みんなの訪問看護アワード2023

漫画「そうだ、訪看がある」
漫画「そうだ、訪看がある」
特集
2023年7月5日
2023年7月5日

受賞作品漫画「そうだ、訪看がある<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、梁井 史子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の審査員特別賞エピソード「そうだ、訪看がある」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「そうだ、訪看がある」前回までのあらすじ二年前に乳がんを発症した訪問看護師の梁井さん。つらい治療を乗り越えたものの、再発…。悲しみに暮れていましたが、「私の人生は私のものだ!!」とがんに立ち向かっていくことを決意しました。頼れる親族がいない梁井さんは、かつて働いていた訪問看護ステーションを頼ることに。 >>前編はこちら受賞作品漫画「そうだ、訪看がある<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 そうだ、訪看がある<後編> 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:梁井 史子(やない ふみこ)愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道)今回、審査員特別賞をいただいたこと、漫画化していただいたことは、がんと付き合いながら生きていく上で大変励みになっています。同僚や友人たち、私を担当してくれた理学療法士さんなどは自分のことのように感激してくれましたし、病棟で働く友人が受賞エピソードを周囲に共有してくれて、訪問看護と接点がない方にも知っていただけました。また、表彰式をきっかけに首都圏在住の友人たちと再会でき、審査員の先生方や違うエリアで働く訪問看護師さんたちから、さまざまなお話を聞くこともできました。今回学んだことは、ぜひ今後の仕事に生かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。 [no_toc]

漫画「そうだ、訪看がある」
漫画「そうだ、訪看がある」
特集
2023年7月4日
2023年7月4日

受賞作品漫画「そうだ、訪看がある<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、梁井 史子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の審査員特別賞エピソード「そうだ、訪看がある」の漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 そうだ、訪看がある<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「そうだ、訪看がある<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:梁井 史子(やない ふみこ)愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道) [no_toc]

漫画「利用者さんは私の先生」
漫画「利用者さんは私の先生」
特集
2023年6月21日
2023年6月21日

受賞作品漫画「利用者さんは私の先生<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、中島 絵理子さん(一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション/神奈川県)の審査員特別賞エピソード「利用者さんは私の先生」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「利用者さんは私の先生」前回までのあらすじ訪問看護師 中島さんのご近所に住んでいた利用者の野坂さん。元々は小学校の先生で、毒舌ながらも教え子に慕われていました。定年を迎えた野坂さんは、フリースクールを開こうとしている矢先に難病であることが発覚して…。>>前編はこちら受賞作品漫画「利用者さんは私の先生<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 利用者さんは私の先生<後編> 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:中島 絵理子(なかじま えりこ)一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション(神奈川県)今回審査員特別賞を受賞したこと、所属ステーションの上司・先輩たちも一緒になって喜んでくれました。訪問看護師をしつつ看護学校の先生をしている先輩は、授業で私のエピソードを取り上げてくれたとのこと。「学生さんが共感してたよ」と教えてもらい、とてもうれしく思っています。また、生まれて初めて立派なトロフィーをいただき、子どもに「ママすごい!」と言ってもらえたことも嬉しかったです(笑)。訪問看護をしているなかで、皆さんに伝えたいエピソードはたくさんあるので、ぜひまたチャレンジしたいと思います。 [no_toc]

漫画「利用者さんは私の先生」
漫画「利用者さんは私の先生」
特集
2023年6月20日
2023年6月20日

受賞作品漫画「利用者さんは私の先生<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、中島 絵理子さん(一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション/神奈川県)の審査員特別賞エピソード「利用者さんは私の先生」の漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 利用者さんは私の先生<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「利用者さんは私の先生<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:中島 絵理子(なかじま えりこ)一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション(神奈川県) [no_toc]

アワードトークセッション
アワードトークセッション
インタビュー 会員限定
2023年6月20日
2023年6月20日

訪問看護師になった理由&訪問看護の魅力【特別トークセッション 後編】

2023年3月24日(金)に、銀座 伊東屋 HandShake Lounge(東京都中央区)にて開催した「みんなの訪問看護アワード2023」表彰式。ファシリテーターに東京医科歯科大学国際健康推進医学 非常勤講師の長嶺由衣子さんを迎え、受賞者の皆さんとの特別トークセッションが開催されました。ここでは、トークセッションの内容をピックアップしてご紹介。後編の今回は、訪問看護師になったきっかけや、訪問看護の魅力についてディスカッションされた内容をお伝えします。 >>前編はこちらみんなの訪問看護アワード 投稿のきっかけは?【特別トークセッション 前編】 【ファシリテーター】長嶺 由衣子(ながみね ゆいこ)さん東京医科歯科大学国際健康推進医学 非常勤講師 【登壇者】村田 実稔(むらた みのる)さんウィル訪問看護ステーション江東サテライト(東京都)「みんなの訪問看護アワード2023」入賞投稿エピソード「ちょっと早めの金婚式」 長尾 弥生(ながお やよい)さん白川訪問看護ステーションこだま(岐阜県)「みんなの訪問看護アワード2023」入賞投稿エピソード「104歳の日常」 梁井 史子(やない ふみこ) さん愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう「みんなの訪問看護アワード2023」入賞投稿エピソード「そうだ、訪看がある」 >>エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】>>表彰式の模様はこちらみんなの訪問看護アワード2023 表彰式イベントレポート【3月24日開催】 ※以下、本文中敬称略※本記事は、2023年3月時点の情報をもとに構成しています。 訪問看護師になったきっかけは? 長嶺: 受賞者の皆さんに、少しエピソードから離れた質問もしていきたいと思います。まずは長尾さん、どうして訪問看護師になろうと思われたのでしょうか。 長尾: 私は何をやっても仕事が長続きしなくて(笑)。デイサービスやヘルパー、特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)勤務なども経験しましたが、一番しっくりきたのが訪問看護だったんです。今まで一番長く勤めた職場で5年半、短いと半年で辞めていました。訪問看護はもう10年続いていますから、一対一で利用者さんとゆっくり向き合える仕事が、性に合っていたのだと思います。 長嶺: 同じステーションの他の方の勤務年数はいかがですか? 長尾: 今の勤め先は、勤務年数が長い人が多いですね。人間的に素敵なスタッフが多く、利用者さんも楽しい方が多いというのも、継続しやすい理由だと思います。 長嶺: 村田さんはいかがでしょうか。 村田: 私は、実習で訪問看護が一番楽しいと感じたからですね。他の職場で働いても、最終的には、訪問看護に行きたいと思いました。特に訪問看護の実習で印象に残っているのが、ALSの患者さんが、人工呼吸器をつけるかつけないかを検討していた場面です。訪問看護師さんが、「その後のご家族の負担やご本人の要望もふまえて検討したほうがよい」と利用者さんやそのご家族に寄り添っていました。利用者さんの「生活」優先であることや、利用者さんのやりたいことを叶えようという視点を持つ訪問看護が、魅力的だと思いました。 長嶺: 村田さんは、看護師4年目だそうですが、同期で訪問看護師さんをやっている方はどれくらいいますか? 村田: 少ないと思います。一般的に、若い看護師が訪問看護をするのは難易度が高いと思われているので。同年代の訪問看護師は、ステーションに1~2人ぐらいですね。今はe-learningで学べる教材も充実しているので、私としては若手も訪問看護で活躍してほしいですし、若手の流入で訪問看護業界がもっと盛り上がるといいなと思っています。 「そうだ、私を待っている人がいる」 長嶺: 梁井さんは、訪問看護師になってどれぐらいですか。 梁井: 8年目になります。それ以前は10年ほど室蘭の総合病院で働いていたのですが、母親も高齢になり、このまま総合病院で働くべきなのかどうか、迷っていました。そんなとき、親友のケアマネジャーが、「訪問看護がいいんじゃないか」「あなたを待っている人が、きっと必ずどこかにいる」と言ってくれたんです。私は、信頼している友人の言葉に弱くて(笑)。「そうだ、私を待っている人がいる!」と思って、訪問看護師になりました。 長嶺: エピソードのタイトルにも「そうだ」と入っていましたが、「そうだ」がキーワードなんですね(笑)。 では、訪問看護のやりがいや魅力について、3人に伺いたいと思います。長尾さんはいかがでしょう。 長尾: やはり、利用者さんに最期まで寄り添えることにやりがいを感じています。寄り添うためには利用者さんの日常生活に入り、価値観を受け入れることが大事で、その時間があるからこそ、その方らしい最期をサポートすることにつながっていくのではないかと思っています。この仕事を長く続けてきて、私はそういう点がしっくりきました。 長嶺: 一人ひとりの日常を見つめること大事にされているんですね。村田さんはいかがですか? 村田: 私も長尾さんと似ています。利用者さんのお家に伺い、日常に寄り添えることが訪問看護の一番の魅力だと思います。また、例えば薬剤についても、病棟と異なり利用者さんの意向に沿って内服していただくケースもありますし、病院看護とは違ったケアがあるんだなと勉強になります。 長嶺: なるほど。梁井さんはいかがでしょう。 梁井: 私もお二方の考え方と似ていますが、病院ではどうしても治療が優先ですから、誤解を恐れずに言うと患者さんに我慢してもらわないといけないことがあります。でも、訪問看護師の目標は、「利用者さんが希望されていることをどう叶えるか」だと思うんです。 また、急性期時代は意見の相違で医師と喧嘩してしまったこともありましたが、訪問看護では自分主体で仕事ができる場面が多く、その点もこの仕事の魅力だと思います。 長嶺: 治す、治さないだけではない、訪問看護の楽しさや醍醐味がありますよね。こんなに面白くてやりがいのある仕事なのに、看護師全体のなかでは訪問看護師は約5%程度しかいません。どうすれば、訪問看護師の魅力が伝わると思いますか? 長尾: 難しいですね。在宅を理解されていない病棟の看護師さんも多いと思うんです。病院の看護師さんに向かって、魅力を伝えていくのがいいと思いますが。 村田: 若手の友人に訪問看護やろうよと誘うと、「人のお宅で看護することに抵抗がある」と言われてしまいます。「まずは、病院で経験を積みたい」といった声もあります。私自身は、訪問が楽しいですし、利用者さんやそのご家族に、孫や友人だと思っていただけるような寄り添い方をしたいと思っています。気負い過ぎずに訪問看護にチャレンジしてくれる若手が増えたらいいなと思います。 梁井: 学生さんが、訪問看護に実習で来る場合がありますが、「このステーションでの働き方を見て、訪問看護をやろうと思いました」という方もいらっしゃいましたね。そんな実習で来た学生さんに、「あなたを待っている人がいる」と言うのがいいのではないかなと思いました。 一同: (笑) 長嶺: 「あなたを待っている人がいる」は、殺し文句ですね(笑)。フロアにいらっしゃる方で、何かご意見はありますか? 「まずは病棟で5年」が若手の訪問看護への壁 佐藤理恵さん(受賞者): 神奈川県の藤沢訪問看護ステーションで訪問看護師をしています、佐藤と申します。私も若手に訪問看護に入ってもらいたいと思っています。人気のある俳優の方が美容師役で主演ドラマをやると、美容業界が盛り上がる、検事役で着ていたダウンジャケットが売れるなどの現象があります。ですから、訪問看護師を主役にしたドラマをしてほしいと思いますね。さわやかな女優さんに主人公を演じていただいて。 長嶺: ありがとうございます。確かに最近は、救命救急医や薬剤師といった医療従事者の職業にフィーチャーしているドラマもありますね! 他の方は、いかがですか? 広田奈都美さん(漫画家/看護師): 私は静岡県の訪問看護ステーションで管理者をしています。色々なところで講演をさせていただき、看護学生さんたちに「訪問看護師になりましょう」と呼びかけるのですが、看護学校の先生が「病棟で5年間は勤務しないと無理なんですよ」と止めることがあるんです。そこをまず、「大丈夫なんですよ」というふうに啓蒙していけるといいなと思います。 長嶺: なるほど。さまざまなご意見をありがとうございます。では、皆さんに今後の抱負を伺いたいと思います。 長尾: 白川町では65歳以上の高齢者の割合が46%を超え、2045年には70%になるという試算が出ています。でも、訪問看護ステーションの母体である白川病院 院長が在宅医療に対して理解があるので、心強いです。町全体として人と人の距離感が近く、助け合いや情報共有も盛んです。今日聞けた貴重なお話も参考にしながら、がんばっていきたいと思います。 村田: 今回こうした機会をいただいて、もっと若手の方が「訪問看護をやりたい」と思える話ができればよかったなと思っています。来年も入賞を狙いたいと思います。 梁井: 私の抱負は、1日でも長く生きて、1日でも長く訪問看護師をすることです。 長嶺: 皆さん、本日は本当に有意義なお話を、ありがとうございました。 執筆: 高島 三幸 編集: NsPace編集部 【参考】〇厚生労働省.「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2023年5月11日)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/20/dl/gaikyo.pdf 〇岐阜県.「統計からみた白川町の現状」(2023年6月19日)https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/343330.pdf 〇国立社会保障・人口問題研究所.「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」https://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp

アワードトークセッション
アワードトークセッション
インタビュー 会員限定
2023年6月13日
2023年6月13日

みんなの訪問看護アワード 投稿のきっかけは?【特別トークセッション 前編】

2023年3月24日(金)に、銀座 伊東屋 HandShake Lounge(東京都中央区)にて開催した「みんなの訪問看護アワード2023」表彰式。エピソードを投稿された方をはじめとしたゲストの皆さまに全国からお越しいただき、表彰、特別トークセッション、懇親会などで盛り上がりました。ここでは、特別トークセッションの内容をピックアップしてお届けします。 本トークセッションのテーマは、「つたえたい訪問看護の話」。ファシリテーターに東京医科歯科大学国際健康推進医学 非常勤講師の長嶺由衣子さんを迎え、受賞者の皆さんとエピソード投稿の背景や訪問看護師になったきっかけ、訪問看護の魅力等について幅広くディスカッションされました。前編の今回は、エピソード投稿のきっかけや背景についてのお話です。 【ファシリテーター】長嶺 由衣子(ながみね ゆいこ)さん東京医科歯科大学国際健康推進医学 非常勤講師 【登壇者】村田 実稔(むらた みのる)さんウィル訪問看護ステーション江東サテライト(東京都)「みんなの訪問看護アワード2023」入賞投稿エピソード「ちょっと早めの金婚式」 長尾 弥生(ながお やよい)さん白川訪問看護ステーションこだま(岐阜県)「みんなの訪問看護アワード2023」入賞投稿エピソード「104歳の日常」 梁井 史子(やない ふみこ)さん愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう「みんなの訪問看護アワード2023」入賞投稿エピソード「そうだ、訪看がある」 >>エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】>>表彰式の模様はこちらみんなの訪問看護アワード2023 表彰式イベントレポート【3月24日開催】 ※以下、本文中敬称略※本記事は、2023年3月時点の情報をもとに構成しています。 東京・岐阜・北海道の受賞者3名が登壇 長嶺: ファシリテーターの長嶺です。今日は、皆さんのお話を聞くことをとても楽しみにしていました。よろしくお願いいたします。早速ですが、皆さん簡単に自己紹介をお願いします。 村田: 「ウィル訪問看護ステーション江東サテライト」の村田実稔と申します。訪問看護師2年目です。以前は小児病院のPICUで勤務していました。今回は、私の心に残っている末期がんの利用者さんのエピソードを投稿しました。本日はよろしくお願いします。 長尾: 岐阜県の「白川訪問看護ステーションこだま」からまいりました、長尾と申します。白川といっても有名な「白川郷」ではなく、下呂温泉から名古屋方面へ車で1時間弱ほど走ったところにある白川町です。白川茶が有名ですが、少子高齢化の影響で茶畑がソーラーパネル化しています。携帯の電波が届かないエリアもあり、サルやカモシカに出合う場所にあるお宅を訪問しています。 梁井: 札幌市から参りました。「愛全会 訪問看護ステーション とよひら・ちゅうおう」の梁井史子と申します。エピソード内容や見た目でもおわかりだと思いますが、乳がんを患って休職していました。2022年9月に訪問看護師として復帰しまして、抗がん剤・鎮痛剤を服用し、ホルモン治療を続けながらフルで勤務しています。そんな状態でも、自分には「訪看がある」という想いを込めたエピソードを、看護師と看護を受ける側、両者の目線から書かせていただきました。このような賞をいただいて、本当に感謝しています。 長嶺: 皆さん、ありがとうございます。梁井さんは、きっと想像を絶する大変さのなかでお仕事されているのだと思います。でも、お話しすると大変明るい方で、利用者さんたちはきっと梁井さんの明るさに勇気づけられているのでしょうね。 それでは、皆さんの投稿エピソードについて深掘りしていきましょう。まず、長尾さんには、104歳の在宅療養者の日常をコミカルに書いていただきました。このエピソードを投稿しようと思ったきっかけは何でしょうか。 エネルギーとパワーが溢れる自由奔放な104歳 長尾: 私のステーションにはこんな元気な方がいるんだ、ということを伝えたかったんです。訪問看護をしていると、私のほうが利用者さんたちからたくさんのエネルギーとパワーをいただき、癒やされることがたくさんあります。訪問看護の現場は大変なことも多いですが、「こんなに楽しい日常がある」「訪問看護は楽しい」ということが伝わればいいなとも思いまして。 長嶺: なるほど。この104歳の方のエピソードを読んでいて、私の患者さんで、国宝級の剣道家だった方のことを思い出しました。黄疸で皮膚が真っ黄色という状況でも、「運動が足りない!」と言って運動をされていて(笑)。長尾さんの利用者さんも、同じように「自由奔放」という感じですね。「お酒を飲めているから健康だな」ということが判断基準になるような、お酒好きな方なのだと思います。こうした利用者さんと接するときに、気をつけている点はありますか? 長尾: 100歳を超えていらっしゃいますし、ステーションとしてもできるだけ大らかに対応しようという方針です。その方の日常や、自由奔放さを受け入れるイメージですね。 長嶺: 100歳を超えていないとNGですか(笑)? 長尾: いえいえ(笑)。100歳を超えていても超えていなくても、自由奔放に生きている方には、その方を受け入れるような対応を心がけています。 長嶺: ありがとうございます。400字以内のエピソードの中に書ききれなかったことはありますか? 長尾: 長寿の秘訣は、食べること、寝ること、ストレスがないことの3点がよく挙げられますが、この104歳の利用者さんは、まさにそれを体現しています。食欲旺盛ですし、電動車イスを自分で運転してピザを買いに行くなど、本当に自由な生活をされています(笑)。 長嶺: 本当に自由ですね(笑)。では、受賞されて、ステーションの皆さんはどういった反応でしたか? 長尾: 実はもともと、「この方のエピソードを4コマ漫画にしたら面白いよね」と同僚と話をしていたんです。受賞作品は後日漫画化が予定されていますし、この機会に全国の方に知っていただけることになり、みんな喜んでくれています。 長嶺: 医療従事者は医療的な面から患者さんの行動にブレーキをかけることが多いと思いますが、ご自宅にお邪魔する訪問看護は、医療従事者が主体の空間ではなく、患者さんご本人が主体となる空間に入るということですよね。だからこそ、その方の良いところを探して人間性や価値観をみることが大事なのだと思います。「訪問看護とは病気を治すのではなく、その人の生活に寄り添い人生を支える仕事だと思う」という一文にも共感しました。ぜひ漫画にして広めていただければと思います。 次は村田さんに伺いたいのですが、村田さんのエピソードは、「結婚50周年を迎える夫婦に対し、娘さんと作戦を立てて、サプライズの金婚式を行った」という内容でした。どうしてこのエピソードを投稿しようと思ったのでしょうか。 村田: 私が初めて担当した末期がんの利用者さんで、このエピソードが私にとってとても印象深かったので選びました。 長嶺: 利用者さんに対して、この金婚式のようなサプライズイベントをよく企画されるのでしょうか。 村田: そうですね、利用者さんに喜んでもらいたいという気持ちが強いですし、私はそうしたイベントを企画するのは得意なほうだと思います。 長嶺: 利用者さんの奥様からの何気ない一言で金婚式のイベントをやることになったそうですが、どんな気持ちで企画されたのでしょうか。 村田: やらない後悔よりやった後悔のほうがいいのではないかと思ったんです。ご家族に、利用者さんが亡くなられた後に「やっておけばよかった」と後悔してほしくなかったですし、まずは行動して利用者さんやそのご家族にも喜んでいただけるように努力したいと考えました。 長嶺:素晴らしいですね。エピソード内に書ききれなかったことはありますか? 村田: 利用者さんの奥様と友人として一緒に食事をしたり、娘さん夫婦が経営する美容院に今でもいったりすることがあって、本当によくしていただいています。 長嶺: ありがとうございます。続いて梁井さんは、ご自身の乳がんの再発について書いてくださいました。投稿しようと思ったきっかけを教えてください。 乳がん再発で「仕事の大切さ」を再認識 梁井:ステーションの看護主任から投稿をすすめてもらったのですが、自分の乳がんが再発したエピソードしか頭に浮かばず、締め切り当日の昼休みに急いで書きました。 長嶺: 訪問看護の患者さんについて語るエピソードがほとんどの中、梁井さんのエピソードだけが、訪問看護を担うご自身のお話でした。どうしたら継続的に訪問看護ができるのか、訪問看護師が仕事を継続しやすくなるヒントがあるように思います。ご自身の体調が優れないなかで書いてくださったことに、お礼を申し上げます。 単刀直入に伺いますが、闘病しながらなぜ訪問看護のお仕事を継続されているのでしょうか。 梁井: 訪問看護が、私の生きがいなんです。 プライベートなお話になりますが、私の家族は現在、兄と母のみです。兄には家庭があって少し遠方に住んでおり、近くに住んでいるのは高齢の母のみ。私は結婚しておらず、若い頃に子宮内膜症で子宮を全摘し、子どもがいるわけでもありません。そんな人生を歩んできて、乳がんが再発して転移したとわかったとき、「私の人生は、生き方は、どうあればいいんだろう」と思いました。「再発したら、もう死ぬしかないんじゃないか」「このままだと、悔しいじゃないか」と。それと同時に、「私には大事にしている仕事がある」とも思いました。 勤務先の事業所の所長からも、「がんばって」「戻ってきてくれるのを待っているから」と声をかけてもらい、すごく心強かったんです。自分には訪問看護の仕事がある、仲間がいるということが、励みでした。今日も、2人の同期が付き添いできてくれましたし、看護学校時代の同期もLINEで毎日励ましてくれました。そうした友達や後輩は看護関係がほとんどなんです。だからこそ、「看護という仕事から離れたくない」「このまま終わってたまるか」と思うことができました。 2回目の乳がんがわかって化学療法で治療しているときは本当につらかったですが、看護師や理学療法士さんに来ていただいたことが励みでした。同業者に励まされたことで、この仕事の凄みを改めて実感したというか、私にとって熱い経験だったんです。 長嶺: 治療しながら働く上で、心身のつらさはないのでしょうか。 梁井: もちろん身体的なつらさはあるものの、精神的には充実していて、ストレスは発症前よりないんです。無理して仕事をしているという感覚はありません。自分が患者の立場を経験したことで、今は前よりも上手に患者さんをケアできているのではないか、患者さんに上手に話しかけられているのではないか、と思える自分もいます。看護は一瞬一瞬で終わるものではなく、その人の人生・生活・環境を支えるものだともわかりました。訪問看護はすばらしい仕事だと、誇りを持ってやっています。 長嶺: 素晴らしいですね。医療従事者は、自分自身は経験したことがない状況やつらさを抱える患者さんと接することが多いですが、どんなに経験を積んでも理解しきれないこともあると思います。梁井さんは、私たちの何倍も患者さんに寄り添えているのではないかと感じます。 梁井: いえ、そんなに立派なことはできていないと思います。実は、がんが再発して「看護師にならなきゃよかった」と思ったこともあります。治療法や処方される薬で予後がわかってしまうからです…。こんなにつらい思いをするのなら、看護師にならなきゃよかったと思うぐらいしんどかったです。でも、そこを乗り越えると、逆に看護の知識が勇気になったり、力になったりする。「大丈夫」とも思えました。今は、「自分にしかできないがん患者さんへの看護がある」と思えることも力になっています。 >>後編はこちら 訪問看護師になった理由&訪問看護の魅力【特別トークセッション 後編】 執筆: 高島 三幸編集: NsPace編集部

漫画「きっかけはポーカー」
漫画「きっかけはポーカー」
特集
2023年5月31日
2023年5月31日

受賞作品漫画「きっかけはポーカー<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、服部 景子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の入賞エピソード「きっかけはポーカー」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「きっかけはポーカー」前回までのあらすじ急遽、利用者の野間さんを担当することになった服部さん。なかなかお風呂介助をさせてもらえず、悩む日々。そんなとき、ふと「トランプでもしませんか」と声をかけてみたら、意外にも「いいよ」とのお返事が…? >>前編はこちら受賞作品漫画「きっかけはポーカー<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 きっかけはポーカー(後編) 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:服部 景子(はっとり けいこ)愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道)所属事業所の主任から「応募してみない?」との声掛けがあり、軽い気持ちで投稿したエピソードでしたが、入賞したと伺って本当に驚きました。大好きな野間さんとの思い出をつづった「きっかけはポーカー」は、私にとってとても大切なエピソードです。「頭洗ってくれる?」と声をかけていただいた日は、ケアマネジャーさんや事業所の先輩看護師たちも、一緒になって喜んでくれました。野間さんとは、今でも楽しくトランプをしています。読んでくださった皆さまが、少しでも「訪問看護って楽しそうだな」「こういう看護のしかたもあるんだな」と感じていただけたら幸いです。 [no_toc]

漫画「きっかけはポーカー」
漫画「きっかけはポーカー」
特集
2023年5月30日
2023年5月30日

受賞作品漫画「きっかけはポーカー<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、服部 景子さん(愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう/北海道)の入賞エピソード「きっかけはポーカー」の漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 きっかけはポーカー<前編> >>後編は5月31日公開予定!受賞作品漫画「きっかけはポーカー<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:服部 景子(はっとり けいこ)愛全会 訪問看護ステーションとよひら・ちゅうおう(北海道) [no_toc]

「冷え性なのに・・・」【つたえたい訪問看護の話】
「冷え性なのに・・・」【つたえたい訪問看護の話】
特集
2023年5月16日
2023年5月16日

受賞作品漫画化!「冷え性なのに…」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード2023」で審査員特別賞を受賞したエピソード「冷え性なのに…」の漫画をお届けします。今回は、受賞者ご本人である川上 加奈子さん(よつば訪問看護リハビリステーション/神奈川県)直筆の8コマ漫画です。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 「冷え性なのに…」 漫画&エピソード投稿: 川上 加奈子(かわかみ かなこ)看護師/臨床検査技師。よつば訪問看護リハビリステーション(神奈川県) 看護主任。「エキスパートナース」(照林社)、「ナース専科」(エス・エム・エス)、「日経メディカルワークス」(日経BP)、「いつでも元気」(保健医療研究所)等でエッセイ・漫画を連載。Instagramで訪問看護にまつわる漫画を公開中(″grace255474″で検索)2022年に101歳でお亡くなりになられたKさんとは、6年のお付き合いでした。Kさんは「誰にも迷惑をかけずにポックリ逝きたいんです。私があの世に逝くまではどうかよろしくお願いします」と繰り返しおっしゃっていたため、ある日「じゃあポックリ逝けた日にはお仏壇の前で、『良かったですね』と手を合わせますね」と私が返すと、「あら本当に?そうして下さい。約束ね!」と2人で大笑い。その後、約束通り私がKさんを看取り、「良かったですね」と手を合わせたのは言うまでもないことですが、今回素晴らしい賞をいただきましたので、トロフィーを持って改めてご挨拶に行きたいと思っています。在宅の現場ではまだまだ訪問看護師の数が足りません。訪問看護のエピソードが、1人でも多くの皆さまに伝わることを願い、感謝の言葉とさせていただきます。

「七夕の奇跡」【つたえたい訪問看護の話】
「七夕の奇跡」【つたえたい訪問看護の話】
特集
2023年4月18日
2023年4月18日

大賞エピソード漫画化!「七夕の奇跡」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。大賞を受賞したのは、公益社団法人山梨県看護協会ますほ訪問看護ステーション(山梨県)の 石井啓子さんの投稿エピソード、「七夕の奇跡」です。 今回は、大賞エピソードを『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』著者の広田奈都美先生に、全10ページの漫画にしていただきました。ぜひご覧ください! >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)投稿者: 石井 啓子(いしい けいこ) 公益社団法人山梨県看護協会 ますほ訪問看護ステーション(山梨県)ますほ訪問看護ステーションで訪問看護師として勤務し約22年…。大変だったこと、辛い思い出もたくさんありますが、それをかき消すほどの胸がグッと熱くなるようなほっこりするエピソード、患者さん・ご家族のありがたい言葉がたくさん頭をよぎります。今回私の書いたエピソードを大賞に選んでくださり、恥ずかしいような、うれしいような、複雑な気持ちですが、私がこのような喜びを得ることができたのは、今まで巡り合ってきたたくさんの患者さん・ご家族のおかげだと感じます。エピソードを漫画化してくださることにより、訪問看護という仕事のやりがい・魅力をこれから訪問看護師を志す人に少しでも伝えることができたらとてもうれしく思います。今後も訪問看護師として、一人ひとりの患者さん・ご家族との出会いを大切に、日々真摯に頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。 [no_toc]

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