コミュニケーションに関する記事

インタビュー
2021年9月28日
2021年9月28日

介護者、看護師、そして三男の嫁として 亡き義母の「意思」に触れた日々

保健師として地域で活動後、難病患者の在宅療養者の支援を経験した榊原千秋さんは、地域でさまざまな人々が集い、出会い、語らう場として「ややのいえ」(石川県小松市)を開設。訪問看護ステーション、助産院なども併設しています。今回は、夫の母を介護した経験から、身内の「意思決定支援」で強く考えさせられた事例について語っていただきました。 認知症があっても自分で居場所を決めた義母 「意思決定支援」という言い方、実は私、好きじゃないんです。ひと言で言えるような単純なものではないですし、一方向から見た真実にしかならないと思うからです。また、本人が本当の意思を表明するとは限りません。 93歳の時に、転倒による腰椎圧迫骨折で入院して寝たきりになった義母も、私たち親族には本音を言いませんでした。でも、知人を連れてお見舞いに行ったとき、会話の中でポロリと「家に帰りたい」と言ったのです。これが義母のACP(アドバンス・ケア・プランニング)に取り組んでいく、大きなきっかけとなりました。 同居していた長男夫婦は、「家では看られない」と私に施設入所の相談がありました。長男夫婦に初孫が産まれたこともあり、ひとまず介護老人保健施設(老健)に移りました。その直後に長男の妻が交通事故で入院し、面会に行けなくなりました。そこで義母は、「自分は捨てられた」と思い、ストレスからガリガリに痩せてしまったのです。 地方都市では、今も、親の介護は長男の嫁がするもの、という考えかたが根強くあります。本来なら、三男の嫁である私は、義母の介護に対して発言権もありません。しかし老健に義母を見舞いに行った際、夫が「このままにしておいていいのか」と私に言ったのです。 そこで、「ややのいえ」について親戚中を説明してまわり、私が「ややのいえ」に義母を引き取り、ケアすることが了解されました。 「今したいことは何?」と聞くのが、私の考えるACPの始まりです。 「ややのいえ」をお試しで訪れた義母の答えは、「鳴門金時(さつまいもの品種)を植えたい」でした。畑にうねを作ると、痩せ細った姿で、植えかたを指導してくれました。 そうして何回か「ややのいえ」で過ごしてもらううち、義母は自分から「ここに置いてくれやの」と言いました。認知症があっても、義母はちゃんと自分で自分の身の置き所を決めたのです。 すごいな、と思いました。これで、私も「ややのいえ」でともに暮らしながら義母をみていく覚悟が決まりました。 「迷惑をかけるから」の言葉の裏にあった思い 「ややのいえ」で暮らすようになった義母に、「どうしたい?」と聞くと、返ってくる答えは決まって、「最期の日までほがらかに楽しくおらせてくれやの」でした。老健にいたころには出なかった言葉です。 義母の望みどおり、畑仕事をし、梅干を漬け、洗濯物をたたみ、繕い物をする。隣のかき氷屋のかき氷をペロリと一人前食べたり、晩御飯を食べたのを忘れて私と半分こしてどら焼きを食べたり、義母は「ややのいえ」で自由にのびのびと過ごしていました。 義母とは1年半、「ややのいえ」で暮らしました。それが中断したのは、私が腎臓結石の手術のために入院することになったからです。やむなく、義母にはショートステイへ。しかし、その2泊目、義母は急性出血性大腸炎で緊急入院しました。 3か月たっても義母は回復せず、“いわゆるACP”として、胃瘻にするか、高カロリー輸液のポートをつくるかを聞かれました。 ショートステイ入所前日まで、お寿司をペロリと食べていた義母です。VF(嚥下造影検査)をしてもらうと、回復の見込みはあると言われました。 それなら、一時的に胃瘻を造設して栄養を確保し、嚥下のリハビリをお願いしようと考えました。 退院の時期が来たとき、胃瘻になり、痩せこけた義母に聞きました。「『ややのいえ』に戻らない? 帰ろうよ」と。すると義母は、「千秋さんに迷惑をかけるから行けない」と言うのです。 「迷惑をかける」とは、三男の嫁である私が再び義母をみることになったら、兄弟間で“もめる”、という意味で言っているのだと、私にはわかりました。認知症があっても、義母はちゃんと状況を理解していたし、家族のことを考えていたのです。 結局、義母は療養型病院に転院し、そこで亡くなりました。 「意思決定」のとらえかたは 立場によってさまざま 義母のお通夜の席で、米寿祝いの時作った義母のライフヒストリーを聞き書きでつづった冊子とアルバムとともに思い出が語られました。皆、それを見ながら話しているのに、義母が「ややのいえ」で過ごした日々のことは、まったく話題に上りませんでした。長男夫婦は私が義母の介護をすることをよしとせず、施設への入所を望んでいたこともあったからだと思われます。 一方、義母方の親族が言った「母は幸せやったよ」の一言には救われました。それぞれの立場や考えによって、本人の「意思決定」を取り巻く事実のとらえかたはまるで違うのです。 専門職として数多くの看取りにかかわってきた私ですら、「ややのいえ」での義母との1年を親族に語れない状況や、その時の感情は、今も大きなトラウマとなっています。 このように「意思決定支援」にかかわる当事者は多岐にわたり、その登場人物ごとに真実があります。支援者は、まずそのことを十分に認識しておく必要があると思います。 ** 榊原千秋 コミュニティスペースややのいえ&とんとんひろば代表 訪問看護ステーションややのいえ統括所長 編集協力:株式会社メディカ出版

特集
2021年9月28日
2021年9月28日

第3回 計画的な人材採用と育成/[その3]「人材育成」のカギはコミュニケーション力アップ!

連載:働きやすい訪問看護ステーションにするための労務管理ABC 連載第3回目では[その1]~[その4]にわたり訪問看護ステーションにおける人材採用と育成について解説していきます。今回のテーマは“人材育成”です。今回はOJTやOFF-JTといった研修制度とともに、部下の育成に特化した対話形式のマネジメント手法である1on1ミーティングについてご紹介します。 ●ここがポイント!・新任訪問看護師の育成方法にはOJTとOFF-JTがある。・現場での指導だけでなく、その後もフォローと振り返りを促し次の成長につなげるしくみづくりが大切。・1on1ミーティングは、対話を通じて部下自らが問題解決の糸口を見つけ行動できるようにサポートする手法。 OJTとOFF-JT 新任訪問看護師の育成方法には、OFF-JT(Off the Job Training)による事業所外での基礎的な知識・技能の習得とともに、実際の仕事を通じて指導し知識・技術などを身に付けてもらい、担当ケースの難易度のレベルを徐々にあげるOJT(On the Job Training)があります。 さらに、OJTやOFF-JTで学んだ知識や技能を実践し、その結果について気づきや課題、改善点などを振り返るプロセスも育成の過程ではとても重要です。指導後のフォローも忘れずに、日常的に声かけし、振り返りを促し、次の成長につなげるしくみづくりが大切です。 例えば、OJTのしくみづくりに活用できるものとして、東京都福祉保健局のサイトで公表されている「訪問看護OJTマニュアル」と「評価シート」があります。▶東京都福祉保健局 訪問看護OJTマニュアル 「評価シート」をもとに訪問前に目標の意識づけを行い、訪問時に態度・行為全般を管理者がチェックし、訪問後に訪問内容全体の振り返りと次の目標設定を行います。お互いがOJTの状況を共有し、目標設定や振り返りに用いるコミュニケーションツールとして活用できます。 またこうした日々のOJTとは別に、新任訪問看護師以外の職員の人材育成を進めるうえで週1回あるいは月1回などのペースで「1on1ミーティング」と呼ばれる時間をもつことも効果があります。 1on1ミーティングとは 1on1ミーティング(以下、1on1とします)とは、部下と上司が1対1で行う対話のことをいいます。 上司が主体となって実施する業務管理や評価のための面談とは異なり、1on1の主体は部下です。部下のほうから仕事の悩みや問題などを上司に伝え、上司は一方的にアドバイスをするのではなく、問題解決に向けてどうしたらよいか部下と対等に意見を交わします。そして、対話を通じて部下自らが問題解決の糸口を見つけ行動できるようにサポートします。1on1は、職員1人ひとりが自律的な行動をとれるように、人材育成やパフォーマンスの向上を目的に、さまざまな企業で取り入れられています。 組織活動ではコミュニケーションをとることがとても重要です。これが不十分だと、報告や連絡、相談が滞り、お互いに何をしているのかわからなくなってしまいます。1on1では、仕事だけでなく、プライベートな話題も話します。部下とのコミュニケーション不足を解消するしくみとして、1on1を活用するのも1つの方法です。 1on1の進め方 事業所で1on1を導入するには、どのようにすればよいでしょうか。ここでは、1on1の進め方を4つのステップに沿って説明していきます。 Step1 信頼関係をつくる まずは日ごろからコミュニケーションを重ね、信頼関係をつくっておくことが大切です。信頼関係のないところで1on1を行っても、職員から本音を引き出すことは難しいでしょう。 普段の接し方や受け答えから、職員は上司がどのような人物か見ています。職員との関係性を築くためにどうしたらよいか考え、行動することが必要です。「私の話にしっかり耳を傾け、認めてくれる。信頼できる上司だ」と思ってもらえるように心がけます。 Step2 1on1を設定する  1on1を定期的なイベントとしてスケジュールに組み込みます。週に1回、最低でも月に1回の頻度で、1回あたり15~30分程度をめやすに実施します。直接会えない場合は、電話などで柔軟に対応し、短時間でもよいのでコミュニケーションの機会を設けるようにします。1on1は維持・継続することが大切です。 Step3 テーマを決める  テーマを決めずに1on1を始めると、時間がかかってしまいがちです。あらかじめ話すテーマを決めておき、質問事項や伝達事項をお互いに考えておくとよいでしょう。Step2で決めた実施時間を守るためにも効率的に進める工夫が必要です。 Step4 実施と記録  1on1では、部下の意見や考えをしっかり受け止め、認めることが大切です。また、「こういう問題を抱えているのではないか」「前回こう言っていたので今日はこれをアドバイスしよう」といった先読みや深読みはせず、先入観をもたずに、その場で部下が話すことに耳を傾けます。部下が安心して話せるような雰囲気をつくります。 そして、1on1の内容は共有できるように議事録を残すとよいでしょう。記録があれば認識の違いを避けることでき、振り返りにも活用できます。 質の高い1on1で人材育成を 1on1を定期的に行っていると、職員の成長や変化にすぐに気づくことができます。機動的に部下の行動計画をサポートすることができ、その結果として部下自身が自律的にスピーディかつ柔軟に目標達成に向けた行動をとれるようになります。 1on1は最初からスムーズに進むとは限りませんし、その効果はすぐにあらわれないかもしれません。しかし、1on1成功の秘訣は、継続・維持することです。回数を重ねるうちに信頼関係が深まるとともに、部下の実践能力が向上していきます。上司自身が成長する機会にもなるため、組織にとってプラスに働くことが期待できます。ぜひ質の高い1on1を取り入れ、職員の育成に取り組んでください。 ** 齋藤 暁株式会社ムトウ コンサルティング統括部 部長中小企業診断士・社会保険労務士・医業経営・医療労務コンサルタント 医業経営・医療労務専門コンサルタント。全国の医療機関を対象に、中小企業診断士と社会保険労務士のW資格で経営と労務の両面をサポート。 ▼株式会社ムトウ コンサルティング統括部https://www.wism-mutoh.jp/business/consulting/ 編集協力:株式会社照林社

特集
2021年9月21日
2021年9月21日

訪問看護あるある座談会 vol.6 移動中編

訪問看護の移動手段は何をご利用されていますか?暑い日も寒い日も雨の日も、自転車移動で訪問されている方も多いのではないでしょうか。今回も3人の訪問看護師さんにお集まりいただき、移動をテーマに訪問看護の「あるある」についてぶっちゃけトークをしてもらいました。 どう過ごす?訪問看護中の微妙な空き時間 みほ:このメンバーは3人とも自転車移動なんですよね。最近入った新人さんから「訪問移動中の5〜10分の微妙な空き時間、どうしてるんですか?」って聞かれて。 あい:私もそれ気になります。みんなどうしてるのかなって。 みほ:車移動だと車の中で待機できるじゃないですか。自転車だと、暑さをしのぐのにコンビニのイートインが便利なんですけど… ゆり:コロナでイートイン閉鎖してるところ、多いよね…  みほ:そうなんですよ。ここのコンビニにイートインコーナーがあるよって案内したら、新型コロナのせいでイートイン休止中でした… ゆり:外にいるのも暑いよね。イートインない時は、夏場だとアイス買ってコンビニの外の日陰見つけて食べたりしますね。最近はフラッペも売ってるから、熱中症にならないように顔とか首とか冷やして、溶かしながら飲んでいます。熱中症対策だと、干し梅も持ち歩いてますね。 あい:熱中症対策、大事ですよね。 ゆり:前の座談会(※夏対策編)でも話したけど、熱中症にかかるとつらいんですよね。暑くない時期だと、公園のベンチに座ってたり、自転車のサドルにタブレット置いて記録したりしてるかな。 あい:私もジュースとか買って、木陰や公園で休憩しながら記録してます。コンビニに寄って何か食べるほどの移動時間はあまりないので、ステーションの訪問の組み方とかにもよるのかもしれないですね。 ゆり:ステーションによっては移動時間を短く設定して、タイムロスないようにしているところもあるもんね。また食べ物の話になっちゃうけど、冬だとコーンスープとか肉まんとかで暖をとってるよ。 みほ:温まりますよね。隙間時間あると何かつまんじゃうので、病院から転職してきた看護師さんが、自転車移動だから痩せそうと思っていたけど結局合間で食べちゃって痩せない、って言ってました。 あい:私も痩なかったですね。夏の暑さで水分が出ていく感じはありますが。 ゆり:水飲むとトイレが心配になっちゃわない? あい:トイレのことも考えますね。次の訪問までの移動で「どこにトイレあったっけ」とか考えますね。 ゆり:そうそう。女性専用トイレがあるコンビニとか把握するようにしてます。 みほ:わかります。新人さんと同行しながら「ここのコンビニはトイレがきれいなのでおすすめ」とか教えますね。 あい:すごく詳しくなりますよね。笑 ササっと済ませる移動中の外ランチ みほ:外でランチすることとかありますか? ゆり:移動で事務所戻れない時は外で食べますね。食べるの早いほうなので、途中ラーメン屋さん入って、オーダーして3分くらいでラーメン出てきて、5分で食べて、出る、みたいな。すぐ出てくるところなら15分くらいで食べますね。 あい:すごい、私食べるの遅いのでできない…! ゆり:男性スタッフとか、牛丼屋でサッと食べる人とか結構いる気がする。 あい:たしかに、うちのところもそういう男性看護師さんいます。 みほ:ファーストフード店はすぐ出てくるので、よく寄りますね。時間もないしササッと食べちゃうんですが、早食いは体に良くないとは思ってます。 あい:みなさん早く食べて移動しているの、すごいですね。 みほ:しっかり休めればいいんですけど、移動時間がギリギリとか、緊急訪問が入ってバタついたりとかもあって。ゆっくり食べられる日はありがたいですね。 ゆり:忙しいときこそ、食べないと倒れちゃうからね。 移動中の急な雨、自転車移動どうしてる? みほ:突然の雨が多くて、かっぱも持ち歩いてるから、荷物多くなるんですよね。 ゆり:荷物が気になるんだったら、かっぱ以外に小さいポンチョをリュックに忍ばせるとか、雨よけのビニールの靴カバーを持ち歩くとかはおすすめ。ふくらはぎくらいまでの長さで、コンパクトにまとめられるんですよ。 あい:なるほど。いいですね。降りそうで降らない時に、何を履いていくか迷うんです。雨予報だけどまだ降ってないときに「なんとか大丈夫だろう」ってスニーカーで訪問行ったら、途中から降ってきて「ああ、長靴にしとけばよかった…」ってなります。 ゆり:しかも雨の日はマンホールとか点字ブロックで滑りますよね。 あい:みんな通る道ですよね。かっぱ着てレインバイザーするから、視界も悪くなって怖くないですか? みほ:わかります。怖いですよね。 ゆり:傘差し運転してる自転車とすれ違うのも怖い…。 あい:急な雨の日とか多いですよね。 ゆり:電動自転車、重いから避けるのが大変なんですよ。 あい:電動自転車、訪問看護で初めて乗ったんですけど、「えっ、重い!」ってびっくりしました。車道と歩道の溝の段差にハマって転びそうになったこともあって。訪問中に自転車で転ぶのも、みなさん1回はやってる気がします。 みほ:安全運転が一番ですね。 記事編集:NsPace

特集
2021年6月29日
2021年6月29日

訪問看護あるある座談会 vol.5 夏対策編

夏場の訪問看護は、汗だくになり、日焼けも気になりませんか?暑い環境の中でのケアはもちろん、自転車の場合は移動中も強い日差しにさらされます。熱中症になった経験のある方もいるのではないでしょうか。 今回も3人の訪問看護師さんにお集まりいただき、夏の暑さ、日焼け対策をテーマに訪問看護の「あるある」についてぶっちゃけトークをしてもらいました。 訪問看護の日焼け対策 ゆり:自転車移動は、とにかく日焼けがイヤだよね。シミにもなるし。汗もかいちゃうから、夏場はスッピンなんですよ。日焼け止め塗るくらいで。 みほ:たしかに、夏真っ盛りのときは化粧してもしかたないって思っちゃいます。 ゆり:1件訪問終わるともう顔なくなりません?笑 みほ:なくなります。笑 スッピンの方が日焼け止めもすぐ塗れていいかなって、スッピンで出勤することもザラです。 あい:うちのステーションも自転車移動で、移動はもちろんなんですけど、入浴介助も汗だくです。みんな化粧どうしてるんだろうって思っていました。休み時間にちゃんと化粧を直しているスタッフもいましたね。 ゆり:ウォータープルーフを使っている人もいますよね。カラーコントロールをしてくれる日焼け止めはおすすめです。スッピンでも安心。 みほ:マスクで蒸れて肌荒れしていた時期は、SPF50のフェイスパウダーがよかったです。日焼け対策効果もあるし、肌に優しくて。 ゆり:服装は、100円ショップの日除け手袋を付けて、冷感素材のパーカーを着る。それが一番焼けないですね。 あい:100円ショップにあるんですね、日除け手袋。 ゆり:薄手でメッシュのものがあるんですよ。 あい:へえ、いいですね! ゆり:アームカバーも使っていたんですけど、指先が日焼けしちゃって。皆さんはアームカバーしていますか? みほ:アームカバー使っていますね。でも移動に余裕がなくて「やばい、時間がない」ってなる時は結局しないんですよ。 あい:わかります!しかも汗かくと付けにくいんですよね。それがイヤで、今はパーカーだけですね。 訪問看護の熱中症対策 ゆり:仕事中に熱中症を経験すると、もうなりたくないなって思います。つらくて。 みほ:私も熱中症でダウンしてお休みもらったことがあって、申し訳なくて、同じ過ちを繰り返さないぞってなりました。 ゆり:そうそう、訪問にも穴を開けちゃうし、自分しか行ってないお家の訪問とか、日程変更しなきゃならなくて。利用者さんにも迷惑かけちゃうこともあるよね。 みほ:目から入ってくる日差しにやられたのもあって、サングラスを買ったら結構よかったです。疲労感が全然違いました。 あい:去年初めて訪問看護の夏を経験して、サングラスは使ってなかったんです。だけど、日差しが強くて前が見えなかったりして、あったほうがいいなとは思いました。 ゆり:サングラス、全然似合わないのが悩みです。でも背に腹はかえられぬという…。サングラスして、帽子かぶって、冷感素材のパーカー着て、マスクもして。不審者みたいになりますよね。笑 みほ:もうオシャレは関係ないですね…。 保冷剤や冷感グッズで暑さ対策 ゆり:お弁当用の保冷バックに、保冷剤を入れて持ち歩いています。大きい保冷剤と、小さい保冷剤5個くらい。タオルに巻いて首に当てたりして。溶けた保冷剤は大きい保冷剤にくっ付けておくと、また冷たくなるの。 あい:すごい!工夫ですね。 ゆり:暑すぎる時は、瞬間冷却材に救われたこともありますね。コンビニに売っていて、カシャンって割るとすぐ冷えるやつ。 みほ:カイロの逆番ですね。 ゆり:自転車の振動で割れちゃうことがあるから、必要な時にコンビニで買うのがいいよ。洋服のひんやりスプレーもよく使います。経口補水液も持ち歩きたいけど、これ以上訪問の荷物は増やしたくないな。 みほ:わかります。何を取るかですね。 ゆり:私は日焼け止めスプレー、パーカー、保冷剤は欠かせないかな。 あい:なるほど。夏にどんな対策をしていいか分からなかったので、そんな方法もあるんだって学びになりました。 みほ:私も入職した時に他のステーションの人はどうしているんだろうって思ったので、今回お話しできて良かったです! 記事編集:NsPace

インタビュー
2021年6月22日
2021年6月22日

信頼関係を築く本物のコミュニケーション

この対談では、訪問看護ステーションの経営課題、改善点についてお話しいただいています。テーマにしたのは、新幹線清掃の仕事ぶりが『7分間の奇跡』と注目された、株式会社JR東日本テクノハートTESSEI(以下「テッセイ」という)の業務改善内容です(※1)。まったく異なる業種ですが、そこには学ぶべき多くのヒントがありました。 テッセイの改革は、揺るぎないチームワークとボトムアップを引き出すしくみが、成功のポイントになっています。組織内のタテ・ヨコのコミュニケーションが円滑に行われることで、社員のやる気を高め、サービスの向上にもつながっています。第3回の対談では、訪問看護事業におけるコミュニケーションの課題についてお話いただきました。 報告・連絡以外のコミュニケーションの必要性 大河原: 訪問看護ステーションは本社と離れている所に点在しているため、各ステーションの従業員と頻繁に会うことができません。 当社は、訪問看護ステーションとしてはコミュニケ-ションを重視している方だと思います。管理者とは週に1回のウェブミーティングで情報を共有しており、現場からの意見は管理者を経由して集めるしくみになっています。そのため直接声を聞く機会として、地方の従業員とはウェブで面談をし、都内に関しては行けるところは私が回るようにしています。 しかし他のステーションの話を聞くと、現場のことは管理者に任せっきりで週に1回も話さないとか、話すときには経営側が一方的に話すという声も聞いています。経営側の現場のことはわからないというスタンスが、管理者の疎外感を生み、衝突してしまうのかもしれません。 私も外部から相談を受けることがあるのですが、経営側と中間管理職である管理者が意思疎通をうまく図るためには、どうすればよいでしょうか。 芳賀: 経営側と管理者がお互いあまり理解できていないから、衝突が起こるということですかね。 おそらく今は、経営側と現場の管理者のコミュニケーションは会議という形でやっていて、現場からの報告と経営側からのお知らせで終わっているのだと思います。これは他の業界でもあることですが、会議以外で、本当に言いたいことが言い合えるコミュニケーションの時間を作る必要があるのではないでしょうか。 話をするときには、一緒に考える、寄り添うという姿勢が大切です。管理者の課題に対して、どうしてそうなったのかを聞き、改善策について経営側も管理者と一緒に考える。解決策は他の管理者とも共有する。こうした過程を共有していくことが重要です。 大河原: 当社の会議では、経営側が一方的に話をするのではなく、管理者からの報告をしっかり聞くよう心がけてはいます。ただ、事業所ごとで抱えている問題や管理者の性格も違うため、経営側もそれぞれに合わせた柔軟な対応が求められるとは感じていました。 芳賀: 個別にどうしたらいいか考えるのは、今のリカバリーさんの規模だからできるのだと思います。もっと規模が大きくなると今の対応では難しくなるので、変えていかなければいけない。 例えばFCで展開している飲食業などは、エリアマネージャーがエリア内の店舗を頻繁に訪問して、店長さんたちの話を細かく聞くような方法を取っています。訪問看護ステーションはそこまで数は多くないと思いますが、経営との間に個別のヒアリングができるエリアの統括を置くとか、規模によって最適なやり方を考える必要はありますね。 【テッセイの改革】 テッセイでは現場の教育を専門に行うインストラクターを増員し、優秀なリーダーを育てていきました。現場の課題をよく知り、解決策をスタッフに実践でき、成功過程を一緒に喜べるリーダーの存在が、スタッフのやる気を引き出すことにつながっています。リーダーや会社側が「現場をいつも見ています」という姿勢を示すことが重要です。 ボトムアップを行うために管理者の意識改革を 大河原: 現在の訪問看護ステーションは、病院で働いていた看護師が管理職になることが多いです。訪問看護ステーションでは管理者が大きな権限を持っていますが、病院は完全なトップダウン体制で、上からの指示で仕事をすることが多いため、さまざまな判断を行った経験がありません。 ボトムアップを進めていくためにも、自律的に判断できる管理者を育てるヒントがあれば教えていただきたいと思います。 芳賀: テッセイはトップダウンとボトムアップの両方がバランスよく機能することで改革を実現しました。 そのためにテッセイが大事にした基準の1つが『規律の中の自由』です。活動資金を与えるなど、自分たちで自由に決められる枠を与えることからスタートしたのですね。 訪問看護ステーションの場合は、予算的な自由と利用者さんへの対応の自由、2つの自由があると思います。例えば予算については、リカバリーさんではどうされていますか。 大河原: 当社では、事業所の予算についての判断は管理者に任せています。基本的には、「もう一人のあたたかい家族」という会社の理念に基づいて、事業所や利用者さんためになることに使うようにと伝えています。 ただ、管理者だけで決めるのが難しい場合は、本社が一緒に決めるような方法を取っています。 他のステーションでは、管理者に予算や権限をどこまで与えるか決まっていない所も多くあると思います。私は経営と現場の両方をやっているのでわかる所もあるのですが、現場が必要というものが経営的な目線で見ると必要ないということもあり、その価値観の違いが管理者の悩みや不満につながっているという話はよく聞きます。 芳賀: 予算の決定権を与えられた時、管理者には「利用者さんへの付加価値につながっているか」と「経営にどのような影響を及ぼすのか」の2つのバランスを考える意識が必要だと思います。事業所単位の収支のような狭い視点ではなく、会社の理念から考えたときにどうなのか、という視点ですね。 そのためには理念を理解してもらうと同時に、意識をもたせるしくみを作ることも必要です。 私が理事を務めている法人では、社会福祉法人・医療法人を含めた全グループで、医師や看護師などすべてのスタッフからコスト改善の提案を本社にあげてもらっています。そして良い提案は、全事業所で共有し、表彰もしています。もちろん、提案はサービスの質を下げることがないコスト改善です。 コスト改善は、必ずしも利用者さんの付加価値を下げることばかりではないと思います。例えば、ケアに使う物を利用者さんのお宅にある物で代用したら、付加価値は下がらずに利用者さんの経済的負担を軽減できたとか、そうしたケースもありました。 費用の適正化と利用者さんへの付加価値の両方を達成する、ということを自分たちで考え、提案する機会を与えることで、より意識も高まってくると思います。 大河原: 自分たちで考えさせることで、コストや経営的な意識が高まるということですね。 管理職に予算とそれに合わせた権限を与えることの重要性を改めて感じました。そして、理念という判断基準が明確になれば、どの管理者も迷うことが少なくなる。ここでも理念の必要性を実感しました。 【テッセイの改革】 テッセイでは、良いサービスを提供するためには、会社の明確な「トップダウン」とともに、現場スタッフからの「ボトムアップ」が同時に必要であると考えています。 各チームが1日1回以上、1分以上をルールにスタッフ同士気軽に話し合う「スモールミーティング」、改善したいテーマごとにチームを作って話し合う「みんなのプロジェクト」などを行い、現場から出た改善策や新しいアイディアを確実に実行しています。会社側が現場の課題や改善策を一番理解しているスタッフの提案を否定せず、実践させることで、スタッフから自然と意見が出てくる環境が整ったのです。 ** 名古屋商科大学大学院、NUCBビジネススクール 教授 芳賀 裕子   【略歴】 慶應義塾大学卒。慶應義塾大学経営管理研究科修了(MBA)。筑波大学大学院ビジネス科学研究科後期博士課程修了。博士(経営学・筑波大学)。プライスウォーターハウスコンサルタント(株)にてコンサルティングに従事。その後コンサルティング事務所を立ち上げ、大手企業のヘルスケア分野への新規参入コンサルティングを30年近く実施。医療、健康関連、介護、ヘルスケア業界を得意とし、ベンチャー企業取締役、ヘルスケア事業会社の執行役員なども歴任。 Recovery International株式会社 代表取締役社長/看護師 大河原 峻   【略歴】 看護師として9年間臨床に携わった後に、オーストラリアで働くが現実と理想のギャップに看護師として働く自信を失う。その後、旅行先のフィリピンの在宅医療に強い衝撃を受け、帰国後にリカバリーインターナショナル株式会社を設立。設立7年で11事業所を運営し(2020年12月時点)、事務効率化や働き方改革など、既存のやり方にとらわれない独自の経営を進める。   【参考書籍】 ※1 著・矢部輝夫、まんが・久間月慧太郎(2017)『まんが ハーバードが絶賛した 新幹線清掃チームのやる気革命』、宝島社

特集
2021年6月22日
2021年6月22日

訪問看護あるある座談会 vol.4 インシデント編

医療現場では付き物のインシデント。皆さんも大なり小なり一度は経験したことがあるのではないでしょうか。「ああ、やっちゃったな」と落ち込んでしまうこともありますよね。今回も3人の訪問看護師さんにお集まりいただき、インシデントをテーマに訪問看護の「あるある」についてぶっちゃけトークをしてもらいました。 気遣い合える環境が生む安心感、ステーション内でインシデントを共有するメリット あい:訪問看護は楽しいです。病院経験があると「できる」って思われるところがあって、半年くらいでもう一人前の扱いでしたね。 みほ:不安はあっても、訪問スケジュール的に1人で行くしかない!ってこともありますよね。 あい:そうですね。お休みの関係とか。 ゆり:不安を感じながら訪問する時に、私はミスをしちゃったことがあって。気管カニューレの利用者さんの移乗をした時に、カニューレが抜けかかっちゃって急いで入れ直したことがあったんです。すぐに対応が取れたけど、若手の子だったらどうしようってパニックになっちゃうんじゃないかなと。 あい:うん、頭ではわかっていても、ためらっちゃうかもしれません。 ゆり:大人の気管カニューレを入れたのは、実はその時が初めてで。経験年数を重ねていても初めてのことってあるし、緊張もする。インシデントやヒヤリハットが起きても、きちんとみんなで共有するのが大事だと思う。ステーションの信用問題にも関わるからね。 みほ:ヘルパーさんとかご家族のかたが見ていることもありますもんね。 ゆり:うん。落ち込んでステーション帰ってきてね。そしたら若いスタッフたちが「誰でもあり得る状況だったし、もし私がそのインシデントを起こしていたらすごく怒られていたと思う。おかげで移乗のときここに気を付けないといけないって気付けました。ありがとうございました。」って感謝されたの。大丈夫だった?とか声を掛けてくれる環境のほうが、報告しやすいし、救われるよね。 みほ:皆さん優しいですね! あい:こういうインシデントがあったんだ、って共有してもらえると、想像できて心構えができるので、安心感がありますね。在宅に慣れないうちは尚更。 ステーションの糧になる、インシデントの振り返り みほ:ステーションに「インシデント振り返りシート」ってありますか? あい:元々はなかったですね。私が同行した訪問でインシデントが起きた時に、書いて全体に共有したのが初めてでした。 みほ:すごい。自分からレポートを書いて出したんですか? あい:そうなんです。新人さんと同行訪問中のインシデントで。内服薬をお薬カレンダーにセットするときに2人で入れたんです。そのとき、たまたま新人さんが担当したところが複雑なセット方法で、そこにセットミスがあったんです。後日利用者さんから「内服セットが間違っているよ」って電話がきて発覚しました。ステーション設立して初めて、インシデントレポートを使ってカンファレンスをしましたね。 みほ:大事ですよね。こういう機会がないと、振り返る機会ってなかなかないですから。同行訪問中のインシデント、あるあるだなって思いました。 ゆり:同行訪問っていつもと違うことしちゃうよね。 みほ:そうそう、緊張なのか普段しないミスをやっちゃいますね…。 あい:そうなんですよ…。1人が内服セットして、もう1人がダブルチェックする方が良かったなって思うんですけど、同行の緊張もあってか、普段と違う判断をしてしまいました。 ゆり:時間が迫って焦ることもあるよね。 あい:まさにその日もほかのケアが延びて、2人でやった方が早いねって流れになったんです。新人さんもそれなりに看護師経験があったので「一緒にやろう」ってなって起きたミスでしたね。利用者さんもストレートに言う方だったので、新人さんも落ち込んじゃって。嫌な体験させちゃったなって反省して、しっかり振り返ろうってなったんです。 ゆり:あいさん、いい先輩。インシデントはいつやってもショックですよね。細心の注意を払っても、環境要因とかヒューマンエラーで起きる時は起きちゃう。だからこそ、起きたら共有して対応策を考えていかないと、看護の質もステーションの質も上がらないと思う。インシデントってクレームに直結するから。ステーション立ち上げを手伝った時に、インシデントマニュアルとクレーム報告対応書は準備しましたね。インシデントはステーションの糧になるから、レポートで溜めていったほうがいいと思う。 みほ:今まで溜まったレポートを見ると、こんなところに危険があるんだって気付けるので、教育にも繋がっている気がします。口頭の報告と振り返りだけで終わっちゃうと、もったいない気がしますね。 ゆり:振り返りシート書くの、めんどくさいって思うんだけど、書いて振り返りをしたからこそ安全にケアができる、利用者さんの生活も保持されると思うと、書いた方がいいですよね。 ** NsPaceではインシデント・アクシデント報告書など各種ツールのサンプルをご用意しております。各事業所様で編集してご利用ください。【ツール一覧を見る】 記事編集:NsPace

コラム
2021年5月25日
2021年5月25日

医師のいない場で医療的判断を行うスキルと在宅療養患者に起こりやすい疾患・状態に対しての看護スキル(工夫力)

第3回ではマネジメントスキルなどについてお話をさせていただきました。今回は、医師のいない場で医療的判断を行うスキルや在宅療養患者に起こりやすい疾患・状態に対しての看護スキル(工夫力)についての考え方をお話したいと思います。 訪問看護師に必要な8つのスキル・知識 ①本人の思い・家族の思いを吸い上げるスキル ②本人・家族の平時の生活を想像するスキル ③他職種とコミュニケーションを取るスキル ④マネジメントスキル ⑤医師のいない場で医療的判断を行うスキル ⑥在宅療養患者に起こりやすい疾患・状態に対しての看護スキル(工夫力) ⑦医療制度・介護制度などに関しての知識 ⑧礼節・礼儀などを実践できる素養 訪問先での不安感 病院や外来診療所に勤務されている看護師さんは、医師がいない場で医療的判断を行うことに心的ハードルを感じられることが多いと思います。私自身、いくつかの病院で在宅医療部の立ち上げの支援をさせていただきましたが、その際に在宅医療部に配属となる看護師さんを決めるステップの時に、かなり時間を要することがありました。やはり在宅医療という未知の分野に入ることに対しての不安感や、自身のスキルに対して不安に思うことなどが影響していると考えています。 また、実際に配属の看護師さんが決まっても、訪問看護師ではなく同行看護師として業務を開始することが多いです。少し複雑ですが、同行看護師は訪問診療の際に医師に同行する看護師であり、一人で患家には訪問しません(在宅患者訪問看護指導料など、医療機関からの訪問看護に関する算定は発生しないモデル)。そういった同行看護師さんに伺うと、一人で患家に訪問することに対してのハードルとしては、 1.何かあった時にひとりで対応できるか不安である。 2.患家で医療的判断を本人・家族から求められたとしても、それは医師の仕事だと思うので困る。 と、おおよそ上記2点に集約されました。 1.何かあった時にひとりで対応できるか不安 「慣れ」の話になるかもしれないですが、病棟勤務や外来勤務といった基本的に医師が傍にいる状況、もしくは院内PHSなどで緊急時に医師にすぐに連絡がつく環境での勤務経験が長いことに起因すると思われます。 しかし、詳しく話を伺うと、病院勤務であれ、外来勤務であれ、何かあった時にひとりで対応した経験がある看護師さんは非常に多いことがわかりました。よく考えれば、これは医療有資格者として普通のこととも言えますが、訪問看護というもののイメージ沸かず、これまでと違った環境での業務が、その不安を助長させている可能性を示唆しています。 2.医療的判断を本人・家族から求められたとしても、それは医師の仕事だと思うので困る 1の不安感に繋がる部分もあると思いますが、医療の方針などをご本人やご家族に説明するのは医師、という考えを強く持たれていることが要因と考えられます。医療的判断における看取り方針の確認や、薬剤の使用判断などについての判断は、通常医師が行いますが、より療養に近いレベルでの判断は、病院でも実際は看護師さんが実施しています。例えばバイタルのチェック回数やタイミング、食事介助方法、発熱患者さんへの水分摂取促進などがそれにあたります。これらももちろん医療的判断ですが、そのすべてに対して医師の指示があるわけではありません。 つまり、訪問先で求められる医療的判断の階層レベルの不明瞭さにより、こういった考えに至るものと思われます。とはいえ、こういった不安や考えを持たれていることは事実であり、現に訪問看護師として働かれている方も、このような気持ちをもって働かれている方もいらっしゃると聞きます。これらの訪問先での不安などを解決するために必要な考え方やスキルをお話したいと思います。 医師のいない場で医療的判断を行うスキル 医療的判断を行うスキルについて、ここではどういった症状に対して、どういった医療的判断を行えばよいか、といった具体的な疾患・症候別の話ではなく、どういった考え方に基づいて、訪問看護師として医療的判断を行うかをお話します。 その考え方は基本的に、訪問看護師さんが訪問先で医療的判断を行う範囲を決める作業と、急変時の対処方法を確認する作業の整理となります。具体的には、これまで何度もお話していることではありますが、まずはご本人やご家族への方針確認の際に望んでいること、やってほしくないことを吸い上げることから始まり、そこに本人の病態やADLなどに合わせて、医師から医療的・日常療養的包括的指示を受けます。これにより、訪問看護師が実施できる枠組みが決まり、この枠組みの中で訪問看護師として医療的判断を実践することになります。 この時に、医師からの包括的指示のみでは、訪問看護業務が本人や家族の意向に沿うものかどうかがわからなくなるため、必ずこの意向確認が必要となります。また、急変時の家族不在時の連絡方法や搬送基準なども、本人・家族や主治医とともに決定されていれば、医師がいない場での医療的判断について、訪問看護師として困ることや不安に感じることは大幅に減ることと思います。 前述の「何かあった時にひとりで対応できるか不安」や「患家で医療的判断を本人・家族から求められたとしても、それは医師の仕事だと思うので困る」といった思いについては、この枠組みが決まっていない、もしくは枠組みが見えていないことに起因すると思われ、訪問看護師として何をどこまで行ってよいのか、またどこまで判断してよいのかが不明瞭になっている事が非常に多いことが要因と思われます。 まとめると、医師のいない場で医療的判断を行うスキルというのは、本人や家族の意向と医師から包括的指示の確認+緊急時の対応方法の確認、これらを確認するスキルと言えます。ただし、日常業務が忙しい中で、利用者さん全員の具体的な意向や、搬送基準などの吸い上げが難しい場合もあると思います。その際は、独居の方、重症度が高い方、看取り目的で在宅療養を開始した方をまずは優先し、実施してみてください。 いずれにせよ、やはり重要になるのは第1回目に述べた「本人の思い・家族の思いを吸い上げるスキル」となります。 在宅療養患者に起こりやすい疾患・状態に対しての看護スキル(工夫力) 「看護は芸術である」というナイチンゲールの言葉があります。おそらくこれにはさまざまな意味合いがあると思いますが、ここでは、利用者さんの疾患やADLに対しての療養環境を、どういった考え方のもと、みなさんが持っている看護技術を用いて整えていくか、という視点でお話したいと思います。 以前、「本人・家族の平時の生活を想像するスキル」の回で「探偵力」という単語を使い、利用者さんの日常の療養生活を想像するためのスキルについてお話しましたが、今回は療養環境を整えるための「工夫力」についてです。 療養環境の整備には、ご本人やご家族の思いを吸い上げた上で、それを達成するため、またはそれに少しでも近づけるために、看護師さんならではの視点・感覚が必要となりますが、この環境整備のためのスキルを工夫力と捉えています。重要なことは、「おそらく○○だろう」といった自身の主観をもとにした判断でアプローチしないことです。 たとえば、分かりやすい例としては、排尿行動による転倒に対しての療養生活の整備です。転倒を減らすには、ポータブルトイレの設置による動線管理や、オムツの使用、膀胱留置カテーテル挿入といった動線自体をゼロにする方法があります。この方法により転倒は減ると思われますが、ポータブルトイレの設置が「転倒は危ないから」といった判断材料のみであった場合、前述した「ご本人・家族の思いを吸い上げ、それを達成できるか」の検討が無いことになり、主に介護者視点でのリスク管理的な療養環境の整備となってしまいます。ご存じのように、排泄は本人の自尊と強く関係するため、排泄方法の変更の際は、まずご本人がどうしたいか?家族としてはどうあって欲しいか?といった意向を確認してから、トイレまでの動線確認およびその改善、移動をサポートする方法の提案、夜間のみのポータブルトイレ利用といった看護師さんだからこそ気付く工夫力を発揮していただきたいです。 ただし、認知症の方などの場合、転倒リスクを低下させることが優先になることもあります。ここで注意していただきたいのは、認知症の方はこれまでの行動が刷り込まれていることが多く、排泄方法をトイレからポータブルトイレに変更する場合、ポータブルトイレが排泄する場であると認識するのが難しいことがあるということです。そのため、例えばご本人にインプットされているトイレまでの動線上にポータブルトイレを置き(場合により、動線を塞ぐ形で)、少しずつそれが排泄する場であると認識できるように誘導する、といった工夫もあると思います。他に褥瘡の処置などでも、ご本人の状況や意向で、どの程度まで改善を目指すのかを確認し、それに対して工夫力を生かす、といったことも同様の考え方です。 ここでは非常にわかりやすい例として、排泄による転倒に対しての療養環境の整備を挙げさせていただきましたが、さまざまな療養下にある利用者さんの意向に沿う形で、みなさんの「工夫力」を発揮し、ご本人・ご家族と一緒に「看護は芸術」として、その療養環境を作り上げていってください。 本コラム第4回目として、医師のいない場で医療的判断を行うスキルと在宅療養患者に起こりやすい疾患・状態に対しての看護スキルついて述べさせていただきました。次回は、医療制度・介護制度などに関しての知識ついてお話したいと思います。 医療法人プラタナス松原アーバンクリニック訪問診療医 / 社会医学系専門医・医療政策学修士・中小企業診断士 久富護 東京慈恵会医科大学医学部卒業、同附属病院勤務後、埼玉県市中病院にて従事。その後、2014年医療法人社団プラタナス松原アーバンクリニック入職(訪問診療)、2020年より医療法人寛正会水海道さくら病院 地域包括ケア部長兼務。現在に至る。

インタビュー
2021年4月27日
2021年4月27日

訪問看護ステーションの働き方改革

せわのわ訪問看護ステーションは、運営面でも先進的な取り組みを行っています。第3回は、週休3日制を取り入れた働き方改革などについて、引き続き、訪問看護管理者の竹之内さん、事業支援部長の半田さん、せわのわ事業本部長の目井さんに伺いました。 ワークライフバランスを考えた勤務体制 竹之内: 今のところ、常勤看護師2人、フルタイムのパート1人、非常勤の理学療法士(PT)2人、常勤の言語聴覚士(ST)1人が勤務しています。 せわのわ訪問看護ステーションの大きな特徴といえば、STがいることと、常勤で週休3日と2日と選べる体制になっていることだと思います。 一日の勤務時間が11時間拘束・10時間労働と長くはなりますが、その代わり残業時間がほぼありません。最後の訪問が17時30分か18時ぐらいに終わるので、戻ってからも1時間ぐらいは余裕があり、そこで記録をつけたりもできますので。 それと、僕自身が一時期人材紹介会社に勤めていたときの認識として、在宅で働きたいと思う人はワークライフバランスを重視している人や夜勤をやりたくない、子どもがいるので17時半には帰りたい、などという方も多い印象でした。先々を見据えると、お母さん世代が入ってくれるとコミュニティとも連携しやすくなるので、その世代が入ってきたいと思うような職場にしたいと思っています。 そのため、一番多くなりそうな10~15時、週3~4日のパート枠の方が増えたときにも、ある程度対応できるような下地を作っている所です。 半田: 長時間働く分、たくさん休みましょうという働き方改革の一環ですよね。週休3日を選択している人は副業をしている人も多いようです。 目井: 法律上は週40時間以下の変形労働時間制なんですが、経営側としても割増の残業代を払うことがなくなるのでメリットは大きいですね。 また求人を出す際にも、週休3日だと目につくのかもしれません。会社のLP(ランディングページ)、InstagramやFacebookなどでも紹介しているのですが、最近は問い合わせも増えてきていますね。 ―何かコミュニケーションを円滑にするために活用しているツールはありますか。 竹之内: 電子カルテを活用しているのはもちろん、コミュニティツールとしてTalknoteを使っています。LINEだと、後から入ってきた人が過去の情報をさかのぼることができないので。Talknoteはグループもいろいろ分けられて、そこに入れる人も調整できるので便利です。 できる限り記録と併用して、業務負担にならないように必要最小限の情報をのせるようにしています。 目井: Talknoteは、訪問看護ステーションだけではなく、全社、調剤薬局や経営者も入っています。 週休3日制だと管理者とも週1回しか会えない状況なので、全社的に情報はTalknoteで共有するようにしています。 他職種連携がもたらすメリット 竹之内: 一番のメリットは楽しいことですね。訪問看護ステーションの事務所だけだと、スタッフが顔を合わせる機会も少ないですから。ここでは薬剤師や管理栄養士などと、顔を合わせて気軽に話ができますし、お昼もせっかくだから戻って食堂で食べようかとか(笑)。 もちろん、いろいろな知識も得られます。利用者さんのために必要なことが、迷ったらすぐに相談できる環境にあります。看護師だけだと同じ視点でしか見られないようなことも、調理師のような医療に関わっていない人も含めて色々なアイデアが出てきて、新しい発見をすることもしばしばです。 目井: 多職種が一緒にいることによって、利用者さんに対していろいろな形でのアプローチが見つかる。そうした日々の発見が、結果的には利用者さんのメリットにもなっていると思います。 ―とはいえ、職種が違うといろいろと意見のぶつかり合いなどもあるかと思うのですが…。 目井: 訪問看護ステーションでいえば、看護師が管理者なので、PTやSTからは相談しにくいこともあるという話はたまにありますね。常勤のSTについては、メンター的な役割ができるSTを外部から週に一回呼んでフォローして、フィードバックをもらっています。 竹之内: どうしても自分の職種のことで熱くなってしまい、マウントの取り合いみたいになることはありますよね。特にカンファレンスだと看護師が主体になりやすいので、きちんと他職種にも話を聞いて、意見を言いやすい場にするようには心がけています。 お互いの意見をぶつけ合うだけでは平行線のままですから、主導権を渡すではないですけれど、ここは任せるので、ここはこちらに任せてほしいと分担をしたりして、お互いに落としどころを探しながら話し合いをしています。 目井: 職種が違うし、育ってきた環境が違えば考え方も違うので、最初のうちはやっぱり揉めますね。 でも一度地ならしが終わればルールができるので、次に人が入るときにはスムーズに進むと思います。 ―訪問看護ステーションの管理者として意識されていることは? 竹之内: 何よりもスタッフを大事にしたいと思っています。 看護師が忙しいと声をかけづらい状況ができてしまう、雰囲気が悪くなってしまうということが病院ではよくありました。スタッフが楽しく、幸せに仕事していれば、それは利用者さんにも伝わると思うので、いろいろな方が働きやすく、働き方も融通が利くようにしていきたいです。 事業所の規模も今の人数の倍くらいにして、次の事業につなげていきたいですね。 ** 株式会社キュアステーション24 せわのわ事業支援部 部長 半田 真澄 30年以上臨床検査領域で働いた後、2013年にTRホールディングスグループに入社。代表取締役の田中氏とは社会人1年目が同期という縁。せわのわでは主に業務全般のサポートを行っている。 株式会社キュアステーション24 取締役/せわのわ事業本部 本部長 目井 俊也 ゼネコンや外資系保険会社などを経て、まったく畑違いの介護業界に。訪問介護ステーションやデイサービス、サービス付き高齢者向け住宅などの開業・運営経験がある。 株式会社キュアステーション24 訪問看護事業責任者/管理者 竹之内 航輝 総合病院の脳外科や透析外来に勤務後、訪問看護ステーションの管理者になるための経験として看護師の人材紹介会社で働いた経験を持つ。代表の地域貢献に関するビジョンや、スタッフに対する思いなどに共感し、せわのわ訪問看護ステーションに入職。

特集
2021年4月21日
2021年4月21日

訪問看護あるある座談会 vol.3 服装・持ち物編

前回のインタビューでも少し出てきた、訪問看護の冬の寒さ対策。それ以外にも、雨の日の服装や訪問看護バッグなど制服以外についても悩む訪問看護師さんも多いのではないでしょうか。前回に続き、3人の訪問看護師さんにお集まりいただき、服装・持ち物をテーマに訪問看護の「あるある」についてぶっちゃけトークをしてもらいました。 冬の雨が辛い!訪問看護の冬の服装どうしてる? ゆり:何が言いたいって、雨で一番つらいのって冬の雨だと思うんですけど、どう思います? りさ:本当にそう!手袋選びからですよね。毛糸の手袋とかは使えない…。 ゆり:ワークマンの手袋知ってます?内側にフリース素材入ってて暖かいんです。内側がもこもこのブーツもワークマンにあるんですよ。 みほ:うちのステーションでもワークマン流行ってて。あったかグッズが安く買えていいですよねー。 りさ:ワークマン人気ですよね。横浜のほうにワークマン女子のお店がありますね。 ゆり:まさに訪問看護師こそワークマン女子になるべきですよ! みほ・りさ:笑 ゆり:バイクで訪問してるときは防水防風のジャケット着てたけど、リーズナブルでしたよ。訪問看護師にはワークマンかファストファッションブランドがおすすめ! みほ:きっとみんなお世話になってるはず! りさ:暖かい靴下も欲しいですよねー。 ゆり:たしかそれもワークマンに売ってると思う。作業員さんが着るようなやつ。ほら、私たちも外出る仕事だからぴったりじゃない!? みほ:確かに! 悩める訪問看護バッグ。経費で落ちるのはどこまで? りさ:訪問カバンも良いのがあるといいですよね。 みほ:迷いますよね。訪問カバン。 ゆり:既製品で売ってる訪問バッグって小さいし、ポケットが多いのはいいけど、どのポケットに何入れたかわからなくなるんですよね。 りさ:そうなんですよね。小物がどこ入れたか分からなくなりますよね。 ゆり:小物整理は100円ショップのメッシュポーチを何個か持つようにしてて、マスク、処置材、不織布とか入れてますね。 りさ:私も同じようなポーチ使ってます!はさみとか手袋とか入れてます。 ゆり:こういうメッシュポーチ使いやすいですよね。あと、認知症の利用者さんなどにメモを残すのに、A4のメモも100円ショップで買って。 みほ:A4メモとふせんはマストですね。ヘルパーさんにもメモ書いたりしますし。 ゆり:経費で落ちるといいんですけど、結局自分で買っちゃってるんですよね。 みほ:私も自腹で買ってます…。細かいので経費で落とすのも面倒になっちゃうというか。 ゆり:事務所にあるものもあるけど、それ以外は割と持ち出し多いよね。訪問看護師。 りさ:たしかに。意外とそうですね。 みほ:ちなみに、アウターとか訪問バッグって経費で落ちますか?アウターが意外と高いから経費で落としてもらえないか交渉したんですが、ダメだったことがあって。バッグは補助出るんですけど、他のところはどうなんだろうと思って。 ゆり:うちはアウターは出ない。バッグは貸し出しがあるけど、直行直帰の人は自分で買うルールになってる。カッパも経費出ない。 りさ:カッパ、意外と高くないですか? ゆり:ちょっと高いよね。バイクの時は上下のカッパ着てたけど、今は自転車だからカゴまで覆えるポンチョを着てる。雨が強い時はその上にもう1枚ポンチョを重ねて、長靴履いてしのいでる。 みほ:なるほど!うちはカッパは支給があるんですけど、ボロボロになっちゃったので結局買いましたね。 りさ:うちはカッパはわりとしっかりしたやつを支給してもらいました。制服代として年間2万円まで支給するから自由に買っていいよっていうスタイルで、それを使ってスクラブとかヒートテックを買っていますけど、結局お金が回らないからアウターは自費ですね。 みほ:でも支給でるのはいいですね。 ゆり:税理士さんに聞いたことがあるんだけど、制度的に経費で落ちる物もあるはずなんですよ。お金関連のところ、看護師は疎いと思います。 みほ:たしかに。善意で持ち出しばかりするんじゃなくて、会社に負担してもらえる部分もあることを看護師側も知っておくことが大事ですね。 ゆり:これは必ずかかるから経費に計上してもらいたいとか。でもなかなか難しいですね。 りさ:お金の話は疎い自覚あるし、詳しい友達の方が少ないですね。その辺りをもっと知れるといいです。 ゆり:税理士さんとかから話聞けるといいよね。 ** NsPace編集部より本記事掲載にあたり、NsPace編集部がワークマン様に掲載許可をいただきました。ありがとうございました。 記事編集:NsPace

特集
2021年4月14日
2021年4月14日

訪問看護あるある座談会 vol.2 感染対策編

訪問看護のお悩みあるあるの中に、感染対策があるのではないでしょうか。病院では清潔・不潔をはっきり分けられる反面、在宅では病院ほど明確に清潔・不潔を区別することへの難しさもあります。前回に続き、3人の訪問看護師さんにお集まりいただき、感染症対策をテーマに訪問看護の「あるある」についてぶっちゃけトークをしてもらいました。 コロナ感染対策の悩み。手袋NG!?訪問看護の入浴介助 りさ:悩みあるあるは感染対策です。 ゆり:あるよね。エプロンしないとか「これも素手でやっちゃうの?」みたいな。 りさ:在宅の利用者さんは手袋すると嫌がるんだよって言われたことがあったんです。それで手袋付けずに入浴介助してるお家もあります。 ゆり:その家の清潔の具合によるかもしれないけど、自分の感染リスクもあるし、他の家に菌を持っていっちゃうリスクもあるよね。お風呂場で「こんなの裸足で入るのよ!」って入っていく看護師もいるけど。笑 りさ:えっ、むしろ裸足以外で入浴介助してるんですか? ゆり:うちでは長靴持っていったり、家によっては買ってもらったりしてます。ステーションごとに感染対策って違うんじゃないかな。 みほ:うちのステーションではご自宅で使ってるバスシューズを借りることもありますね。 りさ:へー、そうなんですね。イヤイヤ裸足で入ってました…。 ゆり:他のステーションではこうしているらしいから、感染対策の見直しをするのはどうですかって提案してみるのはどう?今はコロナもあるし。 りさ:そうですね。素手でストマを洗うのとか、粘膜だから抵抗あって悩んでたんです。 ゆり:だって便とか触れるからね。 りさ:信頼関係を大事にしすぎて、手袋をつけて嫌われるんじゃないかって思っている先輩もいて…。 ゆり:でも自分は守らないといけないもんね。最近は新型コロナで自宅に消毒液置いてくれてる家も多くなったし、看護師は働きやすきなったんじゃないかな。 みほ:そうですね。新型コロナを理由に何かと感染対策できるようになったのは、よかったのかもしれないですね。「新型コロナなので」って説明して、今まで抵抗あったお宅でもエプロンとか手袋を付けさせてもらえたり。 りさ:マスクもしてもらいやすくなりましたね。 みほ:今までそのまま咳されてましたからね…。 ゆり:唾飛んだよ!みたいな。気になってコンビニのトイレで顔洗ったこともありました。笑 みほ:帰り際に洗面所で手洗いできなかった時、コンビニのトイレとか公園で手洗ったりしますね。 ゆり:公園の子供たちに混ざって手洗いますよね。訪問先で「さようなら〜」って挨拶してそのまま手洗うタイミング逃しちゃったり。手指消毒で済ませるときもありますけどね。 看護師、膀胱炎になりがち。訪問看護のトイレ問題 ゆり:最近はコロナでトイレ使えなかったですよね。 みほ:めっちゃ不便でした。 ゆり:ですよね!私、膀胱炎になりました。 りさ:えー!わかります!私もなりかけましたもん。 みほ:ひえー。今年じゃないけど私も前なりました。 ゆり:病棟でもそうでしたけど、トイレ我慢しちゃうじゃないですか。在宅だとトイレにいつでも行ける環境じゃないので、尚更。 りさ:私も水飲むの控えちゃってました。去年の夏に突然38度くらいの熱が出て「コロナか!?」って思ったんですけど、実は脱水で。 ゆり:わかるー。私もおなかの調子が悪くて腸炎かと思ったら高熱出て。OS1を一気飲みしたらおいしくて。こんな美味しい飲み物だったかなっていう。笑 手足の痺れもあって、今思うと重度の熱中症でしたね。 みほ:やばいやばい。 ゆり:夏、高齢の方ってなかなか熱中症に気づかないじゃないですか。クーラー付けてないのも怖いですよね…。 りさ:クーラー自体無いおうちもありますね。必死でアイスノン当てたりしてました。 ゆり:看護師側も夏と冬は辛いですよね。冬は着込んで自転車乗るので、利用者さんの家に着く頃にじんわり汗かいてて。訪問中もケアして汗かいて、外出ると寒くて。風邪引きそうになっちゃいます。 みほ:分厚いダウンだけだと利用者さんの家出てすぐ着るには暑いこともあって。フリースの上に薄手のダウンの重ねてますね。 ゆり:うん、上着は重ねて調節できないと体調崩しますね。朝に子どもを保育園送るのが重労働で、出勤する頃には冬でも汗だくで。笑 着る物失敗すると、夏みたいに汗かきますね。 ー③に続きますー 記事編集:NsPace

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