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第4回 残業・休憩・休日編/[その1]この違いわかりますか? 割増賃金が発生する残業、しない残業

労働時間の管理は、労務管理の『基本中の基本』です。何が労働時間にあたるのかをきちんと理解していないと、法律で定められた残業代(時間外割増賃金)を適切に支払うことはできません。残業代の未払いに気づかず、ある日突然、スタッフからまとめて請求される……というケースも少なくありません。こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、法的に正しい知識を身につけ、日頃からきちんと労働時間を管理しましょう。 私の事業所では、就業時間は9時~17時まで(うち1時間休憩あり)と決まっています。忙しい日にスタッフに18時まで1時間の残業をしてもらった場合、その分の割増賃金を支払う必要はありますか?この場合は法内残業にあたりますので、労働基準法が求める割増賃金の支払いは不要です。  労働時間には「所定」と「法定」がある 労働時間には「所定労働時間」と「法定労働時間」があります。まずはこの違いをしっかりと押さえることが管理におけるポイントです。 まず、「所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約書の中で定められた労働時間のことで、始業から終業までの合計時間から休憩時間を差し引いた時間をいいます。所定労働時間は、企業や労働者ごとに自由に決めることができるので、労働契約の内容によってさまざまです。例えば、「9時~18時」と定めているところもあれば、「10時~17時」と定めているところもあるでしょうし、パートについては「13時~17時」としているところもあるでしょう。 対して、「法定労働時間」とは、その名のとおり「法律で定められた=法定」、つまり労働基準法32条で定められた労働時間をいいます。同法で、使用者は、労働者を1日あたり8時間、1週間あたり40時間を超えて働かせてはいけないことになっています。 これを超えて働かせるには、①36協定(※)を締結し、かつ、②労働基準法で定められた割増賃金(時間外労働は原則25%増)を支払う必要があります。 割増賃金の支払いが必要なのは法定外残業 この質問のケースでは、就業時間が「9時~17時、うち1時間休憩あり」なので、所定労働時間は、始業から終業までの8時間から休憩時間の1時間を差し引いた7時間です。 ですので、17時から18時まで1時間の残業を行っても、法定労働時間の「1日8時間」という上限を超えないため、割増賃金を支払う必要がありません。このように、残業はしているけれども法定労働時間内に収まっている残業を「法内残業」といいます。なお、賃金規程などで「法内残業についても割増賃金を支払う」と定めることは自由ですが、定めた場合は、当然その支払いをしなければいけません。 では、19時まで2時間の残業を行った場合はどうでしょうか。この場合、17時から18時までの1時間は法内残業ですが、18時から19時までの1時間は、1日8時間の上限を超えています。このように、法定労働時間を超える残業を「法定外残業」といいます。法定外残業に対しては、労働基準法で定められた25%増の割増賃金を支払う必要があります。 ここまでの内容を図1にまとめましたので、ご参照ください。 図1 所定労働時間7時間の場合の割増賃金 ※36(さぶろく)協定:労働基準法36条(時間外及び休日の労働)に基づく労使協定のこと。使用者が法定労働時間の上限を超えて労働させる場合に必要となる。 ある日、利用者様の体調変化が重なり、とても忙しい日がありました。スタッフのAさんは、午前9時から始業し、昼に休憩を1時間とりましたが、その後、午後11時まで働きました。この場合、13時間労働ということになりますが、割増賃金は1日8時間を超えた分に対して25%増で支払えばよいのですよね?いいえ。午後6時から午後10時までは25%増ですが、午後10時から午後11時までは深夜割増賃金が加算されますので、50%増で支払う必要があります。 割増賃金の3つの種類 割増賃金のしくみをきちんと押さえておきましょう。まず、割増賃金には、①時間外割増(1日8時間、1週間40時間超えの労働)、②休日割増(法定休日における労働)、③深夜割増(午後10時から午前5時までの労働)の3種類があります。それぞれの割増率は図2に示したとおりです。 図2 時間外労働、休日労働、深夜労働の割増率 時間外労働が1か月60時間を超える場合は、時間外割増は50%増となることに注意(ただし、中小企業は2023年4月1日以降から適応) 深夜労働が重なると割増賃金は50%増に 注意しなければいけないこととして、深夜労働の割増賃金は、時間外労働と休日労働の割増賃金に『加算される』ということです。下の図3をご覧ください。 図3 深夜労働と重なった場合 深夜労働をするという時点で、すでに1日8時間の法定労働時間は超過していることが多いですから、深夜に行われた作業に対しては50%増(25%+25%)の割増賃金を支払うことがしばしばあります。事業所としては、スタッフの健康のためのみならず、人件費抑制の観点からも、深夜の作業は可能な限り控えてもらうように指導したほうがよいでしょう。 なお、労働時間の管理については、厚生労働省が出している「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン 」が参考になります。厚生労働省のホームページから誰でもアクセスすることができますので、ぜひ、ご参照ください。 ** 前田 哲兵 弁護士(前田・鵜之沢法律事務所) ●プロフィール医療・介護分野の案件を多く手掛け、『業種別ビジネス契約書作成マニュアル』(共著)で、医療・ヘルスケア・介護分野を担当。現在、認定看護師教育課程(医療倫理)・認定看護管理者教育課程(人事労務管理)講師、朝日新聞「論座」執筆担当、板橋区いじめ問題専門委員会委員、登録政治資金監査人、日本プロ野球選手会公認選手代理人などを務める。 記事編集:株式会社照林社

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コロナでどう変わる?介護報酬・診療報酬大予想

新型コロナウイルス感染症の流行という未曾有の事態が起き、収束の目処も立たず先が見えにくい状況になっています。 病院から足が遠のいてしまう患者も増えており、その影響もあり初診でのオンライン診療が特例的に許可されるなど、診療報酬にも影響が出ています。 また、今年2021年の春には介護報酬の改定が控えており、こちらも新型コロナウイルスの影響を受けた改定内容になりそうです。 今回のコロナ禍で、診療報酬と介護報酬はどう変わるのでしょうか。報酬改定についてのコラム記事について特集していきます。 介護報酬:感染症対策の義務化へ 今年4月、令和3年度の介護報酬改定が予定されています。厚生労働省の社会保障審議会では、今回の介護報酬改定の基本的な考え方として「感染症者災害への対応力強化が求められる中での改定」を冒頭に記載しています。 今回の改定で介護サービス全体に義務付けられる予定となっているのが、感染症対策の強化です。訪問系サービスでは「委員会の開催」、「指針の整備」、「研修の実施」、「訓練(シミュレーシ ョン)の実施」等の取り組みが義務付けられる予定です。 新型コロナウイルスの影響から、病院のように、どの訪問看護ステーションにも「感染対策委員会」のような委員会活動が取り入れられていくことになりそうです。 加えて、災害時でも安定的・継続的にサービスを提供できる体制を整えることも、介護サービス全体で義務化される予定です。近年台風や大雪等の被害が増えていますが、新型コロナウイルス感染症も、そのような災害の1つとも捉えられます。 ステーションの災害時の動きを見直す機会になりそうです。また、テレビ電話等を活用しての会議開催が認められるようになります。 従来の退院調整カンファレンスやサービス担当者会議は、談話室や自宅に多くの人が集まるため、いわゆる「密」になりやすい状況です。密を避けるためにも、オンライン会議の推進が今回の改定で明文化されることになりそうです。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。   関連記事:令和3年介護報酬改定ピックアップ 【訪問看護ステーション】重度者対応は拡充、前途多難なリハビリ型 介護施設での看取りをさらに推進、ACPの取り組み促す 診療報酬:オンライン化が加速する傾向に 緊急事態宣言後の2020年4月10日、情報通信機器を用いた非対面の診療行為、いわゆるオンライン診療について、医師の判断により「初診から可能」とする時限措置を、厚生労働省が発表しました。 2020年9月に開始予定だったオンライン服薬指導についても、上記と同様に4月から始まり、半年ほど前倒してのスタートとなりました。これを機に、病院でも組織的なオンライン化が進んでいくと思われます。 では、オンライン化で訪問看護へはどのような影響はあるのでしょうか? 2020年の診療報酬改訂では「退院時共同支援料」について、オンラインでの退院調整カンファレンスにて、やむを得ない場合以外でも算定することが可能になりました。 新型コロナウイルス感染症の影響で、病棟への立入を厳しく制限している病院も多いため、オンラインでの退院調整カンファレンスがますます増えていくかもしれません。 また、オンライン診療における「D to P with N」モデルについても検討されています。 D(Doctor:医師)と、N(Nurse:看護師)といるP(Patient:患者)をスマートフォンやPC等で繋ぎ、オンラインで診察をするモデルのことです。 今後、訪問看護師には具体的にどんなことが求められるのでしょうか、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。 2020年、医療現場のオンライン化で訪問看護はどう変わる?徹底解説 新型コロナウイルス感染症の今後の状況によって、診療報酬と介護報酬の動向も流動的に変わっていくかもしれません。新型コロナで制度的に進んだ面もありますが、一刻も早い収束を願うばかりです。

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