護事業の拡大に寄与。看護師250人超の面談を実施し、看護師採用・看護師研修などのしくみづくりをする。看護師が働きやすい職場環境作りの支援を目指し合同会社manabicoを立ち上げる。【合同会社manabico HP】https://manabico.com記事編集:株式会社メディカ出版 【参考】〇本間浩輔.『ヤフーの1on1:部下を成長させるコミュニケーションの技法』東京,ダイヤモンド社,2017,244p.〇松尾睦.『職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門』東京,ダイヤモンド社,2011,224p.〇松尾睦.『「経験学習」ケーススタディ』東京,ダイヤモンド社,2015,200p.

特集
2022年9月6日
2022年9月6日

CASE1スタッフナースが利用者に過度に感情移入している心配があるとき_その2:管理者としてどう支援できるか?

管理者として課題に直面したとき、自分以外の管理者がどう判断するかを知りたくなることはありませんか? この連載は、参加者どうしで考えをシェアしあう研修手法である、ケースメソッド注1セミナーの形式に沿って、訪問看護管理者が直面する課題を考えていきます。第2回も前回に引き続き、利用者に感情移入しすぎているように見えるスタッフナースのケースです。今回は管理者として何ができるかを考えます。 はじめに 前回は、終末期の利用者さんに過度な感情移入をしているように見える佐藤さんの状況について、A・B・C・Dさんはどう考えるか、それぞれの考えを出しあいました。続く今回は、「訪問看護管理者として何ができるか」をテーマに意見交換を進めます。 議論の題材となっているケースと設問は以下のとおりです。 ケースと設問 CASE1 スタッフナースが利用者に過度に感情移入している心配があるとき スタッフナースの佐藤さんについて、「担当利用者に感情移入しすぎなのではないか?」と別のスタッフナースから相談があった。どうやら寝ても覚めても利用者のことを考えているらしい。佐藤さんは、在宅看取りの看護に携わることを希望して、病院から訪問看護に転職してきた背景がある。終末期の利用者を担当するのは2回目、今回は主担当として任されている。そのためか思いが強くなりすぎているように見える佐藤さんに対して、管理者としてどのような支援ができるだろうか? 設問あなたがこの管理者であれば、佐藤さんのようなスタッフへの支援はどのようにすべきと考えますか。ご自身の経験から考えたアイデアをみなさんにシェアしてください。 管理者としてどのような支援ができるのか 講師ここまでのみなさんの意見から、管理者としては佐藤さんに何かしらの働きかけが必要なのは間違いなさそうです。では、具体的に、どのように働きかけますか? Aさん注2難しいかもしれませんが、私はステーションのメンバー全員でこの件について話をして、佐藤さん担当の利用者のところに、ほかのスタッフでも訪問できるようにしたいと思います。 Bさん私は、すぐに佐藤さんと話をする必要があるので、一対一の面談の時間を作ると思います。ほかのスタッフも含めてカンファレンスをできればよいですが、忙しいとなかなか集まりにくいので、現実的には一対一かなと。訪問看護師としての佐藤さんの成長を促すような支援ができればと考えます。 Cさん私も、チームで話をするにしても、まず佐藤さんと話をしておくべきだと思います。Bさんが言われたように、管理者が支援をするなら早いほうがよいと思うので。 講師一対一かチームか、人数の違いはありますが、佐藤さんと話す場を持つのは共通の意見ですね。その上で、できるだけ早いほうがよい、チームで対話するとしてもまずは一対一の面談からという考えも出ました。管理者として佐藤さんの異変に気がついたのであれば、すぐに行動に移すというのは自然な流れでしょう。 一対一の対話をどのように進めていくのか 講師では、佐藤さんと一対一で対話をすることを考えてみましょう。その面談は、どのような目的で行いましょうか。 Aさんこの利用者のことを佐藤さんが背負い込みすぎないような支援が目的になります。そしてその後に、より良いケアができるようになるために成長支援もしていきたいです。 Bさん事実確認もしたいです。制度外での訪問や、金銭授受といったことがもしあれば、そちらへの対処も検討しないといけませんから。佐藤さんやステーション全体の今後のことも考えて、この点も確認しておきたいです。 Cさん佐藤さんの育成を主目的に面談をするのは私も賛成です。ルールからの逸脱についての確認も、佐藤さんの状況についてはほかのスタッフから聞いただけなので、事実はどうなのか、管理者として確認することが必要だと思います。ですが、「〇〇さんがこう言っていたよ」と佐藤さんに伝えることは、うまく言えませんが間違っている気がするので、避けたいです。どんな言いかたで伝えるのがいいのか……、悩みます。 「何を目的に面談をするか」の小括 みなさんの話しあいから、面談の目的が大きく二つ出てきました。1.佐藤さんの、看護師としての成長をどうやって支援していくのか。2.ルールからの逸脱の確認。もし逸脱があれば対応を検討することも含まれます。これら二つの目的の背景には、管理者としてステーションをどのように運営していくべきなのかが根底にありますね。また、具体的に佐藤さんにどうやって伝えるのかの視点も登場しました。 そこで、次は「佐藤さんとの面談をどのように行うのか」を考えていきます。 ─第3回に続く 注1ケースメソッドとは、架空事例(ケース)について、参加者それぞれの考えをシェアしあうことで、学びを得ていく授業形式です。ケースの教材には、訪問看護管理者が問題に直面している状況が、物語風に構成されています。参加者は、ケースの教材を予習し、自分がこのケースの主人公ならどうするかを事前に考えた状態で、授業に参加します。ケースメソッドの授業では、講師のリードのもと、参加者どうしでアイデアをシェアしながら議論をすることによって学び、参加者の発言が何よりもセミナーを豊かにする鍵となります。 注2発言者はA・B・C・Dとしていますが、常に同一の人物ではありません。別人であっても便宜上そのように表記しています。 執筆鶴ケ谷理子合同会社manabico代表慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。看護師、保健師、MBA。大学病院(精神科)、訪問看護、事業会社での人事を経験後、株式会社やさしい手看護部長として訪問看護事業の拡大に寄与。看護師250人超の面談を実施し、看護師採用・看護師研修などのしくみづくりをする。看護師が働きやすい職場環境作りの支援を目指し合同会社manabicoを立ち上げる。【合同会社manabico HP】https://manabico.com記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2022年8月9日
2022年8月9日

スタッフの不安解消、安心できる仕事環境の整備は管理者の責務

最初の発生から2年が過ぎても、いまだ終息の見えない新型コロナ。感染防止対策だけではなく、目には見えないスタッフの不安やメンタルヘルスへの対応もステーションの管理者には要求されます。ベテラン管理者のみなさんに、今必要とされるスタッフマネジメントについて語っていただきます。第1回は、東久留米白十字訪問看護ステーション所長の中島朋子さんです。 お話中島朋子東久留米白十字訪問看護ステーション 所長  「スタッフを感染させない!」 新型コロナウイルス感染症が国内でくすぶりはじめたとき、私の頭はその思いでいっぱいになりました。精神的緊張状態のなか、「今このときに、管理者として何をすれば最善なのか」を考え続け、一つひとつ実行してきました。 先手先手のPPEストック 感染症対策は、見えない相手との闘いです。闘いには武器が必要です。有力な武器の筆頭は、PPE(個人防護具)です。2020年2月早々には、PPEのストックを始めました。その費用が持ち出しになる心配はありましたけれど、スタッフの安全には代えられません。 日本国内では、感染者もまだまだ少なく、死者も出ていない段階でしたが、2月7日には、感染・リスクマネジメント係に、ストックを急ぐようにハッパをかけました。 個別事情に応える本音アンケート スタッフが抱く不安には個人差があります。その不安を「本音」で聞くために、アンケートを実施しました。質問は、感染、または、感染の疑いのある利用者宅を訪問できるかどうかを尋ねるものです。 事業所の看護師は13人です。そのうち、1人が「行きたくない」、数人が「できれば行きたくない」と答えました。一方で、半数が「職務上の使命から必要があれば行く」、4人が「積極的に行く」と答えてくれました。 「行きたくない」には、個別の事情もあります。「訪問したら発熱していたということもあるからPPEは持参してね」と言ったうえで、希望に添うようにシフトを組みました。 必要に応じて、躊躇なく 国内の感染者が拡大するにつれ、PPE関連が品薄になりました。ストックのおかげで少しだけ余裕がありましたが、先行きを考えると、PPEの在庫には不安を覚えます。 100均ショップなどで、代替品を工夫し補充するとともに、「どのような場合に、どの防護具を選択するのか」の白十字版の簡易マニュアルを作成し、「必要に応じて、躊躇なく使える」判断基準を示しました。これには、かなり時間を掛けました。 利用者への協力要請で働きやすくする 利用者への手紙も4報まで出しました。内容は、発熱時の事前連絡、訪問を受ける前の換気、発熱時は個人防護具を着用など、スタッフを感染から守るためのお願いです。こちら側からの要望ではあったわけですが、感染予防を徹底したスタッフが訪問してくれるとの印象を与えたのでしょう。利用者側からの苦情はありませんでした。 働きかたの環境整備 働きかたの環境も、非常時に合わせる必要が出てきます。そこで、社労士(社会保険労務士)と入念な話し合いを重ねながら、在宅ワークができるように就業規則を改変していきました。具体的には、事務職の在宅ワーク移行、直行・直帰による訪問の実施などです。 事務所レイアウトと雰囲気づくり 事務所レイアウトを大きく変更。部屋を三つに分散、デスクは壁向きなど、3密を徹底的に避けました。ただ、管理者の死角で、愚痴を言い合い気分的な負の連鎖が起きないようにする対策も必要でした。そこで、「完璧な職場なんてないんだから」と前置きしたうえで、愚痴や不満は、建設的な意見として言えるような雰囲気づくりに注力しました。 事業所連携でBCP構築 地域にはさまざまな事業所があります。コロナ禍での活動内容にも温度差があります。そのなかで、価値観を共有する訪問看護事業所に、BCP(事業継続計画)の協働を持ちかけました。どちらかの事業所が感染で休止になった場合には、代替でケアが提供できるようにするものです。その準備として、約200人の利用者をトリアージしました。事業所との連携は、管理者どうしで愚痴をこぼしあえる関係もつくれ、とても大切です。 管理者としての責務 そのほか、正しく怖がるための最新情報の収集と提供、PPE研修会の開催、スタッフの自己免疫力を高めるための残業の軽減、連携在宅診療医との発熱者対応の方向性共有、会議のオンライン化、ICT化の推進、事業所の換気工事、事務所内にシャワーと宿泊場所の確保など、さまざまな対策を講じてきました。 とはいえ、ウィズコロナへの道は、平坦ではありません。発熱した利用者宅に訪問してくれているスタッフを思うと涙が滲んだこともありました。 当初、「所長の私が発熱者宅を訪問する」と提案もしてみましたが、もちろん、副所長やスタッフから反対され、管理者としてやるべきことに注力するように割り切りました。本当にスタッフには感謝の気持ちでいっぱいです。これからは、管理者としてのプレッシャーを一人で抱え込まず、「私も不安なの」と本音をこぼせるような風土づくりも必要かもしれないと思っています。 ―第2回に続く 記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2022年8月9日
2022年8月9日

CASE1スタッフナースが利用者に過度に感情移入している心配があるとき_その1:状況をどうとらえるか?

管理者として課題に直面したとき、自分以外の管理者がどう判断するかを知りたくなることはありませんか? この連載は、参加者どうしで考えをシェアしあう研修手法である、ケースメソッド注1セミナーの形式に沿って、訪問看護管理者が直面する課題を考えていきます。第1回は、利用者に感情移入しすぎているように見えるスタッフナースに対して、管理者としてその状況をどうみるかを考えます。 はじめに 合同会社manabico代表の鶴ケ谷理子と申します。弊社は、訪問看護管理者に対するコンサルティングやセミナーを行なっている会社です。この連載は、私が講師を務めて開催しているケースメソッドセミナーの形式をもとに展開します。みなさんもセミナーに参加したつもりで、「自分だったらどうするだろう」と考えながら読んでいただければと思います。 ケースと設問 CASE1 スタッフナースが利用者に過度に感情移入している心配があるとき スタッフナースの佐藤さんについて、「担当利用者に感情移入しすぎなのではないか?」と別のスタッフナースから相談があった。どうやら寝ても覚めても利用者のことを考えているらしい。佐藤さんは、在宅看取りの看護に携わることを希望して、病院から訪問看護に転職してきた背景がある。終末期の利用者を担当するのは2回目、今回は主担当として任されている。そのためか思いが強くなりすぎているように見える佐藤さんに対して、管理者としてどのような支援ができるだろうか? 設問あなたがこの管理者であれば、佐藤さんのようなスタッフへの支援はどのようにすべきと考えますか。ご自身の経験から考えたアイデアをみなさんにシェアしてください。 佐藤さんの状況を多面的にとらえる 講師このケースで議論したいことは、「管理者として佐藤さんにどのような支援ができるか」です。その前にまず、佐藤さんの状況について、みなさんはどのように考えますか? Aさん注2佐藤さんのように利用者に対して思い入れがあることは、看護師として悪いことではないと思います。ただ、思いが強すぎる と、利用者が亡くなった後に、佐藤さんが無力感や喪失感を感じることが心配です。そこへのフォローを考えたいです。 Bさん佐藤さんは、一人で背追い込みすぎていると感じます。ほかのメンバーも含めたケアカンファレンスを実施して、佐藤さんの気持ちのケアや、どういった看護をしていけばよいかを話し合えるといいと思います。でも忙しいからなかなかメンバーが集まらないのかもしれませんね。 CさんAさんも言われたように、利用者への感情移入が大きいと、利用者がお亡くなりになられた際の喪失感も大きくなります。どの利用者のかたに、どのスタッフが訪問に行くか、最終決定は管理者がしているはずです。管理者は、利用者だけでなく、スタッフも大切に考えて判断をすべきだと私は考えます。もっとこまめに佐藤さんに対して支援をすべきだったのではないでしょうか。 Dさん佐藤さんの精神状態も心配ですが、ルールから逸脱がないかどうかも私は気になります。佐藤さんのような様子だと、計画外の訪問や、個人的なやり取りを利用者としているかもしれないと思って。金銭や物品の受け渡しがあったりしたら、加えて別の対処も必要になるので。 「佐藤さんの状況をどうとらえるか」の小括 まずは、「佐藤さんの置かれている状況をどのようにとらえるか」について、それぞれの考えを出しあいました。 ●思い入れがあること自体が悪いわけではないが、佐藤さんの精神状態をよく観察し、フォローが必要。●佐藤さんが一人で背追い込みすぎている。ケアカンファレンスを開いて、ほかのメンバーとともに話し合いたい。●そもそも、この利用者への訪問を佐藤さんに続けさせてよかったのか。佐藤さんが行くなら管理者から何かしらの支援が必要だった。●訪問看護のルールから外れていないかを確認する。 一人で考えるだけでは思いつかないこともあり、A・B・C・Dさんは、ほかの人の意見を聞きながら気づきを得ていたようです。 次回は、「管理者として、佐藤さんに対してどのような支援ができるか」を考えていきます。 ─第2回に続く 注1ケースメソッドとは、架空事例(ケース)について、参加者それぞれの考えをシェアしあうことで、学びを得ていく授業形式です。ケースの教材には、訪問看護管理者が問題に直面している状況が、物語風に構成されています。参加者は、ケースの教材を予習し、自分がこのケースの主人公ならどうするかを事前に考えた状態で、授業に参加します。ケースメソッドの授業では、講師のリードのもと、参加者どうしでアイデアをシェアしながら議論をすることによって学びます。これは講義形式のセミナーとはずいぶん違ったものです。参加者の発言が何よりもセミナーを豊かにする鍵となります。 注2発言者はA・B・C・Dとしていますが、常に同一の人物ではありません。別人であっても便宜上そのように表記しています。 執筆鶴ケ谷理子合同会社manabico代表慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。看護師、保健師、MBA。大学病院(精神科)、訪問看護、事業会社での人事を経験後、株式会社やさしい手看護部長として訪問看護事業の拡大に寄与。看護師250人超の面談を実施し、看護師採用・看護師研修などのしくみづくりをする。看護師が働きやすい職場環境作りの支援を目指し合同会社manabicoを立ち上げる。【合同会社manabico HP】https://manabico.com 記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2021年10月5日
2021年10月5日

第3回 計画的な人材採用と育成/[その4]「目標管理」で“強いステーション”づくりを!

連載:働きやすい訪問看護ステーションにするための労務管理ABC 連載第3回目では[その1]~[その4]にわたり訪問看護ステーションにおける人材採用と育成について解説していきます。今回のテーマは“目標管理”です。ここでいう目標は事業所の理念や基本方針につながるものであり、利用者へのケアをとおして、その実現に貢献できる目標である必要があります。目標管理の重要性を職場にしっかりと周知し、理解を浸透させましょう。 ●ここがポイント!・目標管理とは、職員一人ひとりが目標を設定し、自らを管理することである。・目標設定では、個人と組織のベクトルを合わせることが大切である。・目標管理を形骸化させずより高い成果を得るために目標達成を支援するコーチの存在が必要不可欠である。 目標管理とは 目標管理とは、経営学者ピーター・F・ドラッカーによって提唱されたマネジメント手法です。ドラッカーの著書『現代の経営』の中で目標管理は次のように記載されています。 「今日必要とされているものは、一人ひとりの人の強みと責任を最大限に発揮させ、彼らのビジョンと行動に共通の方向性を与え、チームワークを発揮させるためのマネジメントの原理、すなわち一人ひとりの目標と全体の利益を調和させるためのマネジメントの原理である。これらのことを可能にする唯一のものが、自己管理による目標管理である。自己管理による目標管理だけが、全体の利益を一人ひとりの目標にすることができる。」(P.F.ドラッカー著,上田惇生訳 『現代の経営【上】』ダイヤモンド社,2015,p.187.より引用) 目標管理とは、職員一人ひとりが目標を設定し、自らを管理すること、つまり、目標による管理のことです。 目標管理は「Management by Objectives and Self-Control」と表記します。目標管理を構成する3つのキーワード、「マネジメント」、「オブジェクティブズ」、「セルフ・コントロール」について順に説明していきます。 マネジメント(management)とは 直訳すると「管理」、「経営」ですが、managementの動詞形manageの原義には「馬を手で扱う」という意味があり、そこから転じて「(扱いにくい人や事柄などを)うまく取り扱う」、また「なんとかやり遂げる」という意味があります。ここではマネジメントを英語の訳に即して「工夫や苦労を重ねてやり遂げること」と考えます。 オブシェクティブズ(objectives)とは 複数のストレッチ目標を意味します。ストレッチ目標とは、簡単に達成できる目標ではなく、背伸びをして手を伸ばさないと達成できないような目標のことをいいます。 セルフ・コントロール(self-control)とは 自分自身で目的を定め、計画を立て、意欲的、かつ主体的な行動をとれることをいいます。 目標管理のねらいと効果 目標管理のねらいは、主体的に考えて活動する人材を育成することにあります。 職員自らがストレッチ目標を設定し、目標達成に向けて創意工夫して取り組むことで、自分で考え行動し、壁を乗り切る力が身につきます。何か問題が生じたときにも、常に当事者意識をもって対処できるようになります。 また目標が達成されることで、自信が育まれ、レジリエンス(さまざまな困難な環境や状況に対しても適応し生き延びる能力)が鍛えられます。 目標設定のポイント 目標設定では、個人と組織のベクトルを合わせることが大切です。職員一人ひとりの目標が事業所のめざす最終目標(理念や基本方針)につながることで、事業所全体の利益が調和された状態になり、組織全体のパフォーマンスが向上します。 そして、目標は具体的に設定します。ここでは「グタイテキ」の頭文字に沿って、設定のポイントをご紹介します。 グ:具体的言った人のイメージと受け取った人のイメージが一致する。行動レベルの言葉にする。タ:達成可能ストレッチ目標を設定する。イ:意欲的達成することで自分自身、または周囲にどんな価値やメリット、意味があるのか考える。テ:定量化・数値化例えば、よく使われる「~に貢献する」「~をバックアップする」「~を推進する」「スムーズに~する」「迅速に~する」は具体的ではないため目標設定では不適切。キ:期限を定める 「いつまでに」達成するのかを明確にする。 目標管理の形骸化を防ぐコツ 目標管理を1人で行い続けるのは大変なことです。忙しさのなかで怠けてしまったり、中身が追いつかず形式的なものに陥ってしまったりしがちです。この形骸化を防ぐコツは成果を出して、成功体験を積み上げていくことです。 そして、成果を出すためには目標達成を支援するコーチの存在が不可欠です。コーチがいることで、達成に至るまでの時期が短縮され、成果のレベルが格段に上がります。コーチ役は上司が担うとよいでしょう。信頼関係が深まりチームワークが強化されます。 コーチに期待される役割には以下のようなものがあります。・新しい気づきをもたらす・視点を増やす・考え方や行動の選択肢を増やす・目標達成に必要な行動を促す基本的にコーチは一方的に指導したり、アドバイスを与えたりすることはしません。対話をとおして問いかけ、相手からさまざまな考え方や行動の選択肢を引き出します。この技法を「コーチング」といいます。 コーチ自身も目標管理を支援する能力が必要となりますので、部下の可能性を最大限引き出せるようなコーチングスキルを身につけましょう。 ** 齋藤 暁株式会社ムトウ コンサルティング統括部 部長中小企業診断士・社会保険労務士・医業経営・医療労務コンサルタント 医業経営・医療労務専門コンサルタント。全国の医療機関を対象に、中小企業診断士と社会保険労務士のW資格で経営と労務の両面をサポート。 ▼株式会社ムトウ コンサルティング統括部https://www.wism-mutoh.jp/business/consulting/ 編集協力:株式会社照林社 【引用文献】 P.F.ドラッカー著,上田惇生訳(2015)『現代の経営【上】』ダイヤモンド社

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