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元気をもらえるエピソード【つたえたい訪問看護の話】第2回vol04

元気をもらえるエピソード【つたえたい訪問看護の話】

訪問看護の現場では、疾患や障害などがある中でも懸命に前向きに生きる利用者さんがたくさんいます。「みんなの訪問看護アワード2024」に投稿されたエピソードから、利用者さんの前向きな姿勢に力を分けてもらえるエピソードをご紹介します。

「大切なご家族に会いながらの長距離移動」

医療的なケアが必要な方にとって、長距離移動は大きな負担を伴います。今回ご紹介するのは、九州の病院から都内の施設へ移動された80代女性のエピソードです。看護師が付き添いながら移動を支え、ご家族の「安心して新しい生活を迎えてほしい」という思いをつないだ支援の記録です。

弊社は民間救急や移動支援の事業を行っている会社です。今回の事例のA様は80代の女性で、肝不全や心不全、認知症を患われており、九州のとある山間部の病院に入院中の方でした。
ある日、長男様より、A様を都内の施設に移動したいが、看護師の付き添いをお願いしたいとのご依頼をいただきました。
状況をお聞きすると、認知症がかなり進行しており、体力的にも弱ってきていたため、移動するなら早いタイミングが良いと考え、ご依頼されたとのことでした。
移動に先立ち、入院中の病院との打ち合わせ、新幹線の手配、現地で対応する看護師との打ち合わせを行いました。当日、移動を開始しましたが、新幹線内で利用者様がせん妄を起こしたため、看護師が息子様にお電話をお繋ぎしました。その後、精神安定剤を内服されたところ落ち着かれました。途中、関西で1泊され、ご親戚にもお会いになることができました。施設到着後はお疲れの中、笑顔でご入所されました。

2023年12月投稿

「『あした』の使者」

落ち込みやすかった利用者さんが、ある日突然、驚くほど明るい笑顔を見せてくれました。その変化のきっかけは、散歩中に出会った“見知らぬ女性”の何気ない言葉。「“あした”を大切にしている」という言葉に込められた前向きな想いが、Oさんの心を少しずつ変えていきました。

下肢リンパ浮腫があり、落ち込みやすい性格のOさん。ある日訪問するとものすごく明るい笑顔にびっくり!思わず「何かあったんですか?」と聞くと、こんな話を聞かせてくれました。
「外に散歩に出かけたら、近所で見かけないおばさんから急に声をかけられたの。その人も病気で辛い思いをたくさんしたと話していたけれど、とてもハツラツとしていて、『その元気の源は何ですか?』と聞くと『私は“あした”を意識しているんだ』って」
「“あした”は頭文字になっていて『“あ”は歩く、“し”は喋る、“た”は食べる。毎日この“あした”を頑張ることがより良い“明日”に繋がるんだ』って話していたの」
そう話したあと、「あれはきっと、落ち込んでいる私に神様が遣わせた使者だったのよ!」と真剣に話すOさんが忘れられません。そして今では私が“あしたの使者”となり、利用者さんに“あした”のお話をしています。もしかしたらOさんが出会った“あしたの使者”は未来の私だったのかもしれません。

2023年11月投稿

利用者さんの前向きな姿勢や人生の歩みは、関わる訪問看護師だけではなく読者にまで元気や力を与えてくれます。あらためて、訪問看護師と利用者さんの関係は共鳴するのだと考えさせられます。

編集: NsPace編集部

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