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第2回 理念作成と事業計画/[その4]進捗管理―大事なことを“見える化”する

連載:働きやすい訪問看護ステーションにするための労務管理ABC

連載第2回目では[その1~4]にわたり訪問看護ステーションの運営に必要な理念と事業計画について解説していきます。
[その4]のテーマは“進捗管理”です。事業運営をしっかりバックアップするしくみが進捗管理です。ここでは進捗管理の重要性と効果的な進め方、具体的な進捗管理方法についてご紹介します。

●ここがポイント!
・進捗管理とは事業の進み具合を把握し、計画とのズレを修正することである。
・事業所として成功するためには、効果的な「進捗管理」を行うしくみをもつべきである。
・事業計画で設定した目標を細分化し、小目標をタスク化して進捗管理することが大切である。

進捗管理とは

「進捗管理」とは事業計画という目標設定に対し、どのくらい事業が進んでいるのかを把握し、計画とのズレを修正することです。

せっかくすばらしい事業計画を立てても、進捗管理を行わなければ、目標に対する達成率や計画の進み具合が不透明になってしまいます。また、進捗管理を行うしくみがなければ、事業所の生産性が大きく下がってしまいます。

さらに個々の職員にも深刻な影響があります。職員の目標をめざす意識が低くなるため、目標達成に必要となる現状分析、問題や課題の発見、解決能力といったスキルの向上が期待できなくなります。職員のレベルアップや事業所として成功するためには、効果的な「進捗管理」を行うしくみをつくることが不可欠です。

進捗管理を効果的に進めるポイント

進捗管理を効果的に進めるポイントは4つあります。順に説明していきます。

①目標の細分化

進捗管理を効果的に進めるには、事業計画の工程を細分化し、最終的に達成する大きな目標(大目標)に向けて、小目標を設定することが大切です。大目標達成に必要なルートを作成し、中間地点にいくつかの小目標を立てるイメージです。

②タスクの管理

目標を細分化し小目標を立てたら、次に小目標の達成に向けた行動目標と作業をひとまとめ、つまりタスク化して管理します。そして、タスクが完了したら、小目標が達成されたかを検証します(図1)。

検証の結果、小目標が達成されていれば次の小目標の達成に向けて進めていきます。未達成であればタスクを見直し、新たな行動目標と作業を設定し行動します。なお、タスクの変更は、担当者が勝手に変更するのではなく、職場内で協議をしたうえで変更するといったルールを設ける必要があります。

図1 タスクの管理方法

③担当者の設定

ときにタスクの担当者が曖昧になることがあります。当然のことですが、担当者が不在では、タスクは完了しません。タスクごとに担当者を設定し、責任の所在を明確にすれば、進捗管理も容易になるでしょう。

④タスクやスケジュールの共有

タスクやスケジュールの進捗状況を“見える化”し、職員全員で共有することも必要です。1つのタスクの遅れが後に続く小目標に影響することがわかれば、安易にスケジュールを遅らせることもなくなり、計画どおりに進む可能性が高まるでしょう。

1日15分! 進捗管理の手法

進捗管理にはいくつかの手法があります。ここでは付箋を活用する方法をご紹介します。この方法は、次の3つのステップに沿って1週間サイクルで行います。

Step1 週はじめに週次計画を“見える化”する

週はじめに各職員のタスクに対する1週間の週次計画を貼りだします。タスクは半日から2時間程度に分解して計画し、付箋に書き出し、タスクボードに貼り付けます(図2)。

週次計画のタスクを明確にする目的は次の2つです。 
・各自の作業の細分化 
・負荷を考慮した担当・段取りの検討

図2 タスクボードの例

タスクボードには、その週の予定タスクを貼る「To-Do」欄、本日実施するタスクを貼る「Doing」欄、完了したタスクを貼る「Done」欄を設定する。タスクボードの目的は、メンバーの状況を開示すること、そしてタスク進捗の共有を超えた“見える化”である。

Step2 タスクボードをもとに短時間ミーティングを行う

次にタスクボードをもとに作業タスクの確認・共有をするために、毎朝15分程度の短い時間でミーティングを行います(図3)。

短時間ミーティングの目的は以下の2つです。
 ・前日のタスクの進捗報告
 ・当日のタスクの実施宣言

各職員のタスクを毎日のミーティングで共有することで、マルチタスクも含め、職場内のタスクの状況を把握し、必要なサポートを適切なタイミングで提供できるようになります。

図3 短時間ミーティングで効率よく進捗管理を行う

Step3 週末に振り返る

週末にタスクの状況や問題点・課題を職場内で共有します。振り返りの目的は、メンバーの知恵を借りて以下を行うことにあります。 ・問題、課題の発見 
・タイムリーな対策案の検討

付箋を活用した進捗管理では、タスクごとの進行具合が一目で確認することができ、タスクの割り振りや不必要なタスクの削除といった、計画の調整が可能です。この方法によって「職場内でのタスクの見える化と共有の習慣化」が得られます。ぜひ実践してみてください。

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齋藤 暁
株式会社ムトウ コンサルティング統括部 部長
中小企業診断士・社会保険労務士・医業経営・医療労務コンサルタント

医業経営・医療労務専門コンサルタント。全国の医療機関を対象に、中小企業診断士と社会保険労務士のW資格で経営と労務の両面をサポート。

▼株式会社ムトウ コンサルティング統括部
https://www.wism-mutoh.jp/business/consulting/

編集協力:株式会社照林社   

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