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第1回 訪問看護ステーションの「働き方改革」/[その1]訪問看護ステーションで押さえておきたい「働き方改革」

連載:働きやすい訪問看護ステーションにするための労務管理ABC
「働き方改革」は、働く人たちが個々の事情に応じた多様な働き方を自分で「選択」できるようにするために、国が強力に進めている施策の1つです。働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(いわゆる「働き方改革関連法」)によって、労働基準法などが改正され、2019年4月より順次施行されています。
●ここがポイント!
・「働き方改革」、まずは「労働時間管理」や「有給休暇管理」から始めてみよう!
・「働き方改革」をサポートしてくれるさまざまなサービスも活用しよう!
・誰でも働き続けたくなる魅力的な職場づくりのために前向きな取り組みとアピールを

働き方改革がめざすもの

日本国内の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)は1990年代がピークで、それ以降は減少傾向が続いており増加の見込みもないのが現状です。一方で、働く人たちの働き方(働く時間、働く場所、仕事内容など)のニーズの多様化も進んできています。このような状況の中で、働く人一人ひとりがよりよい将来の展望を持てるようにすることをめざして進められているのが「働き方改革」です。
具体的には、「労働時間」「保健」「有給休暇」「賃金」の各項目において、大企業、中小企業別に次の表のようなスケジュールで改革が進められています。ここで言う「中小企業」とは、資本金の額または出資の総額が5000万円以下、または常時使用する労働者の数が100人以下の企業のことを言いますから、訪問看護ステーションはほとんど中小企業になると思われます。
表 働き方改革関連法施行スケジュール

訪問看護ステーションの「働き方改革」のポイント

訪問看護ステーションが取り組むべき「働き方改革のポイント」としては、以下の5つの義務が挙げられます。
①労働時間の客観的な把握の義務づけ
②時間外労働の上限規制
③年5日間の年次有給休暇の取得の義務づけ
④同一労働同一賃金
⑤月60時間を超える残業に対する割増賃金率の引上げ
この中でまずは、「労働時間の客観的な把握の義務づけ」「時間外労働の上限規制」や「年5日間の年次有給休暇の取得の義務づけ」への対応を進めていきましょう。
労働時間の把握義務化への罰則はありませんが、従業員の労働時間の把握・管理を怠り、時間外労働の上限規制や年5日間の有給休暇取得義務に違反した場合、法律で罰則が科せられます。

「働き方改革」をサポートしてくれるツールやサービス

「労働時間の客観的な把握の義務づけ」、「時間外労働の上限規制」や「年5日間の年次有給休暇の取得の義務づけ」については、いずれも2019年4月より施行されていますが、施行された当時よりも現在は、働き方改革に対応するための業務運営用のソフトやサービスが改善されています。
例として、「労働時間の客観的な把握の義務づけ」について、簡単に説明しましょう。
労働時間の客観的な把握の義務づけ」への対応策としては、以下のようなことを行う必要があります。
◎原則として「タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録」などの客観的な方法で労働時間を把握する。
◎法律の「労働時間」の考え方に沿って、労働時間を取り扱う。
◎管理監督者を含む、すべての労働者を対象
こうした「労働時間の客観的な把握の義務づけ」を支援するために、さまざまな業務用ソフトやサービスが開発されています。
例えば、
・クラウド型勤怠管理システム
・ICタイムカード
・スマホやタブレットで利用できる専用のアプリ
このほかに、
・介護ソフトにタイムカード機能・勤怠管理機能が追加
・給与計算ソフトにタイムカード機能・勤怠管理機能が追加
・給与計算ソフトと連携機能をもった無料の勤怠管理アプリ
などのサービスが開発・提供されています。
すでにご使用になっている業務運営ソフト(介護ソフトや給与計算ソフトなど)に、勤怠管理や有給休暇管理などの機能が追加されていないか、また、現在使用されている業務運営ソフト以外にも、使いやすかったり、手ごろな価格で利用できる自社に合ったサービスはないか、調べてみてはいかがでしょうか。

「働き方改革」は職場の魅力につながります!

さらに最近では、新型コロナウイルス感染症の対応として、テレワークを推進したり、利用者さん宅に直行・直帰を認めているステーションもあります。テレワーク勤務や直行・直帰の問題点としては、職場内のコミュニケーションの機会が減少してしまうことがしばしば挙げられますが、一方でそれを補うような取り組みを進めているステーションは、職員の勤続意欲も高まります。
職場環境の改善を行い、職員が安心して働き続けられる職場づくりを行っているステーションは、人材確保や人材定着にもつながり、そして利用者やご家族の安心感や信頼にもつながるのです。ぜひ前向きに取り組み、アピールしてください。
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加藤明子 加藤看護師社労士事務所代表
看護師・特定社会保険労務士・医療労務コンサルタント
看護師として医療機関に在籍中に社会保険労務士の資格を取得。社労士法人での勤務や、日本看護協会での勤務を経て、現在は、加藤看護師社労士事務所を設立し、労務管理のサポートや執筆・研修を行っている。
 ▼加藤看護師社労士事務所
https://www.kato-nsr.com/
編集協力:株式会社照林社

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