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心温まるエピソード【つたえたい訪問看護の話】第2回vol07
公開日:2026年5月29日
更新日:2026年5月29日

訪問看護の現場には、利用者さんやご家族との心の交流から生まれる温かいエピソードがたくさんあります。「みんなの訪問看護アワード2024」に投稿されたエピソードから、心がほっこりと温まるエピソードをご紹介します。
「アリンコ最中」
精神科の訪問看護で、利用者さんの気持ちを受け取った心温まるエピソード。
| 精神科の訪問看護をしています。利用者さんは病気の影響で、自分自身や部屋を衛生的に保つことが難しく、部屋にコバエが飛んでいたり、お話している間をゴキブリが横切ったりすることもあります。そんな中、高齢の利用者さんが「これ食べて」と出してくれたのは、有名な和菓子店のあんこたっぷりで人気の最中でした。嬉しいけれどテーブルに直置きしていたよね。ん?なんかあんこの様子がおかしいぞ?と思ったら、あんこに群がるアリの大群でした。「お気持ちだけいただきます」と言っても「大丈夫やって。今食べて」と断れません。置いておいて利用者さんが食べても困るので、「いただいて帰って、後でゆっくりいただきますね」と言うと、嬉しそうにティッシュで包んだアリンコ最中をくれました。きっと私が喜ぶと思ってくださったのだなと、その顔を見た時に思いました。お家を出てカバンの中から最中を取り出すと、アリもわんさか出てきて泣きそうになりましたが、この利用者さんとは今も関係は良好です。 |
2023年12月投稿
「心の棘」
訪問看護では時に、看護師がつらい気持ちになるような「棘」を感じる場面がある。看護師が、スタッフと一緒に心の棘を抜いていくエピソード。
| 「さっさと帰れ」「もう来んでええ」「死ね」 看護師は、たくさんの傷つく言葉を受け取ることがある。病気だからしかたがないと頭では分かっていても、心に深く刺さった棘を抜くのは中々大変である。認知症を発症し、以前は暴力的でもあったと聞くOさんは、身体的な暴力は減少したが、言葉での暴力は健在であった。そのことで何件も訪問看護ステーションを変更されており、「今日はどんな酷いことを言われるのだろう…」と自転車の足取りがどんどん重たくなる自分がいた。このままでは看護師もOさんもダメになってしまう。訪問後にスタッフとカンファレンスを行い、Oさんの笑顔を見るために嫌な部分ではなく良い部分に注目し、スタッフ全員がOさんを大切に思えるように、情報共有することにした。するとOさんから「ありがとう」と言葉をかけられるようになった。心に深く刺さった棘は完全に抜かれて、私は今日も「何回笑顔が見られるかな?」と足取り軽く自転車を漕いでいる。 |
2023年12月投稿
「想い」
疎遠になっていたがん患者さんの娘さんに、民生委員の方が根気強く手紙を送り続けたことで、最期のときに家族が再会を果たせたエピソード。
| 「人間味のある看護師さんたちに看てもらえて幸せだったよ」最期の言葉の代弁者は民生委員のHさんだった。Iさんは独居生活。がんと余命宣告を受け、自宅で最期を迎えることを望んでいた。娘さんとも疎遠で、時を埋めるかのようにHさんが娘さんへ手紙を送り続けていた。落ち着いていた日々は束の間。吐血し、一刻を争う状況となりHさんから娘さんへ連絡をした。「父がどこに住んでいるか分からないけれど。でも東京から向かいます」と。私たちは「今から来てくれるよ、頑張りますよ」と声をかけ続けた。私が血を綺麗に拭き取っていると、Hさんが「すごい仕事ですね。私は元教師で、早くに父を亡くしたから地域の役に立ちたくて、Iさんをずっとみてきたの」と話していた。願いが叶った。娘さんが数十年間分のアルバム集を片手に、涙ながら目を閉じたIさんに語りかけていた。アルバムの最終ページに安らかに最期を迎えられた。病気がちな父を想い、娘さんは訪問看護師になったそう。面影ある洋服を探し、娘さんが着せてくださった。“微笑んでいるみたいだね”と皆感じていた。Hさんのように人に尽くしてくださる存在が偉大だった。主治医より「この一年の中で一番良い看取りでした。ありがとう」と。 |
2024年1月投稿
利用者さんやご家族との信頼関係から生まれる温かい瞬間は、訪問看護師にとってかけがえのない宝物です。これからも一人ひとりの人生に寄り添い、心通う看護を届けていきたいですね。
編集: NsPace編集部
