コラム

訪問看護ステーションの開業に活用できる助成金・補助金とは?

訪問看護ステーションの開業に活用できる助成金・補助金とは?

訪問看護ステーションの開業には、まとまった資金が必要です。
融資や自己資金とともに、助成金・補助金も知っておきたい選択肢のひとつです。原則として返済不要のため、うまく活用できれば開業資金の負担を軽減できるでしょう。

ただし、多くの制度は「後払い」が基本のため、開業直後の運転資金として使えない点に注意が必要です。制度の内容を事前に把握しておかないと、申請のタイミングを逃してしまう場合もあります。

立ち上げ時に活用できる助成金・補助金の種類と注意点を知り、ぜひ開業準備に役立ててみてください。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。各制度は変更される可能性があるため、詳細や最新情報は担当省庁や自治体の公式サイトにてご確認ください。

採用・雇用環境の整備に使える助成金

スタッフの確保・定着は、訪問看護ステーションの運営を支える大切な基盤です。
雇用環境の整備に活用できる助成金を紹介します。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

非正規雇用のスタッフの正社員転換や直接雇用を促進し、雇用の安定とキャリアアップを支援する制度です。
正規雇用化によってスタッフの働く意欲が高まり、職場の魅力向上にもつながります。

なお、申請には転換の前日までに「キャリアアップ計画」の提出が必要です。申請を考えている場合は、早めに準備を進めておきましょう。

働き方改革推進支援助成金

労働時間の適正管理や休暇取得の促進など、働きやすい職場環境づくりを後押しする助成金です。
対象となる取り組みは幅広く、勤怠管理システムの導入や労務管理に関する専門家へのコンサルティング依頼なども含まれます。

「記録業務に時間がかかりすぎる」「スタッフが休みを取りにくい」といった現場の課題を抱えている場合に、活用できる可能性があります。

両立支援等助成金

育児や介護を抱えるスタッフが、仕事を続けやすい環境づくりを支援する制度です。柔軟な働き方の導入や業務代替体制の整備など、幅広い取り組みが対象となります。
代表的なものに「育児休業等支援コース」があり、育休取得から職場復帰までの流れをサポートした場合に支給されます。

スタッフの離職防止・定着はもちろん、「ここなら長く働ける」と思ってもらえる職場の魅力づくりにも役立つ助成金です。

65歳超雇用推進助成金

定年延長や、継続雇用制度の導入に取り組んだ事業主を支援する助成金です。将来的にスタッフが長く働き続けられる環境を整えたいときに、選択肢のひとつとして知っておくとよいでしょう。

訪問看護ステーションの開業に活用できる助成金・補助金とは?

業務効率化・設備投資に使える助成金

業務効率化や設備投資を後押しする助成金も活用できます。
開業時のコスト負担を抑えながら、現場環境を整えたい方はチェックしてみてください。

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性向上や業務効率化を目的とした、設備投資を支援する制度です。
訪問スケジュール管理ソフトや電子カルテシステムの導入、休憩スペースの整備なども対象となります。

記録作業などの事務負担を減らし、スタッフが利用者さんへの対応に集中できる環境づくりに役立ちます。

IT導入補助金

業務改善助成金が設備投資全般を対象とするのに対し、IT導入補助金はITツールの導入に特化した補助金です。
中小企業や小規模事業者を対象に、導入にかかる費用の一部を補助します。

クラウドサービスや電子カルテシステム、スケジュール管理ソフトなど、デジタル化全般が対象となります。

自治体独自の助成金・補助金

都道府県や市区町村が、訪問看護人材の確保・育成や事業所の運営支援を目的とした、独自の制度を設けている場合があります。

たとえば、

  • 研修費用
  • 設備導入費用の補助
  • 人材確保
  • 育成支援

など、地域の実情に合わせたさまざまな制度が存在します。

内容や要件は自治体によって異なります。申請期限が設けられているケースも多いため、開業予定地域の福祉局や担当窓口に早めに問い合わせておくとよいでしょう。

訪問看護ステーションの開業に活用できる助成金・補助金とは?

助成金・補助金活用前に知るべき3つのポイント

助成金・補助金は活用できれば心強い反面、知っておくべき注意点もあります。
活用前に押さえておきたい3つのポイントを確認しておきましょう。

ポイント(1)支給は「後払い」が原則

助成金・補助金は、対象の取り組みを実施した後に申請・支給されるしくみです。
開業直後の運転資金として当てにはできないため、自己資金や融資とは切り離して考える必要があります。

ポイント(2)必ず受け取れるとは限らない

審査に落ちるケースや、予算上限に達して申請期間が早期終了する場合もあります。
「申請すれば確実にもらえる」という前提で、資金計画を立てるのは危険です。

ポイント(3)あくまで「プラスアルファ」の支援策

助成金・補助金は、自己資金や融資を軸とした資金計画を補完するものです。
メインの資金源として頼りすぎず、活用できた場合の上乗せとして位置づけておきましょう。

まとめ:助成金・補助金は制度を知って早めに動こう

採用・雇用環境の整備、業務効率化・設備投資など、訪問看護ステーションの立ち上げで活用できる助成金・補助金は幅広くあります。
返済不要の制度も多く、うまく活用できれば開業資金の負担を軽くできるでしょう。

ただし、どの制度も申請には準備が必要で、タイミングを逃すと活用できないケースもあります。

「使えそうな制度はあるか」「申請のタイミングはいつか」——開業を具体的に考え始めたら、ぜひ一度調べてみてください。
知っている制度が増えるほど、資金計画の選択肢も広がります。

執筆:広瀬 よしの(看護師ライター)
編集:米沢 まさこ(看護師ライター)


監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)
株式会社UPDATE代表取締役
小瀬文彰さん
2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。
ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。
 
現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。
そのほか、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。
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