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在宅治験で活躍が期待されている訪問看護師

訪問看護師は保険外のサービスを提供することもあります。このシリーズでは、そんな保険外サービスとして、在宅治験と自費訪問看護を取り上げます。今回は、在宅治験の紹介です。治験といえば、通院や入院が必要なものでしたが、近年、在宅治験という言葉を目にする機会が増えました。ここに、訪問看護師の活躍が期待されています。 治験とは 医療機関で勤務していると、「治験」にかかわる機会もあると思います。 治験とは、「新薬の候補」を、実際に人に投与して行う臨床試験のことです。厚生労働省の承認を受ける前の、新薬開発の最終段階で行われるもので、健康な人や患者さんに協力していただき、人での効果と安全性を調べるのです。 治験は病院で行われますが、・医療設備が十分に整っていること・責任を持って治験を実施する医師・看護師・薬剤師等が揃っていること・治験の内容を審査する委員会を利用できること・緊急の場合には、ただちに必要な治療・処置が行えることという要件を満たす必要があります。 在宅治験がクローズアップされている背景 病院で行われる治験では、被験者(治験に協力する健康な人や患者さん)は、病院に行く必要がありますし、場合によっては入院も必要になります。 そのため、被験者を見つけることが困難なケースもありますし、治験がなかなか進まないケースもあるのです。さらにコロナ禍では、治験のために通院することや、院内で行われる対面での説明や手続きなどでの、感染リスクも問題になります。 これらのことから、厚生労働省では、被験者の来院に依存しない治験(分散化臨床試験:DCT)を国内で実施できるよう、規制の整備を進めています。 もちろん、医療体制が十分整った環境で、医師・看護師・薬剤師等が責任を持って行うという基本は変わりません。そのうえで、被験者がオンラインで説明を受けることができ、病院に行かず在宅で治験参加ができる、そんなしくみを導入しようとしているのです。 訪問看護師の活躍が期待されている ここで期待されているのが訪問看護師です。 病院で行われる治験と同様に、在宅でも、治験に必要な採血や検査が必要です。被験者の自宅などに伺って、医療行為を行い、健康観察を行うことが必要ということです。これは訪問看護師が、日ごろ行っていることです。 そして、前述の「緊急の場合には、ただちに必要な治療・処置が行えること」という要件ですが、これも、日ごろ一人で患者さん宅を訪問している訪問看護師は日常的に行っていることです。もちろん、在宅ですから病院のようにすべての医療機器が整っているわけではありませんが、訪問看護では診療所や病院の医療者と連携しながら「緊急時の対応」を行っています。この対応力にも期待されているのです。 現在検討されている在宅治験の流れ 在宅治験で訪問看護師を活用するためには、まだまだ規制の緩和が必要ですが、その検討も進められています。 在宅治験の考えかたとしては、被験者宅を、治験医療機関の病室の一つとして位置付けるようなイメージです。訪問看護ステーションで治験のすべてを行うわけではありません。被験者への説明などは治験医療機関の医師が行います。そして治験に必要な治験薬や検査機器は治験会社が準備をします。 訪問看護師は、治験医療機関の医師からの指示で被験者宅を訪問して、投薬や採血、検査や経過観察などを行い、その結果を治験医療機関の医師に報告するという流れになることが想定されています。治験薬を事前に被験者宅に届けておくことなども検討されているようですが、今のところ、訪問前に治験医療機関に治験薬を取りに行くことになるようです。 在宅治験による可能性 在宅治験は、被験者に対しては、来院など治験参加の負担を減らすことで、参加機会を提供できることになります。 治験依頼者は、より短期間で被験者を集積できるため、コスト削減や治験実施期間の短縮につながる可能性があります。 そして、訪問看護師にとっては地域の医療機関との連携強化になりますし、新たな働き方の一つになる可能性もあります。 本格的な導入はまだまだこれからですが、機会があればぜひチャレンジしてみましょう。 記事編集:株式会社メディカ出版

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【NsPaceピックアップニュース】訪問看護財団、新型コロナウイルス感染症自宅療養者への訪問看護師による対応マニュアルを無料公開

公益財団法人 日本訪問看護財団は『新版 新型コロナウイルス感染症自宅療養者への訪問看護師による対応マニュアル2022.3.1版』を公開します。 日本訪問看護財団 新型コロナウイルス感染症対策のお知らせ 自宅療養者支援を行う訪問看護師のために 本マニュアルは「Yahoo!基金」寄付事業を受け作成されたもので、今後、全国の訪問看護ステーションに無償配布されます。訪問看護師による自宅療養者へのフォローアップや主治医の指示で訪問看護を行ううえで、適切に安全に安心してかかわることができるようにとの目的で作成されたものです。日本訪問看護財団の公式ホームページでも無料で閲覧・ダウンロードが可能になっています。イラストやチェックリスト、Q&Aが盛り込まれ、自宅療養者の支援に役立つ内容となっていますのでぜひご一読ください。 ■参考情報【公益財団法人日本訪問看護財団について】公益財団法人日本訪問看護財団は2012年4月1日より公益財団法人化された組織です。 所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目8番2号 日本看護協会ビル5階代表者:理事長  清水 嘉与子 記事編集:NsPace

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【セミナーレポート】訪問看護ステーションの採用から定着戦略 ~いい人材を集め、強い組織にするためには~

2022年2月18日、NsPace(ナースペース)のオンラインセミナー「訪問看護ステーションの採用から定着戦略」を開催しました。講師にお迎えしたのは、桜新町アーバンクリニックチームの事務長で、主に医療機関に向けてコンサルティングを行う株式会社メディヴァのシニアマネージャーでもある村上 典由さん。看護師の採用と定着で成果を収める村上さんに、心構えや実践的なノウハウを伺いました。 【講師】村上 典由さん桜新町アーバンクリニックチーム 事務長、株式会社メディヴァ シニアマネージャー、国際医療福祉大学 非常勤講師。経歴:広告代理店や飲食店事業会社 副社長を経て、株式会社メディヴァ入社。桜新町アーバンクリニックチームでは事務長を務め、看護師採用や育成に取り組む。著書に「在宅医療 経営・実践テキスト」(日経ヘルスケア)など。 目次▶ 今、看護師の離職率は▶ これからは病棟で働く看護師へのアプローチも重要▶ 積極的に採用すべき「いい人材」とは?▶ 「いい人材」を集めるために今日からできること▶ 従来の選考を見直し、応募者をより正確に知ることが採用成功のカギ▶ 強い組織にするために、思考の軸を見直しEVPを増やそう ▶ 今、看護師の離職率は 公益社団法人日本看護協会が行った「2019 年 病院看護実態調査」によると、『病棟勤務の正規雇用看護師の平均離職率』は「11.5%」。まずこれを基準に、ご自身の組織が今どんな状態か判断するといいと思います。スタッフの離職は、経営に大きな打撃を与えます。紹介会社を利用した場合、看護師ひとりにかかる平均コストは約92万円。これに教育への投資なども含めれば、一人が辞めることの損失はとても大きい金額になります。加えて、組織の雰囲気の悪化など、金額換算できないダメージも看過できません。 ▶ これからは病棟で働く看護師へのアプローチも重要 日本は国策として、今後さらなる病床の削減と在宅医療の推進を目指しています。これに伴い訪問看護師の数を増やす必要があり、2025年には東京や大阪を中心とした都市部で、その数が大きく不足することが見込まれています。国が掲げる目標を実現できるか否かは、「受け皿が整うかどうか」にかかっていると言えるでしょう。一事業所が病院勤務の看護師をどれだけ訪問看護に呼べるかで、地域包括ケアの未来が左右されると考えています。 ▶ 積極的に採用すべき「いい人材」とは? そもそも、積極的に採用すべき「いい人材」や「適切な人材」とはどんな人でしょうか。私は「スキルが高い即戦力になる人」ではなく、「主体性や創造性、情熱がある人」と考えています。人の能力には、変化しやすいものとそうでないものがあります。例えば、知識やコミュニケーション力は、教育で変えられるもの。一方、情熱や粘り強さなどは変化しにくいとされています。面接ではスキルや経歴、コミュニケーション力を見がちですが、それらは最も重視すべき点ではありません。加えて、組織のカルチャーにマッチするかどうかも確認したい点。スキルが高くても、カルチャーに合わないと定着しないリスクが高くなります。そうしてチームに溶け込める「主体性や創造性、情熱がある人」が集まれば、自ずと組織がいい方向に変化していきます。 ▶ 「いい人材」を集めるために今日からできること 事業成功の肝は、「いい人材」を採用し、定着させること。その第一歩が、広く応募者を募ることです。具体的な方法としては、紹介会社や有料求人媒体など、「Push型」の広告を採用しましょう。自社の採用サイトに求人情報を掲載するだけ「Pull型」では、現状採用に悩んでいる訪問看護ステーションはまずうまくいきません。そして、併せて取り組みたいのが、採用パンフレットの作成。これをつくると、組織の特徴や強みを明確にでき、求職者にきちんと情報を届けられるようになります。そのほかの求人媒体でのアピールも容易になるでしょう。 ▶ 従来の選考を見直し、応募者をより正確に知ることが採用成功のカギ 人材を選ぶ際には、面接だけでなく、看護の現場で応募者のスキルを確認しましょう。同行見学してもらったり、カンファレンスに参加してもらって意見や感想を聞いたりすれば、面接では得られない情報を引き出せます。事務スタッフの採用も、簡単な文書作成や給与計算に取り組んでもらうのがおすすめです。 また、面接は応募者の適性やスキルなどをより正確に評価できる「構造化面接」を実践してみてください。構造化面接とは、評価基準を明確にしたうえで、決められた質問に沿って事実を確認していく面接です。面接官の主観が影響しにくく、より客観的な情報を得られます。当事業所では、今退職を考えている理由、応募の決め手などの情報をくまなく拾います。そこから、組織のなかでどんな役割を担うことが多いか、自分が入職することで当事業所にどんな影響があるかなど、深掘りする質問をしています。 なお、面接は「応募者から選んでもらうための場」「応募者を口説く場」でもあることも忘れてはいけません。採りたい人材の面接にはエース級の人材を同席させる、「あなたに来てほしい」ときちんと伝えるなどの工夫をしましょう。 ▶ 強い組織にするために、思考の軸を見直しEVPを増やそう いい人材が集まる組織であるには、リーダーの素質が問われます。ポイントは、思考の軸を「なにをするか(what)」ではなく「なんのためにするか(why)」に据えることです。例えば、「病や障害がある人も生きやすい社会にするため、よりよい在宅医療の実現を目指す。それにはまず、スタッフがイキイキと働き、学べる職場をつくりたい」と考える、といった具合。リーダーには、思考でも人への発信でも、目的からスタートすることが求められます。 また、「この事業所で働きたい」「この事業所でないとだめ」と感じてもらえる要素(EVP:従業員への価値の提案)をできるだけ多くつくることを目指しましょう。例えば当事業所には、クリニックを併設していたり、非営利の地域活動をしていたりといったEVPがあります。「自分たちには特長がない」という方もいるかもしれませんが、在籍するスタッフの質や職場の雰囲気のよさ、勤務時間の自由度も、重要なEVPのひとつです。優秀な人材にとってレベルの高い環境で働くことは満足感につながります。ぜひ組織の改善に取り組み、人が集まり、定着する組織を目指してください。 記事編集:YOSCA医療・ヘルスケア

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訪問看護関連の「ここがポイント!」/令和4年度 診療報酬改定・決定版 後編

令和4年度診療報酬改定の具体的な内容が確定しました。このシリーズでは、訪問看護関連の改定項目のうち、主に訪問看護ステーションの運営や収益に関わるポイントを解説します。(2022年3月15日現在) 【目次】[ポイント1] 専門性の高い訪問看護師の専門的な管理に対する「専門管理加算」の新設 [ポイント2] 同行訪問する専門性の高い看護師に特定行為研修修了看護師が追加[ポイント3] 訪問看護師が特定行為を行う際に医師が「手順書」を交付した場合の「手順書加算」新設[ポイント4] 医療ニーズの高い利用者にメリット-複数名訪問看護加算で看護補助者が同行する場合に看護師等が含まれる[ポイント5] 看取りニーズへの対応-退院日に行ったターミナルケアの指導も加算要件[ポイント6] 訪問看護師がICTを活用して医師の看取り支援を行った場合の「遠隔死亡診断補助加算」新設[ポイント7] 医療ニーズの高い退院患者への長時間の退院支援指導の評価[ポイント8] 理学療法士が行う訪問リハビリテーションの報告が厳密に-訪問看護指示書に実施時間と頻度を明記[ポイント9] 事務手続きの簡素化-難病等の利用者への複数回訪問看護において評価区分の統合 【関連URL】・令和4年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000920430.pdf・令和4年度診療報酬改定についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html 【告示・通知】・厚生労働省令第32号「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の一部を改正する省令」・保発0304号 令和4年3月4日 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」の一部改正について・保発0304第3号 令和4年3月4日 「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」・保医発0304第4号 令和4年3月4日 「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」・厚生労働省告示第59号「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件」 令和4年3月4日 ・厚生労働省告示第60号「訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件」 令和4年3月4日 [ポイント1] 専門性の高い訪問看護師の専門的な管理に対する「専門管理加算」の新設  訪問看護ステーションに配置されている専門の研修を受けた「専門性の高い看護師」が訪問看護を行い、利用者の病態に応じた高度なケアおよび計画的な管理を実施した場合の評価として「専門管理加算」が新設され、月1回に限り所定額に2,500円が加算されます。 「専門性の高い看護師」とは、がん看護領域(緩和ケア、がん性疼痛看護、がん化学療法看護、乳がん看護、がん放射線療法看護)の認定看護師とがん看護専門看護師、および皮膚・排泄ケア認定看護師、ならびに特定行為研修を修了した看護師です。特定行為研修を修了した看護師が特定行為を行う場合は、「手順書加算(後述)」を算定する利用者が対象になります。 在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料においても同様です。 専門管理加算 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p28より引用 [ポイント2] 同行訪問する専門性の高い看護師に特定行為研修修了看護師が追加 専門性の高い看護師による同行訪問を評価する「訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)」の施設基準にある「褥瘡に係る専門の研修」に、「特定行為研修(創傷管理関連)」が追加されました。 国は特定行為研修の推進を強力に進めており、ここでも「特定行為研修を修了した看護師」にインセンティブが与えられた形です。今回の改定では、精神科リエゾンチーム加算、栄養サポートチーム加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、呼吸ケアチーム加算の要件として履修が必要とされる研修の種類にも特定行為研修が追加されました。 「在宅患者訪問看護・指導料」の3、および「同一建物居住者訪問看護・指導料」の3についても同様です。 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p28より引用 [ポイント3] 訪問看護師が特定行為を行う際に医師が「手順書」を交付した場合の「手順書加算」新設 訪問看護師が特定行為を行う際の医師の「手順書」交付に「手順書加算」が新設されました。 訪問看護ステーションの特定行為研修を修了した看護師が「特定行為」を行う際には、保険医療機関の医師が診療に基づいて特定行為の必要性を認めることが前提となります。 特定行為は、下記のように訪問看護において専門の管理を必要とするものに限られます。 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p29より引用 [ポイント4] 医療ニーズの高い利用者にメリット-複数名訪問看護加算で看護補助者が同行する場合に看護師等が含まれる 複数名訪問看護加算で看護補助者が同行する場合に、看護師等が同行する場合も含めることになりました。 「複数名訪問看護加算」は、複数名で訪問看護を行う必要がある利用者に対して、同時に複数の看護師等による訪問看護を行った場合に算定できる加算です。「複数の看護師等」が同時に訪問を行う場合と「看護師等と看護補助者」が訪問する場合で、回数制限も算定額も違います。 これまでは看護補助者の同行では、「看護職員が看護補助者と同時に指定訪問看護を行う場合に限る。」とされていました。今回の改定では「看護補助者」が「その他職員(看護師等または看護補助者)」と変わり、看護師等が同行する場合も算定可能になりました。看護師等が複数で同時訪問する必要性の高い医療的ニーズの高い利用者にはメリットになります。 在宅患者訪問看護・指導料の注7及び同一建物居住者訪問看護・指導料の注4に規定する複数名訪問看護・指導加算も同様です。 複数名訪問看護加算の見直し https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p25より引用 [ポイント5] 看取りニーズへの対応-退院日に行ったターミナルケアの指導も加算要件 退院日に行ったターミナルケアに係る指導も「訪問看護ターミナルケア療養費」の要件として認められるようになりました。 「訪問看護ターミナルケア療養費」の算定にあたっては、利用者の死亡日とその前14日以内に2回以上の指定訪問看護を実施することとなっています。 これまでは、退院日の訪問は訪問看護基本療養費の算定ができなかったため、利用者が退院日かその翌日に亡くなった場合は、「訪問看護ターミナルケア療養費」は算定できませんでした。しかし、ターミナル期の利用者は退院直後に死亡することも多く退院日に訪問看護師がケアを行うことが多いため、指定訪問看護に「退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導を含む」と変更されました。 1回を退院支援指導加算とする場合には、退院日にターミナルケアに係る療養上必要な指導を行っていることが必要です。 訪問看護ターミナルケア療養費の見直し https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p32より引用 [ポイント6] 訪問看護師がICTを活用して医師の看取り支援を行った場合の「遠隔死亡診断補助加算」新設 訪問看護ステーションに配置されている「情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修」を受けた看護師が主治医の指示に基づいてICTを活用して、医師の死亡診断の補助を行う場合に、「遠隔死亡診断補助加算」として、1,500円が所定額に加算されます。 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p34をもとに作成研修を受けた看護師が主治医の指示に基づき、ICTを活用し、医師の死亡診断の補助を行う 遠隔死亡診断補助加算 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p34より引用 [ポイント7] 医療ニーズの高い退院患者への長時間の退院支援指導の評価 退院日に看護師等が長時間にわたる退院支援指導を行った場合、退院支援指導加算として8,400円加算されることになりました。 「退院支援指導加算」は、退院時に訪問看護ステーションの看護師等が、退院する医療機関以外の場で、退院時に療養上必要な指導を行った場合に算定されます。訪問看護管理療養費は、退院日の翌日以降初日の指定訪問看護実施日に6,000円加算されるというものです。今回、医療的ニーズの高い利用者に対しては長時間の退院支援指導を行っている実態を反映した見直しとなりました。 退院支援指導加算の見直し https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p31より引用 [ポイント8] 理学療法士が行う訪問リハビリテーションの報告が厳密に-訪問看護指示書に実施時間と頻度を明記 医療的ニーズの高い利用者に対する理学療法士による訪問看護が適切に提供されるように、訪問看護指示書の記載方法が変更になりました。 具体的には、理学療法士等が訪問看護の一環として行う訪問リハビリテーションの「時間」と「実施頻度」を訪問看護指示書に記載することになりました。 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p26より引用 [ポイント9] 事務手続きの簡素化-難病等の利用者への複数回訪問看護において評価区分の統合 難病等複数回訪問加算において、同一建物内の利用者の人数に応じた評価区分の加算について、同じ金額の評価区分を統合することになりました。 「難病等複数回訪問加算」は、難病等の利用者に対して必要に応じて1日に2回または3回以上の指定訪問看護を行った場合に算定でき、回数によって算定額が変わります。同一建物居住者に対しては複数回・複数名の訪問看護に対しては減算になるようになっています。今回の見直しにより、事務手続きの簡素化が図られました。 記事編集:株式会社照林社

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訪問看護関連の「ここがポイント!」/令和4年度 診療報酬改定・決定版 前編

令和4年度診療報酬改定の具体的な内容が確定しました。このシリーズでは、訪問看護関連の改定項目のうち、主に訪問看護ステーションの運営や収益に関わるポイントを解説します。(2022年3月15日現在) 【目次】[ポイント1]  訪問看護ステーションに、新たに業務継続計画(BCP)の策定と職員の研修・訓練の実施が義務づけられた[ポイント2]  複数の訪問看護ステーションによる24時間対応体制加算で、地域の連携体制に参画していることが必要になった[ポイント3]  機能強化型訪問看護ステーションで、地域で暮らす利用者をバックアップする役割が強化―訪問看護人材の育成や住民への情報提供・相談対応などの追加[ポイント4]  訪問看護ステーションと自治体・学校等との連携の強化-訪問看護情報提供療養費の見直し 【関連URL】・令和4年度診療報酬改定の概要 在宅(在宅医療、訪問看護)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000920430.pdf・令和4年度診療報酬改定についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html 【告示・通知】・厚生労働省令第32号「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の一部を改正する省令」・保発0304号 令和4年3月4日 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」の一部改正について・保発0304第3号 令和4年3月4日 「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」・保医発0304第4号 令和4年3月4日 「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」・厚生労働省告示第59号「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件」 令和4年3月4日 ・厚生労働省告示第60号「訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件」 令和4年3月4日 [ポイント1] 訪問看護ステーションに、新たに業務継続計画(BCP)の策定と職員の研修・訓練の実施が義務づけられた 訪問看護ステーションに業務継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の策定が義務づけられました。感染症や非常災害が発生した場合でも必要な訪問看護サービスを継続的に提供するため、そして非常時の体制で早期の業務再開を図るためです。業務継続計画の定期的な見直し、必要に応じた変更も義務化されました。さらに、業務継続計画は職員(看護師等)にしっかりと周知し、必要な研修・訓練を定期的に実施しなければなりません。ただし、令和6年3月31日までは努力義務とされる経過措置がとられています。 業務継続に向けた取組強化の推進 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p20より引用 ○業務継続計画の具体的な項目1)感染症に係る業務継続計画①平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取り組みの実施、備蓄品の確保等) ②初動対応 ③感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)2)災害に係る業務継続計画①平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等) ②緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等) ③他施設及び地域との連携○研修・訓練1)研修:平常時の対応の必要性や緊急時の対応に係る理解の励行。定期的(年1回以上)教育を開催し、研修の実施内容を記録する2)訓練(シミュレーション):感染症・災害発生時に迅速に行動できるよう、事業所内の役割分担の確認、実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)実施 保発0304号 令和4年3月4日 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」の一部改正について.4-(17)-②イ,ロより引用 [ポイント2] 複数の訪問看護ステーションによる24時間対応体制加算で、地域の連携体制に参画していることが必要になった 複数の訪問看護ステーションが24時間対応体制加算を取るためには、業務継続計画(BCP)を策定したうえで自然災害等の発生に備えた地域の相互支援ネットワークに参画することが追加されました。 24時間対応体制加算は、必要時に緊急時訪問看護を行うことに加えて営業時間外の利用者・家族等との電話連絡や指導等の対応を評価するものです。複数の訪問看護ステーションが連携して24時間対応できる場合の算定要件として、従来は①離島・山間部などに所在する訪問看護ステーション、②医療を提供しているが医療資源の少ない地域に所在する訪問看護ステーションであることが要件でしたが、今回新たに相互支援ネットワークの参画の要件が加わりました。相互支援ネットワークは、以下のように公的なネットワークであることがポイントです。 複数の訪問看護ステーションによる24時間対応体制の見直し https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p20より引用 [ポイント3] 機能強化型訪問看護ステーションで、地域で暮らす利用者をバックアップする役割が強化―訪問看護人材の育成や住民への情報提供・相談対応などの追加 「機能強化型1」「機能強化型2」では、地域の保険医療機関や他の訪問看護ステーション、または地域住民に対する研修や相談への対応実績があることが必須条件とされました。機能強化型訪問看護ステーションは「機能強化型1」「機能強化型2」「機能強化型3」の3型があり、それぞれ看護職員数、受け入れる重症度の高い利用者数、ターミナルケアや重症児の受け入れ等で違いがあります。 また、評価の見直しも行われ、算定額は「機能強化型訪問看護管理療養費1」が12,830円、「機能強化型訪問看護管理療養費2」が9,800円となりました。 さらに、専門の研修を受けた看護師が配置されていることが望ましいという項目が追加されました。そして、この看護師が専門的な知識および技術に応じて、質の高い在宅医療や訪問看護の提供の推進に資する研修等を実施していることが望ましい、とされました。 機能強化型訪問看護療養費の見直し https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p21より引用 機能強化型訪問看護管理療養費1から3までについて、専門の研修を受けた看護師が配置されていることが望ましいこととして、要件に追加する。 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p21より引用 機能強化型訪問看護ステーションの要件等 ※変更点を【赤字】で示したhttps://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p22から抜粋 [ポイント4] 訪問看護ステーションと自治体・学校等との連携の強化-訪問看護情報提供療養費の見直し 訪問看護にかかわる関係機関との連携強化として、情報提供先の範囲が広がりました。訪問看護情報提供療養費1は、訪問看護ステーションと市町村・都道府県の実施する保健福祉サービスとの連携を図るものですが、情報提供先に指定特定相談支援事業者と指定障害児相談支援事業者が追加され、対象が15歳未満の小児から18歳未満の児童となりました。 訪問看護情報提供療養費2は、訪問看護ステーションの利用者が通園・通学するにあたって、訪問看護ステーションと学校等の連携を推進するものです。今回その情報提供先に高等学校が追加され、対象年齢が15歳未満から18歳未満になりました。これによって、医療的ケア児に対する訪問看護が強化されたといえます。 訪問看護情報提供療養費1の変更点 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p23より引用 訪問看護情報提供療養費2の変更点 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906916.pdf  p21より引用 記事編集:株式会社照林社

インタビュー

ソーシャルワーカーが地域での受け入れ体制を支援

精神科訪問看護に特化して運営しているN・フィールド。実際のサービス提供は、一般の訪問看護とどう違うのだろう。今回は同社の看護師・中村創さんと、精神保健福祉士・谷所敦史さんに、現場で感じる感覚について語っていただきました。(以下敬称略) お話中村 創 株式会社N・フィールド 看護師谷所 敦史 株式会社N・フィールド 精神保健福祉士 精神科病院ができることには限界がある [中村]精神科病院を受診する患者数は、年々増加しています。2002年には約224万人だった外来患者数は、2017年には約389万人まで増加(注1)。現在は400万人を超えているのではといわれています。 一方で、指定訪問看護ステーション数は、2021年6月現在、全国で約1万3000拠点(注2)。患者数に比べて圧倒的に少ないうえ、すべてのステーションが精神科訪問看護に対応しているわけではありません。 この圧倒的な数の不足が、訪問看護、なかでも精神科訪問看護の難しさだと思います。しかしだからこそ、これからどんどん変化が出てくるところにやりがいを感じています。 訪問看護に注力すると、病棟で看護していたときより、患者さんの変化に気づくことができるようになります。それを目の当たりにした看護師もまた変わっていきます。 精神科訪問看護はまだ試行錯誤のなかにあると思いますが、そういう相互作用の繰り返しが変革をもたらすところに、やりがいも、おもしろさもあると思っています。 [谷所]私は触法障がい者(注3)を支援する病棟で勤務していた経験があるのですが、そういう方たちの退院を支援するには、地域とのつながりが必須となります。しかし病院では、できることに限界があります。だから私は地域で活動したいと考え、N・フィールドに入社しました。 現実には、訪問看護ステーションに勤務するソーシャルワーカーはまだまだ少数です。しかしだからこそ、この先、もっと道がひらけていくと考えています。 10年、20年入院している方を病院が退院させるのが難しいなら、地域のほうで働きかけ病院から外に出ていただこうと思っていて。「私たちが地域で支えていくので退院させてください」と言えたらいいですよね。 地域の理解が社会復帰の潤滑油に [谷所]地域での受け入れ体制を整備するため、N・フィールドでは「住宅支援サービス」も行っています。 「住宅支援サービス」とは、精神疾患があるなどさまざまな理由によって、地域での住居探しが困難な人に住居を見つけ、入居後も訪問看護師と連携しながら生活をサポートしていくサービスです。 このサービスも含め、国の政策の一つでもある長期入院の解消を進めるにはどういう活動ができるかを考えていく。そこが面白いのです。社会的入院からの社会復帰は以前よりは増えてきていますが、まだ十分とはいえませんから。 [中村]そこには、地域での精神疾患のある人への理解度が大きく影響していると思います。 ある町内会では、地域の清掃活動に精神科の外来患者さんも加わり、住民と一緒に清掃をしています。清掃が終われば、住民が精神疾患のある人にもごく自然に「参加してくれてありがとう」と声を掛けてくれる。そういう地域と、人里離れた山の上に精神科病院があって精神疾患のある人と出会ったこともない地域とでは、精神疾患に対する受け止めはまったく違います。 ソーシャルワーカーがいることの意味 [谷所]地域で何か事件を起こした人に精神科受診歴があると、それによっても空気が変わります。そうした報道があると、精神疾患がある人の地域復帰のハードルは一気に高くなってしまいます。 事件に至る人は非常に特異なケースです。しかし、そうした人も地域で支える何かがあれば違っていたのではないかと感じます。その「何か」の一つが、精神科訪問看護でありたい。 そういう意味で、地域でもっと訪問看護を知ってもらいたいですし、もっとうまく活用してほしい。地域で医療につながっていない方も、私たちソーシャルワーカーが動くことでつなげていければと考えています。 実際、保健所などからの依頼で、契約していない人の家に同行訪問することもあります。そうした社会貢献も当社のソーシャルワーカーの役割です。 ソーシャルワークに出会えていない人に支援を届けていくことで、訪問看護を知ってもらえますし、地域のメンタルヘルスケアにも貢献できます。全国規模の会社ですから、そこを丁寧にやっていきたいと考えています。 [中村]精神疾患を持ち、つらい思いをした時期があってもそこから立ち直り、しっかり生活できている。それを、医師や支援者ではなく、経験した本人が語るほうが、よほど説得力があります。北欧では、先行く先輩としてそうした人たちを「経験専門家」と呼んでいます。経験を語る場の提供に、当社もかかわれたらと考えています。 注1 厚生労働省.『精神疾患を有する外来患者数の推移(疾病別内訳)』『精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築のための手引き(2020年度版)』2021,5.注2 一般社団法人全国訪問看護事業協会.『令和3年度訪問看護ステーション数調査結果』注3 触法障がい者とは、法に触れる行為をしてしまった知的障がい者・精神障がい者をいいます。 記事編集:株式会社メディカ出版

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看護師を支援するICTと教育のしくみ

精神科訪問看護に特化して運営しているN・フィールド。多くのステーションが人材不足で悩むなか、24時間オンコールの廃止、残業なしなどの「働きやすさ」で注目を集めています。しかしそれだけではありません。人材育成やICTの活用などについて、取締役の郷田泰宏さんと看護師の中村創さん、精神保健福祉士の谷所敦史さんに語っていただきました。(以下敬称略) お話郷田 泰宏 株式会社N・フィールド 取締役中村 創 株式会社N・フィールド 看護師谷所 敦史 株式会社N・フィールド 精神保健福祉士 人材育成に独自の研修プログラムを整備 [郷田]N・フィールドでは、入社した看護師の教育研修のため、「教育専任部」を設置し、独自のマニュアルや研修プログラムに沿って、体系的な教育を行っています。前回お話しした、オンコール体制をとらない、18時までの勤務などもそうしたプログラムの一環です。 精神科経験のないスタッフには、入社後にまず、定められている3日間の「精神科訪問看護基本療養費算定要件研修」を受講してもらいます。その後、マニュアルや動画を使用した社内研修で、精神疾患や精神科訪問看護の知識を身につけたうえで、同行研修を実施します。経験の少ない看護師には、自信がつくまで2人ひと組の同行訪問でOJTを実施し、ひとり立ちできるよう育成しています。 AIを活用してアセスメントを可視化する 精神科医療は他の診療科に比べ、アセスメントや診断に科学的根拠を示しにくい領域です。精神科訪問看護においても、アセスメントは看護師一人一人の観察眼や感覚に頼るところが大きく、客観性や科学的根拠についての課題が指摘されていました。 そこで当社では2020年にアセスメントを可視化し、判断に科学的根拠を提供する看護支援システム「TWiNSS」を導入しました。 「TWiNSS」とは、看護師が訪問後に作成し、蓄積された日々の看護記録をAIが読み込み、記述されているキーワードの集積から、個々の利用者の症状の変化をグラフと点数で可視化するというものです。 「TWiNSS」はコミュニケーションを活発にする 利用者さんの心身の調子の「波」を可視化することで、入院のリスクを早めにキャッチでき、早期対応が可能になります。また、どのような治療や支援が有効であったか、これから必要になりそうかなどを、担当看護師とは違う視点からの情報が提供されるため、ステーション内のカンファレンスでの議論が活発になってきました。 ベテラン看護師でも、自分のアセスメントと異なる情報が「TWiNSS」から示されることがあります。それもまた意義があると私たちは考えています。 どちらのアセスメントがよい、ということではありません。アセスメントの違いをどう分析するのか。いろいろな可能性があるなかで、利用者さんにどのようなかかわりをするのか。そこに議論が生まれることで、ステーションとしての一体感が高まります。看護の「熱」を増すことにつながるコミュニケーションツールだと感じています。 もちろん、人がつくるこうしたシステムに完璧はありません。「TWiNSS」も、まだ改良の余地があると思っています。看護記録の様式や用語の統一など、これからさらに精度を上げていって、将来的には病院でも導入してもらえれば、退院時にスムーズに利用者さんの情報を在宅に引き継ぐことができます。 看護師の『肌感覚』ではつかめない異変をキャッチ [中村]「TWiNSS」を現場で活用していると、しばしばびっくりするぐらい的中することがあります。 支離滅裂な言動もなく、安定していたためノーチェックだった利用者さんがいました。ただ看護記録には、「『少し足が痛い』と言っている、せかせか歩いている」という記述がありました。そういった記録が増えた月の翌月初に、その方の入院リスク値が40%から70%にポーンと高くなったのです。 どうしたのだろうと思っていたら、その月に実際、入院されてしまいました。記録を丁寧に見直したら、せかせか歩いていたのは、近隣とちょっとしたトラブルがあって、不安から落ち着かなくなっていたからでした。結果的に、焦って歩いて転倒し、骨折してしまったのです。 看護師の肌感覚では「逸脱した精神症状はみられないので入院からは遠い」と思っていた人でしたが、これはまったく別の視点ですよね。なるほどそういうことだったのかと思いました。 ベテランスタッフが一人増えたような感覚 [谷所]私は、「TWiNSS」の導入はベテランのスタッフが増えたような感覚だと思っています。一人で利用者の家を訪れる訪問看護師は、十分な自信がないと「これで大丈夫だろうか」と不安になることがあります。利用者のわずかな異変に気づけるか気づけないかは、訪問した看護師しだいともいえるからです。 これまで異変を見出す感覚・視点は、精神科においては、職人芸的なものとして醸成されてきました。しかし、「TWiNSS」はそれを、「ここもちゃんと見てきた?」と、気づきにくかったところを補完する役割を果たしてくれます。 これからは「TWiNSS」のようなICTツールの活用によって、もっとアセスメントの客観的根拠を増やしていきたいと考えています。 記事編集:株式会社メディカ出版

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経営者が語る ─安定経営のワケ─

精神科訪問看護に特化して運営しているN・フィールドは、設立から17年で47都道府県に212拠点を展開しています。急成長の理由や、今なぜ精神科訪問看護なのかを、創業時から現在までの変遷をたどりながら取締役の郷田泰宏さんに語っていただきました。(以下敬称略) お話郷田 泰宏株式会社N・フィールド 取締役 患者さんの社会復帰を手助けする一助に [郷田]N・フィールドは2003年、看護師3人で、大阪で開業したのが始まりです。最初から精神科の訪問看護を目指していたわけではなく、たまたま精神科病院出身の看護師が創業者だったことから、これを強みとして出発しました。 精神科医療は長期入院の患者さんも多く、社会復帰、地域移行が進まないことが長年、問題視されていました。今でこそ、精神科の患者さんも「病院から地域へ」という流れができつつあり、地域的にも受け入られるようになりつつありますが、開業当時は、まだ長期入院が一般的でした。 社会資源をふまえた支援があれば退院できる人はいるのに――そんな問題意識を看護師たちが共有し、当社が精神科の訪問看護に特化したサービスを提供するようになったのは自然なことでした。 当初は、精神科訪問看護がどういうものか、教科書があるわけでもなく、皆手探りで手法を確立しようと必死でした。そのため、想い入れの強い多くのスタッフが疲弊し、一時は退職者が続いた時期がありました。その後、看護師の働きやすさや、やりがいを発揮できる環境を整備することに注力し、現在では離職率も大きく低減でき、事業展開に応じて多くの看護師採用を増やすことができる段階にあります。 精神科に対する社会の理解が大きく変化 現在、精神科の患者さんの社会復帰・地域移行の流れは強まっています。一方で、退院した利用者を在宅で支える訪問看護師は、今も不足しています。その理由の一つが、「精神科訪問看護は危険・難しい」イメージがあることです。 患者さんが、果物ナイフやガラス食器など危険物とみなされる生活用品を持ち込めない病院は、ある意味で「守られている安全な空間」です。一方、在宅では包丁やはさみなど、当たり前の生活道具であっても、使いかたによっては危険なものがいろいろあります。そうした生活の場で患者さんと看護師が向き合う精神科訪問看護は、安全ではないように感じられ、一人で訪問することに不安を感じる看護師が多いのかもしれません。 しかし実は、訪問時にこうした危険な事態はほとんど起こりません。むしろ在宅のほうが危険は少ないというのが、経験上の見立てです。 その理由の一つとして、入院形態から患者が余儀なく受けてしまうストレスが、生活空間である在宅では存在しないことが挙げられます。 精神科は、他の診療科と違い、医療保護や措置など、本人の同意を得ない入院形態があります。強制的に入院となり、行動を制限されることを納得できていない患者さんもいます。しかし、訪問看護は、自宅で暮らしている利用者さんの同意を得たうえで訪問します。そういう意味で、暴力など危険な事態が起こるリスクは一般的に低いと思われます。 全国に拠点をもち安定経営を続ける理由 こうした実態は、現在では看護師基礎教育課程でも伝えられ、精神科訪問看護へのイメージは、少しずつですが変わりつつあります。 多くの患者さんが在宅へ戻ってくる――しかし地域で患者さんを支える社会資源としての訪問看護ステーションは不足している――N・フィールドはそこに特化し、事業展開してきました。おかげさまで、全国に数多くの拠点を持ち、いわば社会的インフラとして事業展開するに至っています。その一環として、現在では訪問看護だけではなく、住む場所を提供する住宅支援の事業も展開しています。 拠点展開に応じた人材確保は今も課題です。N・フィールドでは、働きたいと希望される人へ、入社前に体験訪問を積極的に行っています。入社後のイメージギャップをできるだけ少なくし、早期離職を予防する取り組みです。 それに加えて、当社の勤務体制がワーク・ライフ・バランスの面で評価されている側面もあると思います。夜間勤務のある病院とは異なり、当社は基本的には9時から18時までの日勤帯の勤務です。訪問看護事業所の多くが採用している24時間のオンコール体制も、当社では採用していません。自分の時間を大切にする働きかたを目指す看護師や、子育て中で日中しか時間に余裕がない看護師からも、そうした働きやすさが受け入れられている面があると思います。 こうした、看護師の負荷をなるべく少なくする経営努力が、人材確保のうえで一つのアドバンテージになっているのかもしれません。 記事編集:株式会社メディカ出版

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